ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス第12話「初めてのお使い」レイゴ考察】

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重ぐるしい空気の漂う中、 緊張した面持ちでゆっくりトリヤマと、一歩後ろからマルが基地通路を歩いて来る。 立ち止まったのは総監室の前。

「いよいよ、総監とご対面ですね。」マルの声も緊張していた。 「お前はここで待ってろ。」 「えっ!?私は一度ご挨拶を…」そんな殺生なマルは身をくねらせる。 「重要な任務で私は呼ばれたのだ。恐らくトップシークレット事項だろ う。青いウルトラマンに関することかも知れん。」 「レジストコードヒカリですね。」マルは頷く。

トリヤマはアゴをあげてものを言う。「あんな青いウルトラマンなんぞ、私はまだ信用することなど、出来な いがな。」「お前はここで待機していろ。」 「…はい。」マルは退いた。

襟を正して、トリヤマは総監室入り口をガードするシステムに身分を証明するべ くモバイルパッドをかざす。ランプが、認証証明完了の青色に変わるとドアがスーッと開いた。

「トリヤマです。入ります!」裏返った声を上げて部屋の中へ入リ、慎重に様子を伺 う。薄暗い無機質な感じの部屋の中。 そこに待っていたのは・・・ミサキだった。

「お待ちしていました。」ガクッ思わず膝が砕けるトリヤマ。 「あのう・・・総監は?」 「総監は外出中です。」「はあ?」 「総監代行として、私が今回の任務をご説明します。」 デスク下からMT GTS 01の記号が入った、赤いジェラルミンのアタッシュケー スを机の上に静かにおく。

「それを最終処理施設へ持っていくように言われたんですか?」作戦室のミライがあとを引き継いだように口を開いた。 CREW GUYSのメンバーも興味深そうによってきて、勢揃い。 「んーー。研究途中で実用化に当たって危険があると判断されたようだ 。」

とりわけ中でも、興味津々のテッペイは、すり手をしながら「ちょーーっと中を見せてもらえませんかね。」 「ダメだ。危険なものだと言っとるだろうが。」威張り散らすトリヤマ。 「じゃ、ちょっくらオレが行きますか!」リュウがスルリと脇から入りケースを 取り上げようと手を伸ばした。

「はんっ!これは重要な任務だ。私が行くっ!」トリヤマは慌てて、リュウから 赤いケースをひったくるように、奪い返す。リュウは素っ頓狂な声をあげる。「マジですかっ」

続くジョージも「補佐官が、ですか?」驚いたようだ。 トリヤマはすばやく皆の顔色を見ながらも「んんっ!」と強気の返事。 「護衛付けましょうか?」サコミズが優しく尋ねる。 「んっ。そうだね。」すぐさま弱気になって素直に小声で返すが、

すかさずマルは大声を出す。「いらないでしょう?要はお使いを頼まれただけですから。アハハ ・・・」 「この重要な任務をお使いとはっ!」「プッ」失笑するジョージた ち。 「まぁまぁ」「ドゥドゥドゥドゥ」 「落ち着いてください。」 マルに飛び掛らんばかりのトリヤマを押さえにかかる男性陣。

「私が同行します。」マリナがリュウの肩をつかみ邪魔よといわんばかりに、 後ろに押すと、にっこり笑い前に進み出でた。 すかさずテッペイまでも、 リュウの体を後方に押しやり「いやいや、是非僕が!」

「興味津々の目をして言うなぁ!」「もう、私一人で充分だぁっ!」 飛び出そうとした瞬間

「あのぉっ!」沈黙を守っていたコノミがすっくと立ち上がる。一同ハタと立ち止まる。 「皆さんの中で、乙女座の方はいらっしゃいますか?」 「私は乙女座だが…?」トリヤマ補佐官はにこっ

「今日の運勢、最悪なんで気を付けてください。」わっ、こらとサコミズが目で合図を送るが、 「フンッ!」憤慨した様子でトリヤマは、きびすを返すと出て行った。

山中を運転手付きのシルバーのアルファ ロメオAlfa 159で現場に向か う。 「補佐官である私に、どうして総監から挨拶のひとつもないんだ?」 「それに、最近何となくだが、私は笑われ者になっている気もするのだが。」 「まっ、気のせいか(笑)?」自問自答して、打ち消すように笑うトリヤマ。

「トリヤマ補佐官。」その時運転手が声をかけてきた。「んっ?何だ!?」 「今日はお薬は飲まれましたか?」 「薬?何の?」 「乗り物酔いのお薬です。」 あ・・・ムカムカ・・・突然もよおしたのか、最大限に膨らんだ頬。手であわてて、口元を押 さえる。

ゴクゴク ズビー「はぁっ《安堵》」「私としたことが。油断したーーっ。」 トリヤマは、道路脇の車外でしゃがみこむと、大事なケースを抱えたまま、乗り物酔いのドリ ンクを飲みほした。

「この中に危険な研究品がぁっ!?」どうも気になる何も知らせされていないこの中身。 「よいしょ」つい、ケースを開けてしまった。 中にはマケット怪獣の入ったカプセル大ほどの、金属製の蓋と縦に防護用金属が 入って守られたガラスの瓶が四つ並んでいる。

しゃがんだまま、一つを取り出してみた。緑ががった透明の液体が入っていた。 「おっ!はっ、はっ、と!」取り落としそうになったが、かろうじて何とか、両手でキャッチ。 「はっ、良かった!」 ほっとすると立ち上がり、右手で上下をつまみ、日の光にかざしてみた。

「ほぉぉぉ!」 綺麗だ。そう思った瞬間。 「はっ、あっつ!」・・・するり。ひゅーーーーん。ボチャン。

手を離れたカプセルは、 石橋の上に立っていたトリヤマの、真下の川に落ち、水面に浮いたカプセルは川の流 れにのって、みるみる遠ざかっていった。

「あーははぁぁあ・・・あはーーーあぁぁぁぁぁぁ」 トリヤマの悲痛な声は、虚しく山にこだました。 カーー《カラスの勝手でしょー。》

「一個ぐらいいいやぁ、一個ぐらい。」 ジェラルミンケースを閉じながら、尚もつぶやきながら、トボトボ車に戻る。

1個ぐらい・・・エンドレス。 その頃、問題のカプセルは川をゆらゆらゆっくり流れていた。

大きな岩の上で吊り竿を垂らしていた一見老齢の男。 ワイシャツに茶色の法被を羽織り、首には和タオルを掛けている。 白井鮮魚店 魚清の名入り保冷ボックス。 「んっ?また来たか?」 釣り上げたのは赤いブリキの金魚型玩具に何やらくっ付いたもの。 「何だ、これ?」取り出してみた。

それは、・・トリヤマが落としたあのカプセル! 「まあ、いいっか。」あっさり、男の収穫品となった。

フェニックスネストに戻ったトリヤマ 「一個ぐらい…一個ぐらい」牛のごとく反芻しながら、作戦室に入る。

「お疲れさまです!」みな口々に声に出し拍手をし、立ち上がってトリヤマを出 迎える。 「よくぞ成し遂げられましたね。」マルはうやうやしく前に進み出ると目を細めた。

「成し・・・遂げる!?」いまひとつピンとこないトリヤマ。 「あの箱の中身があんなに危ないものだったとは!私が命じられていたらき っと、震えが止まらなかったでしょう。さすがは補佐官殿です!」 再び全員拍手!

「そうお?」トリヤマは思わず顔がほころぶ。 「でもー、少し勿体ない気もするなぁ。」テッペイが首を傾ける。 「諦めろ。実用化には不向きな決断が下ったんだ。」 「危険よ、あんなもの。」

「危険?」マリナの危険という言葉に反応するトリヤマ。 「でも、4カプセルもあったなら、1本くらい僕に分析させてもらえれば なぁ。」 「1本でも充分危険ですから。」 「そうだな。あんなものさっさと処理して正解だ。」会話からなにやら危険物的な臭いが漂いだした。

「でもー、せっかくのメテオールなのに・・・」 ドン ドン《効果音》 「メテオール!?」トリヤマ眼を大きく見開き丸くする。

「はぁーっ。でもこれで安心。やはり占いなんて当たりませんね。」 「今日の乙女座は『サイテー、サイアク、何をやってもダメ』って」書いてあっ たから、気にしちゃったけど。」

トリヤマは上ずった声を上げる「あのっ あのっ・・・あのっ、あのーーーっ」声が裏返る。 「コーヒーでもいれましょうか。」サコミズが微笑む。 「いやーー、大仕事の後で疲れたでしょう。」マルがトリヤマをいすに案内すると肩もみをせんばかりである。

トリヤマはすくっと立ち上がると、まじに汗だらだらで叫んだ。 「あのーーーっ!どんなに危険なものなのか、私に教えていただけない でしょうか?」泣きたい。

山中のひなびた古道具店「寿限無堂」 「ただいまー」「おかえりー」 先ほどの釣り人を、孫娘が迎える。 「またがらくたを釣って来たの?」 「がらくたじゃないぞー。立派な道具だ。」肩をすくめる娘。

どっこいしょ男は部屋に上がると、ご神体のえびっさまに手を打ち合わせた。 パンパン「えべっさま、今日も大漁、ありがとうございます。」 拝むのは古ぼけた木彫りの恵比寿像。しゃりん。

「いつもこんながらくたばかりなんだもん。」孫娘はブツブツ言いながら、今日 祖父の戦勝品をタオルで拭きあげる。 トリヤマが落としたカプセルも、脇の台の上に何気なく横向きにポンと置く。

すると間もなく、カプセルから緑色の蒸発物が流れ出し、木彫りの象へ吸い寄せ られて行った。 象の眼が赤く光ったかと思うと、動き出す!

ドン ドン ドン ドン! 娘はフッとそちらを見た!「パオーーーン!」 3〜40センチの木彫りの象が歩き、鼻をしならせ吠えた!

「グロテッセル!?」 「そうです。ドキュメントMAT、レジストコード・グロテス星人。そして 魔神怪獣コダイゴン。もとは蓮根神社(はすねじんじゃ)のご神体だったんですが 、グロテス星人によって怪獣化されました。」 「怪獣化!」

その際は、ウルトラマンがグロテス星人を倒したら、元に戻った。 その後ご神体を調査したところ、怪獣化させる特殊な細胞『グロ テッセル』が採取された。グロテッセルは、中が空洞の物質に入り込むと、生物のように動か せるように変化する。総本部としては、これをメテオールとして有効利用できれば巨大なロ ボットを作り出すことが出来るのではと、研究を重ねていたが、 コダイゴンクラスの大きさになると、破壊衝動が無意識的に生じる。 

ピシュン!矢のようにうなだれるトリヤマ。 「それをコントロールする方法が結論として見つからなかったんです。」テッペイがとどめを刺す。 「危ないし、怖いですよねー。そんな研究。」コノミはにこにこ 「でもー、ちょっと処分しちゃうの早すぎるなぁ。」科学者としては納得できないテッペイ 「充分検討した上での結論だよ。」サコミズは促す。

「あっ。でも、あのカプセル1本なら、こんなでかいものは出来ないでし ょ?ネーーェ」トリヤマは望みを託す。 「…はは。1本もあればコダイゴンなら3つは作れますよ。」 「1本で3つ!?」

トリヤマそのまま卒倒・・・かと思いきや、いきなり上体を起して大復活、こうしちゃいられない! メンバーを見回し、「君と!君と!君!」テッペイ、コノミ、ミライをすばやくご指名。うんん? あっけにとられる3人。

「私に力を貸してくれないか?ね!いいでしょ、サコミズ隊長。ほんのちょっと のことだから。ねっねっねっ!」サコミズに追いすがるトリヤマ。含み笑いしながら静かに頷くサコミズ。

時を同じくして、寿限無堂では異常事態が・・・。 紐をなくした操り人形が空を飛び、ブリキのゼンマイ仕掛けの車や得体の知れな いものたちが店内を飛び回っている。

「おじいちゃん、こういう時って110番かな、119番かな?」 「ユカ、落ち着きなさい。ーーーこれは九十九神(つくもがみ)だ。」 「九十九神、何それ?」 「こうして人に使われた道具たちもなぁ、大切に扱えば神様が宿る。それが九十 九神(付喪神)だ。」 「じゃ、これぜーんぶ神様ってこと?」「うん」メテオール技術は神様になっていた。

「ええーーーーっ!カプセルを落とした!?」ミライ、テッペイ、コノミ声を合 わせて大声を出す。

トリヤマが3人を現場まで連れて行き、告白したのだ。《愛のではない。》 「頼む!一緒に探してくれ!」斜め110度に腰を折り、頭を下げたトリヤマ、哀願のポーズ。もう泣きたい2

ミライはすかさずアドバイスする。「リュウさんたちにも声を掛けましょう。」テッペイも頷く。 当然トリヤマは、慌てる「待って!あまり事を大きくしたくないのだ。」

「事を大きくって…」何いってんのとテッペイがあきれたようだ。 「いやっ…私が何故きみたちを選んだかと言うと、どちらかというと… のほほーんって言うかー、ポワーーンって言うかぁ…」 「何となく言うことを聞いてくれそうだったから?」口をちょっと尖らせ るコノミ。

「で、カプセルを回収した後も黙っていてくれそうだったから?」とテッペイ 「ウン!」コクンと頷くトリヤマ。

ミライはすかさずメモリーデスプレィを内ポケットから引き抜こうとする。 「隊長に連絡しましょう!」「待って、お願い。それだけはお願い!」トリヤマはミライにすがりつかんばかりだ。

「とにかく探しましょう、メテオールですよ。危険です。」 「そうだねぇ。」コノミの意見に、テッペイも同意する。 ミライも大きく頷くと、

「わかりました。でもその前にやっぱり隊長に連絡しましょう。」←分かってない。 「くわっ…お願いだからぁ、ミライくーん……」泣いてすがりつくトリヤマ。

4人散らばって川周辺を捜索だ。 コノミが川の上の人だかりに気が付いた。 「毎度あり〜。」「みんな見てって、安いよ〜安いよ〜」 それは、寿限無堂の大売り出し。

「しかしなぁ…九十九神様を売り物にしていいのだろうか・・・」 「何言ってんの、おじいちゃん。えべっさまからの御利益なら、商売に直結。ね 、おじいちゃん。」 「昨日までがらくただった物が、こうして飛ぶように売れているんだよ。」 「それはそうだが……ガラクタじゃないそ。」ご利益に大喜びの二人。

コノミが中高生の間をくぐって近付く。 「あ、いらっしゃい!」ホクホク顔の孫娘とおじいちゃん。

「見つかりませんね」「川の魚が飲み込んだのかも。」 「その場合、どうなるんだ?魚が怪獣になるのか?」 「その場合は魚の体内で消化されます。生物への直接の影響はありませ ん。」 「あ、そう。じゃ、そういうことにしよう。魚が飲んじゃった!あ、良 かった良かった!」とぼけてみせるトリヤマ。

「それは無責任です!」毅然とした真顔のミライ。「えっ?」チッ。 「大変ですぅぅーーっ」その時、コノミが駆け戻ってくる。

「それは貯金箱じゃないか。」コノミの右手の平には緑色のカエルの貯金箱が 乗っている。ゲコゲコ 「動くんですぅぅ。九十九神っていうらしいです。」

「君はカプセルも探さずに、そんな電池のオモチャを…」 「電池で動いてるんじゃないんですっ!」

ゲコッとカエルは飛び出し跳ねた。 「うそっ!」テッペイはカエルを追いかけ何とか掴まえた。 裏返し、底の蓋を外す。 中から緑の煙が立ち上った。 「あ、空だ。」 「あ・・・神様出てっちゃった」

「…と言うか・・・」「これだぁ!」ミライとトリヤマ、同時に悲鳴のように言葉を上げるとカエルの 貯金箱を指さす。

「いらっしゃい。」「あ、さっきの彼女」 4人は寿限無堂に飛び込んできた。 「あのっ、これ、神様がいなくなってしまって。」 「それはいいっ!カプセルはどこだっ?」叫ぶトリヤマ。

「カプセル?」 「緑色の液体の入ったカプセルだよお!どこだ!?」怒鳴るトリ ヤマ。 「おじいちゃーん。ちょっと訳わかんない人来てんだけど。」 「ん?」騒ぎに奥から店主が出てきた。 「どうかしたかね。」

「もーーっ、勝手に探させてもらうよ。」体を震わせて短気を起すトリヤマ「君たちも探して!」 「おじゃましまーーす!」 手分けして床付近にはいつくばったり、壺の中を覗いたり。 「ちょっと何なのよ!人んち勝手にあがんないで!ソファー触んないで!」

「あった!…あった…あった…ううっ(泣)」へたり込み完璧に泣くトリヤマ。 「これがグロテッセルか!」テッペイも覗き込む。 「やっぱり、カプセルに小さい穴が開いてますね。」ミライも補足する。

「うんっ。良かった…取り敢えず良かった!とにかくよかった。」そう言いながらカプセルを両手で はさみ、トリヤマが立ち上がった-----

ヒューーン《落ちた》ガチャン!《割れた》 テッペイ、ミライ、コノミ、そしてトリヤマ。うっそぉぉぉぉぉ。お口をあんぐりフリーズ

ダダダダン! シューーーッ 濃い緑色の煙がすぐ脇の恵比寿像にあっという間に吸い込まれ、 像の眼が赤く光る。

「まずい!」テッペイが叫んだかと思うと、ミライが像をがガシッと掴み、外に走 り出した。 「あぁぁぁあ、わしのえびっさま!」 ミライは外に飛び出すと恵比寿さまを放り投げた「あ」

ポン ポン ポンッ 恵比寿像の頬や顔全体が、何段階かで順序よく、膨らむと、続いて身体 全体が巨大怪獣並みに。

「えびっさまが大きくなった。」 「最悪だぁぁぁ!」絶叫するトリヤマ

右脇に鯛、左手に釣り竿を持った動く巨大恵比寿さまは、のんきな曲にのって、機嫌よく鼻歌を口ずさみな がら辺りを闊歩する。 「ふーんふーん ふふふーーん♪」

「なんじゃ、ありゃぁ…」ガンフェニックスで駆けつけたリュウはわが目を疑う。 ところが、巨大恵比寿が抱える鯛の眼が赤く灯ったかと思いきや、突然火球を吐 き出した。 「ガンフェニックス スプリット」とっさに回避するリュウ。

「なんか商売繁盛的雰囲気の漂う敵だな・・・」ジョージもなんだかなぁという表情。 「海外暮らし長い割りに、そういう事知ってんのね」マリナの突っ込み炸裂。 鯛は「商売繁盛商売繁盛・・・」と歌うようにしゃべている。

「ウイングレッドブラスター!発射!」リュウの仕掛けた攻撃は、 コダイゴンジアザーの強力なボディーに跳ね返された。 テッペイがうなる。「まずい・・・あれだけのグロテッセルを吸収したから、コダイゴンより強度が増してる」 「確か以前は、ゴダイゴンを作ったグロテス星人を倒したら元に戻ったんですよね?」コノミが聞く。 「・・・って事は今回は?」ミライの問いに 一同トリヤマを振り返る。

「そ・・・そんな、ま・・・まさか私の命を?」ガタガタ激しく動揺するトリヤマ。 コダイゴンジアザーは釣竿を振り上げ、飛ばした針が、ガンローダーの尾翼を捕まえた。 ジョージは叫ぶ「くっそー!」

動きの取れないガンローダー。そこに、ガンウインガーからビームが見事に釣り糸に命中。ガンローダーは拘束を解かれた。 ほっと一息つく一同の様子を確認し、ミライはメビウスへと変身した。

「メビウーース!」 「ウルトラマンメビウス様〜〜」トリヤマが追いすがるような声を上げる。

トリヤマは手を合わせてメビウスを拝むが、そのすぐそばの淵に「ドカン」コダイゴンジアザーからの攻撃が落ちる。 メビウスはコダイゴンジアザーに向かうが、釣竿でピシピシと滅多打ちに叩かれるではないか。

ようやく釣竿を取り上げ、コダイゴンジアザーに一発食らわせるが、コダイゴンジアザーのボディーは驚くほど頑丈で、 びくともしない。釣竿はぽっきりと折れてしまった。

釣竿を折られ、眉を吊り上げて怒ったコダイゴンジアザーは、 メビウスに体当たり攻撃を仕かける。メビウスはすぐに起き上がりチョップやキックをくりだすが、 コダイゴンジアザーにはまるで歯が立たない。

その上、コダイゴンジアザーはメビウスの打撃技をするりとかわし、 倒れたメビウスを足蹴にするという驚異的な強さを見せた。しかし、とうとうメビウスはコダイゴンジアザーの足を掴み、 倒した。

平蔵は声を上げる。「あ〜〜あ〜〜あ〜 わしの恵比寿様を壊さんでくれ〜〜」 「何とか、えべっさんを元に戻す方法は無いのか?」 「グロテッセルを気化させることが出来れば・・・」

コダイゴンジアザーはメビウスの回し蹴りをあっさりかわし、 体制の崩れたメビウスにパンチを入れるという格闘家さながらの攻撃ぶり。

その上、コダイゴンジアザーは空中から体ごとふっ飛んできてメビウスに体当たりをするという大技までくりだした。 2度3度と倒されるメビウス。コダイゴンジアザーは高速移動まで見せる。 そして直近で鯛砲を受け、起き上がれなくなってしまった。

その時蒼い光とともに現れた、ウルトラマンヒカリ。 「ウルトラマンヒカリ・・・」リュウの顔がほころぶ。 「ウルトラマンヒカリ様〜〜」トリヤマが拝むーー2

また拝みだすトリヤマの側の淵には、今度は2発の鯛砲が打ち込まれた。 「バカぁ・・・」ビビリながらも、嘆くトリヤマ。

メビウス、ヒカリの2大戦士を相手にしても、コダイゴンジアザーはひるむ様子も無い。鯛は「商売繁盛」 とうたい文句を掲げ、踊るように、コダイゴンジアザーを離れて独自の攻撃を始めた。コダイゴンジアザーの頭突き、 体当たり、鯛からは鯛砲と多彩な攻撃を仕かけられ、メビウスとヒカリは圧倒されてしまう。

テッペイが尋ねる「何か、あの恵比寿像に傷とかはありませんでしたか?」 平蔵が思い出した。「おお、そうだ。一度派手に落っことしたことがあってな。その時に確か右足の一部が欠けたはずだ」 「それだ!メビウス、ヒカリ、欠けている右足を攻撃して、グロテッセルを気化させるんだ!」

メビウスは鯛を捕まえると、思いっきりコダイゴンジアザーに投げつけた。鯛は「商売繁盛商売繁盛」 と叫びながらコダイゴンジアザーに命中。コダイゴンジアザーはひっくり返った。

メビウスはメビウムシュート、ヒカリはナイトシュートを、同時にコダイゴンジアザーの右足に向けて発射。 コダイゴンジアザーの右足からは、大量のグロテッセルが空中に放出、緑色の煙が立ち昇るようなして、気化した。

コダイゴンジアザーは「うん」恵比寿様らしいポーズつけて 見る見るうちに小さくなり、元の恵比寿像に戻ったのだった。

恵比寿像に駆け寄るコノミとテッペイを押しのけて、トリヤマが恵比寿像を取り上げて胸に抱く。 「良かった〜〜」トリヤマはへたり込む。 「わしのえべっさん〜〜」平蔵もなだれ込む。

「しかし不思議だよな。未だにあの恵比寿像がどうして巨大化したのかわかんねーんだろ?な?」リュウは首をかしげる。 「へ?え〜〜まぁ・・・」テッペイは曖昧な薄笑いを浮かべる。 「宇宙人の侵略!かもな」ジョージがもっともらしく問う。 「・・・かも知れません・・・ね?」コノミはあせる。

ミライが「グロテッセルは?」 テッペイに耳打ちする。「残らず気化したみたい」 「ちょっと、何コソコソ話してるの?」マリナから鋭い指摘が飛ぶ。

緊張した面持ちで首を横に小刻みにあわせて振る、コノミ、ミライ、テッペイの3人。 「まぁいいじゃない。わからないことが一つくらいあってもさ。 それに初めてのお使いには失敗はつき物ですよね?トリヤマ補佐官。
ちょっとコーヒー豆買って来る」 サコミズはこともなげにさらりとそういった。

コノミ、ミライ、テッペイの3人は顔を寄せて「ばれてるーーー」
「ばれてる〜〜」トリヤマ補佐官は目を剥くのであった。                          

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管理人のここが考察ポイント

初めてのお使いといってイメージするのは、子供の小さな冒険だろうか、 落としちゃだめよと念を押され、大事なお金をしまいこんだ財布を 首から下げて、使命をおびての任務の遂行である。

はじめての任務だ。自分で考え、行動し、時に判断ミスから失敗もするだろう。 起きたその責任をどうとろうか、どう挽回するか、自らが必死に、思考し答を探し、行動する。

今回、大人のトリヤマにお使いをさせるというこの着想に拍手。 果たして、子供たちの目にはどう写ったであろうか、きっとトリヤマに任せたら何かしら ヘマをする。 ジェラルミンケースを開けてしまったら、きっと落っことすか、なくしちゃうと思った方も多かったのではないだろうか、 つまりすでに先の読める典型的、お話なのである。

先が読めているもしくは、想像されているものをどう超えるか、ここに制作者の冒険がある。どう仕掛けて、 発展型に展開していくかだ。

どうやってトリヤマに、うっかりさせるか、トリヤマの手からなくさせるか、この過程は、重くも楽しくもできる。 巨大化するてあろうと予測されている恵比寿様を3段式に巨大化させてみたり、 恵比寿さまらしいイメージを著しく壊すこともなく、それでいてきちんとした恐怖を感じる。これは暗く ドロドロしたものではなくても、もし本当に、起きたら怖いと思わせる日常の恐怖だ。

また安易な設定にならぬよう、視聴者側に植え込まれているイメージを効果的に利用するということによって、 無理のない納得できる展開であった。

例えば、このような事態に、トリヤマと同じように、カイズのメンバーの中で、 とっさに協力者を人選するとしたら、隠蔽工作に一役使えそうな視点で考えれば、恐らくミライ、テッペイ、コノミであろうし、 選択理由もトリヤマと同じである。

そして、トリヤマと同じように穏便に、速やかに、隠蔽工作に走るであろう。 笑いの部分もいつもの誠実なミライの姿勢を表現するだけで、その生真面目さがむしろ笑いになる。 また、ヒカリの立場なら、なんじゃこりゃの、のりでいたしかたなく、飛び出してくるであろう。

そして何より自分のしでかした失敗をホローしてくれたメビウスたちには拝みたくもなる。いわゆる神様、仏様、 ウルトラマン様である。

一個人のミスが大事を巻き起こした典型的な例だが、誰一人として、起きたミスを責めるよりも、 どう解決するかに皆で、力を注いだ姿は、 こどもたちへの教訓の一つとなるのではないだろうか。

恵比寿様は強く、ご利益、「商売繁盛」のうたい文句の神通力つきで、特撮シーンも見ごたえがあった。 最後にサコミズにばれていたという点も、隠しごとはお見通しのこれも典型で、

自分のしでかしたミスを隠蔽し、消し去る努力よりも、 そのミスを挽回させた自分を誇りに思うこと、そうして人は生きる力を育んでいくのではないだろうか。 全体的に完成度の高い良質の作品であった。

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ウルトラマンメビウス第12話「初めてのお使い」

魔神怪獣 コダイゴン ジアザー 登場

《声の出演》 難波圭一 《スーツアクター》山本 諭 / 岩田栄慶 / 横尾和則 《シリーズ構成》赤星政尚  《設定考証》谷崎あきら 《脚本》川上英幸 《監督・特技監督》鈴木健二  《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡 新一 《企画》加藤直次 / 江藤直 行 / 中村理一郎 《プロデューサー》岡崎剛之 / 渋谷浩康 / 山西太平 《制作 プロデューサー》小山信行 《アソシエイト プロデューサー》小掛慎太郎 《ラ インプロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー》玉川 静 《音楽》佐橋 俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》高橋義仁 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也 《録音》楠本龍巳  《操演》上田健一 《助監督》黒木浩介 《装飾》遠藤雄一郎 《衣装》塚田亜 矢子 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》高橋誠喜 《制作 担当》土肥裕二 《編集》前嶌健治 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》 柳生俊一 《VE》佐々木彰司 《スクリプター》木川景子 《キャスティング》 小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉 《操演》根岸 泉  《殺陣》岡野弘之 《助監督》日暮大幹 《スクリプター》木川景子 《スチー ル 》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン》丸山 浩 《 キャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクターメンテナン ス》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》池田 遼 《CGIモ ーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバイザー》早川 哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》大坪隆仁 / 上田和彦 /

小嶋律史 / 森 裕二 / 田口小夜子 《CGIマネージャー》小田達哉 《CGI協力》 水石 徹 / 三宅 仁 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェクトア ニメーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト》高 田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD担 当》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《製 作デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川勝 一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / フィアット・オート・ジャパッン / ドゥカティジャパ ン / クリエイティブ・オフィス ヤップ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キ ャン・インターナショナル / 日本照明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開 米プロダクション / 亀甲船 / スワラプロ / スリーエススタジオ / 富士通乾電 池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック /

月星化成 / タカハシレーシング / 日本エフェクトセンター / IMAGICA / クレッ セント / Adobe Systems / Autodesk / ボーンデジタル / D.A.S.T / スタジオ・ バックホーン / パンチライン / シネボーイ / RECARO / 岡村製作所 / ナナオ / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / CASIO / KENNETH COLE / Zoff

《撮影協力》宮ヶ瀬ダム周辺振興財団 / 相模原フィルム・コミッション 《制作 協力》電 通 《製作著作》中部日本放送 / 円谷プロダクション 《提供》BANDAI

クレジット応援スタッフ・モグルドン・ゆーこ

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