ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス第34話「故郷のない男」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス第34話「故郷のない男」レイゴ考察ソフトバージョン

ウルトラマンメビウス・リフレクト星人画像
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リフレクト星人と闘っているメビウスは、いきなりのピンチだった。敵から腹に一発の蹴りをくらい跳ね飛ばされる。 ボディ全体が丸く、手足がぬうっとボールから突き出たような形態のリフレクト星人は、 両手に円錐状の楯を持っていた。メビウスはその振り回される楯により殴打を受け、 胸のカラータイマーは赤く、激しく点滅していた。

リフレクト星人はせせら笑うと一歩踏み出した。「フフフフ・・・」メゾウスのピンチにガンウィンガーは、メビウスの周りを急旋回すると、 機上のリュウが叫ぶ「もう時間がねぇー。メビュームシュートだ!」メビウスはメビュームシュートをリフレクト星人に向けて放つ。

しかしあろうことかそれはリフレクト星人の楯により、メビウスに向けて跳ね返された。 メビウスは 両手を広げて形成する∞の形をしたバリア、デイフェンスサークルで応戦するが、そのまま押し戻されメビウスのボディにヒットする。

ジョージが「なに!」驚愕し、 テッペイも叫ぶ「光線技が効かない?!」メビウスはすかさず、メビウスブレイブにバージョンアップを遂げると、 メビュームナイトブレードを振りかざした。

「いけない!ミライくん」テッペイが、思わず立ち上がり制止をかけるが、しかし、メビウスにはテッペイの言葉は届かず、 メビュームナイトブレードからくりだす、エネルギーを半月上の長剣スラッシュ光線にした、 ブレードスラッシュをリフレクト星人にぶつた。

しかしリフレクト星人は、自らスピン状に高速回転し、ブレードスラッシュを受け止めるとさらに弾き飛ばし、メビウス自身に炸裂させた。 ガイズクルーの表情が固まる。

リフレクト星人は妙に紳士的でおよそ形態とは不釣合いの二枚目の声で、うずくまるメビウスに語りかける。 「もう少し骨があると思っていましたが、その程度ですか?とんだ買い被りでした。」その楯となる手を変化させ、剣を突き出すと 「とどめです」

メビウスに振り下ろされる剣を察知して、 リュウが、ガンウィンガーから何発ものミサイルをうねらせてリフレクト星人にめがけて砲撃する。 リフレクト星人は振り向きざま、 手に持つ剣でミサイルをいともたやすく叩き落とす。 リュウは「あ゛・・・・」と小さく声を上げた。

「あ〜あ、気が削がれてしまいました。ですが、あなたなど、いつでも倒せます。」 剣をメビウスの咽元に突きつけ、あと一突きのところまで迫りながら 「その命、預けておきましょう。ハハハハハ・・・・」 と高らかに笑い飛ばすと、負傷し追撃もままならないメビウスを置きざりに消えた。

メビウスは、悔しそうに拳を握り締め「ヘアー」叫ぶとそれを地面に強く叩きつけた。

ガンウィンガーで飛行するリュウは「間違いないんだな?ミライ」後部座席に座るミライに声をかける。 ミライは頷く「誰かが僕を呼んでいます」 「あの、リフレクト星人じゃないんだろ?」 「・・・・ええ」

ガンローダー に機上するジョージの後ろに座るテッペイは、向かう目的地について「伊豆諸島南端、黒潮島。 怪獣頻出期に、ブラックギラスとレッドギラス二大怪獣によって沈められ、 島民のほとんどが全滅した、悲劇の島です」とその情報を補足する。

ミライは「こっちです。近くにいます」 とリュウたちを振り返り、足早に案内する。 リュウが「油断するな」警戒の声をかけたとき、海が一望できる位置、そこには何本かの埋め込まれたかざぐるまが、 静かな風に乗ってくるくる回っていた。 島民魂碑が建っていたのだ。その墓石前にガイズのメンバーは、人影を発見した。

そこには、網代笠(あじろがさ)をかぶり、黒い従軍衣のいでたちの一人の男の姿があった。 (注 過去のおおとりゲンは「雲水僧」という行方を定めないで諸国を行脚する修行の僧のいでたちであった。)

ジョージは「誰か、いるぜ」目視するとすばやく銃を引き抜く、リュウもそれに続く。 男はかがむとカーネーション、トルコキキョウの花を墓石にそっと手向ける。

その様子に二人はおもむろに銃をしまう。男は手を合わせ静かに拝む。 ミライは確認する「お墓参り・・・・ですよね?」 リュウが「ああ」頷く。

男はガイズクルーを背後に感じながら、振り向かずに話しはじめた。 「俺は地球での最初の闘いで、沈むこの島を守れなかった」 リュウが「最初の・・・闘い?」不思議そうに聞き返す。

男は重々しく言葉を続けた。 「そのために、多くの人たちが犠牲になった。ここは俺が、絶対に忘れてはならない場所だ」 男の左手にはレオリングが光っていた。

その言葉にミライは確信した。「あなただったんですか?僕を呼んでいたのは」 「メビウス」男は振り返った。男のかぶっていた網代笠(あじろがさ)が空に舞った。 「・・・・光の国以来だな」

ミライはその顔に驚愕する。「どうして、地球に?」 「お前と闘うためだ」男は毅然としてミライを睨みすえる。 ミライは狼狽する。「え゛、僕はあなたと闘う事など出来ません!」

「リフレクト星人に負けたように、俺にも勝てないからか?」男は口元に薄ら笑いを浮かべた。 悔しそうに唇をかむミライ。

リュウが「黙って聞いてりゃ、好き放題言いやがって!」いきり立って進み出た。 ジョージもだ。「ミライ、こいつ何者だ?」

ミライは言いよどみ「この人の名は・・・」そして口にしようとしたその時、男はやおら、 両手を開き交差させ、その後交差をほどいて掌を下に向け左手を引き、右手を前に突き出し 手を入れ替えるように右手を引き、レオリングを嵌めた左手を、ジャブの要領で打ち出すようにしながら男はひとたび叫んだ。

「レオーーーーーー!!」獅子の瞳が輝いた。

ガイズの目の前の男の姿は消え。 地面が轟く音に慌てて振り返るとそこにウルトラマンレオの勇士が立ちはだかっていた。

テッペイは嬉々として叫んだ。「ウルトラマンレオだぁ!!」 レオはミライを見据えると「来い!メビウス!」 リュウは不服そうに「なんだかわかんねーけど、やる気満々みたいだぜ」

ジョージも「相手してやりな」まだ戸惑うミライに 「俺たちがついてる」ミライの肩に手を置くリュウ。

ミライは決心すると「はい!」頷き「メビウーーーース!!」ミライはメビウスに変身した。 風が流れ、二人のウルトラ戦士は静かに間合いをとる。

対決の口火を切ったにはレオ のキック。よろけるが踏みとどまったメビウスが、後方からレオの右腕を押さえ 、更に左腕を押さえにかかった。

しかし今度は、反対にメビウスの左腕は後ろ手にエエイと捉えられた。 その腕を高く上げられたかと思うと、空いた脇腹にチョップを入れられ、直後に 小手先で軽く投げ飛ばされた。メビウスは地面で数回転横転した。

メビウスの仕掛ける技はレオに軽くかわされ、キックの連打を受ける 。 レオのその脚を掴むが、レオは両脚を空中で揃え、捻りを入れて肩先にキック! 痛みに耐えるメビウス。

「本気で来なければ、死ぬことになるぞ。」 そう忠告してこちらに向かって来るレオを止めようと、メビウスは片脚を出すが 空中で回転させられ、送り投げをするも肩は痛む。

背中合わせに伸ばした両腕を取り、投げようとするがこれも交わされ、返って巴 投げの応戦を受け、地面に転がるメビウス。

続いて空中回転したレオが、そのままメビウスの肩に正面からまたがり、肩先に チョップを食らう。 組み敷かれた体制でメビウスもレオの背中にキック。 ところが、向かい合いパンチを仕掛けるも、今度はレポの強烈なパンチの連打を 胸に受け、肩を掴まれ大きく投げ飛ばされた。

レオは気合いを入れ直し、大きくジャンプ。 空中回転、脚を揃えた捻りを入れ、そして繰り出した大技は・・・

「レオキックだ!」テッペイが叫んだ。 足の底に炎が燃える。

メビウスもすかさずキックポーズで斜めに降りてくるレオを迎え討つように、斜 めに上昇した。 両者がぶつかり、幾筋もの光の外輪を持つ、大きな爆発模様を呈した。

きちんと着地したレオに対し、腹から地面に落下したメビウスは、空に 片手を伸ばす。

テッペイが「ミライくん!」 ジョージが「ミライ!」 そしてリュウも「ミライ」ガイズのメンバーは落下したミライを探して駆け寄る。 テッペイが「ミライくん!」を抱き起こす。

リュウが心配そうに覗き込む「ミライ、大丈夫か!」 ミライは「ええ・・・・」やっとのように返事を返す。

ジョージとリュウは側に立ったおおとりゲンに気色ばんで、同時に銃を向け、 ジョージが「あんた、ウルトラマンの癖にどういうつもりだ!」 と怒鳴った。リュウも顎と肩を突き出し「事と次第によっちゃ、容赦しねーぞ」と凄む。

ゲンは静かに「武器に頼れば隙が生じる」とガイズメンバーに言う。 ジョージが「え・・・」 ゲンは続ける。「最後に頼るべきは、自分自身だ」 リュウが「自分・・・自身・・・」その言葉を噛み砕くように小さく声に出す。

銃をしまう二人。テッペイに助けられよろよろミライが立ち上がった。 「今は任務で遠く離れているが、この地球は俺にとって第二の・・・・いや本当の故郷だ」 ミライが「故郷・・・・」声に出す。

「その故郷をお前に托せるかどうか、試させてもらった。タロウ兄さんは許したらしいが」振り返りミライをにらみつけたゲンは 「俺は許さん!」一喝した。「お前には地球は托せない」

リュウが一段と気色ばむ「何、勝手な事言ってんだ!今まで地球は、俺たちとこいつで守って来た! それはこれからも変わらねぇ」

「だが!メビウスはリフレクト星人に負け、この俺にも負けた。 それが何を意味するかわかるか?お前たちの闘いは、必ず勝たねばならん闘いなんだ! そんな事もわからずに、よくウルトラマンを名乗れたもんだ」

リュウはにじりよる「言わせておけば!!」 ミライが制する「やめてください!」 リュウはミライに向き直ると「ミライ、お前悔しくねーのか!?」 「でも・・・・ウルトラマンレオの言う通りです」

「その顔は何だ!その目はっ!その涙は何だ!そのお前の涙で、 この地球が救えるのか?!」悔しさから頬に涙が伝わるミライに向かいゲンは言い放つ。 「リフレクト星人を倒してみろ!そうすれば地球を托そう」 そういうと、胴着を投げてよこした。

ガイズデレクションルームでは、 ミサキが資料ブックを開き説明をしていた。 「ドキュメントMACによれば、ウルトラマンレオは幾度も宇宙人や怪獣に敗れています」 コノミが「じゃぁ、誰が宇宙人や怪獣を倒してたんですか?」不思議そうに問う。

ミサキが答える「もちろんレオです。多くの場合レオは再戦で、新たな技を繰り出して勝利しています」 マリナが「一度負けても、次は必ず倒してたんだ・・・」感慨深げにもの言う。 ジョージが息を吐き出すように「いくつもの修羅場をくぐり抜けたって事か・・・」

テッペイがふと顔を上げた「でも確か、当時の防衛チームは・・・」 ミサキが頷く「ええ、敵の襲撃に遭い、全滅しています」 リュウが淡々と「それでもあいつは、闘い抜いた」

ミライが立ち上がった 「そうか!地球が故郷って、そういう意味なんだ・・・ウルトラマンレオの生まれ故郷は、全滅しているんです。 だからレオにはもう、地球しかないんです。光の国という故郷がある僕とは違うんだ」

サコミズが 「きっとレオは、その孤独さえも力に変えて闘ったんだ。 それだけの覚悟を持って守り抜いたから、他人の星を故郷だって言い切れるんじゃないかな」

リュウが何かふっきれたようなきっぱりとした顔で立ち上がると 「いい気になっていたが、俺たちにそんだけの覚悟があったか?そんな覚悟でこれまで闘って来たか? ミライ、今のお前が・・・・いや俺たちが、レオに勝てなかったのは当たり前だ」 とミライに向かって言う。ミライはややうつむく。

ジョージが立ち上がる「けど、レオがそうだったように、俺たちだってリフレクト星人にまだ一度負けただけだ!」 リュウも頷く「ああ、もう二度と負ねぇ。俺たちの闘いは、必ず勝たなきゃならない闘いなんだ!」

ミライは表情を曇らせる「でも、光線技はもう通じない・・・」 テッペイがにっこり微笑むと「それなら大丈夫。レオは君に、リフレクト星人を倒す術を教えてくれてたんだ」 ミライは「え・・・?」驚く。

テッペイが 「リフレクト星人の身体は、誘電体多層膜ミラーのような構造なんです。要するに、 光線の吸収性がない身体なんです。でもレオキックなら」 解説する。

ジョージがニヤリとする「それであんな手荒な真似を・・・味な事しやがる」 テッペイが続ける。 「ただしレオの身体能力、例えばジャンプ力なら垂直距離で地上1000m。 レオキックはその身体能力を最大限に活かした技ですが、 ミライくんのキック力があれほどの破壊力を持つかというと・・・」

ミライが頷く 「実際にレオキックを受けた僕にはわかります。僕のキックにあれほどの破壊力は・・・」 リュウはパッと顔を輝かせると 「そーか!それでレオはこれを残してったんだ。」レオの胴着を紐解くと 「言ってたじゃないか、」胴着をパッと一段と大きく開いた。「最後に頼れるのは自分自身だって」

マリナが「うわぁぁ、熱血バカが喜びそうな展開・・・」ため息混じりに言葉を吐き出すと顔をそむける。 リュウは妙に丁寧に「何か言いましたか?」 マリナは「ううん、何も」そしらぬ顔で言う。

リュウは満面笑顔で「よーし!ミライ。早速特訓だ!俺も手伝う」 ミライは、レオの胴着を握り締め 「待ってください!これにはレオが地球で流した汗が沁みこんでいます。孤独を力に変えるために流した汗が。 今、わかりました。他人の力を頼りにしないこと!一人でやらせてください」

胴着をまとい素足で木を蹴る「ハァー」ミライの声が山に響く。 ゲンがその様子を見守っていた「男はいつも、一人で闘うんだ。自分自身と闘うんだ!」 山を走り、蹴りの特訓を続けるミライ。

すでにミライの形相も変わり、何本かの木は1撃の蹴りでブチ破る。 引き抜きまた蹴り抜く。

ミライの顔から滝のように汗が流れる。 ジョージとマリナが木陰からそっと様子を見る。

「ダメだこんなんじゃ」ミライは地面に手をついた。 ふと肩をつかまれた。リュウだった。 「リュウさん」 「どうだ調子は」木の株に並んで腰掛けるミライに問う。

無言でうなだれるミライ 「でもお前ずい分頑張っているじゃない。」 ミライは訴える 「ですけどこんなんじゃダメなんです。 レオのように身体能力がない僕がレオキック並みの破壊力を得るためには何かが足りないんです。」

「他人に甘えないてことは、 他人に心配をかけてもいいってことじゃないんだぜ」 「え」 「ま、心配しているのはオレの勝手だけどな」といった。

「ずいぶんたまったなぁー」テッペイの声に二人は顔を上げる。 「これだけあれば焚き火には十分」コノミの声も聞こえた。 「だね」テッペイが同意する。 「焚き火」リュウが怪訝そうに聞き返す。 「そう、そして焚き火といえば」コノミがにこにことサツマイモを持ち上げて見せる。 「やきいもか」

「ミライお前食べたことないだろう」リュウも嬉しそうにミライの顔を見る。 「おいしいよぉ ミライ君もいっしょにたべよう」コノミが誘う。 ミライが蹴破った何本かの木をナタで落とすリュウ。横でコノミがホイルにサツマイモを包む。ミライは不思議そうに サツマイモに鼻をくつっけてしきりと嗅でいた。

「あー」隊員服のあちらこちらをバタバタ叩いていたテッペイが大声を出す。「マッチ忘れました。いってきます」 「ちよっとまった。」リュウがニヤリと笑った。 「みてろよ」 リュウは土台の板に穴をあけ、そこに別の小枝を垂直に立て、両手で小枝をこすりだした。

「リュウさんは何をしているんですか」ミライが不思議そうに尋ねる。 「あー、ああやると摩擦熱で火が起きるんだ」とテッペイが答える。 「ミライお前は知らないだろうけど、 大昔の地球人はこうやって火を起こしてたんだ」

白い煙が、もくもくと立ち上がるところに、リュウがおがくずを軽く乗せ、フーフーと優しく息を吹きかけて やるとついに引火した。 「あ、」リュウの声に「ついた」テッペイが驚く。 リュウさん器用ですね。」コノミが感心する。 「器用って」リュウは笑い 「でもすごいなー」テッペイも感心することしきりだ。

「よっしゃーついたー」ハッとして目を大きく見開くミライ。 ミライは何かを感じていた。

じっと考え込むミライに 「ミライどうした もう1本食え」とリュウが差し出す。 「ありがとうございます。」焼きいもを受け取るミライは燃え盛る炎をじっと見詰めていた。

その時、ピーピーピーとリュウのメモリーディスプレイが鳴った。 「はい。何かあったんですか?」 「リフレクト星人が現れた。」サコミズの顔がメモリーデスプレィに映った。

ガンウィンガーは現場に急行した。リュウが「あれだ !」とリフレクト星人の姿を目視した。

「フフフフ・・・ハハハハハハハ」 リフレクト星人は、足取りも軽く、両手の円錐状の楯をガシンガシンと、軽くぶつけながら、高笑いを続ける。 「余裕しゃくしゃくかよ。嫌味な野郎だ。」

「行きます!」ミライがきっぱりと言い切った。 「行くってお前…まだ、何か足りないって…」 「戦わせてください。」 「なら、援護は任せな。」 「今日だけは、僕一人で。お願いします!」 リュウは少し考えて言った。「わかった。なら、絶対勝って来い!」

「メビウーーース!」飛行してきたメビウスはリフレクト星人の前に舞い降りた。 「預けておいた命、頂きに参りました。」

身構えるメビウス、緊張の走るメンバーたち。 機上のリュウ、ジョージ、マリナ、フェニックスネストのコノミとテッペイ、ト リヤマとマル、サコミズが固唾を呑んで見守る。 地上ではゲンが網代笠を指先で押し上げる。

メビウスは走り出し、大きくジャンプして空中回転した。 「光線技の効かない私に対して、蹴り技で挑もうと言うのですか。ですが!」 左手の盾で、メビウスのキックの弾道を予め防御する。

ハッ メンバーの緊張が高まる。 予想された通り、メビウスの右足底はその盾へ着地し、空中滞空の間があった。 メビウスは思い起こす。リュウが火を起こした時の様子を。

「セヤーーッ!」そしてその木の棒に自身の身体を置き換え、相手に接触した右 足を軸に、高速回転を始めた。

メビウスの足元から煙が立ち上り、火花が散り始めた。それはらせんを描きなが ら円錐状の炎を起こす。 「なにっ!?」狼狽したリフレクト星人が叫んだ瞬間、大爆発を起こし、星人の 身体は大きく弾き飛ばされた。 メビウスは身軽に空中回転し、着地した。

「すげえじゃないか、ミライ。いつの間にそんな技を!?」リュウから笑みがこ ぼれた。 ゲンは黙ったままだったが、1歩前に進み出た。

「よくも私の身体に傷を・・・!」 プライドと身体を傷付けられた怒りに震えながら、リフレクト星人は手の先から 光弾を発射。

避けたメビウスが技を繰り出そうとしたが、リフレクト星人の姿がない!? 「こっちです、メビウス。フフフフフ」 移動したリフレクト星人の左盾のスリットから伸びたチェーンの先には、ガンフ ェニックスが二重巻きされ、捉えられていた。 「くっそ…」ガンウィンガーのコックピットでリュウが出力全開するが、離脱出 来ない。

「この雑魚どもを見殺しにするようなあなたではないはずです。動かなければ、 命は保障します。」 「俺たちに構うな!」「そうよ、リフレクト星人を倒して!」ガンローダーコッ クピットからジョージとマリナが訴える。

「ンフフフ・・・キエッ!」リフレクト星人が奇声を上げ、右盾から伸ばした剣で向かって 来る。
そのとき・・・網代笠が宙を舞った。 「レオーーーーッ!!」

空を舞ったレオがリフレクト星人の右手を取り押さえた。 「ウルトラマンレオ?」リュウが後方に現れたレオを確認。 レオが高く掲げた右手が赤く光り、ハンドスライサーで剣を根元から断ち切った 。 同時にメビウスは、チェーンを引きちぎり、ガンフェニックスを解放した。

レオとメビウスはタッグでリフレクト星人に掛かって行く。 星人の光弾を鮮やかなバック転でかわすレオ。その星人をむんずと捕まえ、果敢 に戦いに挑むメビウス。

メビウスが後退するとレオが跳んで来てキック、ジャンプ後きりもみ回転して体 当たり。 二大戦士の攻撃の前に、減らず口を叩いていたリフレクト星人に はもうその余裕はない。

レオとメビウスは顔を見合わせ無言で頷く。 同時に高くジャンプして、レオは必殺技レオキックの体勢に、そしてメビウスもキッ クの体制に入った。 リフレクト星人は、それに対抗すべく自らも高速回転しながら上昇していく。

「ハァーーーッ!」メビウスは新しくあみ出し技、自らにスピンを掛けたドリルのような強烈なキ ックを炸裂させ、レオキックと2人同時にリフレクト星人の身体を貫いた!

穴の空いた星人の身体は一瞬留まったあと、大爆発を起こした。 「やったーーー!」歓喜に湧くディレクションルーム。 「よし!」ジョージ、マリナは顔を見合わせ、リュウは黙ってじっとレオとメビ ウスを上空を旋回する機内から見た。

レオとメビウスはお互いの顔を見合わせた。

「ありがとうございました。」 黒潮島の海を見下ろせる墓碑の前で、胴着をゲンに返すミライ。 「礼を言われるまでのことでもない。」 「僕が何をすべきか、教えてくれたのはあなたです。」 ゲンは黙って肯くと、踵を返して傾き掛けた太陽を背に歩き始めた。

「レオ兄さん!」ミライの呼びかけにゲンは立ち止まった。 「地球は、僕がきっと・・・」 「あぁ、お前になら、いや、お前たちになら、託せそうだ。俺の故郷を。」 「約束します!」ミライは微笑んだ。

「頼んだぞ、メビウス。」 言い終わって初めて見せたゲンの笑顔は、夕陽に照らされて輝いていた。

管理人のここが考察ポイント

今回のポイントは、「男はいつも、一人で闘うんだ。自分自身と闘うんだ」というゲンのメッセージにつきる。

これは地球を守るためにメビウスとガイズがこれまで、チームプレィで闘っていたことへの挑戦ともとれるが、 逆である。

一人一人が自覚し二本の足で大地を踏みしめ、 立っていなければ、おんぶに抱っこと結果的には、メンバーのお荷物になってしまう。 ひいてはその甘い意識が、必ず勝負に勝たなければ ならないときにおいて、チームの隙となる。

決して負けられないチームでは、そのような甘さでは結果は出せない。 故郷を失ったレオのように背水の陣としての緊張感や決意を胸にしっかり持ち、 自らの自覚そして自身の力で、闘えということである。

ゲンの言う、武器にたよらば隙ができるとは、自分以外の力、人を頼るというのも同意である。 これがウルトラ5つの誓い「他人の力に頼りにしないこと」の意味である。

昔のレオがウルトラセブンことダンから受けたとされる。 しごき、というか特訓の中から、自分の精神と肉体状態を極限にまで追い込み、 自分が捜し求める何かを、自ら見つけるというのも一理あるが、

しごいたところで、意識を転換できなければ、泥沼にはまってしまう場合もある。 また荒修行しているほど、ことは、悠長でもないのも事実だ。

そこで、ガイズお得意の科学的解析が登場すると思いきや、それではレオが名乗り上げる意味がない。 ガイズ(人類)が渡したウルトラマンへのヒントは、仲間が仲間を想う、純粋な激励の中から発見された。

いたわりの心から、ミライが食べたことのない食べ物として、(未知の情報) やきいもを食べさせるためにリュウは、昔の手法で、火をおこす。

それは古来の地球人の発想だった。何もないところから人類が、あみ出したといえる英知であった。 ミライはこれによって新しい技のヒントを得た。

ここらあたりの展開は実にうまい。 人は実は何気ない日常から大切なことを学んだり発見したりするからだ。

光線技が多用できてたいら、レオ自身も体得する必要がなかった技かもしれないが、それが出来なかったから、 レオは地道に努力した。 辛くても歯を食いしばり、ただひたすら前進を続けていた。いわゆる努力、根気、根性である。

自分が本当に欲しいものが簡単に手に入るばすもなく、 それは努力をしたものにしか得られないものもあり、そうして努力して得るからこそ 喜びもある。

先輩や経験者の言葉は、 時に厳しい言葉があるときもあるが、実はその人を思って、かけられていることが多いものである。 物事の表面だけをとらえるのではなく、真理を見極めろということでもある。

今のミライに足りないもの、必要なもの、そしてそれに気づかせること。 これらは、ミライ自身がつねにまじめで前向き、 物事を善意に解釈し、反省と努力を惜しまないという姿勢があるからこそ、 レオも伝授できたとも言える。

ウルトラマンレオ役の真夏 竜さんだが、ウルトラマンマックスの際の第33話「 ようこそ!地球へ 前篇 バルタン星の科学」第34話「後編さらばバルタン星人」 の2話に警官役でゲスト出演された際と顔すら違って見えた。

今回は、 まさにウルトラマンレオ、その人であった。真夏 竜さん自身が伝えたかった「熱」が本作 「故郷のない男」によって新たな世代に語り継がれることだろう。 明日のミライとレオになれるかもしれない。我々も切磋琢磨、頑張ろう。

追記を1つ、リフレクト星人は、ウルトラマンマックスのモエタランガ「燃え尽きろ地球」以来の丁寧な言葉使いで、 紳士のように、物腰も柔らか、ところがそれとは裏腹に 人質をとるなどの卑劣な行いは平気の厚顔無恥ぶりに、 どこか最近の宇宙人も地球人の慇懃無礼ぶりに似てきたなと思わず笑えた。

ウルトラマンメビウス 第34話「故郷のない男」  

光波宇宙人 リフレクト星人 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザマ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / トリヤマ補佐官 石井愃一 / マル補佐官秘書 まいど 豊 / ミサキ ユキ 石川紗彩 / おおとり ゲン 真夏 豊

《声の出演》掛川裕幸 《スーツアクター》和田三四郎 / 岩田栄慶 / 山本 諭 / 岩崎晋弥

《シリーズ構成・脚本》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《特技監督》菊池雄一 《監督》小原直樹 

《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新一 《企画》岡崎剛之 / 江藤直行 / 中村理一郎 《プロデューサー》岩佐芳弘 / 渋谷浩康 / 山西太平 《制作プロデューサー》小山信行 《アソシエイトプロデューサー》小掛慎太郎 《ラインプロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》倉持武弘 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也 《録音》岩岡勝徳 《操演》上田健一  《助監督》石川 整 《装飾》大藤邦康 《衣装》宮崎みずほ 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹  《製作主任》高橋誠喜 《編集》前嶌健治 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊一 《VE》高田秀雄  《スクリプター》島貫育子 《キャスティング》小島文夫 =特技スタッフ

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉 《操演》根岸 泉《殺陣》岡野弘之 《助監督》日暮大幹 《スクリプター》島貫育子 《スチール》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン》丸山 浩 《キャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクターメンテナンス》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》池田 遼 《CGIモーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバイザー》早川哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》大坪隆仁 / 上田和彦 / 澤田元春 / 小嶋律史 / 森 裕二 / 小杉淑美 / 川口智久 《CGIマネージャー》小田達哉 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェクトアニメーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト》高田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD担当》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《製作デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川勝一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤップ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラプロ / スリーエススタジオ / 富士通 乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセンター / IMAGICA / クレッセント / AdobeSystems / ボーンデジタル / D.A.S.T / スタジオ・バックホーン / パンチライン / RECARO / 岡村製作所 / ナナオ / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / CASIO / KENNETH COLE / Zoff 《撮影協力》さがみ湖ピクニックランド

《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 /円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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