ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第29話「別れの日」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス 第29話「別れの日」レイゴ考察ソフトバージョン

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黄金の光が雲のように流れる光の渦の中、 メビウスが当惑したように神々しく、並んで立つウルトラの父とウルトラの母に問う「どうして地球にいてはダメなんです?」 ウルトラの父は両手の拳を握り締めて、おもむろにメビウスに伝えた「地球には途方も無い脅威が迫りつつある」 メビウスは納得できない「だったらなおさら、僕が地球にいなければ!」 ウルトラの母が静かに首を左右にふる「いいえ・・・既に兄弟の一人が地球に向かっています。あなたは闘ってはなりません。」 メビウスは食い下がる「どうしてなんですか?!」

父は重い口を開く「今の君が臨めば、命を落とすのは確実だ」ウルトラの父のその言葉にメビウスは、 うなだれ、じっとしばし考えそしてきっぱりと顔を上げた。

「構いません。地球のために闘えるなら僕の命なんて!」 「メビウス!」厳しい口調で父の叱責がメビウスに飛んだ。

深夜、サコミズとミライの残る薄暗いディレクションルーム。ミライは、青い石を手に取りただ、じっと見つめていた。 ミライの様子を、そっと黙って見守っていたサコミズは、その姿にいたたまれないように視線をそらす。

ミライが、ジョージの席に視線を投げかける、誰もいないはずの空間。いないはずのジョージの笑顔が見える。 サッカーボールを持て遊びながら、目が合うとニッっとミライに向かって微笑む。

マリナとコノミの席に視線をずらす。 マリナは鏡を真剣に見ながらお洒落に余念が無い。 コノミはリムエレキングの手をとり遊んでいる姿が浮かぶ。

今度は、リュウとテッペイの席を見る、リュウがファイヤーエンブレムの入ったメモリーディスプレイを鼻歌まじりに まっ白いハンカチで磨き上げ、テッペイは怪獣のフィギュアを見ながら怪獣のデータを覗き込み、熱心に研究中。 そんな姿が浮かんで消えた。

重く沈んでいるミライの肩に、サコミズが黙ってそっと手を置く、サコミズの手を見つめ、 ミライはサコミズの胸元までやや視線をあげた。しかしそのサコミズと顔を合わせることなく元の位置に視線を戻すミライ。 サコミズもミライと視線を合わせることはなく上を見上げたまま、いくとどなくミライの肩を叩いた。

めったにお目にかかれない、クゼ家の豪邸 「テッペイさんー。朝ごはん、出来ましたわよー」クゼケイコの声に、 テッペイが白黒の大きなしまのパジャマに、同系のナイトキャップを被り青いタオルを片手に 「おはようございます」と寝不足気味のやや不機嫌そうな表情で現れた。

ケイコは「おはよ・・・」と返しながら、朝食を食べる手を休めない。 給仕の手が「どうぞ」とテッペイの席に料理を運ぶ。

メニューを見たテッペイは、 「朝からカレーって・・・」唖然として給仕に顔を上げ「おっ!ミライくん・・・なんでボクんちに!?」驚いて立ち上がった。

ミライは嬉しそうに「GUYSと大学の両立って、大変そうじゃないですか?」うんうんと頷くテッペイ 「だからテッペイさんにスタミナをつけてもらおうと思って」満面笑みのミライにつられてテッペイも笑うが 「だからって、朝からカレーは・・・」お腹を押さえて当惑する。

黙ってカレーを食べ続けていたケイコが 「テッペイさん。黙ってお食べなさい。ものすごく美味しいんですのよ、ミライさんのカレー」 メガネを持ち上げてクゼケイコはにっこりと微笑んだ。

しかしテッペイは「でも朝からカレーって」と嘆き 「・・・あ、ミライくん、料理なんて出来たんだ?」ふと気が付いて驚きの顔を向ける。 ミライは「テッペイさんにご馳走しようと思って覚えたんです。」と笑顔を見せ。 「それから・・・・これ」それは、木製の角型をしていて炎が描かれており、 銀色の筒型のチャームがついていた。 チャームは、筒の先端が斜めにカットされていて、透明な筒型のカバーで保護されている。 差し出されたお守りは、この角とチャームの二つをつけたペンダントになっていた。それをテッペイに手渡した。

テッペイは不思議そうに「お守り?・・・しかも手作り」 ミライは「立派なお医者さんになってくださいね」と言葉を添える。 きよっとんとするテッペイは「う・・・うん。ありがと」とまじまじとミライを見つめて答えた。

赤い火の玉は猛烈な勢いで地球に近づいてきていた。

コノミのディスクの上のウサギの絵のついた手書きの行動表には、本日のコノミのスケジュールが みやま保育園であることを告げていた。

ミライの声が、みやま保育園の廊下にまで響く 「よし、みんなーー折り紙やるよーー」スリッパをぴょーんと廊下に投げ出してから、それをつっかけるコノミ。

子どもたちの声を揃えた嬉しそうな声も聞こえる「はーい」 ミライも続ける「はーい、じゃぁみんな、折り紙一枚ずつ持ってー」 子どもの無邪気な声が伝わる「ミライ先生、何折るの?」 足早に教室に近づくが コノミは「ミライ・・・先生?」ふと首をかしげた。

ミライは「みんな、出来たかな?」こどもたちを見回す。 子どもは「は−い」とまた声を揃え、 ミライの「じゃぁ出来た子、先生のとこに見せに来て!」の言葉にミライの周りに集まってくる。 「おーーこれ何?手裏剣?うまいねー」 子どもは一生懸命、制作作品の説明をする。「これ、ミサイル」「潜水艦なんだー」 ミライはこどもたちの表情を確かめながら「みんな飛行機大好きだねー」

コノミが教室を覗き込む「ミライくん?」 ミライはこどもと語らいながら「あ・・・ヨット作ったの?」 コノミと視線が合う。

子どもたちは「ミライ先生、さようならー」 と帰っていく。ミライも「はい、さようならーー」と手をふる。 「バイバーイ、コノミ先生、さようならー」 コノミは嬉しそうに「さようなら、また来るからねー」手をふる。 ミライも頷きながら「はい、バイバイ」とこどもたちの帰路を見送る。

お迎えに遅れてきた親が「ヒカリー」ミライに抱きかかえられていた少女に駆け寄る。 ミライは少女に笑いかける「お母さん、来たよ」 コノミも「お母さん来たーーこんにちは」と保護者と挨拶を交わす。 親は二人に「こんにちは」と笑顔だ。 「こんにちは」 「ありがとうございましたー」

コノミは名残惜しそうな少女に「ヒカリちゃん、ミライ先生ならまた来てくれるから・・・ねっ!」と声をかける。 ミライはそれには口を一文字に結び答えなかった。 ヒカリはミライに「バイバイ」と手をふる。 「バイバイ」「バイバイ」ミライとコノミはヒカリに手を振り続ける。

コノミはミライに向き直ると 「ミライくん、前に来た時は、すごい苦労してたけど、今日はどうしたの?私より先生っぽかったよ」 ミライは答える「勉強したんです。コノミさんを手伝おうと思って」 コノミは「えっ・・・」とミライの顔を見上げる。

ミライは「それと・・・これ、お守りです」とりだすと木製でウサギの形をしており、 ウサギは首の後ろに水色のリボンをつけている。 ウサギは炎が描かれた木の実を抱いており、ペンダントになっている。 それをコノミに手渡した。 コノミはにこにこと微笑んだ。「ありがとう。大事にするね」

赤い火の玉は刻々と近づいていた。 不思議そうにディスクにお守りを置くコノミ。

カドクラサーキットに姿を見せたマリナは 「ミライくん!?」驚いて声を上げる。 しゃがんで、マリナのバイクを整備していたミライが立ち上がる。

カドクラが「自分の整備したマシンで、お前に世界グランプリに出場して欲しいんだと」と嬉しそうにマリナに説明する。 マリナは「うん・・・がんばるね」頷く。

カドクラは「どうだ、ぼちぼちGUYS辞めて戻って来るか?こないだ弟くんたちが言ってたぞ。 姉貴、グランプリの中継、夢中で見てたってな」にやりとマリナに問いかける。 マリナは「バレたか・・・」顔をカドクラからそむけて、小さく舌をだしてみせる。

ミライが「ひょっとして、ボクがGUYSに誘ったから、マリナさん回り道をしてるんじゃないんですか?」不安そうに マリナに聞く。 マリナはにっこり笑うと「そんな事ないよ。逆にGUYSに誘ってくれたことを、ありがとうって言いたいくらい」 ミライを見つめる。 「えっ!」

「今はバイクから離れちゃってるけど、これは回り道なんかじゃない。GUYSでがんばりきれば、 この先どんな事に対しても、私はがんばれるって思うもの」 マリナの言葉にミライは「だったら・・・・これ。お守りです。がんばってくださいね」

マリナへのお守りは、 炎が描かれた青い石と赤い羽根、そして大きいのもから先に行くほど小さくなっているブルーのビーズの一連飾り、 その3つを束ねた根元には大きなソロバン型のブルービーズがついているペンダントだった。

マリナは微笑む「・・・うん」 しかしそのマリナも何かの違和感を感じて、当惑顔で、ガイズ、デレクションルームのディスクにそっとお守りを置く。

ジョージは驚きの声を上げた「ミライ・・・」 ジョージの少年サッカーチームの練習中のグランドにミライが姿を見せたからだ。

並んで芝生の土手に腰を下ろす二人。 「まさか、俺からボールを奪うなんて・・・なかなかやるじゃないか」 「ジョージさんのために何か出来るかな?って思って。でもやっぱりジョージさんはすごいです。あ・・・これ、 スペインリーグの復帰、楽しみにしています」

ジョージはミライの差し出すお守りを何気に受け取ると「復帰か・・・」 ミライは頷く「世界中の人に、また見せてください、流星シュート」 手渡したお守りは、なめした小判型の革に炎が描かれ、回りを細い革を巻いた飾りがついている。 根元には赤い紐が巻かれたストラップになっていた。

ジョージは嬉しそうに「ああ・・・任せとけ。グラシアス」おまもりを握りしめて言う。 ミライは「ありがとうって意味ですよね」とジョージに聞く、うなづくジョージ。 ジョージは嬉しそうに立ち上がると「復帰戦には、必ず招待する。リュウたちと一緒に必ず見に来いよ」 ミライに声をかけ、 「ほら、どうしたみんな。足が止まってるぞ!」 グランドに走りだしていった。

「そう、今日はジョージのところに・・・」マリナが言う。 「ミライくん、何考えてんですかね。」ドーナッツをかじりながらテッペイが問う

ため息まじりに「アイツが不思議ちゃんなのは、今に始まったことじゃないでしょ。」コーヒー を飲み干しながらリュウが笑う。 「とか言いながらー・・・そういやお前、明日休みだよな。」水を飲み干しながらその紙コップでジョージがリュウ を指し示す。

「うん。別に予定ないけどな。」 「ミライくんがデートに誘ってくれるかもよん。」マリアがいたずらっぽく笑う。 「デートだぁ!?ふざけんな。」ジョージと共に笑顔がこぼれるリュウ。

ガタッ、音を立てて席を立ったのはコノミだった。 「ひょっとして・・・」 「なに、これ?・・・お守り?」 リュウが覗き込んだコノミの手には、ミライにもらった手作りのお守りが握り しめられていた。

「ミライくん、GUYS辞めちゃうのかも・・・」 喫茶コーナーに揃った、クルーたちは一同シーンと静まりかえった 。 フッとリュウが笑みをこぼし、ありえないという風に首を小刻みに横に振る。

隊服に身を包んだリュウは一人、格納庫のガンフェニクスの前に立った。 笑顔のミライが率先してみんなでペンキを塗った機体。 CREW GUYS全員で残したサインを眺める。 白く真新しい機体に描いたサインも、いくつもの戦闘を乗り越え、今は薄汚れて すすけてしまった。

「お前がンなこと考えてる訳ねぇよな・・・だろ?」 しばし立ちつくすリュウ。

ピー ピー ピーッ 胸のメモリーディスプレイが着信を告げる。 我に返ったリュウ。 「ミライ?」

地球へ向かい飛来していた赤い球体は、ついに地球の僅かに手前でオレンジ色に 瞬き、その姿を眩ました。

オレンジ色の籐のバスケットを開く手。 ガーベラ花柄プリント内布のバスケット三分の二に、ぎっしり詰まった卵サンドウ ィッチ。愛らしいウサギリンゴと、ペットボトルの水2本も添えられている。 指さしどれにしようか、少し迷った指先が目当てのものを掴む。

「ウン!・・・つーか、何でお前とサンドイッチ食わなきゃなんねぇんだ!?」 「えっ?駄目ですか!?」 一口食べて腰掛けたリュウが、続いてサンドウィッチを手に取ったミライに尋ね る。

人々が集う緑に囲まれた公園。赤い風船を持った親子が噴水池の手前を横切る。 メタリックな置物に腰掛け、向かい合わせの二人。 リュウは黒い長袖シャツの上に、白いプリント半袖シャツ、ブラックのユーズド ジーパン。ミライは白いTシャツにGジャンをはおり、太いストライプにムラ染さ れたベージュのパンツを身につけている。

「大切な人とは、こうして二人きりで過ごすって…」 「俺がぁ」リュウが立ち上がり、ミライの言葉を遮った。 「今日付き合ってやってんのは、お前に聴きてぇことがあるからだ。何考えてや がる!?」 「何って?」

無言のミライ。 「お前、まさか、GUYS辞める気じゃあないよな?」 「・・・」 「何で、黙ってる?」 リュウは座って優しく聞いた。 「何か事情があんだな。話してみろよ。」

その時、ミライが耳にした音。 険しい表情でスクッと立ち上がったミライ。 何んだ?とミライをただ見つめるリュウ。 ミライの睨み付ける先を、リュウも目で追った。

ビルに谷間の空間に、地表付近と空間から湧き出たようなオレンジの輪が音もな く ぶつかったそこに突如現れたのは、鋼鉄のようなもので出来た、巨大で頑強なロ ボットのような物体。 ブロンズ色に鈍く光るそれは、上部に砲門のようなものも携えていた。

厳ついロボットのようなものが 忽然と現れたのだ。

ディレクションルーム コノミが「ロボット!…みたいですね。」 トリヤマは慌てる「ロボット!だっ誰が作ったんだ!?」 マルは「さぁ?」首を傾げる。 「さあって、お前知らんのか!?」詰問するトリヤマに 「私が知るわけないじゃないですか。」 トリヤマはまくし立てるが、途方に暮れるマル。 サコミズが険しい表情でモニターを見つめながら無言で立ち上がる。

「隊長!出動します!」 「隊長!?」 ジョージとマリナが敏捷にサコミズの側に駆け寄ると出動許可を求めた。 サコミズは何故か、敵の姿を見つめたまま微動だにしない。

「敵は、どこから現れたんです!?」ミサキが飛び込んで来た。 「レーダーに反応はありませんでした。ありえないことですが、突然現れたとし か…。」テッペイも当惑する。

「隊長!」「隊長!」ジョージ、マリナがサコミズからの指令を待つ。 「無理はするな。」正面の画面を凝視したまま、サコミズが静かに発した。 「えっ!」「えっ!?」意外な言葉に不意を付かれた二人。 しかし次の瞬間、毅然と発令された 「GUYS Sally Go!」一同は答えた「GIG!」

街では逃げまどう人々を尻目に、鋼鉄のロボットはビルを破壊しながらばく 進する。 崩れ落ちる瓦礫や粉塵が避難する人々を直撃し、辺り一帯には怒号と悲鳴が響き 渡る。 ロボットは更に機械音を響かせながら進んで行く。

「ああ、俺のところからも見えてる。ミライも一緒だ。」リュウがジョージのディスプレイへの通信 に応じる。 ミライの瞳に目の前を横切る敵の姿が写っている。

二人が立つビルの屋上。聞き覚えのある音に揃って後方の空を見上げる。 「アミーゴ、お前が休みを潰す間もない。」 「そうよ、あたしたちに任せときなさい。」 ジョージ、マリナの搭乗するガンフェニックスが、リュウとミライの上空を急行する。

ロボットは、両肩の砲門から赤いビーム光線を次々発射し、建物を破壊していく 。 「ウィングレッドブラスター!」 ジョージの2連発でロボットは一旦動きを止められ、自分を撃った機体を見やる 。

ミライがそっと動き出した。 「ミライ、目の前に敵がいるのに逃げ出すのか!?」 リュウが、ミライの背中に向かって吼える。 ミライは立ち止まり、振り向かなかった。 「俺たちが、GUYSが背を向けたら、誰があいつを倒せるんだ?誰が地球を救える んだ!?」

一瞬の間を置き、ミライがをリュウ振り向いた。 「僕が…」 次に真正面からリュウに向き合う。 「僕が救います!」 凛とした凄みのあるミライと対照的に、「なに?」と口にし、困惑の走る リュウ。

「ジョージ、もう一度!」マリナが叫ぶと「食らえ!」 しかし、ジョージの発射した光弾が届くより先に、ロボットのビームがガンウィ ンガーに命中した。 「うわぁ!」「キャー!」 ディレクションルームにも緊張が走る。 「ジョージ!マリナ!」リュウとマリナのいるビルからも、黒煙を吐き機体の浮 力を失った機体が急降下をするのが見える。

機体を支えようと、必死に歯を食いしばるジョージ、マリナ。 「あぁぁぁぁぁ!」抵抗虚しく、機体は降下を続ける。

「リュウさん!」ミライの声にリュウがミライをふり向く。 「今まで、ありがとうございました!」

ミライは左腕を立て拳を握る。 《今の君が臨めば、命を落とすのは確実だ》ウルトラの父の言葉が、ミライの脳 裏をよぎる。

---ミライの頭の中に去来するのは、悲鳴を上げ逃げまどう人々、落ちるガンウィ ンガーのジョージとマリナ、攻撃を続けるロボット---リュウが《ミライ》と叫ぶ 声は今はミライに届かない---瓦礫の中で混迷する街のありさま、ついさきほどまでの、 のどかな公園にいた親子ずれの少女の手を離れ空に昇ってい く赤い風船---

「見ていてください。僕の最後の戦いを!」「ミライ…!?」 ミライが左腕を再び構えると、メビュームブレスが現れ光る。 そのまばゆいオレンジの光に一瞬顔を背けたリュウが、目をしかめながら 懸命に光の元を辿る。

しかし、ミライの立っていた位置には何もなく、反対側のビルの外を見ると ・・・光の中、ガンウィンガーを捉え、立っているメビウスの巨大な姿があった 。 リュウが敵を睨みつけるメビウスの顔を見上げると、メビウスはリュ ウに視線を移す。

「メビウス!」ジョージは安堵の溜息まじりに言葉を発した。 ディレクションルームの幹部たちが、ほっと胸を撫で下ろす中、一人険しい表情 のサコミズ。

「ミライが!?」「マジかよ・・・」とまどうリュウ、メビウスはガン ウィンガーをそっと地面に降ろした。

重々しい空気の中 立ち上がったメビウスがロボットを睨むと、戦意満々で身構えた。 走り寄り、左右のキックで攻めるがたいした効果はない。

相手が振り下ろす腕やキックに弾き飛ばされ、地面に横たわるメビウス。 直ぐに立ち上がったが、間髪入れずビーム光線が襲ってくる。 バリアーでかわすメビウス。 しかし続いて、敵の頭部中央の三連装ガトリングガンから複数の光弾が発射され る。 「ウワァァァッ!」バリアーもろとも、メビウスの身体は再び弾き飛ばされる。

「ミライ…」「何でお前が!?」 メビウスはロボットの肩を目掛けてメビュームシュートを撃つ。 左の砲門あたり、肩部を激しく損傷したロボット。 白煙が去り、その露わになった姿を、リュウが、基地のみんなが無言で見守る。 地上に降りたジョージはメテオールショットを、マリナはトライガーショットを 構え、避難する市民の間をかいくぐり、ロボットの位置を確認しながらメビウス の援護に向かう。

しかし!その次の瞬間、ロボットの左肩は再生した! ウォーミングアップするロボットの、砲門から発射されたビーム砲を避けたメビ ウス。

しかしその火を噴くビーム砲は空中でUターンし、後方からメビウスに命中した。 三度倒れるメビウス。カラータイマーが鳴りだした。

上腕をつき上体を起こすメビウスに向かってくるロボット。 そこへ2本のビームが走る。 ジョージ、マリナの援護射撃だが、最強の鎧をまとうロボットにそうダメージは 与えきれない。構わず前進を続けるロボット。

メビウスは凛々しく立ち上がった。 左腕のメビュームナイトブレスが現れ光ると、胸に金色のV字が現れ、メビウスブ レイブにチェンジした。 メビュームナイトブレードを構え、ロボットに突進するメビウス。 「シャッツ!」正面から右腕の根本に斬りつける。 「テヤーーッ!」光の剣を振り下ろすと、ロボットの腕が地面に落下した。

ところが! あろうことか、手先で物を掴むだけであったろう腕は、地面でその形状を変え、 異様に太い剣と化し、空に浮かび元の腕のつなぎ目へジョイントした。 メビウスやメンバーたちは驚愕した。

「何なんだ、コイツは・・・」デレクションルームから、トリヤマの悲痛な 言葉しか聞こえない。デスクに両腕を付くサコミズ。

ロボットは太い剣を振りかざし、メビウスを襲ってくる。 火花を散らしながら、光の剣で何とか避けるだけで精一杯のメビウス。 懸命に相手の剣を光の剣で支えるメビウスに、容赦なく至近距離から肩のビーム 光線を撃つロボット。 「アァァァッ!」建設途中のビルの鉄骨を押しつぶし、メビウスは背中から倒れ る。危険を示すカラータイマーは依然鳴ったまま、起きあがることは出来るのか

「ウルトラマンが手も足も出んじゃないか!どうしてなんだーーっ!」 「だから私が知る訳ないじゃないですか。」 サコミズは机に手をついて、顔を伏せた。 トリヤマは拳を振り上げ泣きの表情で訴え叫ぶ。

仰向けに倒れ、起きあがることの出来ないメビウスに、剣を振りかざしたロボッ トがジワジワと近づいてくる。メビウスの危機!!

その時、上空からロボットの太い刃に命中する虹色の光線! 眩しい光を放ち火花が散った。

メビウスが、リュウが、「何だ!?」とジョージ、マリナが空を見上げた。 天から降りてきた球状に輝くオレンジの光。 白くまぶしい光線が煌めき、その中から姿を現したのは・・・

「ウルトラマンタロウだ!」 思わず席を立ち、モニター前に進み出たテッペイが大声で叫ぶ。 右腕を天に突き上げ、左腕を腰高でグーに構えて登場したのは、ウルトラ6番目の 弟にして、ウルトラの父・ウルトラの母の直系であるタロウ。 「タロウ!メビウスをお願い!」コノミも叫ぶ。 右肩を再生するインペライザー。

「メビウス、何故帰還命令に従わなかった!?」倒れたメビウスの前に立ち、 ファイティングポーズを保ちながら、敵の攻撃を避ける盾となったタロウがメビ ウスに尋ねる。 「タロウ教官、僕は地球の為に闘いたい!」 「だが、若い君を死なせるわけにはいかない!地球は私に任せて、光の国へ戻れ !命令だ!」 「僕は、まだ闘えます…」何とか上体を起こし、そう言ったメビウスだったが、 その矢先、アァ小さく呻き、崩れるように倒れるメビウス。

タロウが目を見張る間に、地球上で巨体を保つエネルギーを失ったメビウス。 瓦礫に吸い寄せられるように見えなくなった。 「ミラーーーーイ!」リュウがビルの屋上から叫ぶ。

ジョージ、マリナが、テッペイ、コノミ、トリヤマ、マルが言葉を失う。 ミサキが思わず視線を走らせたサコミズは、苦渋の表情を浮かべる。 「ミライ!」そんなはずはないと首を横に振り、リュウは走りだした。

インペライザーの右腕の刃が、元の腕に戻った。 タロウは闘わねばならなかった。

大きくジャンプして素早いスピンを数回くり返し、相手の頭部に鋭く決めるスワ ローキック! 「よっしゃ!」ジョージがガッツポーズ!

元の姿を想像することも出来ないビルの瓦礫。折れた電柱に地面に落ちた太いケ ーブル。ミラーがその惨状を写す。

「ミラーーイ!・・・ミラーイ!いるんだろ!?」所々に火の残る瓦礫の中、リ ュウがミライを懸命に探し、歩き回る。 「いるんなら返事しろ、ミライーーー!」剥き出しになった鉄筋、あちこちから たなびく黒煙。

タロウはダメージを受け、動きの止まったインペライザーに更に果敢に立ち向か い、ヒザ蹴りやパンチを食らわす。 危うくなるとバク転で身軽にかわし、そこから体制を立て直す。 相手を抱え込みバックドロップで地面に叩き付け、のしかかりパンチ、チョップ 。

巨体を投げ飛ばし、やっと立ち上がった相手に仕掛ける大技。 頭の上部で重ねた手に光が満ち、右腕を肩の高さで水平に、それを脇からしっか り構えた左腕で構えて発射する。

「ストリウム光線!」
タロウの身体全体が緑を基調とした虹色に瞬き、その両腕を通して発射された幅 広光線が火を噴き大爆発、インペライザーの腰から上を見事に吹き飛ばした。

なおも身構えるタロウ。 ディレクションルームでも固唾を呑んでみんなが見守る。

すると・・・ その残った足がガシッガシッとゆっくり歩みを始めた。油断なく後ずさりしなが ら身構え続けるタロウ。 1歩、2歩・・・ゆっくりタロウに迫る下肢だが、徐々にスピードが落ちてきた。 5歩目を繰り出したところで、動きを止めた下肢。

オレンジの輪が二重三重と足元から湧き、下肢を包んだかと思うと、白く発光し てそれらは消失してしまった。 何なんだ、右・左と警戒を続けたが、ただ風が吹き抜けるだけだった。 警戒を解くタロウ。

「ミラーーーイ!」焼け野原でミライの捜索を続けるリュウの顔や服は、真っ黒 になっていた。

---「バカヤロウ!何て下手くそな闘い方だ!周りを見てみやがれ!」メビウス最 初の闘いで、メビウスを怒鳴りつけたかつてのリュウ---

「メビウスなら…メビウスだって最初から言いやがれ!ミライ!」声を張り上げ てミライを探すリュウ。

《何でお前は、誰にもなんも言わねぇで一人で闘ってやがった》
---高台の公園で「ウルトラ五つの誓い」を一緒に復唱した、ミライとリュウの最 初の出会い---

《弱ぇくせに無理ばっかして、どんだけ死にそうになりやがった》
---バードンに投げ飛ばされ、レッサーボガールに飲み込まれそうになったガンウ ィンガーのリュウの救出に精一杯の手をのばしたメビウス---

《俺にどんだけ散々なことを言われやがった!》 《「今まで、ありがとうございました!」その台詞は、俺のじゃねぇか・・・お 前を助けてやってる気が、いつも助けてもらってたの、俺の方じゃねぇか!》 「ミラーーーイッ!!」

リュウがそう叫んだ時、廃墟の中に人影を認めた。 目を凝らして、もう一度見てみる。「ミライ!」 残り火の向こうの瓦礫の上に横たわるミライの姿。

「ミライッ!」 夢中で駆け寄り、胸に手を軽く充てる。 「ミライ、ミライ!死ぬな、ミライ!!」

微動だにしないミライの頭部を引き寄せ、自分の膝に乗せるリュウ。 「ミライ!ミライ!」「ミライ!死ぬなーーーっ!!」

その直後、リュウとミライの上に、崩れ傾いたビルのコンクリートが音を立てて 襲いかかって来た。 自分の頭を腕で覆い、更にミライの上体に覆い被さるリュウ! 容赦なく崩れ落ちて行くコンクリートの塊ーーーーー!!

管理人のここが考察ポイント

大きなターニングポイントを迎えたメビウス。それは、 ウルトラマンメビウスが自ら地球人に「ウルトラマン」であることを告げたことだ。 これは驚くべきことであった。もっとも仲間を愛し、仲間のよき理解者であり続けたかったミライは、地球人ではなかった。 ミライは、地球人に魂の近い存在でありながら、銀色の巨人であり、脅威の力と命をかけて、人類のために人知れず戦う戦士であった。

側にいる仲間とも知らず、姿を見せない存在になら、さんざんなことが言えたと後悔が押し寄せるリュウ。 ありがとうというべきは自分であったのに先に言われてしまった。リュウが今までメビウスに対して、 暴言を吐いていれば、吐いているだけ、今の リュウの胸のうちの痛みと辛さは理解できるであろう。 リュウのキャラは、このためにあったのだということが理解できる。

人は人の努力を知らないというだけで罪になるときもある。 誰にも言えない事情の中に、とてつもなく重い自分達への配慮が隠されている時がある。

大抵はその人を思って隠していた嘘がばれたれた時は、事実を知らなかったという者へ、後悔だけを残し、 相手は去ってしまう場合が多い。 しかし番組中盤で正体を晒したメビウスは、ここから始まるストリーを展開していくことになる。 みなに正体を知られた時点からである。

これはかなり厳しい選択であろうと予測する。ウルトラマンコスモスで怪獣と共存するという今までにない新境地を開いたが、 ウルトラマンメビウスでは、ウルトラマンと人類との共存を目指すこととなった。 自分達のために命を惜しまず戦ってくれるメビウス、しかし地球人より多くのすぐれた能力を有する 異星人であるウルトラマンとどう共に生きていくかということが、新たなテーマになるだろう。

メビウスもガイズも共にルーキーということもあり、ルーキーには、失敗がつきものである。 失敗をしたら終わり、ばれてしまったらお終い。壊れてしまえばそれまで。現実の世界はそうであることが多い。

だからこそ、そうならないためへの多くのメッセージが込められていることに改めて気が付く。 それらのメッセージを受け取ることは、共に希望を語ることでもある。 まだ繋がるかもしれない未来に希望を託すことである。

いつになくたくさんの被害の描写があり、ウルトラマンがこれまでいかにして地球のために、踏ん張ってくれていたかが、 分かる。 ミライと地球人とのファーストコンタクトだった赤い風船をつかめなかった悲しさ。 こんな悲しみは繰り返したくない。悲しみのない未来へ、平和で心休まる未来へ。 そう願わずにはいられない。

ウルトラマンタロウの出現は圧巻で、メビウスの窮地に、地球人が祈った瞬間の救世主の登場であった。 その文句なしの強さは、歴代ウルトラマンを誇り、メビウスの先輩であり、かつメビウスの教官であるタロウならではであり。 まさにウルトラマンバンザイと叫びたくなるほどのパワーと気迫だった。

心理描写と状況描写のコントラストがよりいっそうの危機感をかもしだし、迫力がある特撮と演出効果はみごとであった。 そしてタロウの肢体が若干線が太く感じるのは、 ウルトラマンコスモスの際に、声も体型も(アクターを変え)強さと勇気がパワーアップするごとに変化をつけていたということを 考慮すると、タロウの成長と強さのバージョンアップの強調かもしれない。

ウルトラマンメビウス 第29話「別れの日」

無双鉄神 インペライザー 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザ マ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田 弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / トリヤマ補佐 官 石井愃一 / マル補佐官秘書 まいど 豊 / ミサキ ユキ 石川紗彩 / クゼ ケイコ 林寛子 / カドクラ 影丸茂樹 / 岩佐まり / セントラル子供劇団 / テ アトルアカデミー / 早川プロダクション

ウルトラの父の声 西岡徳馬 / ウルトラの母の声 池田昌子 / ウルトラマンタ ロウの声 石丸博也

《スーツアクター》和田三四郎 / 岩田栄慶 / 相馬絢也 / 末永博志 / 永田朋裕 / 太田智美

《シリーズ構成・脚本》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《特技監督》鈴木 健二 《監督》佐野智樹 《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新一 《 企画》岡崎剛之 / 江藤直行 / 中村理一郎 《プロデューサー》岩佐芳弘 / 渋谷 浩康 / 山西太平 《制作プロデューサー》小山信行 《アソシエイトプロデュー サー》小掛慎太郎 《ラインプロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー 》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》倉持武弘 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也 《録音》岩岡勝徳  《操演》上田健一 《助監督》石川 整 《装飾》大藤邦康 《衣装》塚田亜矢子  《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》高橋誠喜 《編集》矢 船陽介 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊一 《VE》佐々木彰司  《スクリプター》島貫育子 《キャスティング》小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉 《操演》根岸 泉  《殺陣》岡野弘之 《助監督》日暮大幹 《スクリプター》長谷川幸子 《スチ ール》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン》丸山 浩 《 キャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクターメンテナン ス》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》鶴田幸伸 《CGIモ ーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバイザー》早川 哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》上田和彦 / 小嶋律史 /

川口智久 《CGIマネージャー》小田達哉 《CGI協力》水石 徹 / 三宅 仁 / 田中 里枝 / 八木橋健治 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェクトア ニメーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト》高 田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD担 当》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《製 作デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川勝 一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤッ プ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照 明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラ プロ / スリーエススタジオ / 富士通乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジ ン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセ ンター / IMAGICA / クレッセント / AdobeSystems / ボーンデジタル / D.A.S.T /

スタジオ・バックホーン / パンチライン / RECARO / 岡村製作所 / ナナオ / フ ジコーワ工業 / 前田製作所 / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / KENNETH COLE / Zoff / FILA / e.a.p MEN

《撮影協力》パルテノン多摩 / 梨花幼稚園 / 日本大学商学部 《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 /円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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