ウルトラマンメビウスのファンサイトメビウスベルト【ウルトラマン生誕40周年記念企画・ウルトラシリーズの世界観エースからレオ】

ウルトラマン生誕40周年記念企画・ウルトラシリーズの世界観

<ウルトラマンAの世界観>

帰ってきたウルトラマン(以下、帰マンと記す)の成功を受けて、いわゆる“第2次ウルトラシリーズ”が本格的に始動する。その第2弾がウルトラマンエースである。 本作は、オーソドックスな展開を取った帰マンと比べて、大きな変化が取り入れられた。

ウルトラでは、それまでに、他のヒーローもので定番である、共通の敵というものが存在した例はなかった。 だが、エースでは、地球侵略を企む異次元人・ヤプールが毎回登場し、様々な作戦で地球に攻撃を仕掛ける形が使われた。

そして、その手先、超獣は怪獣より強力な存在であり、第1話で既存の地球防衛軍が壊滅させられる、 ショッキングな出だしとなり、超獣に対抗する存在として、TAC(Terrible Monster Attacking Crew)が作られた。

さらに、第1話でゾフィを筆頭に、それまでの歴代ウルトラマン全員が揃い踏みし、その中で新ヒーロー、ウルトラマンエースが地球を守る新戦士として位置づけられることも新鮮であった。当初、変身するのは北斗星司と南夕子にウルトラリングが手渡され、二人がリングをタッチして変身する設定で展開された。

ヤプール人は、平行して製作されていた仮面ライダーのショッカーとは異なり、極めて抽象的・幻覚的な存在であり、 今までにないウルトラ悪役として存在感を示した。

物語はヤプールとエースのバトルを軸に展開し、その中で、 ウルトラ兄弟をゴルゴダ星におびき出して処刑する前後編は、イベント編として人気を博した。

その後、シリーズ中盤でヤプール人が一旦倒され、 さらにヒッポリト星人によりウルトラ5兄弟が全滅に追い込まれ、 ウルトラの父が救援にやってくる話を境に、夕子が月に帰り、 その後は北斗が一人で変身し、共通の敵もなく、やや平板なものとなったが、 最終回は、ヤプールが子供たちの心を利用して地球侵略を試み、 北斗は子供たちの心を守るため皆の前で変身し敵を倒し、 最後「やさしさを失わないでくれ、たとえそれが何回裏切られようとも。それが、私の最後の願いだ」と語り、 エースは去った。

この言葉に、エースのテーマが集約されている。

余談ながら、本作は当初「ウルトラA」として企画されたが、商品名登録の段階ですでに同じ名前が存在していたために、急遽「ウルトラマンエース」と変更された。だから、もしウルトラAのままでOKだったら、後のウルトラ作品も、ウルトラタロウ、ウルトラティガとかなっていたのかも知れない?

<ウルトラマンタロウの世界観>

ウルトラマンタロウは、ジャンボーグA、ファイアーマン、 映画「ダイゴロウとゴリアス」とともに、円谷プロ創立10周年記念作品として製作された。 その世界観は、ハードな雰囲気の帰マン、エースと比べると、大分能天気な作風であった。

主人公、東光太郎は冒険野郎で、持ち帰ったサボテンから怪獣アストロモンスが登場し、 それとの戦いの中で命を落とし、ウルトラマンタロウの命を授けられ、地球のために戦うものである。

エースで登場したウルトラの父に続いて、ウルトラの母が登場 (母のデザインは、父同様一般のファンから公募された)し、 言わば、デラックスなシリーズであり、何でもありの世界の中で、破天荒な作風で、 特捜チームZAT(Zariba of All Territory、直訳すれば全地域防衛機構。 ちなみにZaribaという単語は、本来の意味は「柵」であり、それを転じて防衛チームという意味にしている。

この単語は、よほど大きい辞書でないと載っていない)もシリーズ一の能天気、ユーモラスな怪獣も登場し、 そしてウルトラ兄弟の続々出演する作品として、主に幼年層の強い支持を得た。

前半では、強敵バードンにタロウとゾフィが相次いで敗北し、 ウルトラの母により蘇生されたタロウの復活・反撃を3部作で描き、 シリーズ中盤は地球が怪獣ムルロアにより暗黒に落とされ、それを救うため、 ウルトラ6兄弟が力を合わせるイベント編、さらに、ウルトラ一族の宿敵、テンペラー星人とのバトルを通して、 タロウの成長を描いたものなど、バラエティに富んだ作風であった。 いい意味でも、悪い意味でも、お子様ランチ的な作風と言うのがタロウの持ち味であろう。

最終回、光太郎はタロウの力を捨て、人間として最後の敵、バルキー星人を倒して去っていく。 最後まで、タロウは冒険野郎であった。

<ウルトラマンレオの世界観>

第2次シリーズの最後を飾るウルトラマンレオは、緊迫した世界の情勢の中で製作された。 ウルトラセブン=モロボシ・ダンが再び地球を守る任務に着き、宇宙パトロール隊MACの隊長として活躍していたものの、 襲来したマグマ星人、ブラックギラス、レッドギラスの攻撃に重傷を負い、 絶体絶命のピンチに駆けつけたのがウルトラマンレオ=おおとりゲンである。

レオは、マグマ星人たちに滅ぼされたL77星の出身で、初めてM78星雲以外の出身のウルトラヒーローとなった。 レオは、当初M78星雲の戦士と違って光線技を持たず、毎回ダンの特訓を受けて必殺技を編み出し、 怪獣・―宇宙人に対抗する形となった。

作風も切羽詰った雰囲気があるが、これは放映当時の石油ショック(73年暮れ、第4次中東戦争に際して、アラブ諸国が石油価格を大きく上げたため、石油に由来する商品の価格が暴騰し、世情がパニックになった…トイレットペーパーを求めて長蛇の列ができたという話があるが、筆者は実際に並んだことあり)に由来し、危機的な世相を反映させたもので、ダンは変身できなくなり、ゲンに地球を託したものである。またレオの特徴として、MACの隊員は他のシリーズと異なり固定されておらず、途中で戦死するなど、他のシリーズには考えられない軽い存在であった。

この背景には、石油ショックによる経費高騰で、特撮のコストが直撃され、予算が削減されて、 スタッフに余裕のなかったことも響いている模様であり、この当初の切羽詰った雰囲気は、 あまり評判が良くなく、特訓シーンは途中からなくなり、 替わってレオの弟アストラ(このデザインも一般公募による)が登場し、レオも光線技を使うようになり、 幾分マイルドな路線に変更された。

この時期には、伝説のウルトラマンキングの登場など、イベント的な要素も取り入れられ、 3クール目の最後には、ウルトラ兄弟とレオ、 アストラがババルウ星人の陰謀に立ち向かうイベント編も作られ、作風は盛り上がった。

そして、最終クールを飾る円盤生物シリーズ〜MACが円盤生物の襲撃を受けて全滅し、 ゲンの仲間も殺され、全く新しい環境で一人、円盤生物と戦うことになる〜シリーズ中、 特捜チームのない状態での戦いは、他には例がなく、 異色の円盤生物たちとのバトルで、 レオも様々な技を繰り出して戦い、最後は、子供たちの協力を得て円盤生物を倒す展開で、レオは地球防衛の任から離れた。

追い詰められた中で製作されたレオは、 しかも石油ショックの打撃を受けて製作が厳しくなり、一旦ウルトラの幕を下ろすことになった。

文:棺桶のジョー/企画・プロデュース:レイゴ

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