ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第21話「虚空の呼び声」ハード考察】

シリーズ構成:赤星政尚、設定考証・脚本:谷崎あきら、監督・特技監督:村石宏寛

メビウスマニアライター T2-0

怪獣頻出期に幾度か観測された空間の歪み「ウルトラゾーン」、そのウルトラゾーンが地上10万kmに発生したとの報告が、GUYSスペーシーからフェニックスネストに届いていた。 そして、ウルトラゾーンから漏れて来る電波には、救助を求める声が入っていた。 それは約半年前に遭難した日本の宇宙貨物船アランダスからのものであった。

それを聞いたミライ(五十嵐隼士)は、救助に向かうことを主張する。 アランダスの乗組員が生存している可能性は低いと判断されたが、 サコミズ隊長(田中実)はGUYSのウルトラゾーンへの出動を決定。

サコミズ自らが救助隊を率い、リュウ(仁科克基)、ミライ、テッペイ(内野謙太)、 マリナ(斉川あい)がメンバーとして選抜され、ジョージ(渡辺大輔)とコノミ(平田弥里)は基地に待機することとなった。

GUYSはガンフェニックストライカーで宇宙へと飛んだ! そして、その爆音を耳にし、空を見上げる一人の男の姿があった…。

宇宙空間に広がるウルトラゾーン、そこに突入したGUYSメンバーは不思議な光景を目の当たりにした。 それは、宇宙空間に漂う数々の怪獣の姿!ドキュメントSSSPに記録の残る、伝説の「怪獣墓場」であった!! ウルトラゾーンは、地球を追われた怪獣たちが眠るという伝説の場所に通じていたのだ!!

そこに再び、例の救難信号がキャッチされた。救助隊はその空域に存在していた小惑星に着陸。 そこには宇宙貨物船アランダスがあった!サコミズを連絡要員として残し、リュウ、テッペイ、マリナ、 ミライはアランダスの船内探索へと向かった。

惑星地質学者であるバン・テツロウを船長とする宇宙貨物船アランダスは、火星で採掘される物質・ スペシウムを積み地球へ向かっていた。 アランダスは、その帰還中に遭難したのだ。 しかし乗組員の一人が自らを犠牲にし、キャビンを切り離したことで、バン船長および乗組員は地球への生還を果たした。 その勇敢な男の名をミライが口にする。その名は「バン・ヒロト」。彼はバン船長の一人息子であった。

船内を捜索した一行は操舵室にたどり着いた。そこからは救難信号が自動発信されており、 バン・ヒロトの懐中時計と遭難時の映像記録が残されていた。その映像記録にミライは慟哭する…。

と、船内に突如怪物が出現!一行は、ボガールの同種と思われるその怪物と交戦、船外に脱出した。 そこに、もう一体のボガールが出現した!迫る二体のボガールを前に、危機に陥る一行。 しかし天空から放たれたビームが、一体のボガールを撃破した。サコミズだ!

既に、ウルトラゾーンの扉は閉じようとしていた。帰還を促すサコミズ! しかし残ったボガールは倒された個体を捕食し巨大化!火球を放ち、更に激しく攻撃を加えてきた。 ボガールの猛攻の中、リュウ、テッペイ、マリナは、ようやくガンフェニックストライカーに到着した。 しかし、その機内にミライの姿はなかった。 ボガールの攻撃により行方不明になっていたのだ。離陸し、ボガールと交戦するガンフェニックストライカー!

そこにメビウスが出現!メビウスと視線を交わしたサコミズは、 隊員たちにウルトラゾーンからの至急脱出を命じた。 ミライを収容しないままの脱出に異を唱えるリュウ。

しかし、そんなリュウをサコミズは叱責した。「ここで倒れたら、もっと多くの仲間を失う!」と。 納得できないながらも命令に従うリュウ。ガンフェニックストライカーは小惑星を飛び立った。

一方、小惑星上では、メビウスとボガールの戦いが繰り広げられていた。しかし成長したメビウスにとって、 ボガールの亜種は強敵ではなかった。ボガールは、メビウスのメビュームナイトブレードにより撃破されるのであった。

ガンフェニックストライカーは、無事ウルトラゾーンからの離脱を果たした。 ガンフェニックストライカーのコクピットで、ミライを失った悲しみにくれるリュウ。と、そこに通信が入る。 「僕がどうかしたんですか?」それは後続のガンスピーダーからの通信、ミライの明るい声であった。

ウルトラマニア考察

今回の「虚空の呼び声」も見どころたっぷり。 単体のエピソードとして見て非常に面白いだけでなく、今後の伏線と思しき描写、セリフが多数盛り込まれており、深読みのしどころ満載の一本となっています。 では、今回の見所、チェックポイントは…。

まずは、怪獣墓場の登場でしょう。 今回のエピソードの予告編で「ウルトラゾーン」との呼称が用いられているのを聞いたとき、「おぉ、本編内でこの名称が再び聞けるとは!」と、少し興奮させられました。この「ウルトラゾーン」という名は、怪獣たちの漂う「怪獣墓場」の存在する宇宙空間の呼称として用いられていたからです(ウルトラマン第35話「怪獣墓場」)。 しかし今回、「怪獣墓場」そのものが登場するとは予想していませんでした。凄いファンサービスですよね。 「ウルトラ」には、SF的な面とファンタジー的な面の両方を持っていますが、この「怪獣墓場」の設定はファンタジー的設定の一つです。悪く言えば非科学的な設定なのですが、それを臆することなく用い、違和感なく見せてくれたことは嬉しかったです。 そうそう、リュウがテッペイを指して言う「怪獣博士」も昭和の香りのする単語で嬉しかったなぁ(^^)

今回は、ミライ主役のエピソードといえるでしょう。ミライが、救助隊の出動を主張するシーンは、これまでにも見られたミライの純粋さの描写…かと思わせました。しかし今回は徐々に異なる意味が見えてくるストーリー展開で、なかなか巧い構成ですよね。 バン船長を語るテッペイの後を受け、 「バン・ヒロト」の名を口にするミライ。ヒロトの懐中時計を握り締め、遭難時の記録映像を見て慟哭するミライの描写には、救助に向かった人間を助けられなかった残念さだけではない、何かが感じられます。 その前のシーンで、バン・ヒロトの声を聞いたマリナが言う「この声…?」も重要な伏線?これについてはオープニングのタイトルバックのチェックも必要です。

その他の気になる描写は、今回もサコミズ隊長関連です。 サコミズがミライに言う「つらいものを見るかもしれないぞ」は、死亡した乗組員の姿と思われますが、深読みすれば「怪獣墓場」のことを指しているとも思われます。 もしそうであれば、それは「我々GUYSが倒した怪獣たちの姿を見るのがつらい」という意味なのか、それとも・・・、と勘ぐってしまいます。。 ウルトラゾーン内の小惑星上でメビウスと視線を交わした後で下した「ミライを残しての撤退命令」も意味深です。 ホント、ここんとこサコミズ隊長の気になる言動はほとんど恒例となってますよね(^^;)。

さて、今回張られた伏線の幾つかは来週に活かされることと思われます。 次回はシリーズ全体を通じても重要な回になることが予想されます。 次回予告の構成がまた最高!バン船長と思しき男性、背広姿のサコミズ、第一話と同じ服装のミライ。謎めいた要素が散りばめられていて、本当にワクワクさせられます。 次の土曜日が本当に待ち遠しいです!

過去の作品とのここがリンクポイント

今回の、過去作品との繋がりを意識したと思しき要素を挙げておきましょう。

@「怪獣墓場」には、数々の怪獣たちが漂っていました。そのうち、はっきり確認できるのが、 ネロンガ、シーボーズ、インセクタス、レッドキング、スカイドン、ゴモラです。 シーボーズは「怪獣墓場」でシーボーズを宇宙まで運んだウルトラマン型ロケットを抱いたままなのが泣かせます。 その他、分かりにくいけど、ケムラー、ぺスター、ゼットン、テレスドンと思われる姿も見られます。皆さんも探してみてください。

A「バン・ヒロト」の名は、帰ってきたウルトラマンの初期企画で設定されていた主役名「バン・ヒデキ」を意識したものと思われます。 これ以外にもメビウスには、過去のシリーズで、企画段階でのみ使われていた人物名を与えられたキャラクターが登場していいます。 ご存知の方も多いと思いますが、「サコミズ」は、ハヤタ隊員の初期名です(ウルトラマン)。また「カドクラ」は、バン・ヒデキが働く牧場の牧場主の名前として設定されていました(帰ってきたウルトラマン)。 今後も、同種の趣向による命名の登場人物が出てくるかもしれません。 この予測も密かな楽しみですよね。可能性として高そうなのは「川上鉄太郎」あたりかな?(これは「レオ」の宇宙パトロール隊長の初期名です)

B「メビウス」の世界では、火星でのスペシウム採掘と地球への輸送が実現しているのですね!スペシウム弾頭弾はこれを原料として製造されているのでしょうか? これは、ウルトラマン第2話「侵略者を撃て」で、「スペシウムは火星に存在する物質」と語られており、これを踏襲した設定です。バルタン星人はこの物質を苦手としています。 ウルトラマン第16話「科特隊宇宙へ」には、バルタン星人を撃破できる性能の銃・マルス133が登場します。イデ隊員開発の「マルス133」のネーミングはこの設定から来たものです。

Cバン・ヒロトが他の乗組員を助けるためにとった勇敢な行動は、 歴代のウルトラ戦士が感銘を受けた人間の行動に通じるものです。 今回のエピソードは、薩摩次郎とセブンの出会いを描いたウルトラセブン第17話「地底GO!GO!GO!」 的な味わいも感じさせるものでした。 薩摩次郎、郷秀樹、北斗星司・・・、彼らに共通するのはその精神。他者の生命を救うため、 自己犠牲をいとわない気高さです。 次回は、バン・ヒロトの気高さが描かれる回となるはず・・・、期待しています!

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