ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第30話「約束の炎」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス 第30話「約束の炎」レイゴ考察ソフトバージョン

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病室の前、ガイズクルーは誰もが、沈痛な面持ちで待機していた。 負傷したミライの収容された病室からてで来たサコミズを 「どうでした?」イスに座って、うつむいていたテッペイがすぐさま立ち上がってむかい入れた。

サコミズは「目が覚めるまで、ついてるそうだ」眠るミライの横に腕組みをして、その表情をじっと見つめるリュウ。 一様に集まってきたメンバーに誰にというでもなくそう答える。

コノミは「こんな調子で付き添ってたら、リュウさんも・・・」自身も負傷しているはずのリュウも気遣う。 サコミズは、意気消沈するクルーを見回しながら、 「君らもほとんど寝てないんだ。無理してでも寝よう・・・あのロボットが再び現れる時の為に。」うなだれるメンバー。 「じゃ、おやすみ」声をかけ離れていくサコミズ。

ジョージは厳しい表情のまま 「あのロボット、メビウスが手も足も出ない上に、ウルトラマンタロウでさえ、とどめを刺せなかった」 コノミが思わず口にする「メビウス、どうなっちゃったんでしょう?」

「消える前、カラータイマーは点滅していました。まさか死んだ・・・」テッペイの言葉を マリナが「縁起でもないこと、言わないでよ!」途中で強くさえぎる。 その瞬間にぽよーんとリムエレキングがコノミの手の中に現れた。

マリナは「リムに励まされちゃったか・・・」腰に手を当て、ふっと笑いがこぼれる。 リムの頭をやさしくなでるコノミ。 テッペイも「ですね・・・」同意すると「僕はあのロボットの分析を進めます」自分の今出来ることを口にした。 コノミも「じゃぁ、私は過去の作戦を洗って、何か効果的な対策が無いか調べてみます」探し当てた。

「なら、私たちは・・・」マリナはジョージに目線を投げかけ、 ジョージがうなづきながら「アライソ整備長の手伝いに戻るか」メンバーは左右に二手に分かれると病室前から退いた。

その様子をサコミズは病室の壁に身を隠し、背中で聞いていたが、 隊員たちの結団の意志に満足の笑みを浮かべ、そして遠くを見つめミライに 想いを馳せる。 《ミライ・・・・君はどうする・・・?》

疲労からつい、うたた寝をしてしまったリュウの横で、ミライが 目を覚ました。

ミライは強引に体を引き起こし、左手に取り付けられていた、バイタル測定用のカバーを音を立てて、やや乱暴に引き剥がす。 メモリーデスプレィとスウェードで袋状に縁かがりをしたの革に、炎を描かれ ジョージと同じように、かがった紐革を編んで飾りにしてあるお守りを置いて姿を消すミライ。

リュウは、右手をギブスで固定し、ミライが置いていったものを握り締め、よろよろ杖を付いて、 「あ・・・くっそっ!」転倒しながら、歯を食いしばりただ前を見据えて、姿を消したミライを探す。

リュウが必死に向かったのは、あのミライとはじめて出あった高台だった。 『見ていてください。僕の最後の戦いを!』リュウにミライのあの瞬間の姿が浮かぶ。

風が流れ、リュウの後ろに忽然とミライがたった。頭部に真っ白い包帯を巻きつけて、リュウの後姿を見つめている。 リュウは背中でミライを感じた。

「そっか・・・帰って来いって、言われたのか」 町を見下ろすように、並んで立つとリュウとミライ。

「今度の敵と戦えば、僕は命を落とす、はっきりそう言われました。僕じゃ・・・地球は守れないんです。 ミライは顔を埋める。そして顔を上げた「僕は戦いたい!」 リュウがそんなミライの顔を見つめながら 「なぁ、なんでお前は・・・いや、ウルトラマンは、そんなにしてまで地球を守ってくれているんだ?」 と聞く。

「僕が生まれるずっと前の話なんですけど、ウルトラマンは人間と同じ姿だったんです。」 リュウは「いや、」思わずすこし笑う「今だってお前人間と同じ・・・」

「僕は人間の姿を借りているだけです。ウルトラマンの力を使って。」とリュウを見る。そしてゆっくり 歩き出しながら「ある時偶然に僕らの一族は、ウルトラマンの力を手に入れました。 それは決して望んで手に入れた力ではありません。・・・でも力を手に入れたという事は、 果たすべき何かがあるはずだって考えたんです」

リュウはミライの後ろから聞き返した「果たすべき・・・何か?」 振り返り、リュウと向き合うミライ「守れるものがあるはずだって」

ミライはつい、と顔を上げ空を見る。真っ青な空に、白くキラリと星が瞬く。

「あれが僕の故郷、ウルトラの星です」 「ウルトラの星・・・」 「ウルトラの星は、地球から300万光年離れた場所にあります。 つまり、今ここから見えているあの輝きは、まだ僕らの一族が人間だった頃の輝きなんです。 もう絶対に戻ることが出来ない、人間だった頃の・・・」

リュウは噛み締めるように聞く「じゃ、ウルトラマンは大昔の自分たちの星をこの地球にダブらせて、 地球のために命をかけてくれてたってのか?」その言葉を目を閉じて聞くミライ。 そして姿が消えた。

リュウは周りを見回し驚く 「ミライ・・・俺はまだ、肝心な事をお前に言ってねーんだよ!」誰もいなくなったその高台で大声で叫んだ。

フェニックスネスト、ディレクションルームでは、 説明するテッペイを囲むようにリュウ、ジョージ、マリナが集まっていた。 「あのロボットは、地球を狙う何者かによって送り込まれた侵略兵器だと推測さ れます。」 「地球を狙う、だと?倒す手立ては?」リュウが問う。

「GUYSスペイシーとの共同作戦を、隊長が総本部に申請中です。」コノミが立ち上がると補足する。 テッペイも立ち上がりさらに続ける。 「まず、重力偏向盤を使って、あのロボットを高度80キロメートルに放り出しま す。」モニターでシミュレーション画面が映し出される。 「ロボットの到達と共に、敷設しておいた【ライトンR30(アールサンマル)マイン 】を一斉に爆破、ロボットを2.5ギガトン級の爆発に包みます。」

「ただ、この作戦の為には、あのロボットの現在地を知る必要があって・・・」 コノミが計画の問題点を指摘する。 トリヤマ、マルは揃って横に立ち、黙って耳を傾けていた。

そこに、 「あのロボット、レジストコード・インぺライザーは、4時間後にアオサワ峡谷に 出現します。」 サコミズを伴い入室してきたミサキが全体に言い放つ。

「どっ、どうしてそんなことがー?」マルが思わず身を乗り出し、トリヤマも目 をひんむく。 「総本部に入った、ウルトラマンタロウからのものと思われる通信を解析した結 果です。」「タロウから」マルが驚く。

「作戦の承認は得た!GUYSスペイシーも直ちに作戦準備に取りかかってくれる。 」サコミズは続いて、小脇に抱えたファイルをクルーへ向けて高く掲げ、明るく 言い放つ。

マリナ、コノミに少しだけ笑顔が戻った、リュウが何かを決意したかのような顔つきで、ゆっくり前に進み出る 。 「この作戦が失敗したら、地球は、インペライザーを送り込んだ何者かの思いの ままだ…そんなこと」「させてたまるかっ!」語尾に力を込め、デスクを右の拳を 握りしめ強く打ち付けた。

《地球は、俺たちだけの星じゃねぇんだ!》リュ ウの新たな決意だった。

作戦の準備は着々と進む。3個の黄色の楕円形球体に支えられた大きなリング(重 力偏向盤を通った物体の出口となる)がスムーズに上昇し、関東を離れ、宇宙空間 に到達する。

そのポイントには、小型リングに8箇所のオレンジの発光口を備えたR30マインが 無数に散りばめられ、来るべき的を待ち受ける。

「インペライザー出現まで、あと10分。間もなくガンフェニックスも到着します 。」 峡谷の見えるポイントに設営された数基のテントから、タグブックを前にスタン バイしたテッペイが途中経過を報告する。 「GUYSスペイシーに指示を。」「GIG」サコミズの指示にコノミが応え、GUYS JAPANも始 動した。

「こちらGUYS JAPAN。 GUYSスペイシー、重力偏向盤、作動開始してください。」

「ミライ、どこにいるんだ?」 ガンフェニックス・ガンローダーのコックピットで操縦するジョージが言葉に出す、後部 座席に搭乗するマリナは、黙ったままミライのお守りを握りしめる。 「ミライ、地球は、ちゃんと俺たちの手で守る。」リュウは胸に誓う。

急行するガンフェニックスを、地上から見守る人影。 下からガンフェニックスを凝視するその人影はミライだった。

「3…2…1 インペライザー来ます!」テッペイが緊張の面もちで叫ぶ。 予想地点に、地面と上空の2方向から突如湧き出た、2つのオレンジの輪が激しく ぶつかる。

前回出現時と同じように、その光の中からインペライザーが地上に出現した。 「完全に復元を終えている。そんな!!」テッペイは狼狽し、サコミズの立つと ころまで飛び出してくる。 ウルトラマンタロウが吹き飛ばした上肢は、今は完全な形を取り戻していた。 サコミズは黙って見つめる。

その時、空に白い星が瞬き、オレンジの球体が飛来した。 「ウルトラマンタロウです!」コノミが一瞬笑顔を見せる。

そそり立つ岩肌の剥き出しとなった峡谷で、タロウがインペライザーと対峙する 。 しばらく睨み合いの体を保つ。

《ミライ、お前、本当に地球からいなくなっちまったのか!?》リュウが心で問 う。 「俺たちに任しとけ!」ガンウィンガー、ガンローダーに分離した。 「メテオール解禁。」サコミズの指示で、2機の機体は金色に輝き、イナーシャル ウィングが開く。

「ファンタムアビエイション、スタート!」ガンローダーは分身術のような機動 で、インペライザーに補足されないよう高速移動し、相手を翻弄させる。 「スペシウム弾頭弾、ファイアー!」ガンウィンガーから発射された2基の弾頭は 、インペライザーの足元に確実に着弾し爆発した。 足元をすくわれたインペライザーは、その場に仰向けに倒れ込んだ。

同時に宇宙空間の巨大なリングが発光し、そこから発射された緑色の連続する輪 が1本のビームとなり伸びていく。 あっと言う間に地表に到達した緑の輪の帯は、倒れたまま無抵抗のインペライザ ーの身体を包み込んで、今度は空へ上がって行く。

「行けー、行け、行け!」タフブックで位置を確認しながら、テッペイがうっす ら笑みを浮かべる。 「あれ!?何だこれ??」「どうした?」 モニターの緑のベルトの中を進んでいた、インペライザ−を示す黄色のポイント が不意に消失した。 「インペライザーが消えました!」慌ててサコミズとコノミの元へ走る。

「消えた?どういうことなんだ!?」 フェニックスネスト・ディレクションルームで大声を張り上げるトリヤマは、両 脇のミサキ、マルの表情を交互に伺う。 「見てください!」 マルの指差す先は巨大モニター。

瞬時に、ウルトラマンタロウの立つ後方に、オレンジの輪が湧くように現れ、インペライザーが出現した! 額部3連装のガトリングガンが回転し始める。

「空間転移で重力偏光盤の影響から逃れて、戻って来たんだ!」 ガトリングガンからオレンジの光弾がタロウに向けて発射されたが、タロウはふ り向きざまに腕をT字に組み無言で、ストリウム光線を撃つ。

タロウが放ったストリウム光線の虹色と、インペライザーの放つ、オレンジの光線がぶつかり、 中央で大きく爆発し、両者に相打ちで相殺された。

しかし、間髪入れずにインペライザーの上肢が、高速回転を始めた。 同調し高速で、回転を続けるガトリングガンは次の瞬間、360℃無差別に乱射された。

辺り構わず、地上に、空に、四方に次々と放たれる必殺光弾。 あちらこちらで激しい爆発が起こり火の手が上がる。

「キャーー!」サコミズに支えられ、地面に伏せるコノミの悲鳴が響く。 メテオールの力で高速移動するガンウィンガー、ガンローダーも無差別乱射をかわ すのに精一杯だ。

テント脇の燃料の入ったドラム缶群にもヒットし、空をオレンジ色に染めて、それらは大爆発を起こす。 続いて、次々に爆風が巻き起こる。 テッペイは現場のすさまじい爆風と爆発に地面に這いつくばる。

執拗に無差別攻撃を続けるインペライザー。 ウルトラマンタロウでさえ、光弾を避けるのに精一杯な様子。 「きゃ!」「クソッ!」ガンウィンガー、続いてガンローダーにもついに命中した。

タロウが隙を突いて再度ストリウム光線を放つと、インペライザーの動きが止まった。 被弾したガンウィンガー、ガンローダーはどうにか岩場を避け、地面に突っ込みながらも不 時着。

尚も対峙するタロウとインペライザー。 その時、走り寄って来たのはミライ! 頭の包帯を振りほどき、左腕を掲げると、メビュームブレスが現れ光った。

しかし声がした。 「メビウス、その身体で何が出来る。変身してはいかん!」 ウルトラマンタロウはファイティングポーズを保ちながら、身を僅かによじりミ ライに呼びかける。

「ですけど、二人で戦えば!」 「何故君に帰還命令が出たと思っている?」

「リュウさーーん」 サコミズに支えられたテッペイと一緒に、コノミが手を振りながら走って来る。 「隊長!」 右腕を負傷したジョージを庇うマリナ、リュウが反対方向から合流しクルーが揃 った。

ジョージが1歩前に進み出て、メテオールショットを撃とうとした。 「うっっ!」しかし、腕の激痛にやむなく腕を降ろす。 その銃を、リュウがすかさず受け取る。 「ヤロー、よくも俺たちの翼をーー!」 リュウの撃ったメテオールショットは、インペライザーの砲門付近にヒットした 。 が、いかつい敵に何らダメージは与えきれないようだ。

「クソッ!」 言葉を吐き捨てるジョージがふと1点を見つめる。 「あれ、ミライじゃないか?」 メンバーと少し離れた場所に、ミライの立っているのが全員に目視できた。

「君はもっと強くなれる。光の国へ戻り、更に力を高めるんだ。来るべき戦いの 為に。」 「来るべき戦い…」

「誰かと話してる?」マリナが微細な音を聴き取った。 「あいつ・・・」リュウが走り出した。

「ですが、このままではインペライザーに!!」 ミライはウルトラマンタロウの背中に向かって、声を張り上げた。 「ウルトラダイナマイトを使う!」敵を睨みながらタロ ウは言った。

「そんな!あれは自ら封印した、危険な技じゃないですか!?もしものことがあ ったら・・・」 「私を見くびるな!」タロウに毅然と睨まれ、ミライは言葉を呑み込んだ。

「ミラーーーイ!」ミライは、その声にビクッとし、振り返った。 リュウを筆頭にメンバーたちがミライの元へ走り寄って来た。 その時、ウルトラマンタロウが右腕を上にクロスし再び開くと、タロウの身体全 体が凄まじい炎で包まれた。

再び腕を開きファイティングポーズを取り、ウルトラマンタロウはインペライザ ーに向かって走り出した。

「ウルトラダイナマイト!」テッペイが叫んだ。 勢いよく燃えさかる炎に加え、新たなる発火が次から次へと起こる。 タロウ自身がダイナマイトと化し、ひとまわり大きなインペライザーの胴にガシ リと腕をまわした。

2体が絡みついたまま、大きな爆発が起きた。 激しい爆風で上空に大きな輪が出来、木っ端みじんになった破片が四方へ飛び散 った。 その大技の凄まじ さに圧倒されるばかりだった。

インペライザーの身体は、見事にバラバラに分解され散乱した。 そこへ赤い光がどこからともなく集まったかと思うと、ウルトラマンタロウの姿 になった。 タロウのカラータイマーが点滅を始め、多くのエネルギーを消失したタロウは、その場で両膝をついた。

「勝ったんですね、ウルトラマンタロウ!」 コノミの言葉に答えるより早く・・・インペライザーの破片がうごめきだした。 脚部や頭部の個々のパーツが立ち上がり、ジワリと一箇所へ集まり始めた。

GUYSメンバーは皆、唇を噛みしめ無言で見守る。

「ミライ、行け!」リュウがミライに向き直った。 「行ってお前の強さを、ウルトラマンメビウスの強さを、タロウに証明して来い !」

「おい、お前、今なんて言った!?」 ジョージとマリナが思いも寄らぬリュウの発言に、走り寄って来た。 「そうよ、ミライくんがメビウスな訳ないじゃ…」 「いえ…」テッペイがマリナの言葉を遮る。 「ミライくんの腕に…」 「メビウスと同じものが…」コノミが続ける。 サコミズが少し離れた場所から、みんなの様子を見守っている。

ミライは自分の左の拳を胸の高さまで上げ、腕のメビウスブレスをじっと見つめ る。 「ミライ、お前はGUYSのクルーだろ。地球を守るのが、俺たちGUYSの仕事だ。今 、お前がやんなきゃなんねぇのは、俺たちと一緒に戦うことのはずだ!」

「けど、絶対に忘れんな。俺たちが今まで、何の為に命を懸けて戦って来たのか。また 、笑顔で会う為だぜ。仲間に。」 「絶対!絶対に生きて帰って来い!約束だぞ。」

ジョージ、マリナ、テッペイ、コノミが深く同意の意思を持ってじっとミライを見つ め、そしてサコミズが軽く微笑し、黙ってひとつ頷いた。

ミライはメンバーたちを見回したあと、右腕でサッと涙を拭って言った。 「GIG!」 そして皆に背を向け、メンバーの見守る中、メビウスに変身した。 「メビウーーース!」

眩しい光に一瞬目の眩んだクルーたち。 だが次の瞬間、ミライの立っていた少し先に雄々しくメビウスが立って、皆を見 下ろした。クルーたちは揃って前に進み出た。

その間にインペライザーは、着々と元の姿に復元を果たしていた。 腕部が繋がり、上肢と下肢が繋がって完成。腕を曲げてウォーミングアップ。 皆をもう一度見つめて、「シャッ!」メビウスは果敢にインペライザーに組み掛 かって行った。 「俺たちも行くぞ!」リュウの掛け声が、クルーの意志を更に強く固める。

メビウスは、インペライザーの強靱な身体や腕力で跳ね返されながらも、隙を狙 い回り込もうとする。 敵を見失ったインペライザーは、上肢を回転させ、2つの砲門からビーム光線を 発射する。 攻撃を交わし必死に組み付くメビウス。

「下がれ、メビウス!」タロウが進言するが、「僕は、戦います!」メビウスの意志は 怯まない。パンチを繰り出す。 「必要ない。インペライザーは、私が命に替えても・・・」 タロウも参戦し、師弟でインペライザーの左右を押さえ込もうとする。

「死んでは駄目です、絶対に!」 同時に繰り出す、パンチやキック。

「命を懸けて戦うのは、笑顔でまた、仲間たちに会うためです。」 「教えてくれました、大切な人が!」 「そうか…そうだな。」

「ミラーーイ!メビュームシュートだ!」リュウが叫んだ。 一瞬仲間たちを見たメビウスは、メビュームシュートを撃った。 ガトリングガンが回転していたが、メビウスの技はそれより早く相手に届いた。 「キャプチャーキューブだ!」サコミズの号令で、クルー一斉にトライガーロン グショットに青いカプセルを装填し、発射する。

しかし、みんなで作った青いバリアーの壁に、インペライザーのガトリングガンからの光 弾が数カ所に跳ね返りひび割れが生じた。 そして、キャプチャーキューブは思いの外、早期に粉々に散乱した。 「そんな!」テッペイが叫ぶ。

追い打ちを掛けるように、今度は2つの砲門が赤く発光し始めた。 「ハッ!」メビウスは、その矛先が、GUYSクルーに向けられているのを確認した 。 サコミズは両手を拡げて仲間たちを守るアクションを起こすも、成す術もない。

次の瞬間、インペライザーの砲門から発射されたビームを遮ったのは・・・・メ ビウス!

膝を付き、仲間たちを覆い隠すように両手を拡げ、自らの背中で強力なビームを 受ける。 2度、3度、強い衝撃がメビウスの身体を貫くが、避ける訳にはいかない。 メビウスの後部で数度の赤く発光する。

ディレクションルームのトリヤマ、マル、ミサキの表情が凍りついた。 攻撃の途切れた瞬間、メビウスは倒れ、土にゆっくり顔を横たえた。

クルーが呆然と見守る中、メビウスの目の白い光が消え、オレンジの鈍い僅かな 光を残すのみとなった。

「まだだ!まだ終わりじゃない!」一瞬の沈黙を破ったのは、ジョージの叫び声だった。
「俺の復帰戦、観に来てくれるんだろ?」

マリナも叫ぶ「そうよ。私は世界グランプリに出場する!だから絶対に観に来なさい!」 テッペイも「僕だって必ず立派な医者になる!いや、この戦いが終わったら、君の怪我を僕が診る」 コノミもだ「保育園のみんなが待ってるから。立ってーー!ミライくん」

そしてリュウが「おまえ、必ず生きて帰って来るって約束したじゃねーか!仲間との約束を破ってお前は平気なのかよ!ミライ」 サコミズは一声「ミライーーー!!」メビウスに大きく呼びかける。

メビウスに「仲間との約束・・・」目の光が戻る。 僅かに顔を上げたメビウスが、更に立ち上がろうとする。 その両肩、やがて身体全体に、オレンジの陽炎のような揺らぎが走る。 しっかり大地に足を着け、立ち上がったメビウス。 左腕を腹の中央にかざすと、メビウスブレスからオレンジの炎が神々しい光を放 ち出した。

ゆっくり両腕を中央から外へ拡げると、無限大の印が炎を吹く。 その炎はメビウスの身体を包んだ。 そして炎が消え去ったあとのメビウスの胸には、金色に輝く炎のエンブレムが浮 かび上がった。 頭部の目の上部は、炎の赤い色が後頭部へ連なり、腕や脚にも赤と金色のコント ラストが印象的な、炎の戦士が登場した。

リュウが嬉しげに「ファイヤーエンブレムを自分の身体に描きやがった」と言う。 タロウは、メビウスの新たな姿を見て深くうなづく。

しかしまたもや、インペライザーの頭部の三連装ガトリングガンが、ぐるぐる回り始めた。 気配を察したタロウが身構える。 メビウスも、インペライザーの方に向き直る。

タロウのストリウム光線で、インペライザーの無数の光弾が空中でぶつかりあって弾けた。 そして、メビウスは新しい必殺技、黄金に輝くメビュームバーストを繰り出し、インペライザーにぶつけた。 インペライザーはしばらく炎に包まれた後、爆発し、粉々に砕け散った。

やったーーみんな一斉に歓声を上げ、飛び上がる。 リュウは「それでこそ俺たちのウルトラマンだ」嬉しそうだ。

トリヤマは「あ〜〜・・・」緊張に耐えかねて卒倒。 マルが「補佐官!あ・・・医務室に連れて行きます」とトリヤマを引き取り、ミサキはみんなの様子に幸せそうに微笑む。

タロウと目で挨拶を交わし、立ち並ぶウルトラマンメビウスとウルトラマンタロウ。 リュウは、タロウに訴える「メビウスは俺たちの仲間なんだよ。これからも一緒に地球を守りてえんだ」 ジョージも「ああ、俺もだ」 マリナも「私だって」 コノミも「私も」 テッペイも「僕もです」それぞれが、あとに続いた。 リュウはタロウを見上げて「頼む、一生のお願いだ。ミライを、メビウスを帰さないでくれ」

その表情をじっと見ていたタロウは、頷くとメビウスを見る。 「インペライザーは尖兵に過ぎない。この先に待つのは、途方もない脅威だ。だが君と君の仲間達なら、 どんな試練もきっと乗り越えられるな?」 「はい、タロウ教官」タロウはもう一度頷くと 「タァー」と声を上げて、 高速で飛び去っていった。

ほっとするガイズのメンバーの前に、遠くからミライがゆっくり歩いてくる。みんながミライに向かって走り出す。 リュウが「ミライーーー!」 コノミが「ミライくん!」 テッペイが「ミライくーん」走りながら叫ぶ。 リュウ、ジョージ、テッペイ、少し遅れてマリナ、コノミと続く。 「心配かけやがって」と腕をミライの首に巻きつけ倒さんばかりの勢いのリュウ「もうーバカヤロー」 コノミは「もー良かったーー」と両手でミライの両頬をつねっている。 ミライの嬉しそうな笑顔、そのミライの頭をもみくしゃにしているリュウと、 周りを取り囲み無事を喜び合うクルー達にも笑顔が浮かんでいた。

ミライはリュウから差し出されたメモリーデスプレィに目を見張る「これ、リュウさんの?おそろいなんですね? そしてリュウは「これとな」ミライがリュウに渡したお守りを差し出す。 そこに次々差し出された全員の手のひらに乗るファイヤーエンブレムの描かれたお守り。 サコミズが優しく声をかける「さ、帰ろうか」 ミライはカイズのメンバーに目を走らせ嬉しそうに「はい!」と頷く。

リュウはみんなと遅れていた。《ミライ、ありがとな》 マリナがそんなリュウを「ちょっと、リュウ。何してんの?早く帰るわよ」呼び寄せる。

ミライは心の中で《この日、僕達は新たな一歩を踏み出した》 そう綴った。

ここが管理人考察ポイント

ウルトラマンシリーズの40年の歴史に残る台詞が、ヒビノミライ(ウルトラマンメビウス)によって語られた本作品である。 それは、ウルトラマンが300万光年前、人間と同じ形態だったこと、 偶然の何かにより望まなかったウルトラマンという力を得てしまったこと。

しかしウルトラ一族は、その得た力は、何かの使命、何かを守るためのものだという答えに行き着いたこと。 もう戻ることのない過去の自分の姿を人間に重ねていたことだ。

今回失われそうになったウルトラマンの命の危機に、ガイズの心からの叫びは、メビウスを甦らせ、 尚且つm78星雲に帰還させることなく、 メビウスをバーニングブレイブにパワーアップされることができた。

一見、経験や試練が伴わないないように見える言葉の応援に、 どれほどの力があるのか、時を重ね多くの経験から人として成長する力を体得した者からは、苦言も呈されるだろう、 しかし、人はたった一言に救われ、そして人として成長を促すことがあるのも事実だ。

何かしてくれるわけでも、直接力を貸してくれるわけでもなくとも、自分の追い詰められた精神状態の究極の危機に、 たった一言の言葉。それだけで救われることもある。 丸ごと自分を受け止めてくれる、そういう言葉はとてつもなく重い。

しかし、受け止められたからといってそれは、永遠に続くものでも、完全なものでもあるはずがない。 従って、そこからまた、試練が始まるのだ。 受け入れられたとろこで、ストーリーが完結ならめでたし、めでたしが、 その関係を維持、向上させるためには、強い意志を持ち、努力をしなければならない。

人はゴールと同時に新たなスタートに立つ。

ウルトラ一族の過去がそうだったように、地球人もこの先の遠い未来に、なんらかの力を得るかもしれない。 ジョージや、マリナの特殊能力が、時に自分の人生の枷になってしまっているように、 我々人間にも何かのために生きるような使命が、 ウルトラマンのように顕著な形で与えられるかもしれない。

しかし、それはいい変えば、誰でもヒーローになれるということでもある。 我々人間にもウルトラマンになれる可能性があるということにもなるだろう。

ウルトラマンになれるかもしれない未来へ、今ここに存在する我々に出来ることはなんだろう。 それを探し出し、実行することが、ウルトラマンに続く未来へ命をつなぐことになるのではないだろうか。

地球はみんなのものというスローガンが流行ったことがあったが、みんなのものなら、みんなで守るものであろう。 小さなことでも、自分にできる何かを探して、解決に向けての行動を始めるきっかけづくり、 それは、文化、文明の異質な人や異星人等らのコミュニケーションを計ることもから始まるのかもしれない。

そして付け加えるならば、人は生きるために闘っているということだ。

ウルトラマンタロウの封印された技、ウルトラダイナマイトを地球人と愛弟子メビウスのために使ったタロウ。 人もウルトラマンもその根底にあるのは愛であろう。 今回の360℃乱れうちは凄まじく、ナパームのド迫力の火薬弾炸裂に久々の特撮の醍醐味を堪能できた。 強大な敵との新たな闘いが、今まさに開始された。

ウルトラマンメビウス 第30話「約束の炎」

無双鉄神 インペライザー 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザ マ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田 弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / トリヤマ補佐 官 石井愃一 / マル補佐官秘書 まいど 豊 / ミサキ ユキ 石川紗彩 / ウルト ラマンタロウの声 石丸博也 / 早川プロダクション

《スーツアクター》岩田栄慶 / 和田三四郎 / 相馬絢也 / 末永博志

《シリーズ構成・脚本》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《特技監督》鈴木 健二 《監督》佐野智樹 《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新一 《 企画》岡崎剛之 / 江藤直行 / 中村理一郎 《プロデューサー》岩佐芳弘 / 渋谷 浩康 / 山西太平 《制作プロデューサー》小山信行 《アソシエイトプロデュー サー》小掛慎太郎 《ラインプロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー 》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》倉持武弘 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也 《録音》岩岡勝徳  《操演》上田健一 《助監督》石川 整 《装飾》大藤邦康 《衣装》塚田亜矢子  《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》高橋誠喜 《編集》矢 船陽介 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊一 《VE》佐々木彰司  《スクリプター》島貫育子 《キャスティング》小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉 《操演》根岸 泉  《殺陣》岡野弘之 《助監督》日暮大幹 《スクリプター》長谷川幸子 《スチ ール》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン》丸山 浩 《 キャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクターメンテナン ス》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》池田 遼 《CGIモ ーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバイザー》早川 哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》大坪隆仁 / 澤田元春 /

小嶋律史 / 森 裕二 / 川口智久 《CGIマネージャー》小田達哉 《CGI協力》水 石 徹 / 三宅 仁 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェクトアニ メーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト》高田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD担当 》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《製作 デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川勝一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤッ プ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照 明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラ プロ / スリーエススタジオ / 富士通乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジ ン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセ ンター / IMAGICA / クレッセント / AdobeSystems / ボーンデジタル / D.A.S.T /

スタジオ・バックホーン / パンチライン / RECARO / 岡村製作所 / ナナオ / フ ジ工業 / フジコーワ工業 / 前田製作所 / パラマウントベッド / 日本光電 / フ クダ電子 / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / KENNETH COLE / Zoff

《撮影協力》横浜市立みなと赤十字病院 / 横浜フィルムコミッション / 梨花幼 稚園 / 日本大学商学部

《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 /円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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