ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第28話「コノミの宝物」マニア考察】

ウルトラマンメビウス 第28話「コノミの宝物」マニア考察ハードバージョン

ウルトラマンメビウス第28話「コノミの宝物」 シリーズ構成:赤星 政尚、設定考証:谷崎あきら、 脚本:長谷川圭一、監督・特技監督:小中和哉*1、 円盤生物 ノーバ 登場*2

メビウスマニアライター棺桶のジョー

 GUYSのメンバーは食事中、「赤い幽霊」の話で盛り上がっていた*3。 最近、基地の近くに赤い幽霊が出ると言うのである。目撃者も一人や二人ではある。 テッペイ(内野謙太)は否定的だ。だが、ミライ(五十嵐隼人)は、コノミ(平田弥里)が何か考えているのを感じ、 話しかけると、最近リム(エレキング)が出ないと言う。リムを構成する高エネルギーには変化ない。

 そんな面々が幽霊の話をしていると、何と、目の前に、出た!…が、トンズラしたのは、 リュウ(仁科克基)、ジョージ(渡辺大輔)、マリナ(斉川あい)の3人で、おかげで?ミライ、 テッペイ、コノミが幽霊を追いかける始末である。テッペイは正体を見つけてやると言う*4。

ところが、基地の外で、コノミはある人物とぶつかってしまう。 それは、コノミの幼馴染み、スザキ・ジュン(河合龍之介)であった。二人は再会して喜び合う。 これを見て「運命の再会」と皆は感激する。だが、赤い幽霊は?

 コノミは、サコミズ(田中実)にモーニングコーヒーを入れるなど、ルンルンである。 スザキは、コノミが小学生時代、眼鏡のことでいじめられていたら、 助けてくれた人なのである*5。また、ウルトラマンの人形を持っていた*6。

「そのめがね、似合っているぜ。正義の味方は、ウソを付かない」と大切な宝物をくれた人という。 しかし、コノミは、父の転勤で分かれることになったものの、スザキは、追いかれてくれた、 がんばれと叫んで…ミライは感激し、ジョージは、「ウルトラマン好きに悪人なし」と言う。 で、コノミはこの夕方スザキとデートなのである。

メイクをマリナに、と頼むが、自信がないと言う。と言うことで、白羽の矢が立ったのは、 ミサキ・ユキ(石川紗彩)である。ちょうど午後空いていて、コノミのコーディネイトをすることになり、 ミライとともに出かけた。

いろいろ、衣装を選ぶコノミ、ほとんどコスプレ(?)、一番気に入った衣装なら、 眼鏡を外したほうが良いとミサキに言われるものの、今回は眼鏡がポイントである。

 …ところが、これをとんだ勘違いした人間がいた。マル秘書(まいど豊)である。 てっきり、赤い幽霊に関する極秘任務と思い込んでトリヤマ補佐官(石井愃一)に報告、 補佐官である自分を差し置いて、と勝手に憤慨し(笑)、自分たちも極秘で調べよう、となる。 で、デパートに出かけたコノミたちを追って、補佐官は易者(!)に、 マル秘書は何か、ルパン3世&次元大介の真似?をして3人を見るのである。

ところが、極秘任務でなく、ただ会話を楽しんでいるだけではないか、と訝っていると、この二人、そんなことをするから、 女子高生に痴漢と間違われて、おまわりさんに通報される始末、で、連行されたのは、補佐官でありました…(泣)。

エライ目にあった二人、どうして自分が痴漢に間違えられないといけないのか!と憤慨する補佐官であるが、 マル秘書はお化けを見たような顔である。その二人の前に、赤い幽霊が出現し、仲良くトンズラするのでありました(笑)*7。

 テッペイの調べで、幽霊の正体が分かったという。リム(エレキング)は、 電気の流れが変わり、赤い幽霊になったと言うことが分かる。 そして、マリナは写真週刊誌*8を読んでいる。と、当のスザキが出ているではないか!スザキは芸能人で、 傷害事件で逮捕されていたのである。穏やかではない!

 コノミはスザキと、バーでデートである。スザキは、眼鏡を外したほうがかわいいという。 コノミは、3年ほど前、スザキがテレビに出ているのを見ており、事件のことも知っていた。 酔っ払いに絡まれていた女性を助けようとしての、事件であるという。 しかし、スザキは、もう一度返り咲いてみせると言う。 で、スザキは、友人にGUYSのファンがいて、コノミに会いたいと言う友人がいると切り出され、コノミは快諾する。

その友人を連れて、スザキはフェニックスネストに来る。コノミは眼鏡を外している。が、 その友人を見て、ジョージが不審に思う。 どこかで見た顔…と思ったら、ジョージがGUYSに入った時、 とんだ捏造記事を書いたゴシップ週刊誌の記者・ヒルカワ(加藤厚成)*9である。

どんな汚い手でも使う男という。で、ジョージが詰め寄ると、スザキは正体を現した。 二人は例の傷害事件で会ったわけである。 全部、演技だったのである。芸能界でもう一度有名になるため、コノミを利用しようと考えていたのである。 スザキはコノミのことなど、忘れていたとうそぶく。

それを知りジョージがスザキに詰め寄ると、ヒルカワはカメラを向けた!ビデオカメラである。 GUYSのメンバーが暴力を振るう場面を撮影しようと、それが目的だったのである。 それを知り、ミライがスザキに詰め寄るが、スザキは「時間が経つと人は変わる」とうそぶく。

しかし、コノミは「時間が経っても変わらないものがある、思いでは宝物で、そのため保母になれ、 子供にもたくさん会えた」と言うが、ミライのエキサイトはヒルカワにビデオに撮られてしまい、 「良い場面が撮れた」と言われてしまう。ところが、ここで、東村山市に異常事態の発生であり、 メンバーは緊急出動する。スザキは、コノミに何か言いたげだが、コノミは「行かなくちゃ」と、眼鏡をかけて行く。

 ガンフェニックスで現地に到着すると、赤いガス雲が立ち込めている。そのガスを浴びて、 ガンフェニックスは飛行不能になる。 それを吐いていたのは円盤生物ノーバ、テッペイによると、アウト・オブ・ドキュメントにデータのある、 MAC壊滅後に出た宇宙怪獣であるという*10。

赤い幽霊の正体はノーバであった。止む無く地上戦で戦うメンバーだが、 ノーバの吐くガスに苦しめられる*16。ミライはメビウス(スーツアクター・和田三四郎)に変身し、 ノーバにパンチを浴びせ立ち向かうが、ノーバは突然消えてしまう。 このノーバは、マケットであったとテッペイが言う。

電気エネルギーで分身(囮)を作って、GUYSやメビウスをそちらにおびき寄せる作戦である*11。 そして、本物のノーバは基地付近に出現した。基地破壊が狙いである。 メビウスは、テレポーテーションで基地に瞬間移動して戦うが、ノーバは円盤状になり、メビウスを攻撃する。 さらに、瞬間移動はかなりの負担を強いて、エネルギーを消費し、カラータイマーが点滅を始める*12。

消耗させるのがノーバの狙いだったわけだ。メビウスを見て、スザキは感慨深げである。 メビウスが危ない、と、コノミは飛び出し、ミクラスを出動させてメビウスを援護する (BGM:ワンダバGUYS、カラオケ)。

しかし、ノーバの攻撃の魔手は、ミクラスだけでなくコノミにも伸びてしまう。 だが、それを見ていたスザキは、「がんばれ、アマガイ、負けるな」とコノミを応援する。 子供の頃を思い出すコノミ、ミクラスに声援を送って、その間にミクラスは反撃し (BGM:ワンダバGUYS、歌入り)*13、ノーバに電撃で打撃を与え、形勢逆転である。

ミクラスは1分の持ち時間を終えてメビウスにタッチし、メビウスはメビュームシュートでノーバを倒した。 そして、コノミにサム・アップし*14、「シュワッ!」と去って行った。

 コノミに、スザキはディスクを送ってきた。ヒルカワがミライたちの行動を映したディスクを返したのである。 手紙も、である。「夢をあきらめずに、もう一度やる、その勇気を君がくれたから。そのめがね、似合っているぜ」と。 スザキは、コノミの姿勢に、心を改めていた。 それに感激するミライ、が、その背後にウルトラサインが出る*15。光の国への帰還命令、 という文言に、ミライは戦慄した…

マニア的突っ込み

*1:脚本:長谷川圭一、演出:小中和哉のコンビは、ウルトラマンダイナ第1話で初めて組まれ、その後、ウルトラの劇場版4作を行い、さらに、ジャンルを越えて2003年版の鉄腕アトム(アニメ)でもタッグを組んでいました。テレビシリーズでは、ネクサス12話以来のコンビです。

*2:円盤生物は、ウルトラマンレオ第4クールに登場した特異な怪獣で、当初はスーツアクターの入る着ぐるみではなく、円盤をピアノ線で吊る「操演」による怪獣の表現で、これは当時の特撮ではかなり難しいものであり、それを、レオ末期の、予算も限られた状態でやり大きな成果を上げました。レオはDVDも出ました。円盤生物の出るシリーズは11月にDVDになりますが、特に初期の円盤生物を見てください。CGなしで、あそこまでやっていたのです(ちなみに、今回のノーバ、円盤の表現はCGでしょう)。

*3:幽霊ネタは、平成のウルトラでは珍しいです。昭和では、帰マンの「冬の怪奇シリーズ」、レオの「夏の怪奇シリーズ」など、怪奇ネタがよくありました。これのルーツは、刑事ものの草分けである「ザ・ガードマン」にて、何かあると「幽霊シリーズ」というネタがいろいろ出ていたのです。その影響です。しかし、21世紀にもなり、幽霊、お化けを信じることもなくなりました。時代は変わりました。

*4:これは面白いものです。お化けが出たら、屈強な3人が逃げて文科系?の3人が残る…パワーはあっても、お化けは怖い、と言うのは、じゃりん子チエのチエちゃんなど、昭和にはよくあるネタなのです。テッペイはお化けにも関心があるのですね。典型的な怪獣マニアだ…

*5:コノミはメガネキャラですが、ヒーローものでメガネのキャラとは、実は珍しいのです。ウルトラでもライダーでも、あまり思いつきません。もっとも、日本人の過半数はメガネをかけていて、しかしドラマではメガネキャラが珍しい、というのが実情です。

(脱線)海外での日本人と言うと、メガネをかけて、カメラを持っている、というイメージが、30〜40年前はあったのです。この理由は、昭和天皇が世界で一番有名な日本人で、眼鏡をかけていたため、海外の人は日本人=メガネ、というイメージを持ったそうです。

*6:このウルトラマンのソフビ、どう見ても80年代以降に出たものではなく、第1,2次ブームで発売されていたマルザン、ブルマアクのものです(実物はその複製(レプリカ)でしょう、これの小さいものは、数年前ガチャポンフィギュアになりました)。今日標準のソフビでなく、懐かしのものを出してくるとは、スタッフもマニアックです。

*7:毎度お馴染みトリヤマ&マルのギャグ、こういう、話を勘違いして暴走、と言うのは、吉本新喜劇の定番でもあります。扮装ならぬコスプレして、見張ろうとしておまわりさんに…というのも良く吉本で見ます。いやホント、トリヤマ補佐官、池乃めだか師匠の2代目、ここまで、ギャグを大真面目に出来るキャラはエライとしか言いようがありません(?)。

*8:写真週刊誌は、81年に創刊されたフォーカスが最初で、80年代の最盛期には5誌もありましたが、今や2誌のみです。それはともかく、昭和のウルトラ時代には、写真週刊誌はなかったわけで、こういう形でのネタの入れ方は面白いと思いました。ちなみに、週刊誌の記者がヒーローというものには、昭和の特撮にはありました。仮面ライダー2号(昭和)の本職はカメラマンでした。

*9:ゴシップ週刊誌の記者、という設定も、昭和の刑事ものに多かった設定で、ウルトラでは珍しいと思います。

*10:ノーバは、円盤生物でも今は評価が高いですが、放映当時は、「てるてる坊主を怪獣にしただけ」 とエライヒンシュクものだったのです。しかし、オリジナルより着ぐるみは数段良くなっています。オリジナルでは、子供を人質に取る卑怯な奴でした。  なお、ノーバは、ネットを検索したらフィギュア化されていまして、驚きました。

*11:こういう囮作戦の元祖はバルタン2代目ですが、やり方が汚いのはオリジナルと同じ、ヤプールと言い、円盤生物と言い、昭和ウルトラのレギュラー悪役は結構卑劣な奴が多いのです。

*12:テレポーテーションが危険なのは、初代マン「科特隊宇宙へ」で、初代マンがR惑星から地球へテレポートするのに、寿命が著しく縮むという設定があり、さらに、エネルギーも消耗し、ティガ「眠りの美女」では、変身→テレポートしたら、いきなりカラータイマーが鳴っていました。反面、セブンは、「ひとりぼっちの地球人」でテレポートしたのに、エネルギーはあまり使っていません。セブンは、他のウルトラヒーローと、エネルギーのシステムが異なると言うのが、かつてのマニアの解釈でした。

*13:ワンダバが挿入歌になっているのは、エースのTAC、ダイナのスーパーGUTSが前例としてあるものの、そのワンダバの歌入りが、ウルトラヒーローの戦闘テーマに使われたのは、これが初めてです。ワンダバは、帰マンのMATのテーマがよくウルトラマンの戦闘テーマに使用されていたものの、その後は特捜チームのテーマ専用になっており、この音楽の使い方も、帰マンを意識したものでしょう。

*14:サム・アップと言うと、仮面ライダークウガでの使用が有名ですが、ウルトラでも、ティガ「悪魔の審判」で、勝利したティガがサム・アップするシーンがありました。ヒーローの、もうひとつのVサインです。

*15:ウルトラサインの登場は、80には確か出ていなかったので、テレビシリーズではレオ以来となります。

(脱線)ウルトラサインの元祖は、実はキャプテン・ウルトラ(東映が初代マンとセブンの間に製作した特撮もの)で、この作品ではピンチになったら銃で「ウルトラサイン」を放つとキャプテン・ウルトラが来てくれるという設定であり、それがエース以降のウルトラに応用されたのです。このキャプテン・ウルトラ、ウルトラと名が付くものの、東映製作のため、ウルトラシリーズからは除外されていますが、マニアによってはウルトラにカウントする人もいます。

*16:おまけに、この手の、毒ガス攻撃と言う描写をテレビで見るのは久々です。この、ガスをまいて人が苦しむ描写はこれも規制対象なのか、ウルトラマンパワードで、毒ガス怪獣ケムラーなのに、ガスで人が苦しむシーンはありませんでした。最近の描写規制は、私にはやり過ぎと思われますが(私たちの世代で、規制された描写を見て悪影響などなかったです)、しかしルールはルール、それを守っての、スタッフの工夫に脱帽です。

マニア考証

(1) 青春ドラマについて
 今回は、コノミと幼馴染みのスザキ・ジュンの絡みで話が進みましたが、この手の話は、第2次ウルトラで定番となり、そして、同時期の太陽にほえろ!などの青春刑事もので定着した、70年代的な展開です(ちなみに、ウルトラ脚本の一人、市川森一さんは、太陽にほえろ!の脚本も書いていました)。この手の展開は、平成、21世紀では刑事ドラマも少なくなり、珍しいものですが、現実にはよくある話で、一種の教育ドラマであり、こういうものを見て、人間の規範を学んだものとして、感慨深いです。ヒーローは、あらゆる意味で子供たちの規範であったのです。

(2) 円盤生物の登場
 円盤生物は、レオ末期のユニークな怪獣として記憶されています。もっとも、レオと言う作品の評価が低く(さらには、第2次ウルトラ作品の評価も、20数年前はかなり低かったです。第2次シリーズ再評価のきっかけは、2002年の帰マンDVD化までなかったのかも知れません)、円盤生物の人気もマニアものでしたが、ともかく、MACを全滅させたシルバーブルーメを筆頭に、凶暴、悪どい連中ばかりで、それを基盤としたドラマもユニークでした。レオも、関西では、完全な形では再放送されていないため(一度再放送されたものの、話をかなり飛ばされました(泣))、私も今度、DVDを見てもう一度研究して見たいです。皆さんも、一度見てください。

(3) ウルトラマン好きに悪人なし
 これは、ウルトラマンのファンへの、これは製作者からの感謝でもあるでしょう。 ウルトラマンでは、人間に、根っからの悪人はいないという基本理念があります。 しかし、同じ円谷の製作した、怪奇大作戦では、性悪説に立ったものです。 ウルトラでも、「故郷は地球」、「怪獣使いと少年」などに反映されています。 どちらもウルトラです。それを見て、判断するのはファンです。

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