ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第33話「青い火の女」 マニア考察】

ウルトラマンメビウス 第33話「青い火の女」 ハードバージョン

【メビウスライター 帰りマン&ティガ命】

シリーズ構成:赤星政尚、設定考証:谷崎あきら、脚本:長谷川圭一、監督:小原直樹、特技監督:菊池雄一

テッペイ(内野謙太)は通っている医大のキャンパスで先輩から、悪魔に取り付かれた妹を救って欲しいと頼まれる。 その先輩と仲間の女性と共にミサ(斉藤麻衣)と会ったテッペイは心がときめくのを感じた。

先輩たちの話:1週間前にグループで海へ出かけたが、そこへ青い火の玉が向かってきた。皆、 気を失ったが、気がつくとミサが体の熱さを訴え、辺りは火に包まれた・・その後もミサの周囲で同様のことが起きている。

その場に別の友人男性が、ミサのために怪しげな霊媒師(赤星昇一郎)を連れてきた。 霊媒師はミサに迫るが、ミサの悲鳴と共に霊媒師が持っていた除霊セットの袋が炎上した。

ミサはGUYSで検査されることになったが、体組織に変化は見られない。 テッペイが花束を持ってミサの病室に入ると、 ガラス越しにミライ(五十嵐隼士)、ジョージ(渡辺大輔)、リュウ(仁科克基)が見守る・・

そこへコノミ(平田弥里)が現われ、騒ぎになったところを病室の中のテッペイとミサに気づかれてしまう。 コノミに促されて、ミライら3人は退室するが、その様子を見たミサは、テッペイの前で初めて笑うところを見せる。

コンビナートに青い炎が飛来し、怪獣フェミゴン(フェミゴンフレイム)が出現する。 ミサキ総監代行(石川紗彩)がそれを伝え、サコミズ隊長(田中実)が出撃命令を下す。 ミライ、リュウ、マリナ(斉川あい)、ジョージの4人が出撃する。戦闘機の攻撃を右肩に受け、フェミゴンは消える。

指令室では、トリヤマ補佐官(石井愃一)とマル補佐官秘書(まいど豊)の二人が、 怪獣がすぐに消えたことを喜んでいた。 コノミがドキュメントMATから怪獣がフェミゴンであることを告げると、 テッペイはフェミゴンが人間に憑依して実体化する習性を持つことを思い出した。

フェミゴンとミサの関係に気づいたテッペイはミサの病室に向かうが、ミサの姿はなかった。 テッペイはミサにフェミゴンが憑依したことを確信した。振り返るといつの間にかミサが戻っていた。

ミサの右肩には傷があり、血がにじんでいた。怖がるミサにテッペイは「怖がらなくてもいい。 きっと僕が助けてみせる。」と言い、抱きつくミサに「約束する。」と誓う。

テッペイはGUYSメンバーたちにフェミゴンがミサに憑依していることと、 フェミゴンを傷つけるとミサの体も傷つくことを告げた。

テッペイはミサから手作りのミサンガをもらう。解決策を探るテッペイだが、なかなかいい方法が見つからない。 そこへ再びフェミゴンがコンビナートに出現したという連絡が入った。

フェミゴンは目や口から火炎弾を放ち、さらに炎上しているコンビナートの炎を口で吸い込む。 フェミゴンがミサであることから手も足もでないGUYSメンバーたち・・ミライはメビウスに変身する。

メビウスはフェミゴンが逃げ遅れた作業員たちに近づくのに気づき、メビュームシュートを放とうとする。 テッペイが「止めてくれ!」と大声で制止し、メビウスは光線を放つのを止める。 身動きがとれなくなったメビウスに火炎弾を放ち、フェミゴンは姿を消す。

指令室に戻ったミライを責めるテッペイ・・あの状況では仕方なかったとミライをかばうマリナとリュウ・・ 謝るミライにテッペイは、ミライ君は正義を守るウルトラマンだから・・ でも僕は彼女を守ると約束したから・・僕は人間として彼女を見捨てることはできない、と告げて部屋を出る。

自分の無力さを嘆くテッペイ・・サコミズ隊長は医者であるテッペイの父の例をあげ、 どんな医者でも全ての患者を救えない、どんな結果が待っていようが、 あきらめずに最後の最後まで頑張ることの大切さをテッペイに諭す。 テッペイは指令室に戻ると、ミライに先ほどの自分の言葉を詫びた。そしてミライもテッペイを手伝うと言う。

ミライの協力を得てテッペイは、ウルトラマンの光線と融合して怪獣とミサを分離するスピリット・ セパレーターを完成させた。 それを察したフェミゴンは、テッペイが置いた病室の花を燃やし、ミサの体と共に外に出る。 追うテッペイの前でミサは「助けて・・」と言いながら青い炎に包まれ、フェミゴンに変身する。

メビウスが現われ、格闘しながらフェミゴンを押さえる。そこへテッペイがスピリット・ セパレーターを放つ。その手にはミサからもらったミサンガが・・ すかさずメビウスもメビュームシュートを放つ。フェミゴンは消滅する。

ミサの退院の日、テッペイは正装し、花束を持ち、ヘアースタイルはジョージそっくりに決めてミサを待つ。 それを見守るミライ、リュウ、ジョージの3人・・ミサが現われた。

テッペイはミサに花束を渡そうとするが、ミサはテッペイを無視して、 迎えに来た恋人の胸に飛び込む。ぼう然とするテッペイたち・・ ミサはフェミゴンに憑依されていた間の記憶を全て失っており、テッペイに関する記憶も全く残っていなかった。

ミサンガを手にしながら屋上にいた失意のテッペイにミライは声をかけた。テッペイはミライに、 「僕らはベストを尽くした。そして彼女を救った。約束を果たしたんだ。 それで十分じゃないか。たとえ何の代償がなくても、最後まで頑張る。 医者もGUYSも、それにウルトラマンも・・」と語った。

過去のウルトラ作品とのリンクポイント

1.フェミゴン

かつて帰りマン47話に登場しました。フェミゴンは本来、不定形な火の玉のような生命体で、 人間に憑依する事で初めて実体化する宇宙怪獣で、 人魂怪獣と呼ばれています。

前回登場時は、MATの紅一点である丘隊員に乗り移り、通信機やレーダーのスイッチを切ったりして、 MAT隊員たちを危険な目に合わせようとします。 この結果、丘隊員は強制的に休暇を取らされます。 MATや帰りマンとの戦いにおいては、口から火を吐き、背中の突起で帰りマンを刺し、 さらに帰りマンの後頭部に噛み付くなどの攻撃を見せました。

MAT基地を狙って海に潜りましたが、最後は海中でウルトラブレスレット(ウルトラスパーク)を受けて爆発します。 その時に人魂のような光が地上に上り、丘隊員は無事に帰還しました。 フェミゴンの一連の頭脳プレイを見る限り、怪獣の形にはなりますが、 相当高度な知性を持った生命体であることがわかります。

補足1(丘隊員):帰りマン47話では女性の丘隊員にスポットが当たっていますが、この丘隊員は剣道4段の腕前で、さらに柔道も学んでおり、実戦では男性隊員に負けません。責任感も強く、時々優しい面も見せました。結構いいキャラではあったのですが、帰りマンでは、郷以外の隊員たちにスポットを当てた作品もありますが、ティガやメビウスに比べるとはるかに少なく、丘隊員に関してもこの話が唯一といえるくらいです。

補足2(帰りマン47話との共通点):女性に憑依した点、石油コンビナートに現われた点が共通しています。さらに、今回、テッペイがスピリット・セパレーターを開発しましたが、それを敏感に察知するあたり、フェミゴンフレイムも初代同様、高度な知性を持っていることがうかがえます。

補足3(初代との違い):今回登場したフェミゴンは、帰りマン登場の初代とは別個体ですが、外見的特長や能力の差異から、フェミゴンフレイムと呼ばれています。初代との違いは、テッペイが解説したように、フェミゴンフレイムが傷つくと憑依された人間も傷つく点があげられますが、それ以外にもいくつかあります。外見的には、首の付け根あたりが初代フェミゴンより太くなっています。また、初代フェミゴンは口から火を吐きましたが、フェミゴンフレイムは目と口から火炎弾を出します。炎を食べるのも初代では見られませんでした。さらに、人間に憑依した時に炎を出すというのも初代では見られませんでした。また、初代フェミゴンは明らかにMATを狙っていましたが、今回のフェミゴンフレイムからは明確な意思や目的が感じられませんでした。

2.斉藤麻衣さん
今回テッペイが一目惚れし、フェミゴンに憑依されたミサを演じたのは、斉藤麻衣さん。 斉藤麻衣さんは3歳の時から子役を演じていて、まだ若いのに芸歴は豊富です。

ウルトラでは、劇場版ティガ&ダイナ&ガイアで七瀬リサを演じ、 劇場版コスモス2とコスモスVSジャスティスでは、 ギャシー星人シャウを演じ、マックス28話では、凶暴な怪獣ルガノーガーに自分が住む惑星を破壊され、 地球に逃げてきた異性人リリカを演じました。

3.赤星昇一郎さん
今回、怪しげな霊媒師役で出てきた赤星昇一郎さんですが、 特撮では超星神グランセイザーの堀口博士の印象が強いのですが、ウルトラシリーズでもいろいろと出ています。

ティガ27話でオビコ、ガイア50話でGUARDジャパン幹部、コスモス38話でベリル星人、 マックス20話では寺のお坊さんなど騒音の元となる人々を演じ、同じくマックス29話でも討論番組の中で出てきました。

4.頭脳派隊員たちの恋

(1)エース(今野隊員)
エース9話で、今野隊員は、女性カメラマン鮫島純子が写した写真の中に消えた超獣を追い、それをきっかけとして純子と仲良くなり、デートすることになります。

(2)ティガ(ホリイ隊員)
ティガ22話で、ホリイ隊員はエザキ・ミチルという女性と出会い、そこから二人の交際がスタートします。そして47話では、苦難の末に互いの気持ちを確認し、エンディングで結婚式の場面が映し出されます。

(3)ティガ(ヤズミ隊員)
ティガ36話で、ヤズミ隊員は大正時代から現在に飛ばされて来た少女テヅカ・ユリの世話をすることになります。恋愛感情というまでにはいかなかったかもしれませんが、二人の交流は心温まるものがありました。最後、ユリは元の時代に戻りますが、時空を超えた心の触れ合いは感動的でした。

(4)ダイナ(ナカジマ隊員)
ダイナ40話で、ナカジマ隊員は宇宙魔樹ゴッドジャミラに捕えられた大学時代の恋人ノリコの危機を救います。そしてラストシーンでナカジマは正装し、ずっと想い続けてきたノリコに自分の気持ちを伝えますが、ズボンの尻が破けるというハプニングもありました。*一応ハッピーエンドですが、今回の話に最も近い内容でした。

(5)コスモス(ドイガキ隊員)
ドイガキ隊員は、大学の研究室で考古学を研究している吉井ユカリ(10話・34話・46話に登場)との仲が次第に進展し、恋人同士になります。

こうしてみると、縁の下の力持ちともいうべき頭脳派隊員たちの恋愛話は結構多く(主に平成)、しかも多くの場合はハッピーエンドとなっています。今回のテッペイは本当に残念でした。

ウルトラマンマニア考察

1.テッペイの恋
恋愛ドラマとして今回の話を見る時に、最後のオチは決して笑えるものではなく、 テッペイが本当にかわいそうになりました。 とにかく自分が想っている女性を救いたいというテッペイの気持ち・・ それが本当に純粋で真っ直ぐだっただけに観ていて本当に応援したくなりました。

失恋の痛手・・最後のミライとの会話は、テッペイの気持ちを考えると痛々しいものでしたが、 テッペイは決して相手や運命のいたずらを恨んだりすることなく、その辛さを優しさに変えました。 14話の「ひとつの道」で見せてくれたテッペイの本当の優しさ・・今回もまたそれを見せてくれました。

2.ウルトラマンとしてのミライと人間としてのテッペイ
フェミゴンとの戦いは、いわば人質を取られているようなもので、 メビウスは人質の命を救うのか、他の人々の命を救うのかと天秤にかけられた形となりました。 残された作業員たちの命も守らなければならない状況下で、メビウスも苦境に立たされており、 テッペイに責められたのは気の毒ですが、テッペイの 「ミライ君は正義を守るウルトラマンだから・・でも僕は彼女を守ると約束したから・・ 僕は人間として彼女を見捨てることはできない・・」というテッペイのセリフは、ミサを想う気持ちは理解できるものの、 「ウルトラマンは所詮立場が違う。ウルトラマンは人間ではないから。」と言っているように聞こえます。

ミライには相当きつい言葉だったと思いますが、このやり取りには、何か問題が生じた時に、 ウルトラマンが異質な存在と見なされやすいことが表れています。 テッペイの方は、自分の言葉がミライの心にダメージを与えたことをわかっていたと思います。 素直にミライに謝るところにテッペイの良さがあります。

3.正体が明かされていることのメリットとデメリット
正体が明かされたことにより、ミライは変身するのに、自分自身を仲間の視線の外に置く必要がなくなりました。さらに共同で作戦をたてることも容易になりました。これらはメリットといえますが、その反面、何らかの理由でかみ合わなくなった時には、今回のように「所詮はウルトラマンだから、人間とは違う・・」ということになりかねない危険もはらんでいます。

4.あきらめない心
これはウルトラシリーズ全体を通して脈々と流れているテーマですが、絶望しかかったテッペイにサコミズ隊長があきらめない心の大切さを教えました。テレビを観ている側としては「あきらめるな」と心の中で思うのは簡単ですが、実際には日常生活の中において、仕事などであきらめてしまうことも決して少なくありません。「本当にまだやれることはないのか」と考えてみることの大切さ・・今回のテッペイはそれを示してくれました。

5.代償なき行為
たとえ恋が実らなかったとしても、相手が自分のことを心の中に焼き付けてくれて、感謝のひと言でもあれば、まだ救いはあったかもしれません。ミサが一連の記憶を失っていて自分のことを覚えてすらいない、という今回の展開はあまりにもテッペイにとって厳しいものとなりました。「たとえ何の代償がなくても、最後まで頑張る」というテッペイの言葉は胸に突き刺さるものがありました。失恋の中で、テッペイは本当に大切なものを学び、それを我々に見せてくれました。自分自身が報われなくとも相手が幸せになれれば、それでいい・・そういう気持ちになれるということは、テッペイが本当に相手のことを強く想っていたということで、それを思うと本当にハッピーエンドにしてあげたかった、というのが率直な感想です。皆が今回のテッペイのような、純粋で優しい気持ちをずっと持ち続けることができたら・・・そんなことを考えました。

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