ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第17話「誓いのフォーメーション」マニア考察】

ウルトラマンメビウス 第17話「誓いのフォーメーション」マニア考察】

メビウスマニアライターT2-0

深夜のGUYS基地で、物思いにふけるリュウ(仁科克基)…。彼は、声をかけてきたミライ(五十嵐隼士)に疑問を投げかけていた。 「ウルトラマンヒカリが本当にセリザワ隊長だとしたら、なぜGUYSに戻ってきてくれないんだ!」と。

そしてミライは、とある山中にセリザワ(石川真)を呼び出した。セリザワにGUYSへの復帰を求めるためだ。 しかし二人の会話は、怪獣の出現により中断させられた。

ミライはメビウスに、セリザワはヒカリに変身!二体のウルトラマンは怪獣に挑むが、怪獣は強敵であった。 メビウスのメビュームシュートの直撃に耐え、なおも進撃しようとする怪獣!しかし怪獣はヒカリの光剣により粉砕された!

その様子をGUYS基地でモニターしていた隊員たちはヒカリを賞賛する。だがリュウは隊員室を離れ、一人つぶやいた。 「ヒカリさえいれば、GUYSもメビウスも要らないじゃないか!」と。

しかし、倒されたはずの怪獣が再び出現した!その怪獣は再生能力を持っていたのだ。 ドキュメントUGMには、過去に出現したその怪獣「サラマンドラ」のデータがあった。 それによれば、サラマンドラは細胞片からでも再生が可能であった。

そして、以前のサラマンドラは、ウルトラマンにより細胞を焼き尽くされて倒されたとのことであった。 「この怪獣は、ウルトラマンがいないと倒せないということか?」と驚愕するマル補佐官(石井愃一)に反発するリュウ。 「地球は我々人類自らの手で守り抜かねばならないんだ!」。それは、地球防衛のために戦い抜いた先人の言葉であった。

リュウに何か考えがあると見たサコミズ隊長(田中実)は、GUYSを出撃させた。 スペシウム弾頭弾を連続発射することでサラマンドラの細胞を焼き尽くせるはず…、それがリュウの作戦であった。 その作戦に不安はあったが、リュウは言った。「やる前からしくじることを考えてたら、前には進めねぇ!」、 その言葉に微笑むジョージ(渡辺大輔)、マリナ(斉川あい)。

マニューバモードを展開し、サラマンドラに攻撃を加えるガンフェニックス! スペシウム弾頭弾の炎がサラマンドラを包んだ、が!サラマンドラは倒れない!! そこにウルトラマンヒカリが出現!しかしリュウはヒカリを制した。「まだウルトラマンの出る幕じゃねぇ!」

リュウは、限界まで人類自らの力で戦わねばならないと考えていたのだ。そして、それはセリザワの教えでもあった。 その頃、テッペイ(内野謙太)により、サラマンドラの分析が完了していた。サラマンドラの再生器官は喉にあった。そこを破壊すれば殲滅は可能だ! その喉を狙うため、コノミ(平田弥里)の対案により、ある戦法が実行されることとなった。

その名は「フォーメーション・ヤマト」、二機の戦闘機による連携攻撃だ。 一機目が正面からの急接近で敵の注意を引き付け、急上昇。二機目が目標を至近距離から目標を攻撃するというものだ。 それは、かつてセリザワがリュウに伝授した戦法であった。その難しさは、誰よりリュウがよく知っていた。 その実行を躊躇するリュウ。しかしミライが言った。 「やる前からしくじることを考えてたら、その先には行けません!やらせてください!!」

遂にフォーメーション・ヤマトによる攻撃が開始された。ミライの機体がサラマンドラを陽動し、リュウの機体から放たれたビームがサラマンドラの喉を直撃する! フォーメーション・ヤマトは成功し、サラマンドラの再生器官は破壊された! それを見届けたヒカリはサラマンドラに挑むが、サラマンドラの高い攻撃力に苦戦する。

そこにメビウスが参戦、ヒカリの危機を救った!そしてメビウスとヒカリの共闘により、サラマンドラは撃破されるのだった。 メビウスとヒカリは異空間にいた。「来るべき戦いの時、必ず必要になる」ヒカリは自分のナイトブレスをメビウスに託した。 メビウスに「お前に会えなかったら、ウルトラマンとしての俺はなかった」と感謝するヒカリ。

そんなヒカリにメビウスは「今のあなたがあるのは、僕だけの力ではない」と答えるのだった。 戦いを終えたリュウ、そしてGUYSのメンバーはセリザワと対面していた。

リュウの成長を称えたセリザワは「メビウスを、GUYSを頼んだぞ」と言い残し、光となって天空に舞い上がった。 駆け出したリュウは、天に向かって「ウルトラ五つの誓い」を叫んだ!そしてGUYSのメンバーたちも、ウルトラ五つの誓いを口に していた。「分かったかい!ちゃんと言うんだぜ 、ウルトラマンの言葉はちゃんと伝わってるってな!」。 リュウの方に優しく手を置くサコミズ。リュウは振り返り、サコミズをこう呼んだ。「サコミズ…、隊長!」。 そしてGUYSのメンバーは、自らの手で地球を守り抜くことを誓うのだった。

ウルトラマンマニア考察

「地球の平和は、我々人類自らの手で守り抜かねばならないんだ!」 今回のエピソード「誓いのフォーメーション」は、この言葉を軸として展開していきます。 「ウルトラマンがいれば地球人の努力は不要ではないのか?」。これはウルトラマンシリーズにとって永遠のテーマです。 ウルトラマンシリーズが、「人類に味方する異星人と人間の物語」というフォーマットを持つ限り、その定型の中に抱え込まざるを得ない一種の課題であるといえるでしょう。 そして、このテーマに挑んだ各シリーズでは、登場人物はなんらかの出来事により使命を再確認し、地球防衛への誓いを新たにするという展開が見られます。 今回は、このテーマが「セリザワとの別れ」とからめて描かれ、まるで最終回のような盛り上がりを見せてくれました。

では、今回の見所、チェックポイントは…。 まずは、セリザワの言葉「ボガールは滅んだが怪獣の出現は止まらない。なぜだと思う?」でしょう。 この言葉に対する回答は今回のエピソード内では示されず、ちょっと思わせぶりなセリフとなりました。これは、おそらく今後の伏線となるセリフなのでしょうね。セリザワは知っているのであろう「理由」は、今後のエピソードで示されるはずです。 そして、それを活かしたストーリー展開が見られることと思います。新展開となるであろう今後の「メビウス」に期待したいです。

次はサコミズ隊長です。今回も、気になる言動が多かったですよね(^^;)。 作戦室にミライが居ないことを指摘したリュウの「あれ、ミライは?」との言葉。しかし、それをさえぎるかのようなセリザワ隊長の叫び「危ない!」で、隊員たちの目はメビウスの写るモニターに向きました。これでミライの不在は話題にならなかったのですが、これは偶然なのでしょうか?それともサコミズ隊長、計算ずく? 更には、リュウがマルに「ウルトラマンがいなきゃ怪獣は倒せない…、そんなこと死んでも口にするな!」と食ってかかる場面で、サコミズ隊長が意味深にうなづいているのも気になります。これらを含むこれまでの描写から、「サコミズはメビウスの正体を知っている」って解釈したくなりますよね。 そして、もうひとつの話題が「サコミズはやはり『あの方』なのか」ということ。しかし、これもちょっと分かり易すぎる感じがして難しいところです。推理小説では、分かり易すぎる要素は引っ掛けの場合が多々ありますからね。もしかしたら、予想を上回るアッと驚く展開が用意されているのではないか? なんてことも考えたりしています。 こんな深読みができるあたりも「メビウス」の楽しみの一つです。この辺も楽しみながら見ていきたいと思います。

さて、ドラマに目を移すと、今回のエピソードで重要なのは、リュウの頑張りがセリザワの旅立ちを促したということでしょう。 過去にこの種のテーマを描いたエピソードでは、人間が、傷ついても戦うウルトラマンの姿や誰かの犠牲により奮起し、自覚を促されるという展開が多く見られました。しかし今回のエピソードでは、リュウの自覚がまず先にあり、それを感じ取ったことがセリザワの旅立ちに繋がりました。これまで、ウルトラマンに導かれる側であった人類が、ウルトラマンの行動に影響を与える側に回っているのです。 「ウルトラマンは、なぜ人類のために戦ってくれるのか」 これもファンの間でしばしば話題になることですが、過去の作品からは、その理由として「人類の潜在能力を引き出し、自らの意志で行動することを期待しているから」。そして「いずれは自分たちと同等の高次の存在になって欲しいから」であろうことが推察されます。 今回の、成長したリュウの姿には、そのような思いも託されていたように思います。本当に今回は盛りだくさんのエピソードでした。

さて、これらにより、今回はまるで最終回のような盛り上がりを見せてくれました。 そして、まだ中盤にも入らないのにこのような展開を見せられてしまうと「ホントの最終回はもっと凄いのかなぁ」なんてワクワクさせられます。 はたして、本当の最終回にはどのような展開が用意されているのか。メビウスと地球人の別れはあるのか?あるとしたら、それはどのようなものになるのか?興味は尽きません。

最後に今回の、過去作品との繋がりを意識したと思しき要素を挙げておきましょう。

1今回のテーマである「ウルトラマンがいれば地球人の努力は不要ではないのか?」との疑問。この疑問が最初に提示されたのは、ウルトラマン第37話「小さな英雄」でした。科学特捜隊の存在意義について苦悩するイデ隊員の姿は、今回のリュウに連なるものです。 このエピソードと連動するかのようにウルトラマン最終回「さらばウルトラマン」では、ウルトラマンの敗北と、人類の力によるゼットンへの勝利が描かれます。 そして、地球を去るウルトラマンを見上げるムラマツキャップは「地球の平和は、我々科学特捜隊の手で守り抜いていこう」と誓うのです。

2続いて、ウルトラセブン最終回「史上最大の侵略」では、ウルトラセブンの過酷な戦いが描かれました。限界を迎えた肉体で必死に戦うセブン…。 アンヌの「セブンの正体はダンだったのよ!」との言葉に、キリヤマ隊長は拳を握り締め「行こう!地球は我々人類自らの手で守り抜かねばならないんだ!!」と隊員たちを鼓舞します。 今回のエピソードと第2話「俺たちの翼」で聞かれたリュウのセリフは、キリヤマのこのセリフを意識したものと思われます。

3さらには、帰ってきたウルトラマン第6話「決戦!怪獣対マット」では、MATの上部組織である地球防衛庁長官が「なぁに、いざとなったらウルトラマンが来てくれるよ」と言い放ちます。 背水の陣を敷き決死の作戦を前にしたMAT隊員たちを前にしての、あまりに心無いこの言葉は印象に残るものでした。

4そして第三期ウルトラ。ウルトラマン80 第37話「恐れていたバルタン星人の動物園作戦」では、UGMとウルトラマンの関係をたずねた子供たちへの回答として「人事を尽くして天命を待つ」という表現が用いられています。

5近年では、ウルトラマンマックス第30話「勇気を胸に」も、このテーマに挑んだ作品です。 他にも、「タロウ」のベムスターの回やバルキー星人の回など、探せばもっとあるはずです。 「ウルトラマン」の前企画である「科学特捜隊ベムラー」の企画書には、ウルトラマンの前身であるベムラーについて「科学特捜隊がベムラーの登場を頼みにしているときは姿を見せず、ベムラーのことを忘れ、敵と必死に戦って敗れかけたときに忽然と登場する」という一文があるそうです。「人間がウルトラマンに頼り切ること」への懸念が初期段階から強く意識されていたことをうかがわせる記述ですし、このテーマがシリーズにとって「古くて新しい課題」であることを再認識させられます。

6「フォーメーション・ヤマト」は、ウルトラマン80 第13話「必殺!フォーメーション・ヤマト」に登場した戦法です。 登場怪獣はサラマンドラ。弱点である喉を攻撃するため、UGMのオオヤマキャップと矢的猛隊員がシルバーガルを分離させたα号、β号で挑んだ「危険な戦法」です。 実は僕、この回は未見です。80は、ソフト化の機会が少なく、なかなかレンタルビデオ店にも置いてないんですよね。見たいなぁ、80…。

7そのフォーメーション・ヤマトをリュウに説明する場面で、セリザワが手にしていたのがシルバーガルα、βの模型でした。 そしてこの場面と、フォーメーション・ヤマトによるガンフェニックスの攻撃場面のバックに流れていたのが「ザ☆ウルトラマン」の科学警備隊の出撃テーマ曲でした。この科学警備隊の出撃テーマは、「ウルトラマン80」のUGMの出撃場面にしばしば流用されていたのです。 この曲には「ワンダバ」コーラスは入っていないのですが、今回はこの原曲に「ワンダバ」コーラスが重ねられたものが使用されていました。 実は、この原曲の録音時のメモには「ワンダバなし」との記述があるそうです。もしかしたら「ワンダバ」を入れて録音することも考えられていたのかもしれません。

8ラストシーン、走りながら「ウルトラ五つの誓い」を叫ぶリュウには、帰ってきたウルトラマン最終回ラストシーンの次郎くんの姿が重なります。 そして、ここでリュウの言う「ちゃんと言うんだぜ、ウルトラマンの言葉はちゃんと伝わってるってな!」には泣かされます。ヒカリは新ウルトラマン(ジャック)に「君の残した言葉は、地球人の心にちゃんと生きていたよ」と語ってくれるでしょうか。そして、それを聞いた新ウルトラマンは喜んでくれるだろうか…。 そんな風に想像を巡らせてしまいます。オールドファンの心をくすぐる泣かせるセリフです。

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