ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第35話「群青の光と影」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス 第35話「群青の光と影」レイゴ考察ソフトバージョン

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夜の街に、未確認飛行物体襲来を告げる警報が鳴り響く。 空中回転後、ビルを踏みつぶし着地する謎の影。

ガンウィンガー、ガンローダーが急行する。 「あれは?」ミライの言葉にガンウィンガーの先頭座席に座るリュウは目を見開き凝視する。 ビルをつき潰すように殴るその姿は?

青い巨人は、 手当たり次第に建物を破壊しながら前進し始めた。 火花が散り、一瞬に瓦礫へと化した建物跡から火の手が上がり、幾筋もの黒煙が 空へ立ち上って行く。

逃げ惑う人々は叫ぶ「逃げろーー」 青い巨人は両手を広げ、腹の底から高らかに「ハッハハハハハハ・・・・」笑い声を上げた。

報道陣は突然の惨事に 「青いウルトラマン!ツルギです!ツルギが街を蹂躙しています。見てください、凄まじい破壊力です」と中継で、 まくし立てる。 町をぶち壊し、ツルギと呼ばれた巨人は闊歩する。

マリナは当惑する「どうしてツルギが・・・・?」 ミライが「違います。あれが本物のツルギのはずありません。」きっぱりと断言する。

「かつてツルギは鎧を身に纏い、復讐のためだけに闘っていました。だけど・・・ 心を取り戻して、ウルトラマンヒカリになったじゃないですか!」 それぞれの胸にボガールと闘うツルギの姿、そしてウルトラの母の慈愛が思い出される。

リュウが「ミライ、奴と話せるか?」 その言葉に軽く頷くとミライは「やってみます」メビウスブレスを掲げた。

着地に肩膝を付いて飛び出して来たメビウスを巨人は冷ややかに「ん?」と見る。 メビウスは、すぐにツルギの手に装着されているあるはずのない、 メビウスに託されたナイトブレスを見つけた。

メビウスは「うん?」巨人の腕から視線を上げ「お前は何者だ!答えろ!!」と言い放つ。 しかし巨人は、その問いに答えず、いきなりナイトビームブレードをかざして、メビウスに突進して きた。

メビウスは片手横転で、かわしたが、癒えない 肩の痛みに蹲るメビウス。 ジョージが思わず「ミライ」 マリナも声を上げる「ミライくん!」

巨人はナイトビームブレードを構え「フフフフフフ・・・・」不敵に笑う。「やめろーーーー!」 リュウがガンウィンガーの両翼から2本の光線、ウイングレットブラスターを放つが、 巨人の剣に軽く弾かれてしまう。 巨人は空にふわりと舞い上がり、閃光と共に姿を消した。

デレクションルームで、 テッペイが「ツルギは依然、消息不明のままです」報告する。 「あれはツルギではありません」ミライが勢いよく立ち上がった。

コノミはミライの剣幕に「ミライくん!」すこし驚いたようだ。 ミライはメンバーの顔をそれぞれ見つめながら 「ツルギが・・・いえ、ヒカリが人間を裏切るはずないじゃないですか! それにあいつの腕にはナイトブレスがあった。あれは、彼に姿を変えた、別の何かです」

ジョージの「別の何か?」という問いにミライは頷く。 サコミズも「例えば、彼を陥れようとする、何者かの仕業・・・・とか?」ミライに質問を投げかける。

「はい、ヒカリだけじゃありません。僕らウルトラマンの信頼を失わせようとする何者かの悪意を感じるんです」 マリナが「何のためにそんな事を?」問う。

リュウは淡々と「目的なんか、どうだっていい。セリザワ隊長をコケにするような奴は・・・」 その言葉が言い終わる前に「僕も許しません!」ミライは割って入り、「絶対に!」目をカッと見開き強く訴えた。

テレビ画面に大きく『青いウルトラマンは悪魔 ツルギは侵略者!?』 とテロップが流れ、ガイズと表示された壇上の机の前に、記者会見に立つトリヤマが、 そのすぐ側にサポートに付くようにマルが立っていた。

レポーターは「GUYSはツルギにどう対処する方針ですか?」マイクを突きつける。 街頭大型ディスプレイを不安そうに見つめる人々。

トリヤマは「えー・・・」汗をかき、言葉につまり、言葉を探す。 「たとえ何者であろうと、市民の平和を脅かすものには、断固たる態度で臨みます」 レポターの質疑は尚続く「ツルギを侵略者と認めたということですか・・・」トリヤマはハンカチで顔中をしきりに 拭きながら、 「ご安心ください。我々GUYS JAPANが総力を挙げて、必ずやツルギを掃討します」受け答えに必死であった。

街頭大型ディスプレイを見つめる人々たちは口々に 「怖いなぁ・・・ウルトラマンまでも、地球を侵略に来るなんで」 「ウルトラマン同士の争いなら、他所でやって欲しいわね」 ついに眉をひそめた。

ガイズ食堂で、新聞を広げたミライ。 新聞の見出し『青い悪魔来襲』活字が大きくミライの目に飛び込んでくる。 ミライの表情が曇る。

ジョージが「ま、気にするな、ミライ」スパゲティを食べるホークを止めて促す。 「我を忘れれば、敵の思うツボよ」スパゲティナポリタンをホークに絡めて、巻き取りながらマリナも続ける。 ミライは「でも!・・・」言いよどむ。

同じく新聞を広げて見つめていたリュウが「ま、無理もねぇのかもな」ふっと漏らすような声を出す。 ミライが「リュウさん。どういう意味ですか?」その様子に思わず問いかける。

「だってよ、ヒカリはツルギだった頃、まわりの犠牲も顧みずに、ボガールを抹殺しようとしただろ?」 ミライはツルギがボーガールに向けて無差別に攻撃を仕掛けていたことを思い出しながら 「人々の間に、まだその時の恐怖が残ってるって事ですか?」と聞く。

コノミが「そんなぁ・・・ヒカリは私たちと一緒に、闘ってくれたじゃないですか!」気の毒そうに言う。 テッペイが補足する「理由は他にもあると思うんです。今まで、たくさんのウルトラマンが地球を訪れ、 人間のために闘ってくれました。だけど、青いウルトラマンは初めてなんです。 だから市民の間では、ヒカリがウルトラマンだってこと自体、充分に認知されてないと思うんですよ」

ミライは「だけど・・彼も僕と同じウルトラマンなんです」きっぱりと告げた。

夜。港の倉庫街。大きな荷物を降ろすクレーンも休止し、月の光がぼんやり水面 を照らす。

夜空に眩しい光が煌めき、青い光が地上に舞い降りてきた。それは人間サイズのウルトラマンヒカリの姿であった 。 (ヒカリは惑星アーブよりババルウ星人を追撃してきていた。注ヒカリサーガ3)

ヒカリは気配に「追い詰めたぞ、ババルウ星人」声を上げた。 横合いからひよっこりやはり人間サイズ、黒いボディベースに、 頭部2本の大きな角と黄金色のマスク。身体中央や全体的 に金色の装甲が鋲止めにされ、肩から腕へビッシリとトゲ を配し、下腕には鋭い斧のようなものがついている。ババルウ星人が姿を現した。

「ヘヘヘヘ・・・ハハハハ・・・・愚かな奴め、追い詰められたのは貴様の方だ」と顔にかかる金色の髪をかきあげて見せる。 「何?!」

ババルウ星人の高笑いは続く「ハハハハ・・・・地球での貴様の信頼は失われた。もはや、この星に、貴様の居場所は無い!」 とツルギに変化するとポキポキと腕を鳴らし、 「この星では、貴様の好きにはさせないぞ!」 ヒカリが気色ばむ「それは俺の台詞だ!」

飛び上がった、ニセツルギにすぐさま空中で対極に立ちはだかるウルトラマンヒカリ。 しかし、ニセツルギが撃つナイトシュートがヒカリの胸部に炸裂し、ヒカリは地上にビルを下敷きに落下した。

手当たり次第にヒカリに向けて、ナイトシュートを放つニセツルギの攻撃はヒカリをはずれても町を容赦なく 破壊しまくる。

ガイズモニターに映し出された映像に テッペイが叫ぶ「あ!!今度はツルギじゃない!」 コノミの「ヒカリの・・・・偽物?」 言葉に立ち上がるリュウ「いや、偽物じゃ無い」それぞれがモニター前に出てくると ミライが映像を凝視し「あれはウルトラマンヒカリです」と断言した。

ヒカリは、反撃でナイトシュートを放とうとするが、ニセツルギはすばやく姿を消した。 人々は騒然となる「青いウルトラマンだ!やっぱり、奴は侵略者だったんだ!逃げろーーみんな早く!」

ヒカリはパワーを絞り、黒いジャケット姿のセリザワ人間体になって地上に降り立った。 駆けつけたリュウとミライの前にセリザワの姿が「セリザワ・・・隊長」リュウは嬉しそうに言う。

セリザワ人間体をデレクションルームに招き入れるリュウとミライ、 ガイズクルーは横一列に並んでセリザワ人間体を迎え入れる。 サコミズが優しく声をかける「おかえり、セリザワ君、いや・・・ウルトラマンヒカリ」 セリザワの姿のヒカリは「君たちは、俺を信じてくれるのか?」 と問う。

リュウが深くうなづく「当然です」 テッペイもにこにこと「あなたが人間を裏切るはずが無い」 コノミも微笑む「ミライくんがそう言うんだもん・・・ね」

マリナが笑いかける「おんなじウルトラマンに言われちゃあね?」 ジョージはミライを見つめ「ウルトラマンは俺たちのアミーゴ、仲間だ」 言い切る。

セリザワは戸惑う「メビウス、君は仲間達に正体を知られながら・・・」横目でクルーをちらりと見るセリザワに、 ミライは屈託のない笑顔を向ける「共に闘っているんです。GUYSの仲間として」 サコミズが促す「話してくれないか?敵の正体について」

セリザワは頷いた。「ああ・・・・奴は、ババルウ星人。姿を変えて相手を欺き、仲間の信頼を失墜させる。それが奴の手口だ」 コノミとテッペイが小走りで席に戻ると、すぐさま過去データを検索する。「ドキュメントMACに記録を確認」 テッペイが補足する 「その当時はアストラいうウルトラマンに化けて、ウルトラ兄弟を欺いたという記録が残されています」

セリザワが続ける「地球へ向かう途中、俺は奴と一戦交え、深手を負わせた。そのせいで、奴は俺を目の仇にしている」 マリナが聞く「それで今度はツルギに化けて、人々の信頼を?」 ジョージがうめく「卑怯なヤローだ!」

ミライが「どうしたら、人々の信頼を取り戻す事が出来るんでしょう?」尋ねる。 リュウは「決まってんじゃねーか。今度、偽物が現れたら、本物が倒しゃいいんだ。ですよね?セリザワ隊長」 セリザワ人間体の背に手を差し出し、軽く押してセリザワ人間体を席に座らせる。

そこに トリヤマが「まったく・・・あの青いウルトラマンめ・・・いいかね、君たち。」と入室してきた。 「次こそ・・・・あ・・・え?」仰天したトリヤマは目をひん剥く「き、き、君は、セリザワ君!」

マルは驚きながらもうやうやしく「帰って来られたんですね?・・・よく、ご無事で」 トリヤマの狼狽は続く「いやぁしかし、こんな長い間、一体どこへ?」

セリザワ人間体は「補佐官。」トリヤマに正面から向き合った「 自分がその青いウルトラマン、ウルトラマンヒカリなんです」 トリヤマは「はぁ??」顔を突き出す。 ミライが「ヒカリ・・・・」と思わず言葉に出す。

セリザワ人間体は毅然として「隠す事はない。・・・うしろめたい事は何もないのだから」カイズのメンバーは それぞれが目線をそらす。

トリヤマは「またまたまたぁーーみんなで私を担ごうというのだな?」すっとんきょうな声を上げるとメンバーを間延びした 笑うような表情で 指差す。

サコミズが「彼の話は本当です。こうして無事に帰って来たのが、何よりの証拠です」 トリヤマにきちんと伝える。 一瞬にして トリヤマの顔が引き締まった。「マル・・・この男を拘束だ!」

リュウは驚く「なに、バカ言ってるんですか!?」 トリヤマは「決まっとるじゃないか。彼は町を破壊した侵略者なんだぞ!」固い声を出す。 マルは「とにかく、総監に報告を」 トリヤマ「ん!」と奔走した。

ミサキがクルー一同の前に姿を現した。ミサキは、ちらりと視線をサコミズに投げかけ、サコミズは気取られないくらい軽く頷く。 「GUYS総本部の要請を伝えます。これよりセリザワ前隊長を、総本部の監視下に置きます」 ミライが叫ぶように訴える 「待って下さい!総本部まで、セリザワ前隊長を?」

ミサキが大きな瞳をより大きく見開くように 「疑いが晴れない限り、彼をチームに加えるわけにはいかないでしょう?!」 と毅然として言い放った。

銃を構えた3人の傭兵が守る個室ILC-04。薄暗いその空間で、セリザワ人間体はみじろきもせず、じっと座っていた。

真っ暗な意識の空間に ババルウがテレパシーでヒカリに語りかける「ハハハハハ・・・・哀れだな、ウルトラマンヒカリ。貴様の信じた 人間たちに裏切られる気分はどうだ?人間は所詮、相手を外見で判断する、弱く愚かな生き物に過ぎん」

セリザワ人間体はしごく冷静に 「それは違う。お前もいずれ、思い知るはずだ。人間の内に秘められた強さを」 という、その言葉にババルウは「負け惜しみか?ヘァハハハハ・・・・」 腹を抱えんばかりに、手を叩いて笑うと姿を消した 。

ミライはサコミズに訴えていた。「あれじゃまるで、彼が侵略者みたいじゃないですか!」 「ミライ」サコミズはやや当惑顔である。

マリナも頷いた「私も納得出来ません!」 ジョージもだ「説明してください!隊長」 サコミズが静かに「これは、総本部の決定なんだ」

テッペイが「もしかして総本部は、セリザワさんが変身するのを恐れてるんじゃないでしょうか?」 とふる、ジョージが「つまり、ヒカリは現れれば・・・」 そしてマリナが「ますます市民の不安を煽ってしまうってこと?」

人々は口々に叫ぶ『青いウルトラマンだ!やっぱり奴は侵略者なんだ!!』 投げ惑う人々・・・。

リュウは「おい、ミライ」無言で走り出したミライを呼び止めるように声をかける。 ミライはセリザワが拘束されている部屋の前に走り寄る。

傭兵は反射的にミライにも銃を向ける。 ミライは訴える「通してください、彼と話がしたいんです」 「しかし、総本部の許可がない限り、ここを通すことは出来ません」 「このままじゃ、彼の疑いは永遠に晴れません。お願いします!」

ミライを追ってきたリュウが「ミライ・・・いい加減にしろ」後ろから静かに声をかける。 セリザワが拘束されている場所から離れた所に移動した二人。

「僕はババルウ星人が憎い。絶対に許せないんです」そういうミライのうしろから腕組みしてリュウがゆっくりと近づく。 「ヒカリは心を取り戻したのに、地球の人々を愛しているのに!その心を奴は踏みにじった!!」 リュウが押さえ気味の静かな声を出す。 「お前さ・・・柄にもなく一人で熱くなるなよ」

サッとミライは振り向くと「セリザワさんがあんな目にあって、リュウさんは何とも思わないんですか?」 リュウは「そりゃ俺だって悔しいって。悔しいに決まってんだろ 。けどよ、セリザワ隊長にだって、きっと考えがあるんだ。 それに、総本部の連中がどう思おうと、気にする事はねぇ。」 「この俺が誰よりもセリザワ隊長を信じてるし、この想いは、宇宙の誰にも負ねぇ」 と言い放った。

ミライはテレパシーでヒカリに語りかけた。『ヒカリ・・・力になれなくてすみません』 セリザワもテレパシーで答える『いや、俺が過去に犯した罪は、たやすく精算出来るものではない。こ れは自業自得なんだ』

ミライはメビウスの姿になり、そしてセリザワもヒカリとなって、異空間に立った。 『でも、僕がこれまで闘って来られたのは、あなたのおかげでもあるん です。これはお返しします』

  メビウスはナイトブレスをヒカリに返した。 メビウスは『また、一緒に闘いましょう』ヒカリに訴える。 ヒカリは『気持は嬉しいが、俺は自分でここを出るつもりはない。今逃げ出せば、 余計信頼を失うだけだ』という。

『だけど!』 『それにこれは、俺一人の問題ではない。これから先の未来、俺と同じ、 青い身体の同胞たちから、地球を訪れ人々のために闘う日が来るかも知れない。 しかし彼らが、その青さ故に人間たちの信頼を得られず、ウルトラマンと認めら れないとしたら・・・・それは俺の責任だ。彼らのために、俺は必ず、人々信頼 を勝ち取ってみせる』

『ヒカリ・・・』 そしてセリザワの人間体の意識に戻るとヒカリは「君に出来たことが、俺に出来ないはずはない。俺も同じウルトラマン なのだから」とつぶやいた。

昼の街に、再度降り立ったニセツルギ。 ふり向きざまムーンスターと富士通乾電池看板のあ る中間地点のビルを思い切り腕で叩き崩し、爆発させた。

道路沿いを爆発させながら、疾走するニセツルギ。走る車も引っかける。 力任せにビルをキックをして、街を黒煙と炎が包んで行く。 「イィィヤーーー!」雄叫びをあげるニセツルギ。

「お願いだ、今すぐセリザワ隊長を…解放しなきゃならないんだ。」 リュウはセリザワが拘束された部屋ILC-04の前で、武器を構える3人の傭兵たちに訴え ていた。 警報音が鳴り響いている。

「しかし…」 「そこにいるのは、ツルギなんかじゃない。ウルトラマンでもねぇ。CREW GUYS JAPAN のリーダーだった男だ。」「俺の憧れの、隊長なんだ!」セリザワは閉じられたドアの向こうのリュウを感じていた。 リュウは、胸のメモリーディスプ レイの炎のエンブレムにギュッと握りしめる。 「頼む。セリザワ隊長に、もう一度戦わせてやってくれ。」

廊下の角からミサキが足早に現れた。 リュウの方へ一旦足を止め、それから手早く扉のロックを解除した。

重厚なドアが開き、ベッドに腰を降ろしたままのセリザワが姿を現した。 「ツルギのニセ者が現れたわ、総本部の思惑通り。セリザワ前隊長の潔白は証明 されました。」セリザワは立ち上がった。 「じゃあ、やっぱりそれが目的で。」 「当然よ。総監も私も、最初から信じてた。」 「ミサキさん…」 「早く行きなさい。みんなが待ってるわ。」にっこり微笑むミサキに、リュウはコクリと 肯いた。 「隊長!」迎えのリュウに、セリザワも黙って肯く。

ニセツルギの元へ、ガンローダーとガンウィンガー2機が到着した。 「化けの皮を剥いでやりましょう。」ガンローダー後部座席のマリナの言葉に 黙って肯 くと、ジョージが叫んだ。 「食らえ、バリアブルパルサー!」

続いて「ウィングレッドブラスター!」ガンウィンガーのミライも攻撃開始。 ニセツルギは回転してそれをかわした。

ガンブースターに機上するリュウは口元をほころばせる。 「また一緒に飛べる日が来るなんて。俺、嬉しくて。」 「済まない。今の俺は、かつてのセリザワではない。ウルトラマンでもあるんだ 。」

後部座席でセリザワが静かに言った。リュウから笑顔が消えた。 「いきなり。何言い出すんですか?」 「ツルギの罪は計り知れない。しかし、彼の中には、地球の人々を思いやる優し さがある。俺は何としても罪をぬぐい去り、証明しなければならない。彼の愛し た人間たちの、ウルトラマンであることを。」

「ンッ?」 ニセツルギの側を、ガンブースターが旋回した。 セリザワとニセツルギが、お互いの姿を目視しあう。 「なーぜ貴様が自由の身に!?」驚くニセツルギ。

「行ってください。」リュウはきっぱと伝える。 「行って、証明してください。自分がウルトラマンだって。」穏やかに語るリュ ウ。 「俺が知ってるセリザワ隊長は、そう簡単にくたばりません。」 「リュウ!」ひと言残して、セリザワはヒカリに変身した。

ヒカリを一瞥したニセツルギは、ヘヘッと小馬鹿にした態度をとる。 ヒカリは右パンチをくりだすが、ニセツルギは片手でブロック。

そしてブロックした手を流すと同時に、右足からのキックをヒカリのボディーに入れる。 このキックをかわしたヒカリは、体勢の崩れたニセツルギの左腕を捕らえ、押さえ込む。 しかし腕は外されて、2人は間合いを取る体制になった後、ヒカリの右足のキックが決まる。

続けざまに左足のキックをくりだすが、これは身体を低くしたニセツルギにかわされる。 ニセツルギは右キックで反撃に出ようとするが、ヒカリはバック転でかわし、反動を使って起き上がる。 ヒカリの右足の蹴りが決まり、ニセツルギがよろめいたところを、右正拳突きから回し蹴りの連続技で、 ニセツルギを圧倒する。

「おい、見ろ!」「蒼いウルトラマンが2人いる!?」人々が騒ぎ出した。 二人の因縁の戦いは激しさを増し、ニセツルギがナイトシュートを撃ち、ヒカリ は避けたものの、いくつものビルが激しい爆発を起こした。

燃えさかるビルと巨人を見上げる人々に、ニセツルギの視線が注がれた。 「ヒャア!」「キャッ!」腕をかざし、身を伏せる人々に、ニセツルギは不敵な 笑みをこぼし、そしてナイトシュートの構えをした。

次の瞬間ヒカリが横っ飛びして、人々の盾となった。 「うっ、ウワーーーッ、ウゥゥゥッ・・・」 光線は胸を直撃し、苦しみに耐えるヒカリ。

その背中で保護された人々が、口に出した。 「俺たちを守ってくれたのか。」

「へっ、ヘヘヘヘヘ」髪のないニセツルギだが、本体の癖で、つい手で髪をかき あげる仕草をしてしまう。

カラータイマーが鳴り、苦しそうに上体を折るヒカリ。 そこへ向かうニセツルギに、緑のビーム砲が命中し弾かれた。 「立ってくれ、セリザワ隊長!」リュウがガンブースターから攻撃したのだった 。

ヒカリはリュウを見た。 「あんたは、ウルトラマンなんだ!」ヒカリは大きく肯くと、立ち上がっ た。

そして勢いよくナイトビームブレードを空へかざす。 ブレードショットがニセツルギに命中し、見え隠れしたその本性が露わになり、 ババルウ星人の姿になった。 「見ろ、あっちはニセ者だったんだ!」群衆の男が指差した。

「フン」ふてぶてしく、髪をかきあげるババルウ星人。 少し睨み合ったあと、ヒカリとババルウ星人の一騎打ちが始まった。

ヒカリのナイトビームブレードを、身軽にかわすババルウ星人。 火花を散らせ対峙して、弾き飛ばされたヒカリ。 リュウたちは驚いたが、ミライはすかさずメビウスに変身しようとした。

「待て!」 「この戦いは、俺が決着を付ける。」ミライを制止したヒカリ。 「けど、君ひとりでは・・・」 「俺はもう、ひとりではない!」

「ウウーーッ、ヤァーーー!」 ヒカリは立ち上がり、天頂に向け、右手を伸ばした。 すると、空から幾筋かの光が差し込み、小さなダイアモンド型の美しい光のリン グが、らせんを描いてヒカリに降り注いだ。

「見てください。ヒカリの周囲に・・。」テッペイがモニターを指さし、「これって …」コノミは言葉を失い、サコミズ、ミサキは前に進み出て成り行きを見守った 。

青空が群青色に包まれ、光のリングをまとうヒカリの周囲に一瞬、虹色の閃光が 走り、オーロラのリボンが散った。 姿を現したのは、ツルギだった。

「自分の意思で、鎧をまといやがった!」「新しい…ツルギ!」リュウは軽く頬 笑みながら言い、ミライも驚きを隠せない。

青空の戻った空間で、ババルウ星人は、月形の刃と突起物で囲まれた砲丸の重り 付き槍でツルギを攻めるが、その鎧の前に歯が立たない。 ついに、ツルギのチョップで折られてしまう。真っ二つに折られた槍を交互に見て、悔しさに槍を投げ捨てるババルウ 星人。 「この星では、貴様の好きにはさせない!」言い放つツルギ。

ババルウ星人は、頭をひとしきり振ったあと、左腕を突き出し、紫の光弾 を発射した。が、ツルギの前では役不足だった。

ツルギ渾身のナイトシュート! 虹色のビームがババルウ星人を大爆発させた。 「やったぁーーー!!」コノミとテッペイは、椅子から飛び上がり万歳したあと 、感動のハイタッチ。 サコミズ、ミサキは静かに顔を見合わせ頬笑む。

街は歓喜に酔う人々と歓声に溢れていた。 「ありがとう!ウルトラマーン!」拍手が湧き、笑顔の人々に手を振られ、ツル ギは空へ飛び立った。

「せっかく仲間になれたのに、また行っちゃうんですか?」GUYSクルーたちに見 送られるセリザワ。コノミが名残惜しそうに言った。 「地球に危機が迫っている。ババルウ星人もその尖兵だろう。俺は、その調査に 向かうことにした。」 「頼みます、ウルトラマンヒカリ。」ミライが言った。 「君たちには、心から感謝している。」

サコミズの「また戻ってきてくれるんだろう。」の言葉に 「あぁ。地球は俺にとって、かけがえのない星だからな。」 サコミズはセリザワ人間体の言葉に何度も肯き、メンバーたちはみんな笑顔になった。

「ありがとう、リュウ。」 「セリザワ隊長。」 「君のおかげで俺は、ウルトラマンになれた。」 リュウは少しはにかみ、笑顔をみせた。

「ありがとう、みんな。」ミライやメンバー全員をひとりひとり見回して、セリ ザワは言った。 「それじゃ。」セリザワが数歩後ずさりすると、その身体は青白く発光し、 眩しい白い光となり、そして空に昇って行った。

「アディオス、アミーゴ!」腕を一振りしたジョージ、「さよなら〜!」マリナ は手を振り、ミライ、サコミズは黙って手を振る。 リュウはじっと後ろ姿を見送り、「またね〜!」両手を振るコノミ、「お達者で ー!」とテッペイ。

夕焼けの黄金色に輝く空に、ヒカリの姿が光を発し、遠ざかって行く。 思わすリュウが前に駆けだした。「絶対…絶対帰って来いよーー!」 群青色の空に、光が煌めき、そして見えなくなった。

管理人のここが考察ポイント

今回はいくつかのポイントがあるが、まずは本編がウルトラマンヒカリの関連作品。 ヒカリサーガーのプロモーション的要素ももち、ウルトラマンメビウス外伝とうまく作品をリンクさせていることだ。

作品に一部分でも連続性と、別の作品との関連性を設定されていると想定した場合。 視聴者が、関連作品を見ているか否か、また、連続して視聴しているか否によって作品から得るインパクトや楽しみ方も 違ってくるであろう。

例えば連続性の部分でいえば、回想シーンなどはいわんやだが、 傷が完治していない様子のメビウスなど、細やかな前作とのリンクのポイントがある。 こういったポイントに気づくかどうかなどは、連続して視聴する側の密かな楽しみとなるであろう。

ヒカリが今回バージョンアップのために、まとった鎧は、ヒカリサーガー上では、 アーブの大地がヒカリの心に共鳴し、力を授けてくれたため、復讐の鎧ではなく勇者の鎧を召還することができた。

「勇者の鎧」それは、憎しみを正義の心に変えたものの象徴 という設定だが、本編上では、「勇者の鎧」とそれに対する説明台詞がでてこない。

ヒカリは自身の意思により再度、鎧を装着することができた。という印象となるため 何故ヒカリがもう一度鎧を着けたのか、つけることが可能であったのかについては、 視聴者の想像力にゆだねるということになれば、自由な発想の展開も可能。 (本編終了後には、メビナビにて 「ハンターナイトツルギでも、その力が正しく使えるようになった」と情報としては補足はしている。)

ということは、ツルギを捨て、ウルトラマンヒカリとなって甦ったという展開から、ツルギに再度戻ることが 可能になった。つまりツルギという形態もヒーローとして存続するということになる。

戦闘タイプではない青いウルトラマンも、己の意志によって、 バジョーンアップを遂げることが可能であるということと、ツルギ、ヒカリがともに復活を遂げるという 斬新な展開である。

次にウルトラマンヒカリ自身が気にしているのか色について、 ウルトラマニアのテッペイやヒカリ本人が、その違いが人の不信感を増徴していると する展開がある、それに追従して ババルウ星人も人間は所詮、相手を外見で判断する、弱く愚かな生き物に過ぎんというが、

「ウルトラマン」は何色であっても、「ウルトラマン」なのではないのだろうか。 「ウルトラマン」というのは形のことではなく、精神のことではないだろうか

化けてウルトラマンの姿になったとしても、町を破壊すれば人々は逃げる。 仮にババルウ星人の姿であっても、助けてもらえば人は果たして、同じ反応をするのだろうか 反射的に逃げても、立ち止まったりするのではないだろうか

青いウルトラマン同士の戦いで、人々がどちらが本物のウルトラマンか気が付いたのは、 ヒカリがとっさに、我を省みず、人々の楯となって立ちはだかり、 人々を守ってくれたから、本物のだと気づいたのではないのだろうか。

これがヒカリの言う、人間の内に秘められた強さだろう。時に人は外見で判断もする。 しかし、同時に外見には惑わされず真理を見抜くことが出来る秘めた力もあるということである。

ウルトラマンには、地球の人々を思いや る優しさがある。ウルトラマンは人間を愛している。

そうセリザワの意識はリュウに伝えた。 愛してくれるウルトラマンを我々もいつまでも愛していられる関係でいたものである。

ウルトラマンメビウス 第35話「群青の光と影」  

暗黒星人 ババルウ星人 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザ マ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田 弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / トリヤマ補佐 官 石井愃一 / マル補佐官秘書 まいど 豊 / ミサキ ユキ 石川紗彩 / セリザ ワ カズヤ 石川 真 / 麻生潤也 / 菊地一浩 / 藤田三三三 / 飛田晃治 / 城戸光 晴 / 今村公一 / 西村 学 / 青山恵子 / 早川プロダクション

《声の出演》難波圭一 / 清川元夢 《スーツアクター》和田三四郎 / 岩田栄慶 / 相馬絢也

《シリーズ構成》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《脚本》小林雄次 《監 督・特技監督》村石宏實 

《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新一 《企画》岡崎剛之 / 江藤直行 / 中村理一郎 《プロデューサー》岩佐芳弘 / 渋谷浩康 / 山西太平 《制作プロ デューサー》小山信行 《アソシエイトプロデューサー》小掛慎太郎 《ライン プロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》高橋義仁 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也 

《録音》楠本龍巳 《操演》上田健一 《助監督》黒木浩介 《装飾》大藤邦康  《衣装》宮崎みずほ 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》 戸村祥章 《編集》矢船陽介 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊 一 《VE》高田秀雄 《スクリプター》吉岡華子 《キャスティング》小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉  《操演》根岸 泉《殺陣》岡野弘之 《助監督》日暮大幹 《スクリプター》吉岡 華子 《スチール》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン 》丸山 浩 《キャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクタ ーメンテナンス》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》鶴田 幸伸 《CGIモーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパー バイザー》早川哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》大坪 隆仁 / 上田和彦 / 澤田元春 / 小嶋律史 / 森 裕二 / 小杉淑美 / 川口智久 《CGI マネージャー》小田達哉 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェク トアニメーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト 》高田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD 担当》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《 製作デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川 勝一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤッ プ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照 明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラ プロ / スリーエススタジオ / 富士通 乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジ ン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセ ンター / IMAGICA / クレッセント / AdobeSystems / ボーンデジタル / D.A.S.T /

スタジオ・バックホーン / パンチライン / RECARO / 岡村製作所 / ナナオ / Nikon / 東京マルイ / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / KENNETH COLE / Zoff

《撮影協力》味の素スタジアム / 日野自動車21世紀センター 《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 /円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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