ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第26話「明日への飛翔」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス 第26話「明日への飛翔」レイゴ考察ソフトバージョン

ウルトラマンメビウス・ベロクロン怪獣画像
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ミサキは総監に報告書を作成していた。ミサキの打つパソコンの文字は 「総監殿。南沢市に異次元のゲートが開き、CREW GUYS JAPANのアイハラリュウが拘束された時、 GUYSは彼の隊員服に付着していた異次元物質の構造サンプルを入手しました。

この構造を崩壊させる事が出来れば、ゲートを封鎖し、 以後超獣の侵入を半永久的に阻止する事が可能となります。 この理論を解明した異次元物理学の権威フジサワアサミ博士は、 新型メテオール、ディメンショナルディゾルバーの開発に着手。

これよりCREW GUYS JAPANは総力を挙げ超獣殲滅の最終ミッションの準備に入ります」 そう打ち込まれた。その文字をミサキは心の中で復唱していた。

フェニックスネスト フライトモード 変形シーケンス のシュミレーションを見るメンバーたち。 リムエレキングを抱いたコノミは声を上げた「すごーーい」 ミライも目を見張る「フェニックスネストにフライトモードがあったなんて・・・」 テッペイが感心する「道理で特殊な形してると思ったんだー」

トリヤマが満面笑みを浮かべて入ってきた「あはははははは・・・驚いたかね諸君!」 マリナはそんなトリヤマに不服そうに「でもこんな大事な事」 当然のごとくジョージも続く「どうして今まで黙ってたんだ?補佐官!!」

トリヤマは得意そうに首を左右に傾けながら、「フライトモードは、総本部と極々一部の人間のみが知る、 トップシークレット。」と唇にしーと指で戸を立てて、内緒のそぶり 「故に君たちにも、伏せられていた訳だ」トリヤマの口パクをそっくり真似するジョージ。

マルが深く同意する。「故に、補佐官も今日初めて知った訳です」 トリヤマは「うるさい!」ムットするが、ジョージは噴出しマリナは笑う。 リュウが確認するかのように「で、このフェニックスキャノンから新型メテオールをぶっ放して、 異次元のゲートを塞ぐんだな?」 それにテッペイが「そう、しかもディメンショナルディゾルバーの効果は、半永久的に続くんです」 と答える。

ミサキは作業中のアライソの側に行くと「アライソ整備長」声をかけた。 アライソはふと顔を上げる「ん?」 「GUYSクルーたちを、どうかよろしくお願いします」頭を下げるミサキ。 アライソは作業の手を止めることなく、「何ですか?急にあらたまって」と聞く。

「フライトモードがCREW GUYS JAPANの切り札です。今まで以上に危険の伴うミッションとなるでしょう。 クルーたちの命は・・・」 「私の腕にかかってるって事ですか?」アライソは、 ミサキの顔見て、「総監代行さん・・・ フェニックスネストを飛ばすの私の腕一つじゃない。パイロットの操縦技術だけでもない。 もっと大事なものがあるんじゃないんですか?」アライソがもう一度しっかり、ミサキの顔を見た。

「え・・・?」ミサキの表情を確かめると 「あ・・・失礼。これはあなたに言うまでもなかった。ははは・・・」アライソは声に出して笑った。

サコミズは改まったように「これがディメンショナルディゾルバーですか?」ディメンショナルディゾルバー 持ち上げて見る。 フジサワ博士が整理をしながら「そう・・・無くさないでよ、えべっさん補佐官みたいに」といたずらっぽく笑った。 サコミズは「いやぁ・・・」とすこし笑う。

フジサワは「さてと・・・私は息抜きに、ハワイでダイビングでもしてくるかなぁ〜〜」とせいせいしたかのように言うと サコミズが「どーーぞ、ごゆっくり」妙にホットしたように深く同意する。 フジサワはキッとすると「あ゛ー今、ホッとした?私がいなくなったら、 心置きなく美味しいエスプレッソが飲めるって、そう思ったんでしょうー?ねー」 サコミズは狼狽する。「そういう意味じゃ・・・」

フジサワはなおも「ねぇ、ちょっとー」サコミズに詰め寄る。バンザイの降参状態のサコミズ。 そこにミサキが訪ねてきた。「アサミ!」

フジサワは「あーーユキーー」と歓喜の声を上げると、サコミズをポイと後ろにどかす。 ミサキも喜ぶ「アサミー」 「久しぶりー!」 答えるフジサワ、 二人は手を取り合って、ぴょんぴょん飛ぶように喜ぶ。

研究施設前をゆっくり歩く3人。 ミサキがサコミズは説明するように「彼女に協力を仰いだのは、私なんです。メテオールの客員研究員として」 サコミズは「そういう関係でしたか」笑って頷く。 フジサワもニコニコしながら、「たまげたわよ、ユキが総監とはね」 「総監代行!」ミサキは即座に否定する。

「あの頃と変わっちゃったけどさ、変わらないわ、あんたの笑顔。そうだ、 今度会わせて、あんたにしか顔を見せないっていう、噂の総監。前に話してたよね。一番信頼出来る人だって」 フジサワはミサキの顔を覗き込むように笑いかける。サコミズが「あ・・・では、私はお先に」二人から離れ、 先に行こうと前に進み出たその時、

超獣の怪しい鳴き声が聞こえた。突如空を叩き割って、超獣ベロクロンが出現した。

サコミズが銃をすばやく抜くと叫ぶ「逃げてください!」そしてベロクロンめがけて走る。 ミサキは「サコミズ隊長ー!」叫ぶが。 サコミズは「急いで!」と叫び。

「リージョンリストリクター!」とベロクロンに向かって、リージョンリストリクターを撃ち込んだ。しかし、 「うわあああ!!」 辛くも、穴は塞いだが 、ベロクロンが放ったミサイルの衝撃にサコミズは倒れた。

ミサキが駆け寄る。 「サコミズ隊長!」 フジサワも「サコちゃん!」駆け寄る。 ミサキが抱き起こしたサコミズの口元からは鮮血が流れていた。目を開かないサコミズ。 ミサキは泣き叫ばんばかりだ。「サコミズ隊長!・・・隊長・・・隊長!」 フジサワも声をかけ続ける「サコちゃん・・・」

「隊長!」ドアを大きく開け、 病室に飛び込んで来たリュウとジョージを「リュウさん、静かに。」ミライが諫めた。

テッペイ、マリナ、コノミも既に室内にたたずんでいた。 「大丈夫なのか、隊長は。」ジョージの問に 「今は眠っているだけで、命に別条はないそうです。」テッペ イが答える。

リュウは無菌カーテンを少しあけ、酸素マスクをして静かに横たわ るサコミズの寝顔を確かめた。

フジサワ博士を含めるクルー全員が揃うものの、みな沈痛な面もちで着席し、重 苦しい空気の漂うディレクションルーム。

「ほら、こういう時こそ、補佐官がみんなを勇気付けないと。」 マルがトリヤマにヒソヒソと進言する。 「えっ!私が!?」なるほどと頷くと、マルと一緒にクルーの方に 向き直る。 「えぇーーっ、諸君!・・・」 ゆっくり顔を上げるメンバー。

「みんな!」鶴の一声のごとく発せられたフジサワの呼びかけに、一同の視線はすばやくフジサワに注がれた。 「敵の正体がわかったわ。」 サコミズを負傷させた相手がモニターに浮かび上がる。

「ドキュメントTAC及びZATに記録を確認。レジストコード・・・」コノミはテッペイを振り返った。 「ミサイル超獣・ベロクロン。」

「・・・ったくしつこいヤツ!」忌々しそうにフジサワが立ち上がる。 ミライが尋ねる「もしかして、ヤプールは、あそこがメテオールの研究施設だと知って・ ・・」 「多分ね。今度こそ本気で攻め込もうって魂胆よ。」 「次に来た時が勝負ってことか。」ジョージも立ち上がる。 フジサワは頷くと「次のゲートが開くまで、ざっと見積もって・・・あと4時間。」

「4時間!?」 「ぜっ全然時間ないじゃないですか!」ミライとテッペイも思わず立ち上がる。 「許せねぇ。今度現れやがったら、返り討ちにしてやる。隊長の敵討ち、俺たち が必ず果たす!」闘士の炎を燃やすリュウが静かに、しかし力強く言い放った。 「飛ばしましょう、僕らの力で、フェニックスネストを!」ミライがキラキラ光る目で、みんなを見回した。

しかしそこへ靴音を響かせてミサキが入って来た。 「フライトモードは起動できません。」 「ミサキさん?」「どうしてですか?」リュウとミライは驚いてミサキに詰め寄る。 「フライトモードの運用指揮権を持つ人物は、一人しかいません。」 コノミがはっとしたように「それってもしかして・・・」 「サコミズ隊長です。」ミサキの言葉にわずかにうなだれるミライとリュウ。 メンバー一同も息を呑み、困惑の表情が拡がる。 「現在、総本部が新たな作戦を立案中です。」

「ちょっと待った。」 腕組みした右手を立て、フジサワが口を挟む。 「ディメーショナル・ディゾルバーはフェニックスキャノンじゃないと・・・」 「照射は不可能よ。」

「じゃあ、どうすれば!?」リュウがデスクをドンと叩く。 「ベロクロンを野放しにしていいんスか、ミサキさん!?」 「アイハラくん、これは総本部の決定です。」ミサキはリュウに言い放つ。 「操縦だったら、俺がマスターするよ!」 ミサキは無言でリュウを一瞬見据えると、黙ってその場を去ろうとした。

リュウが「ミサキさん!」「待ってください!」ミライが、二人の声が交錯してミサキを呼び止める。 ミサキは足を止めたが、皆に背中を向けたままだ。

「隊長があんな目に遭って、ミサキさんは何とも思わないんですか!?」 「今、フライトモードを起動するのは、リスクが大きすぎるの。」ミサキは振り向かなかった。 「じゃあ、僕らはこのままやられるのを、待つしかないんですか!?」 ミライの訴えに一瞬の間を置き、振り返ったミサキは・・・

ミサキはにっこりと微笑んだ。 「大丈夫!あなた達は、私が死なせない!」 そして、クルーひとり一人を見回し、力強く言った 。 そして自分の言葉を噛みしめるよう肯き、ディレクションルームから出ていった 。 

為す術もなく、机を叩き、悔しがるリュウやミライたち。

コノミが不思議そうに尋ねる「ミサキさんって、どうしてあんなに冷静なのかな?」 フジサワは思い出すように「学生の頃からそうだったなぁ。いつだったか、あたしの親が病気で倒 れて凹んでた時も、あの子、笑顔で励ましてくれたんだよね。」

クルーの元を立ち去ったミサキは、真っ直ぐにサコミズの病室を訪ねていた。 意を決するかのように、真剣な表情でサコミズの寝顔を見守る。

「大丈夫だよ。きっと大丈夫だよ、って。そしたらあたし、何だか、あぁ・・・ 本当に大丈夫なんだって、そう思えて来ちゃってさ。あの笑顔は、誰よりもみん なのことを思っているから。だから今一番辛いのは、あの子自身なんじゃないか な。」 フジサワがミサキとの思い出話を穏やかに語る。

サコミズの様子を見に来たアライソにお辞儀するミサキ。

『あなたたちは、私が死なせない!』ミライの脳裏にふと、ミサキの言葉がよぎ る。 何かに思い当たったミライは無言で、ディレクションルームを飛び出した。

「おい、ミライ!・・・ミライ!」 ただならぬ様子にリュウが追いかけ、続いてGUYSクルーたちも従った。マル、そ してトリヤマも慌てて追いかける。

「ミサキさん!」立ち並んだCREW GUYSの中心で、ミライが呼びかける。側のアライソに軽く会釈をすると 「あなた一人で基地を飛ばすつもりですね。」そうミサキに問いかけた。 他のクルー一同ハッとして、息を呑む。

「この中でフライトモードの存在を知っていたのは、隊長の他にもう一人、ミサ キさんだけです。」 背を向けたミサキにクルーたちが詰め寄る。 ジョージが「まさか!?」 マリナも「隊長の代わりに!?」 そして、リュウが「そうなのか!?」

「静かにしろ!」アライソが厳しい表情で割って入った。 「ここには病人がいるんだ。」

廊下に出たミサキとクルーたち。 「確かに、フライトモードの運用指揮権は、私にも与えられています。サコミズ 隊長が倒れた今、私が・・・」

「ミサキさん!」ミライが遮る。 「一人で抱え込まないでください!」 「俺たち、隊長の敵を取りてえんだ!」 「それが、例えどんなにリスクを伴おうとも!」 「どんな罰でも受ける覚悟です!」 「僕たちなら大丈夫ですから。」 リュウ、ジョージ、マリナ、テッペイが口々にお願いしますと頭を下げ、ミサキへ訴えかける。

サコミズの傍には、アライソとコノミが残っていた。

「これは、俺たちの闘いなんだ!」口を閉ざしたままのミサキにリュウがもう一度訴える。 「おまえ達」アライソが後ろからクルーに歩み寄る。メンバーは一斉にアライソに振り返る。 「いつまでごちゃごちゃ言ってるんだ。」 「とっつぁん!」 「飛ばすのか・・・飛ばさないのか、ハッキリしろ!」

「飛ばせるんですね!?4時間以内に。」ミライが前に進み出る。 「出来ないことはない。だがなぁ、手が足りないんだよ。」 「よっしゃあ!何だってやってやる!」 「僕も手伝います!」「僕も!」「俺も!」「あたしも!」

「整備長!でも・・・」ミサキが当惑する。 「あなたは、いつも笑顔で、彼らの成長を見守って来た。あなたが信じられずに 、いま誰が!・・・彼らを信じてやるんです?」 クルーたちがミサキをまっすぐな視線で見つめている。 アライソはミサキにそういうと、優しく微笑んだ。 「わかりました。総本部には、私が進言します。」こぼれんばかりの笑顔の戻ったミサキ。 「ミサキさん」ミライが嬉しそうだ。

「これよりCREW GUYS JAPANは、超獣殲滅の最終ミッションの準備に入ります。」 「よっしゃー!」バンザイ、ガッツポーズする面々。リュウとマリナは拳をぶつ け合う。

「あらら?」フジサワがやってきた。トリヤマ、マルも続く。 「何なの、みんな。感動的に盛り上がっちゃって〜(笑)。」 「ほら、補佐官!《今ですよ、今》」マルがお膳立てする。 「諸君!」声の裏返ったトリヤマ。 「こんな言葉をご存知かな。“人間、万事、塞翁がう・・・(ま)”」 「みんな!」

コノミが大声をあげ、ただならぬ様子で廊下に飛び出して来た! 「隊長が!・・・」そういうとすぐに病室に駆け戻る。 緊張する一同。ミサキが走り、全員あとに続く。

「あぁっ!」「アイタタタ・・・」 テッペイが、進路に立っていたトリヤマをはね飛ばし、飛ばされたトリヤマはマルを 押し倒し尻モチを付く。 「あ〜あ〜あ〜あ!」フジサワが助け起こす。 「だから嫌だって言ったんだよぉ」トリヤマがマルに泣きつく。

サコミズは目を閉じたまま、苦痛の表情を浮かべながらも何かを言おうとしている 。 ベット脇に一列に並び、クルーは固唾を呑んで見守る。 緊張が張りつめる。

酸素マスクごしに、サコミズが懸命に言葉を発しようとしている。 「・・・ア・・アッ・・・」 「・・・ガイズ・・・」 「・・・サリー・・・ゴゥ・・・」

黙ったまま見せたクルーの笑顔はすぐに引き締まった。 「GIG!」起立し、声を揃えるクルー。笑顔がこぼれるミサキ。

作業服に着替えたクルーたちは準備にかかった。 アライソ指導の元、設計図片手に整備士たちに混じり、それぞれの仕事をこなす 。

『総監殿、あなたに初めてお会いした時、おっしゃっていた言葉の意味を、私は 今、噛みしめています。』 『あなたの笑顔が、誰かの希望になることもあるこの言葉を胸に、私は、彼 らに未来を託します。』

空を割ってべロクロンがついに姿を見せた。 クルーたちは作業途中、作業着で、手にヘルメットを抱えたまま、ディレクションルームに 飛び込んで来た。

「どっ、どう言うことかね?」トリヤマが慌てると、パネル前に着席していたフ ジサワが立ち上がった。 「敵を侮っていたわ!」「ベロクロンは第一陣に過ぎないのかも。」 「第一陣って?」マリナが噛みつくように言った。

「ヤプールの本格的な攻撃は、これからってことですか?」テッペイも慌て状況 を読もうとした。 「まだフェニックスネストの整備が終わってません!」とコノミ。 「落ち着け!」リュウが一喝する。

「今はヤツを倒すのが先決だ。」「ミサキさん!」 ミサキは黙って肯き、皆へ指令を出す。 「GUYS Sally Go!」 「GIG!」

ガンウィンガー、ガンローダー、ガンブースター発進! 隊服に着替えたリュウ、ジョージ、ミライ、マリナが乗り込む。 ミライが報告する。「ベロクロンは市街地に接近中!」 リュウが指示を出す。「3基で一気に叩くぞー!」 「GIG!」

ベロクロンの体表の赤い突起物から、おびただしい数のミサイルが一斉に発射さ れた。 複雑な弾道で、3つの機体それぞれを複数のミサイルが追いかける。 「危ない!」マリナがマリナが叫ぶ。 「ダメだ。ミサイルが多すぎる!」機体を垂直に急上昇させながらジョージが唸る 。

「諦めんな!ウィングレッドブラスター!」 「バリアブルパルサー!」ガンフェニックスのリュウが「うおぉお」「ふざけるなぁ」吼える。

リュウに続き、ガンローダーのミ ライ、そしてジョージも、息つく暇なく襲ってくるベロクロンのミサイルを避け ながら攻撃する。

その戦闘さなかの青空に、新たな赤いひび割れが生じた。 「あ、来た!とてつもなく巨大なエネルギーが。」 フェニックスネスト・ディレクションルームのモニターをフジサワが見つめ、ミ サキが心配そうに覗き込む。 「ヤプールエネルギー・・・」

「うぅぅぅーーーわぁぁぁぁぁーーーっ!」リュウがミサイルの雨の中、着弾の 閃光と煙をすり抜けながら、ベロクロンに向かい突っ込んでいく。 「みんな無茶しないで!」ミサキが叫んで、けん制する。 「ここは一旦ひいて、体制を立て直して!」

「ミサキさん、僕らを信じてください!」 ミライも同様に攻撃しながら返信した。 「このままでは・・・」衰えず追撃してくるベロクロンのミサイルの軌跡を追い ながら、ミサキは懸念する。

「これは、俺たちの闘いなんだ!」 「みんな思い出せ。自分が、俺たちが今、なんでここにいるのか!」 リュウの声は、フェニックスネストの整備を続ける格納庫のクルー全員に、スピ ーカーを通じて届いていた。

「僕らが・・・」テッペイの脳裏をよぎるのは---『母さん、人を待たせるの嫌い よ』怪我をした手にハンカチを巻き、自分をGUYSの仲間の元へ送り出してくれた 母の姿---

「ここにいる・・・意味。」---コノミは、GUYS入隊後に過ごした園児たちの笑顔 を---

「俺たちにはある!」---ジョージは流星シュートをする己の姿---

「守るべきものが!」---マリナはサーキット場でバイクを走らせ、カドクラの指 導を受ける自分---

---『君の、この星で日々の未来に幸多からんことを』ミライにはバン・テツロウの励 ましと涙---

「そうです。だから僕らは闘える!」 「みんな、諦めんな!」リュウが気合いを入れる。

「そうだ、怯むな・・・」その時声がした。皆がハッとする。 「君たちの想いは、ヤプールなんかに負けはしない。」

「隊長!!」マリナから笑顔がこぼれる。 「君たちが心をひとつにすれば、大切なものは、必ず守れる。」 サコミズは、息をつきながら、ひと言一言を噛みし めるように語りかける。 笑顔のサコミズの両端には、隊服に着替えたテッペイとコノミ。

「隊長!」ミライ、搭乗中の4人に笑顔がこぼれる。 「(よ)ーーっしゃあ!いくぜ、みんな。ファインドだぁ!」 「GIG!」

「ガンフェニックスストライカー・ファインドアップ!」 3機が合体する。

ミサキ、フジサワ、トリヤマ、マルはフェニックスネスト地下部の部屋に移動、 モニターのサコミズたち3人を見つめる。 種々の計器類やコンピューターを、職員らが忙しそうに管理している。

「ミサキさん、フライトモードの起動許可を。」 サコミズが上着のファスナーを締め直し、言った。 ミサキは笑顔で肯いたが、真顔で気を引き締めながら発令する。 「フライトモード、起動!」 「GIG!」

フライトモードが起動されました。 セントラルブロック、ジェネレーターブロック内のクルーは、 至急セーフティエリアに退去して下さい。館内にアナウンスが繰り返される。

サコミズ、テッペイ、コノミが所定の位置についた。 いつもの作戦室、ディレクションルームが、フライトモードでは操縦室になるのだ。

部下を退去させ、最後に残ったアライソも【TMITURU MC 449】ボックス内最後の 調整をしてその場を去った。

テッペイが発する「レッドブリッジ、前進」 コノミが応答する「セントラルブロック、発進位置へ遷移開始します。」 「主砲延伸開始」 「リフレクターブレード、ホールドアップ」 「リフトモーター、出力最大」 順次変形するフェニックスネストが独立する単体となり、底部から白煙を吐き出 しながら上昇し始めた。

「フェニックスネスト、発進!」 モニターに写った、4つのエンジンから白煙の帯がたなびく。

グングン上昇していくフェニックスネストを、ミサキは画面でいつまでも見送っ ている。 「サコちゃんならきっと大丈夫だよ。」 フジサワがミサキの右肩をポンと叩き、ミサキは黙って肯く。

一報、新たな空の割れ目は、ひび割れも拡がり、64、65・・・85と数値が上昇し ていく。 「予想以上のエネルギーね。」 フジサワの言葉に背筋を伸ばし、緊張の面もちのミサキ。 「心配するな。今の彼らなら、きっとやってくれます。」 アライソがミサキの左肩を叩く。深く肯くミサキ。

空に浮かび雄々しく、飛行する巨大な要塞、フェニックスネストの脇を通過したガンフェニック ストライカー。 悠々とした、数段大きな巨体にメンバーは思わず息を呑む。

「すごい!」ミライが感嘆の声を上げ、ジョージとマリナは感動するしかない。 「待ってたぜ、隊長!」リュウがサコミズの戦線復帰を喜んだ。

「巨大エネルギー体出現まで、あと1分!」 ベロクロンもそれに合わせてか、天に向かって口を開き、ロケットのようなミサ イルの姿が露わになった。

サコミズが指示を出す「メテオール解禁。発砲準備!」 「異次元ゲートを確認。ロックオン完了。距離600。射程圏内です。」 ひび割れて紫色に輝きだした中央部へ照準を合わせた。

と、その時、ベロクロンの口内のミサイルが上部から1、2発、間髪開けず下段か ら3、4発と、連続発射された!

「隊長!」コノミは大声を出しサコミズを振り返り、サコミズもハッと驚いて息 を呑む。 ミライも驚くが、直ぐさま反応し、上腕を立て構えたメビウスブレスが光る。

フェニックスネストの腹に、下方から白煙の帯を引いて迫り来る4本のミサイル。 そこへオレンジの光が煌めきながら走り、ミサイルを弾き、一気に爆発させた。 軌跡を描く光はそのままベロクロンの腹に衝突し、軽い爆発を起こす。 そしてそれはメビウスの姿となった。

「メビウス!」ミサキが胸に手を組んで、嬉しそうにそして、 「いいところで来てくれるじゃん!」フジサワが続く。

接近戦で意外にもメビウスを振り回し、剛腕を示したベロクロン。 叩く腕の腕力も優れていたが、 ベロクロンを巴投げし、上空に浮かんでキック!

「発砲準備完了!」「総員、反動に備えよ!」 「GIG」テッペイとコノミは、唇を噛み締めて慎重に返事を返した。

ベロクロンは新たに口から4基のミサイルを発射するが、メビウ スバリアではじき返し爆破させた。

空の割れ目中央部がクッキリとなり、空がいくつもの小さな破片となり、散った 。

「ディメンショナル・ディゾルバー!」 サコミズが号令を掛け、赤いボタンを押す。 フェニックスネスト中央主砲、フェニックスキャノンの周囲の空気が振動し、一旦吸い込まれ、そして一 気に噴射された。

白緑の強力な光の帯が空の割れ目に命中し、その中へ吸い込まれて行った。 一瞬暗い異次元を呈したが、そのまま割れ目は見る見る閉じ、元の何事もなかったかのよ うな青空に戻っていった。

「ウォォォッ!」ベロクロンはそんなバカなと言うように咆哮し 「お見事!」「ゲートは消滅したわ。」トリヤマとマルが喜び 、ミサキが誉め、笑顔で深く肯く。

「リュウ、メテオールだ!」サコミズの指令を受けたリュウ。 「バーナード・オープン」 数枚の羽根が増えたガンフェニックストライカー。 「インシブルフェイス、ディスチャージ!」

金色に輝くガンフェニックストライカーの形を模したかのような光線が、 ベロク ロンのボディに命中し、爆発! ダメージを与えたところへ、そのままメビュームシュートを放つ。 ベロクロンは後方にゆつくり、倒れながら、爆発炎上した。

「よっしゃーーーっ!」「よーーーし!」「やったーーー!」 クルーたちは空中で歓喜の雄叫びをあげる。 基地でもトリヤマ&マル、ミサキ&フジサワが喜び、アライソとミサキは握手を 交わす。

地上に降り立ったクルーたち。 「隊長〜!」ガンフェニックストライカーのリュウ、ジョージ、マリナが手を振 りながら、フェニックスネストの隊長、マリナ、テッペイへ駆け寄る。

ジョージはテッペイを抱き上げ振り回す。 マリナは悪ノリしたリュウに首に腕をまわされ、コノミに助けを求めたり、全員 が喜びを身体全体で現す。

「おーーーい!」少し遅れてミライも合流した。 サコミズも清々しい笑顔でみんなを見つめる。

『総監殿、 私は今日、最高のチームとミッションを共にしました。 あなたの笑顔が誰かの希望になる。 総監はそうおっしゃいましたね。 けれど私は気付いたのです。 彼らの存在が、私の笑顔の糧となっているということに。』

クルーたちは一斉に満面の笑みを浮かべて、青空に向かってジャンプした。 ミサキの私室。 観葉植物や鉢の花、壁には額縁に入ったリトグラフ。 洒落た脚のサイドテーブル上にある、銀のティーポットでお茶、 陶器のアロマテラピーなどが愉しめるようになっているようだ。

『彼らと共に、この地球を守れることを、私は誇りに思います。 CREW GUYS JAPAN 総監代行 ミサキ ユキ』

ペンシルストライプの白いシャツのミサキは、 タイピングし終えた文章を眺め、ふと思いついたのか、 文頭へカーソルを合わせた。

『総監殿』の前に『しんあいな・・・』カタカタ ---そこには、『親愛なる総監殿』と変換された。 そして視線を上げた空間に、にっこりと頬笑むのだった。

管理人のここが考察ポイント

 

ヤプールの象徴ともいえる姿たなき強大な力とガイズの総力戦を描いた1作。

人類の英知、歴代のウルトラマン戦士とともに培った未来への希望の兵器メテオール研究施設を ヤプールからの総攻撃から守るため。 異次元の入り口をフェニックスネストからの砲撃で、塞ぐという作戦を考案したガイズ総本部。

ヤプールの脅威が、数値や兵器のバージョンアップそして、 攻撃態勢の強化などで表現されているが、実際のヤプールの声やコンタクトを 強く感じることはない。

ヤプール3部作の特徴は、ヤプールの姿がどんどん我々の前から隠れていくことだ。 何故ヤプールはその姿を現さないのだ。 むしろそれは暗雲とした強い恐怖を感じる。

そして、ふさがれた異次元の扉、結果的に叩くことができなかったガイズに 力をためた、凶悪なヤプールの魔の手が襲い掛からんことを祈るばかりだ。

ガイズにはとにかくトップシークレットが多いようだ。 いくつかの重要事項が、ギリギリまで、隊員たちに秘密にされている理由とはいったいなんだあろうか 、 姿なき総監の存在も含めて興味が尽きない。

人類の側に秘密が多く、反面ウルトラマンメビウスの存在を認知している人間が複数いるという事実、 この時点で、すでに人類とウルトラマンの共存は、成立しているということになるのだろう。

今後は、ウルトラマンの存在を認めている人類との新たに歩む方向性を示唆していくのかもしれない。

今回の一つのテーマに笑顔があった。 ミサキはどんな時も微笑んでいた。辛い時も悲しいときも、誰かを励ますとき、そして自分自身を励ますときすらも 彼女は微笑んでいた。

たくさんある感情の中で、笑うという感情は、とても人間らしい優しい心が作り出す。 その想いはミサキの信念なのか、総監にある秘めた想いの表れなのか、それはミサキにしか分からなかったが、 ミサキの守りたかったものそれは、みんなの笑顔だったのかもしない。

誰かが誰かを信じる強い心。ヤプールの闇の攻撃に対抗できる力とは、愛するもの。守りたいものを持つ、 仲間の力を信じ抜く こと なのかもしれない。

最後に付け加えるなら、総監とはミサキが「親愛」を持つ相手、親愛とは親しみと愛情をもっていることである。 尊敬ではなく、敬愛でもない。 (敬愛とは尊敬し、親しみの心を持つこと)だとするとその姿はもう我々には、見えているのかもしれない。

完成度の高いドラマに連動するかのように演出、特撮部分にも深い底があるかのような目に見えない恐怖や それと反対に勇気と力強さをいっそう強調するようなスピード感と大きなスケールを表現する描写が見られ、 そのバランスがよりいっそう、作品の 総合力を高める形に なっていた。

ウルトラマンメビウス 第26話「明日への飛翔」

ミサイル超獣 ベロクロン 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザ マ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田 弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / トリヤマ補佐 官 石井愃一 / マル補佐官秘書 まいど 豊 / ミサキ ユキ 石川紗彩 / フジサ ワ アサミ博士 石橋けい / 早川プロダクション / アライソ 綿引勝彦 

《スーツアクター》岩田栄慶 / 末永博志

《シリーズ構成》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《脚本》小林雄次 《監 督・特技監督》北浦嗣巳 《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新一 《 企画》岡崎剛之 / 江藤直行 / 中村理一郎 《プロデューサー》岩佐芳弘 / 渋谷 浩康 / 山西太平 《制作プロデューサー》小山信行 《アソシエイトプロデュー サー》小掛慎太郎 《ラインプロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー 》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》倉持武弘 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也 《録音》岩岡勝徳  《操演》上田健一 《助監督》石川 整 《装飾》遠藤雄一郎 《衣装》塚田亜矢 子 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》高橋誠喜 《編集》 矢船陽介 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊一 《VE》佐々木彰 司 《スクリプター》森永恭子 《キャスティング》小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉 《操演》根岸 泉  《殺陣》岡野弘之 《助監督》日暮大幹 《スクリプター》森永恭子 《スチー ル》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン》丸山 浩 《キ ャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクターメンテナンス 》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》池田 遼 《CGIモー ションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバイザー》早川哲 司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》大坪隆仁 / 上田和彦 / 澤田元春 / 小嶋律史 / 森 裕二 《CGIマネージャー》小田達哉 《CGI協力》水石 徹 / 三宅 仁 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェクトアニメー ター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト》高田 淳  《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD担当》福 井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《製作デス ク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川勝一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤッ プ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照 明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラ プロ / スリーエススタジオ / 富士通乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジ ン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセ ンター / IMAGICA / クレッセント / AdobeSystems / ボーンデジタル / D.A.S.T / スタジオ・バックホーン / パンチライン / RECARO / 岡村製作所 / ナナオ / フ ジコーワ工業 / 前田製作所 / パラマウントベッド / 日本光電 / フクダ電子 / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / CASIO / KENNETH COLE / Zoff

《撮影強力》横須賀市上下水道局 / 横須賀市西浄化センター / 横須賀ロケサー ビス / 横浜市みなと赤十字病院 / 横浜フィルムコミッション

《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 /円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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