ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス第16話「宇宙の剣豪」マニア考察】

ウルトラマンメビウス第16話「宇宙の剣豪」マニア考察ハードバージョン

メビウスベルトマニアライター 棺桶のジョー

脚本・シリーズ構成/赤星政尚、監督・特技監督/原口智生、設定考証/谷崎あきら

宇宙剣豪 ザムシャー*1、サーベル暴君 マグマ星人、宇宙海人 バルキー星人登場

 オオシマ彗星が宇宙を突進していた。その時、地球では、 コノミが眼鏡を外してコンタクトレンズに変えてイメチェン?を図っていた*2。 リュウ(仁科克基)とジョージ(渡辺大輔)は将棋(渋い!)、ジョージが王手である。 マリナ(斉川あい)はバイク雑誌を読んでいた。で、GUYSの芸人ことトリヤマ補佐官(石井愃一) とマル補佐官秘書(まいど豊)は何と剣道の練習である。

マルに特訓する補佐官、「何だマルそのざまは、本気でかかってこんかい!」ホンマ、15話までとは別人だ (?)*3…で、サコミズ隊長(田中実)はコーヒー、ミライ(五十嵐隼人)とテッペイ (内野謙太)はオオシマ彗星の模様を見ていた。

 だが、その彗星の上では、宇宙の剣豪・ザムシャー(声:夏山剛一)と、 レオの宿敵・マグマ星人が剣によるバトルを繰り広げていた*4。宇宙一の剣豪を自称するザムシャーに、 マグマ星人が得意技のサーベルで挑む、と、もう一体現れるマグマ星人!不意打ちである。

32年経っても、その卑怯さは変わりない!しかし、ザムシャーは「2対1とは面白い」と不敵な笑いを浮かべる。 そんなマグマ星人を一体まず返り討ち、叩き斬る。 「兄者!よくも兄者を!」と怒る弟のマグマ星人*5、 すると、地球に近づき、マグマ星人は「わが同胞がかつて攻め込んだ星、地球!」とつぶやく。

「地球」と聞いて震え立つザムシャー。  だが、地球では、テッペイが、オオシマ彗星の軌道が変わったのを確認、地球への衝突コースである。 確率は94%である。 それを聞いて戦慄するコノミ!急遽やってきたトリヤマ補佐官、彗星は太平洋に落下すると聞いて、 海なら安心だと、毎度のヘタレキャラに戻る? 補佐官だが、テッペイは、彗星の大きさは7kmで、発生するエネルギーは最大で5000万ギガトンと言う*6。

海に衝突したら大津波と、マル秘書がつぶやき、GUYS一同戦慄する。GUYSスペーシーが迎撃する。 GUYSジャパンも臨戦態勢になる。シルバーシャークG*7による攻撃が決定している。

 だが、オオシマ彗星の上、GUYSスペーシーの攻撃をザムシャーは跳ね返す。 その上、もう一人のマグマ星人は、サーベルで突っ込むものの、 ザムシャーの敵ではなかった、一刀両断にされて真っ二つ*8、 その勢いで、オオシマ彗星も真っ二つになり突然爆発したのである。

ザムシャーは破片に乗って地球へ突っ込もうとすると、今度はバルキー星人*9が「俺が相手だ」と襲い掛かる。 ザムシャー、「俺を討って名を上げるつもりか」と訪ねると「知れたこと」と言うバルキー星人、 どうやらザムシャー、宇宙のあちこちでケンカして、恨みを買いまくっている模様である。

じゃりん子チエの小鉄*10みたいなものか(?)。しかし、ザムシャーは、「俺には行くところがある」と、 バルキー星人に構っていられない模様だ。

彗星は破片となり、日本へ降り注ぐ、そうなったら日本は壊滅だ!イラストにて、 彗星激突の地獄図*12が描かれる。GUYSジャパンの出動を、総本部も承認した。 シルバーシャークGにて迎撃の態勢を取る。

リュウはガンフェニックスで出撃しようとするが、前回の戦いで誰か?が無茶してオーバーホールの最中、 戦えない*13。そのため、ミライは発作的?にガンブースターで出撃する。 破片を追うミライに、自動警戒システムが作動、地球に降下する二人を確認する。

 トリヤマ補佐官はGUYSのはちまき!をして、ミライに「君は宇宙人を攻撃せよ」と命じる。 彗星の破片は、と問うGUYSメンバーに、マルは新たな装備を動かせる。 シルバーシャークGのスタンバイである。ホント、前回までとは別人である(?)。

だが、2体はGUYS基地のすぐそばに墜落、コノミは、一体はドキュメントZATにあるバルキー星人と確認するが、 もう一体の記録はない。しかし、二人の墜落で、基地の機能が麻痺してしまう。

 ザムシャーに挑むバルキー星人は「この俺を怒らせるな」といきり立つものの、 剣でのバトルの末、最後は斬られてしまい、「無念!」と叫んで斃れる*14。「なんてスゴイ腕だ」 と戦慄するミライ、さらに、シルバーシャークGのひとつが潰されてしまう。

 そんなザムシャーに、ミライは「君は何者だ」と聞き、なぜ、地球に来たと尋ねると、 ザムシャーは「ハンターナイト・ツルギを斬りに来た」と言う。 「なぜツルギとの果し合いを望む」と聞くと、「宇宙一の強さを証明するため」と語る。

ミライは、「地球は今大変な事態である」と言うが、ザムシャーは「それがどうした、この星がどうなろうと、 俺には関係ない」と言い放つ。 「地球には、ツルギという宇宙人はいない」とミライは言うが、「そんなはずはない」とザムシャーは返す。 何と、ファントン星人から聞いていたのである*15。

 GUYS基地では、シルバーシャークを稼動させるべく、非常用の回線の接続を、 ミサキ・ユキ(石川紗彩)らにより、必死に行っていた。 てんやわんやの中奮闘する隊員&幹部たち、 彗星の成層圏到達まであと32分しかない!トリヤマ補佐官は電話を何本も取って、 聖徳太子真っ青?の奮闘振りである。彗星到達のまであと8分!*16

 ザムシャーは、この星が危ないと言ったなと、シルバーシャークGに手を掛けようとする。 止めてくれというミライに、ザムシャーはツルギを出せと迫る。そんな闘いを、セリザワ(石川真)が見ていた。

 ミライはこの危機に、メビウス(スーツアクター、和田三四郎)に変身し、 メビュームブレードを作動させて、ザムシャーと対決するが、ザムシャーの剣にメビュームブレードは折られてしまう*17。

「ツルギは青い体のはず、おまえはツルギではない、ツルギ貴様のように弱いはずは無い」 と取り合わないザムシャー、ツルギを出さないと…と言って、シルバーシャークに手を掛けんとする。 その時、セリザワはウルトラマンヒカリ(声:難波圭一)に変身して登場する。

ザムシャーは、ヒカリが青いのでツルギと思ってしまう。ヒカリは、 「お前の挑戦、受けて立つ」と言い、バトルになる。それを見て、やめてくれ、 君たちには戦う理由は無いと叫ぶメビウス。

しかし、ザムシャーは、「わが腕は宇宙一と証明してくれる」と全く取り合わない。 ヒカリは「黙ってみていろ」とブレードを抜く。

 GUYS基地では、非常回線を復活させ、シルバーシャークG稼動の準備が整った。彗星は全て射程内である。 「ここから先は俺たちの仕事だ」と、リュウとジョージがトリガーを任され、キャップをかぶり*18、 彗星の破片をひとつひとつ破壊していく。ジョージの打ち損じた破片を、リュウが仕留める。

最後に、直径1kmの、最大の破片が残る。それを任されたのはジョージだ。 下手をしたら、大きな破片にさらに砕かれて大変なことになってしまう。 「日本の運命はこの肩にかかっている」と言うリュウ、 「最高のプレッシャーの中でこそ、最高のシュートを決められるものだ」と、ジョージは放ち、 最後の破片を打ち砕いた。テッペイが「オオシマ彗星の破片、撃墜完了」とつぶやくと、一同は歓声に沸く。

 そして、ヒカリは、ザムシャーとの一騎討ちになる。最後の破片が砕け散った瞬間、両者の剣が激突! しかし、ザムシャーの剣・星斬丸*19が折られてしまう。驚愕するザムシャー、 しかし、ヒカリは、「お前に勝ったのは俺ではない」、 「お前の剣は、俺と戦う前にすでに折れていた」と冷静に語る。

メビウスと戦ったときに、すでに傷ついていたのである。なぜ、負けたと、 愕然とするザムシャーに、ヒカリは「そいつはいつも何かを守るために戦っている、だから強い」と語る。 メビウスの前に、仲間たち、その仲間たちのまた仲間、家族の姿が流れる*20。

「ザムシャー、お前にわかるか、大切なもの」とヒカリは語る。ザムシャーは星斬丸をメビウスに投げ、 「貴様、名前は」と尋ねる。 メビウスは「ウルトラマンメビウス」と名乗る。

ザムシャーは自らの負けを認めた。「俺には守るものは何も無い、俺は自分の力で宇宙一の強さになる、 そして、メビウス、ツルギを倒すためにまた地球に来る」と言って地球を去った。

 GUYS基地に、平和が戻った。サコミズ隊長がコーヒーを煎れてみんなに配っていた。全員、放心状態である。  コノミはまた眼鏡に直した。「やっぱりこっちが楽かな?」*21と  宇宙人は、とトリヤマ補佐官が聞くと、サコミズ隊長は「ミライが何とかしてくれた」と返した…

 

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メビウスベルト

マニア的突っ込み

*1:こういう、ウルトラマンに“決闘”を挑む宇宙人は、近年ではダイナ第31話に出たグレゴール人があります。もともと、この手の、侵略とは関係なく、ヒーローに純粋な対決を挑む敵とはウルトラ(円谷)ものでは珍しく、東映ものがメインと思います。

*2:メガネキャラがメガネを外すと言う展開は珍しいです。海外では、スパイダーマンのピーターが、超能力を得てメガネがいらなくなる、しかし、超能力を失うとメガネがいる、という設定がありました。

*3:今回のポイントが、トリヤマ、マルの、芸人コンビといわれたキャラの大奮闘、トリヤマ補佐官が剣道をしているのを見て、ビックリ!毎回ギャグをやり、12話では吉本新喜劇真っ青のギャグを見せたトリヤマ補佐官も、マル秘書も、単なる芸人ではなかった!

*4:今回は、ザムシャー、マグマ星人、口の動く仕様で、それもCG合成ではない模様、かと言ってシルバー仮面やロボコップ(果ては、パイロット版のスペクトルマンやミラーマン)みたいに口を露出させるマスクでもなく、初代マンAマスクで試みれらながら使われなかった、口が動く仕様のものを実現したと見ます。口が動いてしゃべるマスクは、センス・オブ・ワンダーでした。

*5:マグマ星人は、レオのテレビシリーズに2回(3話)出ていますが、内山まもる版のコミックスではレギュラーの悪役で、このようなセリフも、内山版のコミックにあったと記憶します(そういえばザムシャーのキャラは、ウルトラキラー、ゴルゴというキャラが内山版レオにあり、それがモチーフかな?いずれにせよ、メビウスでは、かつてコミック版のウルトラで試みられた設定、展開が現実化しているものが多く見られます)

*6:5000万ギガトン=5万兆トン=5京トン(1京=1兆×1万)です。途方も無いエネルギーです。ぶつかったら、間違いなく地球破滅です。

 ちなみに、この手の彗星が地球に衝突したら、直径数キロのものでも地球を破滅させる (恐竜が滅んだのは、彗星衝突により日光がさえぎられ、気候が寒くなったためとの説あり)ものと言われています。

 彗星衝突から地球を守る作品は、近年では洋画に「アルマゲドン」があり、 79年には「メテオ」という作品もありましたが、大ルーツは日本の「妖星ゴラス」、ゴラス衝突を、地球を移動させて回避すると言う、空前絶後のアイデアでした。ちなみにアメリカのこの手の作品では、たいてい核ミサイル、核爆弾で処理するもので、これに関して日本の山田洋次監督は、数年前に「ヒーローが簡単に核兵器を使っていいのか」と言っていました。日本のヒーローでは、核兵器は絶対に使ってはならない代物であることは、言うまでもありません(ガンダム、逆襲のシャアでは、彗星ではないものの、地球に接近するものに核ミサイルを撃つ描写がありましたが、それでは解決せず、結局アムロがニュータイプの力で軌道を変えて、自己犠牲で地球を救う展開でした)。

 追加:彗星を核兵器で破壊するものは、日本でもウルトラマン80に「はぐれ星破壊命令」にありましたが(私は未見ながら、名作と聞いています。見たい!)、破壊する星に生物がいて、核兵器で怪獣化するという、安易な核兵器使用を風刺する展開でした。長くなって済みません。

*7:シルバーシャークはエース39話「セブンの命、エースの命」に出たもので、TACの開発した新兵器で、エースを退けた(何せ炎の剣でエースを刺して一旦倒し、エースはセブンにより何とか生き返らせてもらう)超獣ファイヤーモンスを倒した、相当な威力を持った兵器です。メビウスでは、ライトンR30をはじめ、過去の防衛隊(特捜チーム)の開発した装備がGUYSに生きています。オールドファンはニヤリです。

*8:この手の切断描写は、ご存知の通り近年ではご法度で、しかし、切断してすぐ爆発するならOKの模様です。これはウルトラだけでなく、仮面ライダーでも同じの模様です。しかし、ビデオは例外の模様で、ミラーマンREFLEXでは、怪獣を通常に切断して、爆破せず倒す描写がありました。

*9:バルキー星人はタロウ最終回に出た宇宙人で、そのデザインはレオのNGものです。このように、ヒーローのNGデザインが敵キャラになるのは、おそらく日本のヒーロー史上でも珍しいです。さらに、スーツもオリジナルより数段素晴らしく、ウルトラマンのNGデザインということが良く分かります。しかし、宇宙人が「無念」とは…深く突っ込まない(苦笑)。

*10:じゃりん子チエも関西ローカルネタですが、平成ウルトラをやっていた毎日放送で放映されていた作品で、関西ではカリスマ的な人気を持っているマンガです。ここに出てくる小鉄というネコは、ケンカがムチャクチャ強くて、小鉄に勝って名前を上げたいヤクザネコ?が毎度付け狙うキャラでした。マンガ史上最強のネコで、私の部屋にももちろんフィギュアがあります。しかし、ザムヒャーのキャラがむしろ小鉄を狙うヤクザ猫的で、メビウスの位置がむしろ小鉄かな?(原作知らない人、わからない話で済みません…)

*12:こういう、大惨事の地獄図がイラストで表現されるのも、ヒーローものでは意外で珍しいものです。過去のウルトラでは、この手の大惨事だと、帰マンのシーモンス、シーゴラス編の天変地異(佐川和夫特技監督渾身の名場面)シーンが使いまわされるのが通例でした。今のリメイク版日本沈没ではCGで大惨事を描いていますが、30年前はアナログ技術の粋を極めてやったのです。

*13:特捜チームの通常装備が前回のダメージで使えない…こういう、続き物的な設定の使用もウルトラでは珍しいです。ならば、毎回脱出していたTACやZATの装備…(深く追求しない(苦笑))。

*14:こういうシーンも、円谷ものでは珍しい展開です。ザムシャーのキャラも、和風なテイストで、宇宙から来た和風のキャラ、という設定がセンス・オブ・ワンダー!

*15:日本語のしゃべれないファントン星人からどうして聞いた…とは突っ込みません(苦笑)。宇宙人同士で、連絡網がある設定も、ウルトラのコミックで見ました(具体例は忘れましたが)。

*16:地球の危機にてんやわんやになる展開は、過去のウルトラでもありましたが(例:セブン暗殺計画・後編)、こういう非常用回線を使っての時間との競争と言うと、ガイア第27話で、入り込んだコンピューターウィルスを駆逐するシーンくらいしか記憶にありません。

 ちなみに、こういう現場は、非常時には時間との格闘で大変なことになります(昨年のJR事故現場など)。リアルな展開です。

*17:これはビックリ!メビュームブレードは光線の剣と思っていたのに、実体化したものでした。宇宙刑事のレーザーブレードと同じでした。そもそも、光の剣が折れるなど、発想がすごい!

*18:GUYSのキャップ(野球帽)初登場、この手のアイテムは、ティガでムナカタリーダーのお約束アイテムでした。今回は、緊急時の引き締めアイテムで、トリヤマ補佐官のはちまき(!)をリアルにしたものでしょう。また、トリガーがテレビゲーム的なのも、現代的です。

*19:宇宙人の剣がなぜ日本名なのか、突っ込んではいけません(苦笑)。過去に、戦隊ヒーローの剣には、バトルフィーバーロボの電光剣など、日本名が付いていました。実際に、剣に名前が彫られていたのです。これも、センス・オブ・ワンダーです。

*20:今回、トリヤマ補佐官の孫と思しき赤ちゃんが初登場、ウルトラマンの指人形がそばにありました。芸が細かい!マル秘書の奥さん?恋人?もいました。特捜チームメンバーの家族が紹介されるのは、比較的少なく、メビウスでは人間ドラマが緻密に描かれています。

*21:メガネはメガネへ戻る…定番です。

その他:今回、ザムシャーの役柄がタイトルに出ましたが、人間体ではなく、声優の模様です。

追加の考証

(1)今回、彗星が迫るシーンなどに、ホルスト作曲、組曲「惑星」から、火星〜戦争の神、を思わせるBGMが流れていました。この原曲は火星=マルスであり、戦争をイメージさせる曲で、この曲をインスパイアしたものは、すでに67年のウルトラセブンで、冬木透作曲の、ホーク発進シーンや、円盤襲来シーンにかかる曲にありました。スターウォーズのテーマ(ジョン・ウィリアムス作曲)もホルストの火星にインスパイアされていますが、セブンが10年早いのです!

(2)彗星を一発で破壊しないのは、日本のヒーローものの定番です。海外では、ハリウッド版のGODZILAでの結末のように、簡単にケリを付けることが多いのですが、日本では、こういう試練は苦労して乗り越えるものでないと受け入れられません。必殺技も、苦戦の後に放つもので、この点が日本のヒーローの哲学です。

その他、いろいろありますが、またの機会に…(メビウスに突っ込んでいたら、それこそ無限です)

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