ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第18話「ウルトラマンの重圧」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス 第18話「ウルトラマンの重圧」レイゴ考察ソフトバージョン

ウルトラマンメビウス・ベムスター怪獣画像
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宇宙空間、黒い塊がスターション04に向かって直進する。 「8時間前、ステーション04からの交信が途絶えました。」ミサキが告げる。 「ステーション04?」 「GUYSスペーシーのスペースレーダーの中枢システムが搭載されている無人ステ ーションです。」トリヤマの素朴な質問に、すかざずマルが耳打ちする。

「ステーション04が最後に送ってきた画像を出します。」 モニターに暗い宇宙空間の画像が映し出された。 「怪獣か?」ジョージが目を凝らし、確かめるように立ち上がる。 周囲の灯りを落とすと、暗い画面に映し出された映像が鮮明に映るようになった 。画面上部を、その円盤状の形状の怪獣の正面を捉えていた。

「これは、ベムスター!!」テッペイが大きく口を開いた驚愕の表情で、前に進み出る。 コノミがデータをはじき出す。「ドキュメントMATに2度、ZATに一度記録があります。」 テッペイが驚きの表情のまま、その理由を話す。「バムスターはかつてウルトラマンも苦戦した怪獣だ・・・確か、最初 の闘いではウルトラマンも一人では勝てなかった。」テッペイの言葉に 「一人では・・・勝てない・・・」厳しい顔つきで画面を見つめていたミライが 心の声でつぶやく。

「ただし、ベムスターが地球へ向かう軌道を通過したとは限りません。」ミサキの言葉に サコミズが問う。「レーダーの回復は?」 「現在、ステーション03にシステムの完全委嘱を施していますが、あと2日 間はかかると思います。」

続けてモニターに映し出されたのは、そのベムスターなる怪獣の腹部にある五角 形の器官。赤く開いた花弁が海洋生物の触手のような口を開くと、その内部の複 雑な内容が暗く拡大され、間もなくプッツリ砂嵐とともに画像は途絶えた。

ミライは一人、小高い丘の公園に立っていた。 「ウルトラマンヒカリは、光の国へと帰ってしまった。なのに、今まで以上に強 い怪獣が襲ってくるかもしれない。」 「今、地球にはウルトラマンは僕しかいない。僕しかいないんだ。」左の拳をギ ュッと握りしめた。

「地上レーダーが、地球に接近する物体を観測!」画面に映し出され飛来する緑 色の物体。コノミは危機を告げた。 「ベムスターか!?」リュウが席から立ち上がる。

テッペイが告げる「いいえ。オオシマ彗星の塵粉です。計算通り接近してきたんだ・・・ このままだと大気圏に突入します。」 「よし。片付けてくっか。」「おう!」リュウが上着を引き寄せ軽く言い放ち、 ジョージが即答する。 サコミズも無言でジョージの肩に触れ、マリナも素早く配置に着き、チームメン バー全員が手慣れた様子で動く。

公園にいるミライは、ふと上空を見上げる。 まだ見えないはずの空の彼方から、緑の尾を引いた彗星が地球へ接近してくるの がスキャニングできた。 「彗星が・・・。」「必ず守ってみせる。僕一人でも!この星を!!」 力強く声を発したあと、拳を握りしめた左腕を立て構える。

「何かが後ろから来る!すごいスピードだ!」「なにぃ!?」ガンウィンガーで 発進したリュウに後部座席に着いたジョージが急を告げる。 すさまじい勢いで二人の乗った機体をすり抜けていく影。 「メビウス?・・・あの野郎〜!」

彗星の進路に立ち塞がったメビウスの後ろ姿は、基地のモニターにも映し出され た。 一呼吸入れたメビウスは、メビュームシュートを撃つ。 「ダァーーッ!」オレンジ一直線に伸びた軌跡が、緑色に迫る彗星を受け止め包 み込み、大きな爆発を起こした。 オオシマ彗星の破片は木っ端微塵に宇宙空間に飛び散った。

しかし・・・ フェニックスネストのディレクションルーム(作戦室)では、いつもと様子が違っ ていた。

マリナが苛立ったようにため息をつき、サコミズは黙って両手を組合わせ、テッペ イはシラケた様子でヘッドフォンを外し、コノミも無言で唇を噛み締める。  「オオシマ彗星、メビウスが破壊しましたね。」 ミライはディレクションルームに入るやいなや、いつものように笑顔で語りかけ る。

「・・・・・」メンバーは皆揃っているのに、しらけムードのメンバー。 「どうかしましたんですか?」 「うーーん、別にどうもしないがな。」ジョージは何かあるが、なんでもないという風に誤魔化すような薄笑いを浮かべる。 「ちょっとシラケちゃったってとこ。」マリナがやや眉をひそめる。 「シラケるって?」ミライは皆の意外な反応に戸惑う。

「つーか、許せねえ!」ドンとデスクを叩き、憤慨した様を露にするリュウ。 「ピヨ!」ヒューーン 机の上に乗っていたリムエレキングがリュウの剣幕に驚いて、コノミに顔を埋める。 「リュウさん?」 「まるで俺たちのことを無視しやがった。俺たちGUYSをコケにしやがった。」 リュウが間髪入れずにふてくされたように答える。

「リュウさん、何もそんな・・・」 「メビウスだって所詮宇宙人だ!」「俺たち人間の気持ちなんて理解しちゃねぇん だ。あんなヤツ仲間じゃねぇ!」言葉をなくしたミライに、リュウは怒りに任せ て暴言を吐く。 サコミズは黙ってリュウの言い分を聞き、コノミは困惑した表情。

「まー、もう、ハイハイ。すぐ熱くならない!」「そーだぜ、飯でも食ってスト レス発散しようや。」マリナとジョージがリュウの肩を叩いて、その場の凍り付 いた空気を打開した。

「待ってくださいよ、もう・・・」テッペイがため息混じりにリュウ、マリナ、 ジョージの後を追う。 そのテッペイを追い越し足早に出ていったミライ。 部屋に入ってこようとするトリヤマ、マルにぶつかりかけ驚くテッペイ。 「おぉお!」「アチアチアチ・・」湯を満たしたカップラーメンを、その場一回転して何とかこぼさなかったマル。

「リュウさん、リュウさん!取り消してください!」廊下で3人に追いついたミ ライ。 「は!?」 リュウたちは立ち止まった。

「メビウスが人間の気持ちを理解していないなんて、そんなことありません。」 テッペイも追いついた。 ミライは続ける。「メビウスはいつも命をかけてGUYSと闘ってきたじゃないです か。それを仲間じゃないなんて!」

「しつこいぞ。」リュウはミライを振り返ることなくそう言った。「リュウさん!」 「とにかく、俺たちはコケにされたんだ。」振り返りミライを見ると「許せねぇ。」そういい残して、 歩き出したリュウに黙って続くマリナ、ジョージ。テッペイはミライを振り向き ながらも彼らに続いた。

メビウスなんて、所詮宇宙人だうなだれたミライの脳裏にリュウの言葉が再 度突き刺さった。 ガックリ肩を落としてディレクションルームに戻ったミライは無言で席に着く。

「よくわからないけど、傷ついているみたいです。補佐官の出番ですよ。」 カップラーメンをすすりながら、マルがトリヤマに囁く。 「私の出番?」ザル蕎麦を口に含みながら、身を乗り出してトリヤマが聞き返す 。 「傷付いた青年の心を癒せば、補佐官の株、急上昇間違いなしです。」 「なるほど!」ホッホッホッ

「あー、そこの君ぃ・・・」すっくと立ち上がったトリヤマは、手に箸と付け汁容 器を持ったままミライに歩み寄ろうとする。 と、その目の前をサコミズが横切る。・・トリヤマ、思わず動けなくなる。

サコミズはミライの傍らに立ち、優しい笑顔で黙って肩を叩く。 「隊長・・・」 「信頼というものはねぇ、築き上げていくことは難しいけど、それが崩れてしま うことは怖い位簡単なんだ。」 「信頼・・・?」

マルは声をひそめると「ほら。補佐官も早く一言ビシッと。」 「でも、タッ・・・タイミングがぁ・・・」マルは首をかしげて、だめだこりゃとラーメンをすすり上げる。

「そうだ、ミライ。そしてコノミちゃん!」サコミズが二人に声をかける。 「あっ、はい!?」コノミは大きくスプーンに乗せたアイスをほおばろうとまさに大口をあけたところだったが、 慌 てて立ち上がった。

「重要な仕事が明日あるから、二人にお願いしようかな。」 「重要な・・・」わけのわからないままのミライ、「仕事?」コノミが続く。

その夜、フェニックスネストのとある1室。 人体解剖図、国旗の載った世界地図や図鑑など様々な種類の本が積み重ねられて いたのは・・・向学心旺盛なミライの私室だった。

ミライは、うなされてビッシリ汗をかいていた。 赤いトーンの世界でベムスターと対峙するメビウスの自分。 リュウやサコミズの言葉が反復される世界 「メビウスは所詮宇宙人だ。俺たちの気持ちなんて理解しちゃいねえんだ。」 「あんなヤツ仲間じゃねぇ!」ベムスターの蹴りが入る。 「信頼というものはね、築き上げていくのは難しいけど、それが崩れてしまうこ とは怖いくらい簡単なんだ。」 ベムスターから一方的に攻撃を受けるだけのメビウス。 その鋭い爪のある腕が振り下ろされるーーーー!

「わぁぁぁっ!」夢から覚めるとともにミライは飛び起きた。
コノミが勤めていたミヤマ保育園。

「はぁーい、みなさ〜ん。」「みなさんがお手紙を書いてくれたおかげでCREW GUYS のお二人がやって来てくれました。」 「こんにちは。」緊張しているのかミライは、こわばった笑顔で子どもたちに呼びかける。 こどもはというと・・・フリーズ・・・。

「みんな、元気だった!?」満面の笑顔のコノミ。 「コノミせんせい、おかえりなさーーい!」コノミはみるみる子どもたちに囲ま れ、続いてミライの元へも子どもたちが集まる。 子どもたちに混じってすべり台を体験するミライやシャボン玉を楽しむコノミ。

先生を中心にみんなで輪になり、「むすんでひらいて」が始まった。 子どもたちと一緒に手を打ちながら、ミライは一人の男の子に目を引かれた。 みんなより遅れるその子どもの側に寄った「ホラ、こうやるんだよ。」手本を示 すミライ。

すると、隣の女の子が言った。 「ケンタにはまだ無理なんだよ、へたくそ!」 「そんなこと言うからリサちゃんなんてキライだ!」 あっけに取られるミライだったが、すかさずコノミが飛んで来た。

「いいんだよー、出来なくても。ほーら、悲しくないよ〜。」男の子を高く抱き上げ あげる。

お昼寝の時間、眠れない小さな女の子を抱っこしたコノミはミライと廊下から子 どもたちの寝顔を見守る。 コノミがあることに気がつき、ミライを促した。 指差した先には、ケンタくんとリサちゃんが仲良く手をつないで横に並んで眠っ ていた。

園庭を歩くミライとコノミ「子どもって面白いですね。さっきまで喧嘩してたか と思ったら」 「うん。みんなそれぞれ個性があってね。器用な子もいれば、不器用な子もいる の。」 「でも、あの男の子可哀相だな。みんなと同じことがうまく出来なくて。」 「ぜーんぜん。可哀相じゃないよ。」「むしろ、さっきのミライ君みたいに、教 え込もうとしたらダメなの。」「えっ?」

「プレッシャーに取り付かれるの。早くやらなきゃーってすればするほど、空回 りしちゃう。」「ま、それも人それぞれなんだけどね。」「そうなんですか。」 「あたし、思ったんだー、メビウスの事。」「メビウスの・・・こと?」 「リュウさんたちは、自分たちを出し抜いて彗星を破壊しやがったーなんて言っ てたけど、あたしは違うように思えたなぁ。」 「どう・・・思えたんですか?」 「さっきの子と同じように、メビウスは何か、ものすごい重圧を感じてるのかな って。」「重圧?」「そう。あたしたちGUYSのことも忘れてしまうくらいの・・ ・」

うさぎ小屋についた。 「わぁ〜、みんな元気だった?」うさぎを抱き上げるコノミ。 「この子たちのおかげで、みんなが出会えたんだよね。」 「・・・はい。」ディノゾールが襲って来た時、今のGUYSメンバーがうさぎたち を救う為、初めて協力しあったことを思い出した。

「・・・一人ではなかった・・・」 「?」 「メビウスは一人ではなかった!みんながいるんです!」 「えっ?え?」 「CREW GUYSの、みんなが!」 コノミはミライの言ってる意味がよくわからなかったようだが、ミライに笑顔が戻った ことを嬉しく感じて自分も笑顔になった。

ディレクションルーム。テッペイが伝える。「GUYSスペーシーから、ステーション03へのレ ーダー機能の委嘱作業が終了したとの報告です。」 「あれ、これは・・・」警告音が鳴り続ける。 「どうかしたの?」マリナが声をかける。 「回復したはずのレーダー網に変な反応があるんです。しかも地球のすぐ近くに 接近している。」 「そのエリアをモニターに。」サコミズは促す。「はい。」

モニターに映る、こちらへ近づく影。その正体が鮮明になる。 「ベムスター!」リュウが思わず立ち上がる。 「こいつ、レーダー波を吸収していたんだ!」「それで影が出なかったんだ」 「どうして、どうしてかね。どうしてこんなヤツが地球に来なきゃならんのかね 。」トリヤマは誰に訴えるでもなく嘆く。

マリナがコノミの代わりにデータを叩く。「記録ではベムスターは、腹部にある口から大量のヘリウムや窒素を餌と して吸引するとあります。」 サコミズが頷く「オオシマ彗星から放出されるダスト・トゥエルを餌としてやってきた のか。」

「こんなことは事前に予測できたはずなのにー、あぁー」テッペイが悔しげに 顔を覆う。 ジョージも確信する「窒素やヘリウムなら、むしろ地球の方が大量にある。」 「間違いなく地球に来やがるな。」リュウも頷いた。

その頃、ベムスターは既に日本上空を飛来していた。 「ベムスターに効果的な攻撃は、腹部の口を塞ぐことです。」テッペイがベムス ターのフィギュアを持って説明する。

リュウは何気に、腹部の口を覗き込んで「接着剤でも叩き込むか。」 「すごい。」「リュウさん、それだ!」「マジ!?」むしろ驚くリュウ。 「宇宙ステーションの修復で使用される、高分子プラスター」 テッペイの言葉にマルが即答した。「あぁ、あのトリモチの強力なやつですね。」そうそう!

テッペイは説明を続ける。「それをミサイルで撃ち込み、プラスターが広がったところで、予め仕 込んでおいた硬化剤カプセルを遠隔操作でブレイクすれば・・・」 「ベムスターの腹部は、一瞬のうちに封鎖される!」マリナもうれしそうだ。

リュウも理解した。「なるほど!瞬間接着して、やっかいな口を塞いじまうことだろ。」 「はい。ただ、試験開発用のものなので、一基しかないんです。」テッペイがやや不安そうに口にする。 「一発あれば充分だろう。」リュウはこともなげに言う。にやりとジョージが笑う。 「任せろよ。」

リュウが手早く分担を指示する。「俺が正面まで接近して、ジョージが撃つ。マリナ、援護頼む。 「ヘマしないでよ。」リュウの肩をポンと叩くマリナ。 「ミサイルは引き受けたが、硬化剤の起爆スイッチは、テッペイ、お前に 任せたぞ!」 肩を叩かれたテッペイは黙って頷き、みんな揃ってサコミズを見た。

サコミズは彼らの前に立つと「知っての通り、ベムスターは強敵だ。くれぐれも気をつけろ!」 「GUYS、Sally Go!」「GIG!」

ガンフェニックス発進。
「あれは!」保育園上空を横切ったベムスターをミライとコノミが目視。 ベムスターはコンビナート地帯に直立姿勢で降り立った。

「よく見りゃ可愛い顔してるじゃねぇか。」「ガンフェニックス スプリット! 」ガンウィンガーとガンローダーに分離した。

「コノミさんは、怪獣の正確な位置を捕捉して、避難誘導の指示をお願いします。」 「ミライくんは?」 「闘ってきます。仲間たちと!」駆け出すミライ。 「アッ、ミライくーーん、闘うって・・・」

「ジョ−ジ、行くぞ!」「おう!」 汗ばんだ手をぬぐい、硬化剤を起動させる赤いボタンのついたリモコンを持ち替 え、大きく息を吸い込み呼吸を整えるテッペイは、緊張の面差し。 その肩をミサキにポンと叩かれビクリとし、ミサキの顔を慌てて見上げる。続いて、 トリヤマ、マル、サコミズらと黙って顔を見合わせる。

ベムスターの頭部の1本角が光り、襲ってくる光弾をかわすガンウィンガー。 「クソッ」 リュウが舌打ち。 そこへ横からベムスターを直撃するビーム。

「マリナ、無理するな!」ガンローダーのマリナにリュウが注意を呼びかける。 マリナは更にビームを連射しながら、ベムスターに近づく。 ベムスターに命中したビームは白煙混じりに・・・

ガシッ!その時、ベムスターの翼のような手がガンローダーを掴んだ。 「あっ!」 見守っていた皆が息をのんだ! 「マリナ、大丈夫か?」リュウが叫ぶ。

揺れながら、徐々にベムスターの腹部に食い込まれるガンローダー。 「どうした!早く脱出するんだ!」 マリナは、声は出ず、震えながらシートベルトを外し、同時に夢中でトライガーショット を構えるマリナ。

五角形の中央部が6枚花弁状にパックリ口を開き、赤茶色の粘膜のヒダの中に機体 の先端がのみ込まれ始めた。 リュウが「マリナ、早くしろ!」 ジョージが「マリナ!」テッペイが「マリナさん! 」叫ぶ。ミサキもひきつった顔で胸を押さえる。

マリナは、前方を凝視する。 涙がツーッと頬を伝う。 リュウは必死に叫んでいた。「急いで脱出しろ、マリナ!」

青い粘液がガンローダーの機体の窓に垂れてきて、徐々に怪獣の巨大な口が迫っ てくる。 マリナは思わず目を閉じた。 ジョージも叫ぶ。「がんばれ!諦めるな!」

ミライが怪獣を見下ろせる丘に駆け込んできた。 ベムスターが両手でガンローダーを持ち、己の腹に押しあてている姿が見える。

「僕も一緒に闘わせてください!」 「メビウーーース!」変身の光に包まれたまま、その光がベムスターからマリナ の乗ったガンローダーを奪還! ベムスターは、消えた餌の行方を目で追い、鳴いた。

眩しい光が消え、おそるおそる目を開けたマリナの前に、メビウスの顔があった 。 「・・・メビウス・・・」 「メビウス!」テッペイとミサキも微笑む。 「メビウス、来てくれたのね!」コノミの笑顔。

メビウスが両手で支えていたガンローダーを離すと静かに浮上し、メビウスに見送られ 旋回する。

餌を奪われたベムスターは、メビウスに向かってきた。 メビウスがチョップに投げ飛ばし攻撃、するとベムスターは飛行し突進して、そ の頭部を掴んだメビウスは、身体ごとズザーーッと地面を引きずられた。 メビウスの放った必殺技、メビュームシュートはやはり、ベムスターの腹に吸収されて消滅してしまった。

続いて、メビウスの渾身のパンチを繰り出そうとした腕は、パックリ開いた粘性 のある口に吸い込まれていく。 「ティヤァァー」残った左手でチョップするも、右腕は抜けるどころかズズッと 埋もれていく。 「ハッ ハッ ハッ」ベムスターは満足げに高笑いをする。

「くそ!メビウスが」「何か手だてなねぇのか!?」ジョージとリュウは叫ぶ。 「ベムスターが攻撃を吸収する範囲は、腹部から全面にかけて集中して います。背後からの攻撃は有効です!」テッペイが叫ぶ。

「メビウス、借りは返すわ。」マリナはそう言うと、ベムスターの背後に回り、 光弾を発射。ベムスターの鋭い右手の爪を破壊した。 ベムスターが不意の攻撃に気が緩んだところを、メビウスは自力で脱出したが、 呑み込まれた右腕が痛いようだ。

「よそ見してる暇はねぇぞ!ダァーッ!」リュウが放ったビームが、ベムスター のもう一方の爪に命中!両手の爪を失ったベムスター。 痛手を負ったメビウスは、その隙に後方に少し退く。カラータイマーが鳴りだした。

「私が先に突っ込むから、その隙に撃ち込んで!」マリナが、指示を出す。 。 「さっきのミスを奪回してやる!」マリナ機がまっすぐにベムスターに近づき、 ベムスターが腹部の口を開いたところで直前の急浮上。

「行けーー、ジョージ!」「もらったぁぁ!!」硬化剤カプセルがリュウの操縦 するガンウィンガーから、ジョージの操作により、ベムスターの腹部に見事撃ち 込まれた。フォーメーション・ヤマトは一応の成功を見せた。

「んっ!」ベムスターは一瞬不思議そうに反応する。すかさず、テッペイが力を込めて赤いボタンを押す。 カプセルは白い粉状の噴出物をまき散らしながら小さく爆破し、ベムスターの腹 部の口は、瞬時に高分子プラスターで覆われ、瞬時に固まった。

ベムスターが、腕で己の腹部を軽く叩くと、コンコンと固まった石膏のような音が返ってくる。あれっという風に首をひねり、一見愛らしい表情を見せるベムスタ ー。息を呑んで見守る一同。

だが・・・次の瞬間、ベムスターが両足をふんばり、両腕を思い切り広げると光 が満ち、何と固まった高分子プラスターが弾けとんでしまった。 「何てやつだ!」リュウの声が漏れる。

メビウス、ピンチか!? その時、光の輪が左腕を覆い始め、メビュームブレスにナイトブレスが合体した 。 「来るべき闘いの時、必ず必要になる。」ヒカリの言葉を思い出した。

がぜん力の湧いたメビウスが左腕を構えると、全身に金色の光が満ち、メビウス 自身の胸にV、腕にも金色の模様が浮かびあがった。 同時に左腕にも金色に輝くメビュームナイトブレードが現れた!

「メビウスが・・・」「変わった!」「あの武器は・・・」 「セリザワ隊長の・・・」リュウが微笑む。

ベムスターは闘いを煽り突進してきて、メビウスもこれに向かい騎士道さながら の闘いの展開となる。 するとベムスターの直前で、メビウスは天高くジャンプし、左腕の剣を大きく振 りかざす。

更に着地して振り向き様に斬りつけると、それは無限を示す印となり、ベムスタ ーは倒れながら大爆発! メビウスがリュウとジョージに視線を送ると、二人は合図を送り、笑顔で見送ってくれ ていた。

俺たちの翼に色を塗った時に、皆で食事をした草原にカイズのメンバーは集まっていた。

「助かって良かったな、マリナ。」ジョージが草でマリナの腕をちょんちょんと突きながら 、からかい半分に言う。 「やめてよ、もう!」そういうマリナも笑顔だ。

ジョージは感嘆する「しかし、すごかったなぁ、メビウス。」 マリナも同じだ「そうねぇ、ヒカリをあの武器を授けて行ったのね。」

「また、僕の作戦失敗しちゃったよぉ・・・」髪をかきむしり落ち込むテッペイ。「次は大丈夫です。」テッペイの 頭をコノミがいいこ、いいこと撫でる。

「メビウスは進化してるってのに、俺たちはさぁ・・」草原に寝転がっていたリュ ウが起き上がり愚痴る。 「それは違います。今日はみんながいなければ、メビウスは負けていました。」 ミライがどこからかやって来た。

「そうですよぉ。」コノミが立ち上がる。 「それに、皆さんとメビウス、息バッチリでしたよ。」 「息が合ってるの、当たり前でしょう〜。」リュウはひょうきんな声を上げて立ち上がる。「え?」「だって、俺た ちとメビウスは大親友じゃん。な?」ミライを見て笑い、みんなも続いて笑う。

「でも、リュウさんは、仲間じゃないって・・・」ミライは当惑する。 「は?俺がそんなこと、言うわけがないでしょう。メビウスも含めて、俺たちCREW GUYS じゃん!?」リュウはにやにや笑っている。 みんなの様子を見回しながら、思わず「はい!」と大声で返事をしてしまうミライ。「は?何?」むしろリュウが不思議そうに伺う。

「ミサキさん、結構プレッシャーかけてくるんだもんなぁ」テッペイがぼやく。 「あたし、マリナさん、食べられちゃうかと思いましたよ。」 「や〜だ、私がやられるわけないじゃん」腰に手を当てて勇ましそうなマリナ。 みんなを再度見回してミライはそっと微笑むのだった。

管理人のここが考察ポイント

今回の怪獣ベムスターは恐らくウルトラマンが一人で倒せなかった強敵ということで選ばれたのであろう。 なんだかんだといってヒカリがいたことは、メビウスにとっては地球人以外の同胞であり、 近い能力をもつもの同士であり、対等の相手であった。

ヒカリがいなくなったことで、一番うろたえたのは、実はリュウではなく、ミライであったのだろう。 仲間の存在を忘れてしまうほどのプレッシャーと気負い。 責任感が強く、経験の浅いルーキーメビウスであればこそ、ヒカリの分、そしてヒカリが自分に託していったもの以上に、 自分がしっかりと地球を守らねばと強く 意識してしまった。

その意識は空回りし、それは仲間を必要としていないとカイズに強く意識させるものがあった。 孤独を感じていたのは、果たして、カイズだったのかメビウスだったのか?

人は物理的な孤独(部屋に一人しかいないから寂しい)より、 心理的孤独(部屋にたくさん人が同席しているのに自分は受け入れらいないと感じること) のほうが強く悲壮感と絶望感を感じるという。

力のあるものが、全体をリードするというのが、世の常だが、その力の表現方法が、 器用な人も不器用な人もいる。はたから見て、飛びぬけた高い才能や能力を示していると感じられものもいれば、 なんの能力も才能もないように見えるものもいる。

みんなと同じようにできないと(見えないと)可愛そうという周囲の善意の意識は、時に逆に相手を萎縮させる。 自分は人から可愛そうと思われる存在なのかと

人にはいろんなペースと役割がある。たくさんの人と同じことをできなくても寂しくないんだよ。 君は一人じゃないんだよ。 君を好きな人、そして君には仲間がいるんだよ。そう教えられることは、 孤独というトンネルの中に入り込んでしまったものへの一筋の光であろう。

僕は一人じゃなかった。 ウルトラマンでも悩み、時に弱き小さき指導者に教えを請うこともある。

結果的には、ウルトラマンに人は助けられたわけだが、 このウルトラマンとカイズとの互いの心の距離が、信頼と成長の証かもしれない。 完璧な依存はしない。しかしそれは、窮地にはきっとウルトラマンは助けに来てくれるという強い絆と信頼関係だ。

強い怪獣のイメージがありながら、ベムスターはあまりにも可愛く、マスコット怪獣のリムの演出は、精神的に重く、 時に辛くなりそうなムードに、緩和剤として効果的に利用されていた。

人は支えあって生きてこそ人。
メビウスはウルトラマンとして、人して大きく成長したようだ。それがモードチャンジとして表現され、その進化を促したのは、 カイズとの友情であった。時に追いつき、追い越し、躓き、立ち止まりながらも前進を 続けるガイズとメビウスであった。

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メビウスベルト

ウルトラマンメビウス 第18話「ウルトラマンの重圧」

宇宙大怪獣 ベムスター 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザ マ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田 弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / トリヤマ補佐 官 石井愃一 / マル補佐官秘書 まいど 豊 / ミサキ ユキ 石川紗彩 / 岩佐ま り / 杉山翔哉 / 飯塚百花 / 鈴木菜つ香 / セントラル子供劇団 / セントラル子 供タレント / 早川プロダクション

《スーツアクター》山本 諭 / 岩田栄慶 / 横尾和則 《シリーズ構成》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《脚本》川上英幸 《特 技監督》北浦嗣巳 《監督》佐野智樹 《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》 大岡新一 《企画》加藤直次 / 江藤直行 / 中村理一郎 《プロデューサー》岡 崎剛之 / 渋谷浩康 / 山西太平 《制作プロデューサー》小山信行 《アソシエ イトプロデューサー》小掛慎太郎 《ラインプロデューサー》中井光夫 《音楽 プロデューサー》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》倉持武弘 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也 《録音》楠本龍巳  《操演》上田健一 《助監督》石川 整 《装飾》遠藤雄一郎 《衣装》塚田亜矢 子 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》高橋誠喜 《制作担 当》土肥裕二 《編集》矢船陽介 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳 生俊一 《VE》佐々木彰司 《スクリプター》森永恭子 《キャスティング》小 島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉 《操演》根岸 泉  《殺陣》岡野弘之 《助監督》日暮大幹 《スクリプター》森永恭子 《スチー ル》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン》丸山 浩 《キ ャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクターメンテナンス 》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》池田 遼  《CGIモ ーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバイザー》早川 哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》上田和彦 / 澤田元春 / 森 裕二 / 川口智久 / 田口小夜子 《CGIマネージャー》小田達哉 《CGI協力》 水石 徹 / 三宅 仁 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェクトア ニメーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト》高 田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD担 当》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《製 作デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川勝 一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤッ プ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照 明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラ プロ / スリーエススタジオ / 富士通乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジ ン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセ ンター / IMAGICA / クレッセント / Adobe Systems / Autodesk / ボーンデジタ ル / D.A.S.T / スタジオ・バックホーン / パンチライン / RECARO / 岡村製作 所 / ナナオ / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / CASIO / KENNETH COLE / Zoff

《撮影強力》味の素スタジアム / 梨花幼稚園 《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 /円谷プロダクション  《提供》BANDAI/バンダイビジュアル

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