ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第19話「孤高のスタンドプレイヤー」マニア考察】

ウルトラマンメビウス 第19話「孤高のスタンドプレイヤー」考察ハードバージョン

メベウスマニアライター 棺桶のジョー

宇宙量子怪獣 ディガルーグ 登場

脚本/太田愛、監督/小原直樹*1、特技監督/鈴木健二、 シリーズ構成/赤星政尚、設定考証/谷崎あきら

 テッペイ(内野謙太)が新たに配備された兵器*2、メテオールショットを持ってきた。 文字通りメテオールの力で敵を撃つものであり、 GUYSメットに内蔵された脳波スキャナーで照準を合わせる機能、狙ったターゲットを確実にヒットする (模擬画面にはグドンが映っている)というその威力にメンバーは沸き立つが、それを手に取ったジョージ (渡辺大輔)が、なぜ銃口が3つあると尋ねると、テッペイは「アメイジングトリプル」という機能があり、 理論的には3つの相手を同時に撃てるのだと説明するも、人間の空間認識能力では現実には不可能だから意味なし、と言う。

しかし、ジョージはこの機能が気に入り、メテオールショットを持っていく。  そんな折、宇宙に怪獣・ディガルーグが出現した。火の玉状の姿で現れたディガルーグ、 GUYSスペーシーがシンクロトロン砲で迎撃したが、撃滅できておらず、日本の市街地(桜木市)に落下した。 GUYSは即出撃する。

 赤い火の玉〜初代マンが最終回、帰って行ったような火の玉で降り立ったと思ったら、 球状の体を持つ怪獣としてディガルーグ(スーツアクター、末永博志)は現れ、市街地を破壊する。 それも、全く同じものが3体*3いる。

口から火玉を吐いて破壊するディガルーグ、リュウ(仁科克基)、ミライ(五十嵐隼人)、 マリナ(斉川あい)たちがガンフェニックスで出撃、3体いるものの、モニターには1体しか写っていない。 つまり、他の2体は虚像で、残る1体が実像であるとテッペイが説明、それをリュウとミライが攻撃する。

ところが、二人が攻撃したのは別の個体であり、どちらも虚像であり、ビームは通り抜ける。 どこを狙っているんだと毎度怒鳴る?リュウだが、 リュウも、ミライもちゃんとモニターに写っているものを狙ったのである。

なのに…そんな折、ジョージは地上でメテオールショットを持って迎撃に来ていた。 ジョージは、残った一体が本物と、自分の感覚で本物を認識して、撃つ。 だが、それも虚像で、攻撃は通り抜けて、あわや仲間を打ち落とすところであった*4。

ジョージはアメイジングトリプルで叩くと言うが、テッペイは3体同時に狙うなど人間には不可能と言い、 サコミズから許可は出ない。そして、ディガルーグは消えた。

 基地に戻り、スタンドプレーをしたジョージをリュウが責め立てる。そして、テッペイは、作戦立案ミスを謝り、 しかし、「お前はスタンドプレーしか出来ない」とリュウに責められたジョージは、 部屋にこもるが、ミライが「何でちゃんと話さないんですか、 アメイジングトリプルを使おうとしたのには理由があるでしょう」と諭す。

ジョージは「お前に俺の見ているものが見えるか」と返す。ジョージは普通の人間を越えた動体視力に慣れるしかなかったと 、マリナは理解を示す。 ジョージは、サッカー選手時代、スタンドプレーでチームから浮いていた自分を思い出す*5。

 テッペイは、ジョージの言ったとおり、3体のディガルーグはそれぞれが1/3ずつの実態を持った、 どれも本物であり、3体を同時に攻撃しないとダメだと解説する。

 そして、リュウは、「俺にはジョージやマリナのような能力はないから理解できない」と語るが、 サコミズ(田中実)は「自分にとって当たり前のことが、他人には当たり前でない、 自分にとって大切なものが、他人にはそうではない、そんなことなかったか」、 「分からないのが当たり前だ、だから分かってもらおうと伝えようとする」とリュウに諭す。

リュウは「自分の性格考えて、一人で出来るスポーツをしていたら」とつぶやくが、 サコミズは「ジョージにとって、君たちが生まれて初めてのチームになりかかっているのではないか」と語る。 と、ディガルーグが現れる。房総半島である。高エネルギー基地のある場所だ。

 どのディガルーグも、1/3の確率で本物である、ともかく、ジョージのアメイジングトリプルに任せるしかない。 ジョージは、怪獣の出るど真ん中に、自分をヒーローのように運んでくれとミライに頼む。

 岩場(採石場)*6に立つジョージ、その前に、ディガルーグがまた火の玉になって現れる。ジョージは、 メテオールショットを、アメイジングトリプルにして、自分の超感覚を磨いて、1/3ずつ本物のディガルーグを、 角が順番に光るの確認して、狙いを定めて撃つ。 3つの弾丸は見事に命中して、波動関数が収束し、3体に分身していたディガルーグは1体になった。

 さあ、一体になった、総攻撃だ!マニューバモードで攻撃…と思ったら、 テッペイは、1体になった分、3体の時の、3倍の攻撃能力になったと説明*7、

「そんなこと、最初から言え」と言うジョージは攻撃を受けて負傷してしまう。 その危機に、ミライはメビウス(スーツアクター・和田三四郎)に変身し、 キックをいきなり放ちディガルーグを攻撃する。 口から火の玉を吐いて攻撃するディガルーグに、一発目をまともに食らい、その後は何とか避けるのがやっとのメビウス。 生物兵器の様相を持つディガルーグに苦戦する。攻勢の糸口が見つからない!

 攻撃を受けて、傷ついたジョージだが、それを助けに来たのは何とリュウである。 「あのバカ」と言うジョージだが、リュウもディガルーグの攻撃で傷つき、顔を真っ黒*8にして、 「待たせたな」と、それでもジョージを助ける。

 ジョージが助かったから、いよいよ決戦だ!主題歌1番が鳴り響く中、 角からの光線がメビウスをかすめる!メビウスはメビウスブレイブ(スーツアクター、岩田栄慶) *9にパワーアップし、メビウスナイトブレードを光らせる。

ディガルーグの火の玉を、光の剣で跳ね返し、角からの光線を剣で防ぎ*10、 チャンスに回転してディガルーグの腹部に斬り込んで、これを見事倒したのである。

 戦いを終えて、ミライはジョージに、なぜ3体の怪獣が本当は1体とわかったのかと聞くが、 ジョージはいろいろ考えて、「メテオールショットに3つ銃口があるから試したかった。何も分かっていなかった」!と言う。要するに、当てずっぽうで、テッペイの分析が正しかったと言うのであるが、それを聞いて、リュウもマリナも激怒!これは基地に帰ったら、もめそうである・・・しかし、ジョージは「こういうのも楽しそうじゃん、チームぽくってさ」とのんきなものである・・・

マニア的考察

*1:小原監督は、ウルトラのテレビシリーズではネクサス32話(溝呂木の最期)以来の登板です。  その他、平成セブン(ビデオ版)、EVOLUTIONでも演出していました。

*2:こうも新兵器がいろいろ出てくるのは、初代マンの科特隊以来です。マケット怪獣、ライトンR30、シルバーシャークと過去の防衛隊の装備を使い、特捜チームが新兵器を開発する展開は、平成では珍しく、ウルトラマンに頼るばかりでなく、人間もがんばっているのだと言うことを示していて、面白いです。

*3:この3体は、着ぐるみは1つだけで、後は合成の模様です。スーツアクター表示も怪獣は1人だけでした。この手の分身怪獣は、平成ではティガ「蜃気楼の怪獣」でのファルドンが、やはりいくつにも分身して、どれが本物か分からず、イルマ隊長(高城澪)捨て身の攻撃でティガに教えるのですが、ティガから10年で、合成技術が進んで、実に上手くやっています。ちなみに、昭和の分身では、お馴染みバルタンの分身をアナログ技術でやったものの、分身して複数で攻撃するシーンはなし(平成では、マックスのバルタンではそれをCGで表現)、セブンのガッツ星人は着ぐるみを2つ作って分身を表現していました。また、平成でも、ダイナ「怪獣工場」で、ダイナ・ミラクルが分身する場面は、スーツアクター3人を使って表現していました。

*4:ディガルーグの肩書きは宇宙量子怪獣で、このように分子レベルで分身術を使う怪獣は、昭和では帰マン19話のサータンがありました。中性子で出来ていて、物体をすり抜ける、瞬間移動する能力を持ち、MATは電子の磁場を張って対抗していました。この手の反則技??は宇宙怪獣の十八番となっています(?)が、この考証は珍しいです。

*5:こういう隊員間のいざこざが、毎回レギュラーなのは帰マンのMAT以来(郷と岸田の対立)ですが、70年代の青春ドラマでは、太陽にほえろ!など、定番でした。メビウスのスタッフはこの手の番組のファンであり、多分にオマージュもあるのでしょう(ちなみに、昭和ウルトラの常連ライター、市川森一さんは太陽にほえろ!も書いていました)。

*6:このジョージが降り立った場所は、情報によると、東映ヒーローの撮影に良く使われる寄居の採石場だそうです。

*7:分身怪獣は、分身が破られたらそれでオシマイですが、このディガルーグみたいに、分身が破れて3体が1つになったら、3倍にパワーアップ、なんて怪獣は初めて見ました。確かに、ジョージが「それを早く言え」と言ったのも良く分かります(苦笑)。

*8:爆発の中で、リアルに真っ黒になってしまう描写は、コスモス「最大の侵略」、カオスウルトラマン・カラミティとのバトルでメンバーが傷つく場面以来で、ヒーローものでも異例の描写です。

*9:メビウスはパワーアップ後、スーツアクターが替わる模様で、これは平成ウルトラのパターンであり、フォームチェンジ後、スーツアクターを替えて違いを見せる手法です。東映では、ライダーはよくフォームチェンジするものの、スーツアクターは替わりません。これは特撮に対する考えの違い(巨大ヒーローと等身大ヒーローの違いもありますが)の表れです。

*10:この、剣(ビームサーベルでなく、16話で見たように実態もの)で光線を防ぐ描写は珍しいです。光弾を跳ね返す描写は10年前からありましたが。

考察その2

(1)メビウスでは、隊員が特殊能力を持っているのが特徴で、それゆえ他のメンバー、特にリュウと対立してしまう構図が出来ています。こういう、隊員(人間)が特殊能力を持つ特捜チームは、ウルトラでは初めてです。そして、隊員の人間ドラマが濃厚に描かれるのは、ウルトラでは帰マン以来となります。帰マンの方法は70年代の青春ドラマの流れにあり、大ヒットした太陽にほえろ!にも通じますが、平成のウルトラでは、隊員間の人間ドラマを濃厚に描写するのは初めてで、今見ると新鮮に思われる方も多いのではないでしょうか?

(2)メビウスに登場する宇宙怪獣は、生体兵器的な特徴を持つものが多く、セブンに出たようなシンプルさではなく、かなり凝った設定を持っています。三段攻撃をするケルビムなど…今回のディガルーグ、量子怪獣として、怪獣のSF考証が緻密に成されています。怪獣と言うと、神秘の存在としていたものの対極に立つ考証も、見所です。

(3)今回のメビウスvsディガルーグのバトルは、かなりメビウスが劣勢で、最後にブレイブとしてやっと逆転〜回転して相手の懐へ飛び込み斬るというものでした。メビウスのバトルは、まだ新人ゆえ、ベテランヒーロー(昭和の初代マン、セブン、平成ではティガ、マックス)と比較して苦戦するパターンが多いのも、意図的にやって、それでメビウスの強さもちゃんと描いているのはさすがです。

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