ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第22話「日々の未来」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス 第22話「日々の未来」レイゴ考察ソフトバージョン

ウルトラマンメビウス・ボガールモンス最終形態怪獣画像
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リュウが映し出された画像見つめながらつぶやいた。「レジストコード・レッサーボガール」 ジョージも同じく、眺めながら「総本部はこいつをボガールの同類だと判断したのか」 マリナも頷く「外見的な特徴に加えて、共食いさえする旺盛な食欲、確かにそっくりね」

「じゃぁ地球に怪獣が現れ続けているのは・・・」コノミが問う。 しかしリュウは腕を組みながら「いや、こいつらがいたのはウルトラゾーンだ。地球にいるとは限らねぇ。」 とテッペイを振り返った。

テッペイの頭の上にはリムエレキングがちょこんと乗っかっていた。 「テッペイ、お前はどう思う?・・・・」しかしテッペイは顔すら上げない。「こら!怪獣博士!!」 リムはまたしてもリュウの怒鳴り声に 驚いて飛び上がると、くるりと1回り緑の粒子となって消えた。

テッペイがやっと気づきひょいと顔を上げた「・・・・呼びました!?」 リュウは、テッペイに近づきながら「お前の得意な話してんのに、何してんの?」 「調べてたんです」 「何を?」 「あ・・・バン・ヒロトって人の事を」

ジョージがはっとしたように「バン・ヒロトって・・・」 コノミが引き継ぐ「みなさんが貨物船アランダスに救助に行った人ですよね?」 「あの懐中時計の持ち主か」腰に手をおき立ちながら マリナは回想していた。『止まってしまったのね。その時計も、このアランダスの時間も』

リュウがデータを覗き込みながら 「バン・ヒロト 18歳 ふーん、うんっこいつ、スペースジェネレーションなのか?」 ジョージが尋ねる「宇宙生まれって事だよな?」 テッペイが補足する「ええ、火星生まれなんですよ、この人。しかも地球に降りたことが無いから、写真も無くて」 マリナが首を傾げる「そんな人と、どういう関係なんだろう?ミライ君」 テッペイは「本人に直接聞いてみたほうが、早そうですね」とメンバーを見回す。 しかしコノミが「でもミライ君、隊長と総監代行に連れられて、出かけちゃいましたよ」

和風の屋敷に正座して主を待つサコミズ、ミライ、ミサキ。 一人、3人の真ん中から飛び出して座るミライの背中にサコミズが声をかける。 「ミライ、畳の縁は踏まない」ミライは、はっとしたように正座のまま後ろに下がる。

この屋敷の主人テツロウが着物姿で、座敷に入ってきた。「や・・・お待たせして申し訳ない」そう声をかけると、 客人の横を通り、上座に静かに正座する。

サコミズが尋ねる「いかがですか?久しぶりの地球暮らしは?」 「いやぁなかなか馴染めないものですな」 サコミズが微笑む「あ・・・」 テツロウはミサキに視線を落とすと「あなたが総監代行の?」 ミサキはにっこり微笑んで背を伸ばすと「ミサキと申します。今度フェニックスネストにも遊びにいらしてください」膝に綺麗に両手を揃えて そういった。 「は・・・それはぜひとも」

言い終わるとサコミズが「では、我々は、これで」おもむろに立ち上がった。 ミライは「えっ?」立ち上がるサコミズとミサキを交互に見る。 とりのこされたミライはじっと、テツロウの顔を見る。そして互いにしばし見詰め合う。

ミライは立ち上がり進み出るともう一度きちんと、座りなおして 「これ、ヒロトさんのものです」紫色のふくさに包まれたものを差し出した。 テツロウは、受け取ると静かにそれを開く、真ん中にあの懐中時計が収まっていた。

テツロウの脳裏にはあの情景が思い出されていた。 『こちら、貨物船アランダス。巡航速度を維持。いたって順調な旅です』 地球『久しぶりのスペシウム、地球では首を長くして待ってる。無事を祈ってるぞ』 『ありがと』ヒロトは嬉しそうに地球との通信を切ると振り返った。

『もうすぐだよ、父さん』 『任務の最中は船長だろ、ヒロト』 ヒロトはちよっと笑った。『あ・・・.』

乗組員が操縦しながら、『生まれて初めての地球なんだ、そりゃ興奮するよなぁ』 もう一人の乗組員も声をかけてきた『ヒロト、地球について最初にすること、決めてんのか?』 ヒロトは嬉しそうに瞳をキラキラ輝かせると『当然!』

テツロウが聞く。『何をするんだ?』 『決まってる。母さんの骨をお墓に納めにに行くんだ・・・・だろ』ヒロトの視線の先には微笑む母の遺影が飾った。

遺影にテツロウは手をふれながら、『ああ・・・そうだな。母さんがナメゴンに襲われて命を落としてからもう5年か・・・』 ヒロトも遺影の側に腰を下ろすと『それに、早く欲しいなぁ・・・地球での友達が』 テツロウはヒロトの顔を見た『ああ・・・そうだな』

その時警告アラーム音が鳴り響いた。

乗組員が叫ぶ『センサーに異常!』 『そんなバカな!』 『空間に歪みが発生したとしか・・・』 テツロウの表情が固まる『まさか!ウルトラゾーンか!?』 『プレバーナー燃焼低下!エンジン出力低下!』 『このままではアランダスは歪みに・・・!』

テツロウは叫ぶ『貨物部を切り離せ!推進力でキャビン部は離脱出来るかもしれん』 ヒロトが聞き返す『だけどスペシウムは!?』 『そんなものよりお前たちの命の方が大切だ!!』

乗組員が頷き『了解!』『貨物部とのジョイント、作動しません』切り離しスイッチを押すが宇宙船は連結部分で 火花が散せるだけである。

いきなり、ヒロトは走り出した。操縦室にロックをすると連結後部に入った。 テツロウはハッとして叫ぶ『何!』『ヒロト!ヒロト!』乗務員をつきとばすとマイクを握り叫ぶ 『やめるんだ、ヒロト、戻って来い!』

『ケーブルが切断されているんだ。みんなが助かるためには、誰かがこっちから手動で切り離すしかない』 『それなら父さんがやる。それが船長の務めだ』

『駄目だよ!船長の務めは、みんなを無事に地球まで送り届ける事だろ』 『地球の土を踏まずに、死んでもいいのか!?』 『地球なんて、まだ見たことも無い星なんだ。それより母さんをちゃんと連れて帰ってくれよ』

ヒロトは懐中時計を握り締めた。開くと時刻は6時59分40秒を示し、 愛する息子へ 《To my beloved son》 と綴られていた。

テツロウは悲痛に叫ぶ『母さんは死んだんだぞ』 『母さんは生きているよ。父さんの胸の中で。だから僕も生き続ける』 『ヒロト!ヒロト!』ヒロトはジョイント部分を手動で、切り離す。 『今までありがとう・・・』遠ざかる二つに分かれた宇宙船。

テツロウは絶叫する。『ヒロト!ヒロト!ヒロトーー!!』 時計の蓋にポタ、ポタとテツロウの涙が落ちた。 「この時から、ヒロトの時は止まっているのか・・・」

『さようなら、父さん』ヒロトがそうつぶやいた時、あたりが金色に輝いた。 『あれは?メビウスの輪?』無限の形の光の中から飛び出して来た戦士

『ウルトラマン・・・ウルトラマン・・メビウス?』何故か、かすかに微笑みすら浮かべるヒロト。 ウルトラマンは精一杯の両手を広げて手を伸ばしたが、宇宙船アランダスはヒロトとともに青い口に吸い込まれそして口は閉じた。

《僕が地球に向かう途中、この親子の別れに遭遇した。だから・・・》 ヒロトに容姿のよく似た一人の青年が、伴家の門をくぐった。

そして座敷の隅に体育すわりで膝を抱えて座ると 青年はテツロウをまっすぐに見つめた。

テツロウは厳しい表情を一人の青年に向けた『なぜ君は、その姿で私のところに来た』 青年は、たどたどしい日本語でゆっくりと 『僕は自分の死を厭わず、あなた方の命を助けようとしたヒロトさんの勇敢な行動に感動したんです』 『帰れ!』テツロウはやおら怒鳴った。

青年は驚いて立ち上がる。『え?』 『帰ってくれ!』テツロウはもう一度毅然として言う。 『何かいけない事をしたんでしょうか?僕』青年は困ったようなそして、戸惑った表情をみせた。 無言でテツロウは廊下に出ると電話をかけた。

『お久しぶりです、キャプテンサコミズ・・・いや今は・・・』 迎えにきた背広姿のサコミズに連れられて青年は外に出る。

『待ってくれ...」テツロウは思わず呼び止める。青年に進みながら「すまない』 青年はテツロウを見つめ返した『え?』

『君の行為は君自身の優しさの現われだという事は理解出来る。だがやはり君とは暮らせない』 『僕もこの姿は今日限りにします』青年は深く、深く、お辞儀をした。 『いや・・・いてくれないか、その姿で。」青年は顔を上げる。「地球の土を踏めなかったヒロトの代わりに』 テツロウの目に涙が浮かぶのを見て『ごめんなさい』もう一度深く頭を下げる青年の肩をサコミズは優しく2度叩く 『伴さんの涙は、君のせいじゃない』

「君の、この星での、日々の未来に、幸多からんことを。」 テツロウは、愛息子・ヒロトの姿をした青年の両肩に手を置き、顔を見つめ立ち去った。 「ヒビノ・・・ミライ・・・」

二人はあの時の時間を静かに回想していた。 カコン、鹿おどしが澄んだ空気に鳴り響いた時、ミライはただならぬ気配を感じ取った。

「どうかしたのかね?」 お互い見つめ合った瞳で、テツロウもミライの変化に気がついた。 「失礼します!」 ミライは正座したまま畳に両手をつき、急ぎながらもきちんとお辞儀をし、そし て立ち上がり外へ走り出す。

ミライは石垣と芝生のある公園へ着き、辺りを警戒する。 そのとき次元の歪みが生じ、赤黒く口を開けた空間から一匹のレッサーボガール が飛び出した。

異次元への窓は怪獣を吐き出したあと瞬時に閉じるが、続いてわずかにずれた場 所からもう一匹! ミライは前後を挟まれた。 ジリジリと睨み合いながら後退すると、そこへ更にもう一匹現れ、三方を取り囲 まれた。 「ボガール!」

ミライはセリザワの言葉を思い出した。 『ボガールは滅んだ。だが、怪獣の出現は止まらない。何故だと思う?』

「別なボガールが、地球にいたのか・・・」 ミライがそう口にするや否や、レッサーボガールは次々と飛び掛るように襲いかかる。 地面を回転しながら避けるミライ。

拳を握り左腕を立てると、メビュームブレスが浮かび上がる。 ブレスに右手をかざしながら、ミライの姿のままで三日月型の光弾を発射する。 二匹の腹部に命中し倒したが、残る一匹は取り逃がした。

ミライの見ている前でそいつは、倒れた仲間のボカールの肉を引きちぎってむさぼり 喰らう。 そしてみるみるうちに巨大化したレッサーボガールを、ミライは見上げた。

ミライは今度は変身する為に、もう一度メビュームブレスに右手をかざし、左腕 を天に突き上げる。 「メビウーー・・・」「ウワァッ!」 怪獣の目が赤く発光し、吐き出された火球がミライの足下の地面を直撃! 爆発炎上し、ミライの身体は爆風で大きく弾き飛ばされた。

フェニックスネスト・ディレクションルームでは、テッペイがマリナとコノミに 何やら解説し、リュウとジョージが談笑していた。 そこへ緊急警報!

ジョージ叫ぶ「こいつは!」 リュウも叫ぶ「やっぱ地球にいやがったのか。」 メンバーは、レッサーボガールの映し出されたモニター前に集まって来た。

マルも驚く「これが皆さんが宇宙空間で遭遇したという・・・」 マリナが頷く「レッサーボガール」 トリヤマがマルを軽く押しのけ前へ出ると 「ボガールだと!?じゃあ、怪獣出現が途絶えなかったのはコイツのせいなのか 。」

テッペイが同意する。「その可能性は高いですね。」 ジョージが不思議そうに「けど、どうしていきなり現れやがった!?」 「僕たちがウルトラゾーンで遭遇した同族の匂いを嗅ぎ付けて、本能で 仲間を求めているんじゃないでしょうか。」 テッペイは解説した。

リュウがトリヤマに向き直ると、「補佐官、出動するぜ。」 「・・・は!?」トリヤマは顔を前に突き出し、事態を飲み込めない表情だ。

「サコミズ隊長はご不在ですので。」 そこへすかさずマルがトリヤマへ耳打ちし、手で皆の前に出るよう押し出す。 あ、あぁ!トリヤマはウンウン頷き、マルを従えGUYS隊員の前へ進み出てモニタ ーに背を向ける。 「ウォッホン!・・・」 と、モニター画面がいきなり切り替わり、サコミズ隊長が。

「報告を受けた。GUYS Sally Go!」「GIG!」ザッと足並みの揃う音を立てて、 隊員たちが出撃した後で取り残されたトリヤマとマル。

マルが腰を折って含み笑いをし、憮然としたトリヤマはマルの腹をどつくしかなかった。

レッサーボガールは、山あいの日本家屋を破壊しながら闊歩する。 テツロウが庭へ出ると、高く茂った木々の向こうを、雄叫びを上げながら怪獣が横切 って行くのが見えた。

その近辺の芝の上で、ミライはまだ気を失ったままだった。

「テッペイ、どうだ?」ガンフェニックスのリュウがモニターごしに尋ねる。 「大丈夫です。ボガールモンスのように、体内から膨大なエネルギーは検出され ません。」 ディレクションルームでスキャニングモニターをチェックしながらテッペイが伝 える。 「心置きなくぶっ倒せるってわけだな。」ニヤリとリュウは声なく笑った。

「ガンフェニックス、スプリッツ!」ガンウィンガーとガンローダーに分離し、 両機は、クロスすると怪獣にビームを照射!

「頼むぜ、補佐官。メテオール解禁。」リュウの声に 「ウォッホン!」トリヤマが、もったいぶって咳払い した。その時 「危ない!」コノミが叫ぶ。

レッサーボガールの口から細長い触手が勢いよく伸びてくる。 リュウはうまく機体をかわしたが、先が三本に枝分かれしたそれは、執拗にガン ウィンガーを追跡し、そして機体を捕捉した。

「リュウ!」ガンローダー、ジョージの後ろからマリナが叫ぶ。 リュウがわめく「何だと!?」「くっそーーっ」 ガンウィンガーはもはや身動きが取れない。

「バリアブルパルサー!」ジョージの放ったビームは、レッサーボガールの目か らの火球に弾かれ、更に攻撃を仕掛けられ、ガンローダーは一旦退避する。

と、突然、怪獣の頭部の形態が変化し始めた。 もともと大きな口が、瞬時に食中植物のように平たく巨大になったかと思うと、 更にもう一段階肥大した。

モニター前のトリヤマはつられて口を大きく開け、目を剥 き舌を突き出す。マルは慌てて両手でトリヤマの口を閉じた。

リュウは吼える「冗談じゃないぞ!」「うりゃーーーーーーーっ」 操縦桿を力の限り引いてみるが、ガンウィンガーはみるみるうちにレッサーボガ ールに引き寄せられて行く。 「くそーーーーーっ」抵抗空しくリュウに迫る巨大な口。

テッペイは息を呑み、コノミは、胸に手を当てる。マルはなすすべもなくオロオロするしかない。 トリヤマはまたまたつられて、今度は己の拳を大きく開けた口にねじ込む。 マルが顔を歪めてその手を引き出す。

その拳のようにガンウィンガーは、レッサーボガールの口の直前まで引き寄せら れている。 ミライは未だに気を失ったまま・・・

ガンウィンガーは大きくパカッと開いた口の中、喉元まで引っ張られている。 「くそう。俺たちの翼を、こんなヤツに餌にされてたまるかーーーっ!」

その声にハッと目を覚ますミライ。 「リュウさん」リュウの叫びを感じ取ったのか、飛び起きるとメビウスに変身だ !

オレンジの光にリュウは気がついた。「メビウス」 メビウスは怪獣に向かって走り出す。 ところがその時、レッサーボガールの背中から表皮と同質の、蛾のような羽根が 2枚がボムッと出現。

続いて、怪獣の背後の空間に赤黒い異次元への窓が開き、レッサーボガールはリ ュウを連れたまま、その空間へ消えようとしている。

「アアッ!」右腕を必死に伸ばすメビウス。 既に怪獣の巨体は異次元へ消え、触手に絡まったガンウィンガーのみが辛うじて 残っている。

バン・ヒロト救出に寸でのところで間に合わなかったことがメビウスの脳裏をよぎる。 「僕はもう、同じ悲しみを繰り返さない!」

メビウスの力強い腕が、既に先端部のみが三次元の地球に残されたガンウィンガ ーをガシッと掴む。

リュウと目を見合わせたメビウスは、ナイトメビュームブレードを出し、機体に 絡み付いた触手をスパッと切り裂く。

ガンウィンガー奪還成功!丁寧に触手を払ってやる。 地上で見ていたテツロウはホッと胸を撫で下ろす。が、すぐさまあっと驚きの表情に変わる。 一旦異次元に姿をくらましたレッサーボガールが、再び現れたのだ。

「ありがてえ。」 メビウスの手を静かに離れ旋回する機体から、リュウは言う。

メビウスはレッサーボガールと接近戦を交える。 キックを返されたが、怪獣の頭上で逆さに留まり両手で「あーーーー」パンチを連打! 続いて後方2回転し、背後から踵落とし。 ライトニングカウンターで羽根を攻撃!

だが、その後のキックやパンチはあまり効かず、迫るレッサーボガールのパック リ開けた口を両手で支えた。 身動きのとれなくなったメビウスの胴回りを、長い触手がシュルルと掴んだ。「はっ」リュウが声をあげる。

その触手はもがくメビウスを難なく地面と平行に空中に浮かばせ、激しく地面に 叩き付ける。 一回・・・二回・・・三回!カラータイマーが鳴りだした。 更に続く叩き付け攻撃。

リュウは叫んだ「くっそーー。どうすりゃいいんだ!?」 「直ぐにバインドだ!」「?・・・隊長!!」

サコミズがガンブースターで駆けつけてきたのだ。 「急げっ!」「GIG!」

ガンウィンガーの後部にガンローダー合体。 「ガンフェニックスストライカー、ファインドアップ!」 ガンブースターが更に上部に合体してフォーメーション完成!

「メビウスーーーッ!」リュウが叫び、地面に叩き付けられながらもメビウスは リュウを見る。 「待ってろよ。今度はオレが助ける番だァァァッ!」

サコミズが指示を出す「メテオール解禁!」 リュウが吼える「バーナード・オープン!」 金色の翼が機体の前・後部から出現し、ガンフェニックスストライカー全体が金 色に輝きを放つ。

リュウが咆哮する「インビィシブルテイクス、ディスチャラージ!」 機体全体から放たれたような凄まじい光が、レッサーボガールの巨大な口で炸裂 !大爆発して弱ったようだが、怪獣の身体は原型を保っている。 メビウスはこの間に解放された。

異次元へ退避しようとする怪獣に、メビュームシュートを撃ち込む。 爆発炎上してレッサーボガール殲滅成功。

メビウスはすくっと立ち上がってリュウを見る。 「よっしゃーーっ!」 「やったーーっ!」マリナはリュウと拳を合わせ、サコミズは笑顔で静かに頷く 。

コノミたちも歓喜に沸く「メビウスが勝ったーー!」 「ボガールの最期だーーっ!」テッペイは「やったーー」とバンザイだ! 「だったら、もう怪獣が出現することはないんだな。」トリヤマはテッペイに迫り、バンザイ状態のまま テッペイは仰け反りながら 「・・・だと思います。」 「やったーーっ!」トリヤマとマルは抱きつき喜び、テッペイは勢い余ってコノミに抱きつ こうとしたが・・突き飛ばされた。

テッペイ、トリヤマ、マルは輪をつくり肩を叩き歓喜する。 コノミはピョンピョン跳び上がる。

テツロウは大空を見上げていた。 飛行するガンフェニックス横に並んで飛行するメビウスはコックピットを見て頷き、リュ ウも軽く頷き返し二本の指を立て合図を送る。

静けさの戻ったバン邸の庭。 テツロウの後ろにミライが立っている。 テツロウは振り向かずに 「いつまでもその姿でいてもらうわけには、いかんだろうな?」そういった。

テツロウの見据える先には、仏壇に笑顔のヒロトと母親の写真が飾ってある。 「いいえ、いさせてください。この姿で。」テツロウが振り返った。 「僕はヒロトさんの分も生きます。」

テツロウはミライに近寄り、腕と後頭部に手をやり、自らの肩にそっとミライを抱き寄せ た。 「ありがとう。」ミライも目を閉じ、その想いを受け止める。 顔を上げたテツロウは続ける。

「だが、ヒロトなら私の胸の中で生きている。君は、君の人生を生きるんだ。」 「僕の人生を!?」真顔でミライが返し、テツロウは頷く。

バン邸の門の外では、GUYSメンバーたちが、おもおもいの立ち姿で待っていた。 一緒に門を出たサコミズ、ミサキ、ミライがバン・テツロウにお辞儀をし、テツ ロウは会釈を返す。

ミライはすぐさま少し離れて待つメンバーに駆け寄り、「皆さん、迎えに来てくれたんですか!? 」と嬉しそうだ。 ぬっと・・・笑顔で黙ってジョージがペンキの缶をミライに突き出す。 「アミーゴ、闘いに間に合わなかった罰だ。」

「ガンフェニックスのペイントが剥げたとこ、よろしくね!」マリナがいたずらっぽく笑う。 「・・・僕ひとりで!?」ミライはメンバーを見回す。 テッペイも笑うと「だって隊長は間に合ったんだよ。」 サコミズは照れくさそうに頭を掻き、ミサキ、テツロウも微笑み返す。 「だって俺たちの翼でしょ。みんなで塗りましょうよぉ(汗)」ミライが訴え る。

コノミがそんなミライに笑いながら「泣かないのー。またカレー作ってあげるから。」 「ホントですか!」目を輝かせるミライ。

それまで黙っていたリュウがおもむろに口を開く。 「お前、バン・ヒロトってヤツと・・・」 「宇宙で知り合ったんですって。」ミサキがすかさず助け舟を出す。 「ヒビノ君は、宇宙暮らしが長いんです。」 ジョージは酷く長く「フーーン」。

「それで、不思議ちゃんなとこがあるわけだ。なふっははっ・・・」リュウは ミライの肩を掴んで笑う。

ジョージが「宇宙暮らしか。」そういうとミライに背を向けて、後ろを向く。 コノミはミライに駆け寄る「ねえっ。宇宙ってどんなとこ?」 テッペイも興味深々だ「教えてくださいよ。」

テツロウが尋ねる「あれが、彼の地球での・・・?」 サコミズが優しく頷く「ええ。仲間です。」 サコミズとテツロウは、温かい目でメンバーを見つめる。

「早く欲しいなぁ。地球での友達が。」テツロウには、最期のあの瞬間に 息子が語った姿と、仲間と笑う笑顔のミライの姿がだぶってみえていた。

 

管理人のここが考察ポイント

今回の大きなポイントは、ウルトラマンが救えなかったと思われた命があったことだ。 我が身を省みず、人々のためにつくしたとして、必ずしも報われるわけでも、神は助けてくれるものではない。 伸ばした手から零れ落ちていったかのように思われたヒロトの命。

命の尊さを改めて認識できたのではないだろうか、残されたもののの悲しみ、 ずっと残されたものの心の中にしか生きられない命。

自己犠牲や身代わりによる死は、時にその悲しみのあまり、残されたものの時までも止めてしまうことがある。 そのとり残されたテツロウの心の時間を動かしたのが、メビウスとガイズの友情だった。

メビウスはメビウスであり、いくらウルトラマンであれ、ヒロトではない。 誰かの代わりなど誰もできないのである。

それがメビウスの優しさだと気づいていたテツロウでさえ、ヒロトの身代わりのような現れたメビウスを受けいられず。 そして、止まった時を動かすことはできなかった。 それでも、未来あるもののために、異星人であれ、幸あれと祈るテツロウの人の心には万感胸に迫るものがあった。

しかし、ヒロトは救えなかったが、メビウスがリュウを助け、仲間とともに地球のために命がけで、 闘う姿を見たテツロウの時間は動きだした。

息子の代わりはいないが、息子のような心ざしを継いだ命がここにあることに気が付いたのである。

止まった時計を小道具に、そして俳優の演技を主軸に、時間の経緯と心の変化がうまく演出されており、また、 イベントなどでは、こどもたちはメビウスが倒れただけで「メビウスー」と絶叫し本当に泣き出すこどもさえいる。

リュウを食おうとするボガールの醜悪な変化や迫力の緊張感は、ややもするとこどもに耐え切れないが、 そこにトリヤマの顔の演技でたゆみをつくることによって、ホッとする間を作っている。 見ているこどもたちに優しい行き届いた配慮だ。

誰かを救うために自らを犠牲にしたヒロト、ここで終わりにもできるが、 ここからがはじまるストーリーもあるのである。息子を失った悲しみから這い上がり、立ち上がろうとする親。

亡くなった息子の勇士を称えるだけでは終わらせず、 むしろタブーともいえる残された者の心情を綴って見せ、かけがえのない、たった一つの慈しみある命を表現。 大人であれば、子を失った悲しみと喪失感から 立ち上がる姿に、人としての本物のの愛や強さを感じ、深く感動するであろう。

そして、テツロウのそれを支えたのは、ウルトラマンメビウスとガイズのメンバーたちだった。 どんな涙も必ず乾く、そう、無限に続く光の絆があれば

大人とこどもが見ているということをきちんと踏まえて作られたこだわりの秀作といえる。

ウルトラマンメビウス 第22話「日々の未来」

高次元捕食獣 レッサーボガール 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザ マ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田 弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / トリヤマ補佐 官 石井愃一 / マル補佐官秘書 まいど 豊 / ミサキ ユキ 石川紗彩 / バン ヒロト 五十嵐隼士 / 寺井大介 / 田井和彦 / 仲条春香 / バン テツロウ 平泉 成

《スーツアクター》和田三四郎 / 寺井大介 《シリーズ構成・脚本》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《監督・特技監督 》村石宏實《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新 一 《企画》加藤直次 / 江藤直行 / 中村理一郎 《プロデューサー》岡崎剛之 / 渋谷浩康 / 山西太平 《制作プロデューサー》小山信行 《アソシエイトプロデ ューサー》小掛慎太郎 《ラインプロデューサー》中井光夫 《音楽プロデュー サー》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》倉持武弘 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也 《録音》楠本龍巳  《操演》上田健一 《助監督》石川 整 《装飾》遠藤雄一郎 《衣装》塚田亜矢 子 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》高橋誠喜 《編集》 矢船陽介 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊一 《VE》佐々木彰 司 《スクリプター》安川知里 《キャスティング》小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉 《操演》根岸 泉  《殺陣》岡野弘之 《助監督》日暮大幹 《スクリプター》長谷川幸子 《スチ ール》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン》丸山 浩 《 キャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクターメンテナン ス》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》池田 遼 《CGIモ ーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバイザー》早川 哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》上田和彦 / 小嶋律史 / 森 裕二 / 小杉淑美 / 田口小夜子 《CGIマネージャー》小田達哉 《CGI協力》 水石 徹 / 三宅 仁 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェクトア ニメーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト》高 田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD担 当》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《製 作デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川勝 一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤッ プ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照 明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラ プロ / スリーエススタジオ / 富士通乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジ ン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセ ンター / IMAGICA / クレッセント / Adobe Systems / Autodesk / ボーンデジタ ル / D.A.S.T / スタジオ・バックホーン / パンチライン / RECARO / 岡村製作 所 / ナナオ / フジコーワ工業 / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / CASIO / KENNETH COLE / Zoff

《撮影強力》共勝丸 / マルエーフェリー / 真鶴町 小倉石材店 / お鷹の道・真 姿の池湧水群 / 国分寺市ロケーションボックス

《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 /円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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