ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第25話「毒蛾のプログラム」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス 第25話「毒蛾のプログラム」レイゴ考察ソフトバージョン

ウルトラマンメビウス・ドラゴリー怪獣画像
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トリヤマがパキシムの分析画像を見ながら聞く「つまり・・・これは怪獣ではないと?」 マルが頷く「超獣です。補佐官」リュウはまったく顔も上げず、前回のヤプールとの闘いで、 ミライが撃ち込んで破損させたため新しくなった メモリーデスプレイに俺たちの炎を描き、熱心にそれに色を塗っていた。

テッペイが補足する。「ドキュメントTAC、レジストコード異次元人ヤプールに操られていた怪獣兵器です」 「ともあれ・・・そいつを叩かないと、また次々とそんなのが現れるという事かね?」トリヤマは拳をつくりそれを何度も 振り下ろしりながら サコミズの側に寄ってくる。「断定は出来ませんが・・・」サコミズはあいかわらず、 静かにコーヒーをかたむけながら頷いた。

アラーム音が鳴り、 ミサキの姿が映し出された。

「GUYS総本部から連絡です。異次元物理学のスペシャリストであるフジサワ博士が、こちらに向かっているそうです」 サコミズが驚く「フジサワ博士?!到着はいつ?」何故かサコミズの顔が引きつる。 ミサキが微笑む「一時間後です」

サコミズはやおら立ち上がった。「大変だぁ〜〜あ〜〜どうしようどうしよう・・・・」右往左往と走り回る。 サコミズの動転した動きで、 炎のエンブレムを描いていたリュウのイスにサコミズの体があたり、左手でもつリュウの筆がすっ飛ぶ。 赤い炎は下書きをはるか無残に飛び出した。

「あーーあーーあーー」リュウはメモリーデスプレイを持ち上げ目を大きく見開き絶叫。 サコミズは「どうしようどうしようーーー歯磨き・・・歯磨き」コーヒーの小瓶をもって、トリヤマたちをかき分け出て行く。 ミライが「歯磨き?」「隊長!」そしてメンバーも全員唖然と見送った。

ドラゴリーが突如、空をガラスが割れるかのように叩き壊して出現すると、のしのし歩き、 口からガッーーと光線を出し近くの工事現場を破壊する。

ガンフェニックスで駆けつけたミライが目を見張る。「これも超獣?」 「知ったことか!ガンフェニックス・スプリット!」リュウは叫ぶと ガンフェニックスは二つに分離する。すぐさま、ドラゴリーに攻撃を仕掛ける。

「ドキュメントTACに記録を確認」コノミがデータを叩き出す。 「蛾怪獣ドラゴリー」テッペイが頷く。 「一体この怪獣は何を?」トリヤマはデスプレイ指差す。 マルがすかさず訂正をする。「超獣です。補佐官」憮然とした表情の隠せないトリヤマ。

コノミが進み出てくると「この超獣・・・何か探してるみたい」 サコミズも「何かを探す?」立ち上がってコノミの側に来る。 コノミはコクリと頷いて「なんとなくそんな気がして」

ドラゴリーは目的の対象が発見できなかったのか、空の割れめに戻る。 リュウは「逃げる気か!」叫び、攻撃のビームを放つが、空の穴は何事もなかったように埋まり、何もない空をビームは素通りした。 「くっそー!」リュウは悔しがった。

ドラゴリーの去った工事現場に調査に訪れたジョージとマリナ。ジョージが落ちている燐粉を腰をかがめて拾う。 マリナが覗き込む「なに?」 ジョージは何度も手の中でそれをひっくり返しながら裏表を見る。「蛾か?」

chacottの靴音が廊下に響く、ステップを踏みしめて快活な音楽に軽やかに舞う。白い能面。 見た瞬間ミライは驚愕する。「ヤ・・・ヤプール!」 リュウは「ひゃぁぁ!」と叫ぶとトリヤマたちに飛びつく。

サコミズが笑う「フジサワ博士。冗談が過ぎますよ」 はずされた能面の下からフジサワ博士の笑顔が現れた。「ふふ・・・こんちゃーす」

コノミは思わずしゃがんだのか、ピンクのコンパクトをつかんだまま恐る恐る立ち上がり「この人が異次元物理学者の権威・・・」 テッペイも「飛び級飛び級で20才前に異次元物理学の博士号を得たという・・・」口を半開きにしたまま立ち上がる。

フジサワはあけすけに「フジサワ アサミでーす。君!リアクション大賞決定!はい、アメちゃん」 飴をカバンから抜き出すとリュウに差し出す。 リュウは呆然としながらも「・・・どうも」と受け取りそのまま口へ持っていくとむしゃっと飴をしゃぶる。

サコミズはうやうやしく微笑む「ともあれ、よくお越ししいただきました」 フジサワはサコミズに「相変わらずノーリアクション。少しは彼を見習ったら?サコちゃん。全然つまんない」 とからかうように笑いかける「はぁ・・・」 そして「ん??52分前に飲んだでしょ?」 狼狽するサコミズ「・・・磨いたし・・・クールガイズ・・ブクブク」 フジサワはずんずんとサコミズに詰め寄ると「私の前では絶対飲まないでよね、コーヒー」 サコミズは慌てて頷く「わかりました」

次にフジサワは「あーーあなたがウサギちゃんね?」 コノミに近寄る「はぁ・・・」 「で、君は怪獣博士?」 テッペイは短く頷く「は・・・」 「で、リアクション大賞の熱血くん。」リュウは飴をくわえたまま、にこやかにお辞儀をする。

「そして君が・・・」フジサワはミライのところでふいに表情を引き締めると、じっとミライを見つめた。 わずかに耐え切れず目線をはずすミライ。 サコミズが促す「博士、ヒビノミライです」 フジサワはふっと息を抜くように笑うと「理想に燃えるフシギちゃんね?」

トリヤマが「うえっへん!えっへん!」といかにもの存在誇示の咳払いをすると マルが進み出て「博士、この方が」すると フジサワは、にっこり笑うと「お人よしの補佐官秘書に、えべっさん補佐官」 トリヤマはすかさず鯛を小脇に抱くように「大漁!大漁!」

リュウが「えべっさまって、どういう事?」鋭く聞く。 テッペイが慌てる「僕は知りませんよ」 ミライは「ぼくもコノミさんも、全然わかんないです」聞かれてもない3人の身の潔白を証明しようとやっきになる。

フジサワが入り口に向き直りながら「後はクールな女ライダーに、情熱のストライカー」その時、 丁度ジョージとマリナが帰還した。 フジサワと目線があった瞬間ジョージの瞳にピンクのハートが出現。

ジョージは「アムロッソ惚れた」とぼーっと頬を染めて言う。 マリナ「はぁ〜?」は愕然とする。

フジサワは「やっぱりいい男だわーイカルガジョージ」と ジョージに歩み寄る「グラシアス。ようやく出会えた、運命の人に」ジョージは、手品のごとく1厘のバラの花をフジサワに渡す。

ミライの口がすこしつづ開き、ついにお口全開のあんぐり状態になる。 フジサワは「ありがと、ジョージ。私もあなたにプレゼントがあるの」うっとりとして受け取ると 「愛の詩集とか?」 「そんなようなものね。でも、あたしがいいって言うまで、絶対読んじゃダメよ?」 「約束します、運命の人」 「嬉しいわ、ジョージ。ジョージ、あなただけは私の事、アサミって呼んでもいいわ」 「グラシアス、セニョリータ・アサミ」

マリナが切れた「何をやってんの?」「いつまでも!」強引に二人の間に入ると引き離す。 「ともかく、用意してあるお部屋で休息を取られた方が」サコミズの言葉に ジョージはにっこりとして腕を差し出す。「エスコートします。セニョリータ」

マリナはすばやくジョージをどかすと「あ、あんたはダメ。」自らの胸に手をおいて「私がご案内します」 ジョージがにっこりと「はい、マリナ」マリナにプレゼントのようにグーに握った手を差し出す マリナの手のひらに乗せられたもの「ん?きゃぁぁーーー!」蜘蛛だった。

ジョージは「対マリナ兵器だ。お前にもうやるぞ」そう笑うと大きめのおもちゃの蜘蛛をリュウに投げてよこした。 リュウはにやりと蜘蛛を持ち上げると「ん?こいつはなかなか使えそうだな」 マリナはリュウの手から「んなもん、もらうな!」蜘蛛を払い落とす。

ジョージは「アディオス」とクルーに声をかけると二人はいちゃいちゃ出て行った。 マリナは「くっそーー」悔しげにわめくと、腹立ちまぎれにバイバイと手をふり、二人を見送るリュウの尻を 思いっきり後ろから蹴り上げる。 「うーーん」リュウの悲鳴となにやらボリボリというヤバイ音が。

「この真下に基地のサーバーシステムがあるの?」 プールサイドの端を歩く二人、足を止めたフジサワがジョージに尋ねる。 「・・・そう聞いてるけど。」ジョージも歩みを止める。

フジサワはパソコンツールを開き、【M.C】と印字された赤いカプセルをセットし 、何やらデータをダウンロードし始めた。 「完了!」 今度はそのカプセルをモバイルパッドにセットし、胸の前に構え、じっと見つめ る。 「プロテペガペロリンガ」 「・・・はっ!?」 「ふふっ、ちょっとしたおなじない」「はいっ、これであたしのこと撃って 。」

軽いノリで話すようにフジサワに、パッドを受け取りながらウンウン頷くジョ ージは 「・・・えっ!!?」驚いて大声をあげた。 「いいから!」 「ほらっ!」すこしジョージから離れて、一瞬両手を横に拡げ笑顔で待つフ ジサワ。

・・・一体何なんだ・・・しかめながら狙いを定め、目を背けてジョージはフジサワを撃つ。 カプセル先端から発射された光は、フジサワの身体全体をオレンジ色に包む。 顎をあげビクッとフジサワは何かに反応するが、すぐに収まった。

そのとき外では、紫と黒のモヤのようなものが、フェニックスネストに吸収され て行った。 フードを被った緑色の頭部が白く斑点状に点滅する。

ディレクションルームでは 「すごい、天才だ!」読み終えた資料をデスクにドサッと音を立ててテッペイが置いた。 「フジサワ博士は、超獣が出現する可能性について数種類の予測を立ててるんで すが、今回ドラゴリーが出現した理由は、この場所にあったんです!」 モニターを力強く指し示す。

「どういうことですか?」ミライの問いに、テッペイは続ける。 「ここは33年前、地球に接近してきた妖星ゴランを破壊する為の、ミサイル発射 基地があったんです。」 今はない、当時の建物が画面に浮かび上がる。

「だから、どういうことだ?」今度はリュウが尋ねる。 「ドラゴリーは、ミサイルを破壊する為に出現したのです。」 「レジストコード・メトロン星人ジュニアがその指揮を執り・・・」 「この時には怪獣も出現しています。レジストコード・巨大魚怪獣ムルチ。」

「超獣に怪獣に宇宙人・・・」映し出された過去の超獣らを見ながらミライはつ ぶやく。 「まさに祭りだなあ。」リュウがうめく。

「怪獣兵器としての超獣はそれぞれ、知性や能力が大きく違います。」 テッペイが補足していると、モニター画面が切り替わり、音楽が流れてきた・・ ・。

壁と色調を揃えた重厚なベージュの天蓋付きカーテン、その両脇にある観葉植物 とシェードランプ。

スローラテンのリズムに乗り、右から黒に白いドットに赤いフリルをあしらった フラメンコ衣装のフジサワ、左から白のシルクシャツに黒のズボン、胸元に赤い チーフのジョージが、フラメンコのステップと指を鳴らしながら現れた。

二人の姿が重なるころから、手首のスナップを利かせた踊りのリズムを崩すこと なく、フジサワとリュウは会話を交わす。

「それでね、ドラゴリーちゃんは、ちょっとお馬鹿な超獣なのでぇ、甦った後に33 年前のプログラムを実行しようとしちゃったわけ。」 「なるほどー。で、ヤプールは?」 「ヤプールは元々、複数の意識が集合したものだから・・」

デレクションルームではテッペイが静かに解説する。 「その、復讐の意志ともいうべきものが、ドラゴリーを甦らせ、命令を果たそう としているんです。」 「ドラゴリーからヤプールエネルギーが、あまり検出できなかったのはその為か 。」 メンバーたちは、サコミズを振り返るが、モニターから流れ出る音楽に 目を奪われる。

フジサワとジョージの踊りが佳境を迎え、カーテンを染める照明は情熱の赤。 ステージ全体が妖しく赤く、テンポの速まったフラメンコにフジサワは羽根扇子 を振り、ジョージは手打ち指打ち、二人の顔面に汗が滴り落ちる。

GUYSメンバーたちはお口あんぐり、「くつろいでる・・・」唖然とするコノミ。 興味津々に見つめる男性陣たち。

マルは笑顔で踊りを真似、トリヤマは手を打ち続けながら頬をぶるんぶるんと揺 らし、なんと顔でリズムを取る。腕真似のテッペイ、踵を上げながら全身でリズムを取るミライの肩に左手 を置くリュウも頭を揺らして踊っている。 サコミズはディレクションルームのみんなの様子に楽しそうだ。

その中で、じっと目の据わったような不機嫌な表情を浮かべるマリナ。

耳の横に真っ赤なバラを飾るカルメンよろしく、フジサワは恍惚の表情さえ浮か べ、一厘のバラを口にくわえたジョージの踊りはいよいよクライマックスへ。 ポーズを決め「オ・レ!」 わーっ、キャー、ヒューーッ、ブラボー! ディレクションルームが興奮の坩堝 に。

「こらーーーっ!」バーーンとマリナが机を叩く。一同瞬時にしーん。「ちょっと!」 「あんたもね・・・」モニターのジョージに詰め寄ると。 「何着替えてんのよっ!!」

「ンッ!?」ジョージが脂取り紙で頬の汗を拭き拭きカメラに近寄る。 「汗臭いのヤって言われちゃってね。」 反対の頬の汗を笑顔のフジサワが、トントン紙を当て吸い取る。 「クーーーッ!」ワナワナ ギリギリ 歯ぎしりを立てる勢いでマリナは拳を握 りしめる。

「博士、対ヤプール兵器があると聞いていますが?」サコミズが仕切りなおす。 「あぁ。」モニターから一旦姿を消したフジサワ。 戻ってきて白とグレーのツールを示す。

「対ヤプールメテオール。リージョンリストリクター。」 「リージョン・・・リストレクター?」リュウが復唱する。 「異次元からのゲートを塞いじゃうものね。この中にインストゥールしたメモリ ーディスプレイが入ってる。」「たーだし・・・」 「但し?」ジョージへ向き直るフジサワ。

「これは危険だからあたしが預かる。」 「どう危険なの?」 「水に浸けると、ドカーーーーン!!」ボックスをジョージの面前で持ち上げて示す。 「半径20キロは木っ端みじん。」

部屋のテーブルまで移動し、ツールを置き、フジサワは眼を閉じ精神集中し始め た。 「どうした?」ジョージが遮ると、彼の肩に両手を置き、フジサワは優しく言う 。 「あたし、一仕事しなきゃいけないの。悪いけど、ちょっと外で待ってて。」 「仕事!?セニュリータ、そん・・・」 「いい子だから♪」右手の人差し指でジョージの鼻先にツンと触れる。 「・・・うん!」にやけたジョージは素直に従った。

「パーパッパ パパパ・・・」廊下で鼻歌を歌い腰を振ってステップを踏みなが ら、上機嫌のジョージは、ふと思い出す。 自分の右指をゆーーっくり鼻に持っていきチョコン。 「アハッ♪」にやけるジョージだったが・・・

「キャーーーーーーーーッ!!」ゆるんだ空気を割って悲鳴が響く。 「アサミ!!」ドアを開けて部屋に飛び込む! ツール前には誰もいない。

シュルル 振り向くとソファ前の床に、ジーパンとシャツ、白衣に着替えを済ませたフジサ ワが気を失って横たわっていた。 その胸の上に体長2メートルほどの蛾が滞空し、ゆっくりと羽ばたいている。

「ワアッ!」すかさず側の電気スタンドを掴み、振り上げようとするジョージに気が付いた蛾 は大きく羽ばたくき凛分を書き散らしながら、黒と紫のモヤに姿を同化させた。 そのモヤは幾筋かの線を描きながら、フジサワの僅かに開いた口から、みるみる うちに吸収されていった。

「アサミ!」「大丈夫か、しっかりしろアサミ!」助け起こすジョージ。 ゆっくりと眼を開いたフジサワは、正面の空間をぼんやり見ていた様子だった。 しかし不敵にキッとジョージを睨み付ける。

するとフジサワの両眼がまぶしく光りスパークした後、ジョージの眉間を襲う。 ジョージは呻いて気絶した。

フェニックスネストの廊下を、リージョンリストリクターを大事そうに抱えたフ ジサワが歩いている・・・。 「ジョージさん、しっかりしてください!」 「ジョージ、どうしたの?」 駆けつけたミライとマリナがジョージを助けおこしていた。

「ジョージ、何があったの?」 ゆっくり起きあがったジョージに頭痛が走る。 「アサミの顔に蛾が・・・」 「! アサミは!?」ジョージの意識がハッキリ戻った。 「僕たちが来た時にはいませんでした。」 ジョージは二人を置いたまま走り出し、慌ててミライとマリナも続く。 「ジョージさんっ!」「ジョージ!!」

「ドキュメントTACに、ミサイルの発射を阻止する為に、基地内へメトロン星人Jr が進入したとの記録が残されています。」コノミが報告する。 「リージョンリストリクターの行方は?」 「見当たりません。フジサワ博士と共に消えました!」走りながらミライがサコミズに返答 する。 「とにかく、フジサワ博士を保護、リージョンリストリクターを回収するんだ! 」 「GIG!」マリナ、ミライ、ジョージは散らばって基地内を走り捜索する。

ジョージがふと立ち止まる。 「水に浸けると大爆・・・?・・・そうか!」 方向を変えると走った。

タイル壁に貼ってある黄色地に黒文字の【PHOENIX NEST】看板。 「アサミ!」アサミを見つけた。 「ミサイルはどこだ?」プールの向こう側に立つフジサワがジョージに尋ねる。

「・・・ヤプールか!?」 「ミサイルの発射を阻止し、妖星ゴランを地球に衝突させる。それが私の使命だ 。」 「そんなもの!・・・33年前のことだ。早くアサミを解放しろ!」 「この女の記憶を読んだ。この物質を水に浸ければ、この基地はミサイルもろと も爆発する。」 リージョンリストリクターの収まったケースを、プールの水の上で顔の高さまで掲げて見せる。 「やめろ!」 「ハハハハハッ!」高笑いした直後、ケースをプールのど真ん中に放 り投げる。

瞬時にジョージは、美しいフォームで水に飛び込ん だ。 ミライ、マリナも駆けつけた。 ジョージはプールの底で大きく平手をかく。 両腕を体側で揃えたとき、静かにグングン進んで行く。 スローモーションで空間を移動するケース。 ニヤリ笑うフジサワの姿のヤプール。水中を急ぐジョージ。

「キャー!」間に合わない!??マリナが悲鳴をあげた。 その次の瞬間、ジョージは泳ぎついたまま、トビウオのように水面から顔を出し 、全身でジャンプした。 ガシッ その右手が空中で見事ケースを掴んだ。

「よーし、やったーーー!」マリナ、ミライは歓喜する。 「ハアッ!?」 「ウワッ ウアァァァーーーッ」 計画の失敗に腹を立てたヤプールは、怒り狂うと今度はフジサワの口から出て行こうとして いる。

フジサワが立ったまま全身を硬直させ、両手がワナワナ震わせるように痙攣する と、紫と黒のモヤが筋を作りプール上部に立ちこめる。 出尽くすと黒いモヤは姿を消し、フジサワは気を失い崩れるように倒れる。

「ジョージさん!」 「パスするぜ、アミーゴ!」ケースをミライに投げ渡すジョージ。 「ジョージ、泳げたの?」 「それよりアサミを!」腰までを水に浸けたまま、ジョージが叫ぶ。

ハッとしたマリナは慌てて駆け寄る。 「フジサワ博士!」「博士、しっかり!大丈夫ですか!?」 マリナに助け起こされ、うっすらと意識を取り戻すフジサワ。

ジョージ、ミライも寄ってきたが、自分で上体を起こしてこう言った。 「はぁぁ。初めてのヤプール体験、想像以上に居心地悪かったーーー。」 膝をさすり、頭を押さえる。 「危ないところでした。ジョージさんが守りましたよ。」

「開けてみて。」 「・・・はい・・・」 恐る恐るミライがケースを開ける。

「わっ!」 三人は同時に仰け反った。 ピヨーン ピョンピョン・・・あっかんべーの、【ごくろうちゃん】と貼 ったバネ仕掛けで、人形の顔が飛び出すビックリ箱だったのだ。

「アハハハ・・・フェイクよ。ドラゴリーをおびき出す為のね。」 「フェイク?」ジョージも驚く。 思い出してみた。 「プロテペガペロリンガ」フジサワが呪文をかけていた。

「偽の記憶を植え付ける、メテオールの催眠装置。」 「自己催眠・・・?じゃあ、自分が狙われるとわかって?」フジサワ博士を指差す ジョージ。頷く博士。

「全てがドラゴリーをおびき出す作戦。しかも自らが囮になって。」 その様子をモニターで見ているテッペイが感心する。 「考えられない・・・」コノミは驚く。

「これからが勝負よ。自分が騙されたことを知ったドラゴリーは、実体を表す。 」 アサミ博士はみんなの気持ちをも引き締めるように言った。 「レジストコード・ドラゴリー」「研究棟近くに出現。」

「じゃあ、リージョンリストリクターは?」走りながらヘルメットをかぶるジョ ージがフジサワ博士に尋ねる。 「あなたが持ってるわ。」 「え?」 「愛の詩集。」 分厚い本を開けると、メモリーパッドとカプセルの形にくり抜かれていて、そこ に装置は収まっていた。

「任せたわよ、射撃の名手。」ジョージの肩をポンと叩く。 「オーケイ、セニョリータ!」

「ミライ、サイドへ廻れ!」「GIG!」 トライガーショットを抱えて走る3人。 ミライがサイドへ、そのままリュウとマリナが配置に付き、迫るドラゴリー正面 から攻撃を仕掛けた。

「うわーーーっ!」 ドラゴリーの眼から放つスパークが、ミライを弾き飛ばす。 ミライは起きあがり、メビウスに変身!

ドラゴリーとの接近戦。キックや投げ飛ばし攻撃。 メビウスもヒレのような腕ではたかれなが倒れながらも好戦する。 ドラゴリーを下に組み敷いたが、しかし、眼のスパークに胸部をやられ、状況は 逆転した。

「うっ、危険です!ドラゴリーは過去に怪獣ムルチを引き裂いています!」テッ ペイが叫ぶと 「させるかーーーーっ!」 フジサワと共に走りながら、ジョージが吠える。

ジョージはトライガーショットでドラゴリーの眉間を狙った。 命中してひるんだ隙に組み敷かれたメビウスは脱出に成功。 「よーし!」自らガッツポーズ。 「やるわね、アミーゴ」 「グラッシャス」またまたフジサワ博士に肩を軽く叩かれ、ジョージは礼を言った 。

メビウスが左の拳からライトニングカウンターを繰り出すと、ドラゴリーは弾け 飛び倒れた。

空がひび割れ始めた。 ジョージ、博士、リュウ、マリナが合流する。 「そろそろ出番よ。」 フジサワに促されジョージは肯き、メテオールショットを持ち超獣を見上げる。

ひび割れは大きくなり、空の一部が弾け飛び、異次元への扉が開く。 ドラゴリーが逃げようとしているらしい。 ドラゴリーには一声鳴くとそのまま空中に浮かびあ がり、真っ赤な空間めがけ上昇する。

「逃がさないわよ。メテオール、解禁!」 「GIG!」フジサワ博士が指令を出し、ジョージが力強く答える。 「リージョン、リージョンリストリクター!」 ジョージは、真っ赤に穴を開けた空に空間へ向かい、引き金を引く。 赤い空間は、光を放ちながら徐々に縮まり、間もなく空と同化した。

「異次元へのゲートを塞いだ!」 「メビウス、今よ!」テッペイとコノミが叫ぶ。

閉じたばかりの空はドラゴリーを跳ね返し、その身体はらせんを描いて落下、横 倒しに地面に叩き付けられた。 しかし間もなく起きあがったドラゴリーに、メビウスが最後の攻撃を仕掛ける。 メビウスはドラゴリーとの距離を保ったまま、その場で一回転、メビューム ナイトブレードで光の軌跡を作る。 無限大に描かれた光が、ブレードの最後の一振りでドラゴリーに向かって飛んで 行った。 ドラゴリーの腹部に命中し倒れ大爆発を起こし、殲滅は成功した。

「やったぜ!」 「やったー!」喜ぶマリナとリュウは、左、右、左、三段階の勝利のハイタッチ 。 「アシストも上手いのね、エースストライカー!」フジサワ博士の右手とジョージの左手、続いて、その右腕と左腕を軽くぶつけて勝利 の喜びを噛みしめる。 「シュワッ」メビウスは空へ飛んで行った。

フェニックスネスト、ディレクションルーム。 ジョージ一人が着席し、リュウ、マリナ、コノミ、ミライ、後方でテッペイが片 手もしくは両肘を付き、みな揃ってじっとジョージを見つめる。 リュウがくちびを切った「ジョージがまさか泳げたとはな。」

「アミーゴ。俺は泳げないなんて一度も言ったことはない。」 ミライが聞く「つまり、海がダメだと?」 コノミも不思議そうに首を傾げる「どーしてですか?」

「初めて海に行った時に、全身を電気クラゲに刺された。」 ジョージは遠くを見つめる目で、ゆっくり話す。

一同「はぁ!?」おもわずあきれて大声が出る。 「二度目はウツボに尻を噛まれ、三度目は鮫と遭遇した。」 「更に海の家で食った焼き貝で食あたり。その時思った・・・」 「海は俺を必要としてないのだとーーー」ジョージは手を突き出すように伸ばし、ジョージの世界ではすでに、 悲劇のハムレット状態である。

唖然、呆然と言葉を失い微動だにしない。カイズのメンバー。 ウィーーン、ドアが開き「ハ〜イ♪」手を振りながら、フジサワが入ってきた。 「アサミー、会いたかった〜♪」「あたしもよ、ジョージ♪」 二人は周囲に目もくれず、抱き合い、両頬を摺り合わせる。 付いた肘を離し、思いっきり引くメンバーたち。

「ジョージ、ヤプール退治が終わったら、休暇取るからデートしましょ。海底散 歩の。」 「デート?オッケー!」ニコニコのジョージだが 「・・・海底散歩?」ふと気づき、いきなりトーンダウン。 「ハーイ、サコちゃん、今回の資料!」「確かに。」サコミズはにっこりと笑い書類を受けとっ た。 「そ!あたしね、暇な時は、スキューバダイビング三昧で過ごすことにしてるの 。」ジョージに向き直り、幸せそうに語るフジサワ博士。 「ジョージと潜れるの、タ・ノ・シ・ミ♪」人差し指を立てジョージの前で振る 。

「じゃあまたね〜♪」マイペースを崩さないまま、大きく横に手を振り、フジサワ博士は帰って行った。 カイズのメンバーは無言でひたすらバイバイと手を振る。

「かっ海底散歩・・・海・・・食当たり・・・」 「わぁぁぁーーーあーーーー」ジョージは、頭を抱え、膝を付き嘆く。 「わーーーい」「やった!」飛び上がりバンザイ!ざまーみろとばかりなのか 湧き上がるGUYSメンバーであった。

管理人のここが考察ポイント

今回まず気になったのはジョージとフジサワが踊るフラメンコである。 実技指導までつけて、数分間踊るこの情熱的踊りが、意味しているものは何かということである。 フラメンコから、表現者は何を表現したかったのか・・。 無論ジョージのサッカー選手としてのスペインの設定の強調もさることながら、

フラメンコに一番象徴されるものとはなんであろうか? フラメンコをフラメンコとしたらしめるためには、3つの要素が必要であり、 それが三位一体でなければならないという。

三位一体のもの・・・何か一つが欠けても完成されないもの。 もし、ヤプール編がボガール編のように、ヤプール3部作として構成されているとすれば、 フラメンコの舞台構成は、サリーダ、頭の出の部分。 そして、歌ぶり。 最後にエスコビージャ(サパテアードの部分) で盛り上がり 引っ込むという 大まかな流れとなっているという。

だとすると女ヤプール編は構成から見るとこの歌ぶりの部分を担当したことになる。 そうであるならば、このあとにはヤプールによりさらなる盛り上がりがあるという予測を持つ。

三位一体を作品として表現するなら、一つの要素だけで作品が展開しているものではないのではないかということ。

フラメンコで、12拍子で1周するのは時計の周期であり、昼と夜 人生の時を刻むようであり、 それを円形で表すのが特徴であるという。これによって人の人生の時と流れを表し、

また、クツで床を打ち鳴らす音からは、 心が時空を越えて翔び上がったような、小宇宙を形成するという考えもある。 33年前の復讐という時空を超えたドラゴリーのインプットされた怨念にみちた報復を呼び込むさまを表す。

この演出は、恐るべきヤプールの魔の手の全体像を抽象的に暗示し、同時にジョージとフジサワを情熱的に魅力的に魅せるという 相乗効果を狙ったものではないだろうか?

ヤプールにはいくつかの独特の攻撃手法があり、その中に姿なき影の敵という部分がある。 ヤプールは意識の集合体だからである。

ドラゴリーはカイズからは、攻撃できない異次元という安全な場所を確保しておき、 そしていつでも出現してこちらを攻撃することが可能であった。

そのドラゴリーの異次元のゲートを閉じ、退路を絶ち、攻撃するためには、おびき出して、実体化される必要があった。 ヤプールが起すであろう憑依する計画を逆手に取って、自分をエサにおびき出し、退路を立つ。 フジサワは天才であった。

一人の女性物理学者とカイズの今回は、友情というより愛情による連携プレーは、 見事にヤプールの復讐心を打ちくだいた。復讐心を癒すものそれは愛なのかもしれない。

ジョージが海が苦手な理由が、泳げないことではなく、過去の散々のトラウマからであったようだが、 恐らく一つ一つの投げかけられた疑問や謎はこれからも、丹念に解き明かされていくであろう。

こうした細やかな謎や疑問が一つの大きなうねりを形成し、 まだ解き明かされない恐るべき敵に向かって視聴者の意識も集中されていくことだろ。

ウルトラマンメビウス 第25話「毒蛾のプログラム」

蛾超獣 ドラゴリー 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザ マ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田 弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / トリヤマ補佐 官 石井愃一 / マル補佐官秘書 まいど 豊 / ミサキ ユキ 石川紗彩 / フジサ ワ アサミ博士 石橋けい / フラメンコ指導 土井まさり

《スーツアクター》和田三四郎 / 岩田栄慶 / 相馬絢也 《シリーズ構成》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《脚本》川上英幸 《監 督・特技監督》北浦嗣巳 《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新一 《 企画》岡崎剛之 / 江藤直行 / 中村理一郎 《プロデューサー》岩佐芳弘 / 渋谷 浩康 / 山西太平 《制作プロデューサー》小山信行 《アソシエイトプロデュー サー》小掛慎太郎 《ラインプロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー 》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》倉持武弘 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也 《録音》岩岡勝徳  《操演》上田健一 《助監督》石川 整 《装飾》遠藤雄一郎 《衣装》塚田亜矢 子 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》高橋誠喜 《編集》 矢船陽介 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊一 《VE》佐々木彰 司 《スクリプター》森永恭子 《キャスティング》小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉 《操演》根岸 泉  《殺陣》岡野弘之 《助監督》日暮大幹 《スクリプター》森永恭子 《スチー ル》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン》丸山 浩 《キ ャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクターメンテナンス 》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》鶴田幸伸 《CGIモー ションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバイザー》早川哲 司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》大坪隆仁 / 上田和彦 / 森 裕二 / 小杉淑美 / 川口智久 《CGIマネージャー》小田達哉 《CGI協力》水 石 徹 / 三宅 仁 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェクトアニ メーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト》高田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD担当 》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《製作 デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川勝一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤッ プ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照 明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラ プロ / スリーエススタジオ / 富士通乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジ ン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセ ンター / IMAGICA / クレッセント / AdobeSystems / ボーンデジタル / D.A.S.T / スタジオ・バックホーン / パンチライン / RECARO / 岡村製作所 / ナナオ / レ イト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / CASIO / KENNETH COLE / Zoff / chacott

《撮影強力》味の素スタジアム / スポーツクラブルネサンス / リーガロイヤル ホテル東京 / 横須賀市上下水道局 / 横須賀市西浄化センター / 横須賀ロケサー ビス

《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 /円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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