ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス第37話「父の背中」 マニア考察】

ウルトラマンメビウス第37話「父の背中」 マニア考察ハードバージョン

ウルトラマンメビウス第37話「父の背中」 脚本/赤星政尚(シリーズ構成)、谷崎あきら(設定考証)、監督・特技監督/アベユーイチ 宇宙三面魔像 ジャシュライン 登場

メビウスマニアライター 棺桶のジョー

小学生と思しき少年、コウキ(小林翼)くんがゲームをしていた。年末の、 ウルトラの父降臨祭、この日に、お父さんに連れて行ってもらう予定であった。

ウルトラの父レストラン、内山まもるタッチ*1のイラストによるチラシが机の上にあり、 ウルトラの父の人形もある。だが、お父さんは、急な仕事が入り、行けなくなった。このことをコウキ君に謝るものの、 コウキは「お父さんのうそつき」と言って、泣いてしまう。

 一方、フェニックスネストでは、ウルトラの父降臨祭の話で持ちきりである。ウルトラの父は、怪獣頻出期、 この時期に地球に来ては奇跡的なことを良くしていた*2ので、 毎年やっているとテッペイ(内野謙太)が言う。

で、今年は久々にウルトラマンが地球に来ている…と言うことで、サコミズ隊長(田中実)は、うちでもやろう、 怪獣が出たらいつでも対応できるようにと、この作戦室でやろう、と提案した。それで、ミライ (五十嵐隼人)が買い物に行くことになる*3。

 ミライは、買い物に出かけて、そこで「お父さんのうそつき」とつぶやくコウキを見逃さなかった。 コウキに語りかけるミライ、「お父さんは、仕事で忙しい」ということを説明するが、コウキは不満そうであった (BGM:主題歌のスローアレンジ曲*5)。

 だが、そこで、隊長より、すぐそばに怪獣が出ると言う連絡を聞く。と、スフィンクスみたいな怪獣、 ジャシュラインが現れた*4。3つの顔を持ち、宇宙でのストリートファイトの連勝街道驀進中と自分で言う (声は松本大、浅沼晋太郎、はじの3人)。

ミライは、こいつは倒した相手の死体を集めるのが趣味と言って*6、GUYS一同唖然、マリナ(斉川あい)は、 気味の悪い奴と吐き捨てる。ミライはウルトラの父光臨祭に来ていた人々の避難をさせるが、 コウキが足を挫いてしまう。

それで、コウキをおんぶしようとするが、コウキは、ミライに「GUYSの仕事頑張って」と言い、 自分で歩こうとする。結局、コウキをお巡りさんに任せて、ミライは戦いへ行く。

 GUYS サリー・ゴーで、リュウ(仁科克基)、ジョージ(渡辺大輔)、 マリナがガンフェニックス分離で立ち向かう。だが、「雑魚は引っ込んでいろ」と、 ジャシュラインが光線を放つと、ガンフェニックス3機は空中で停止してしまう。 しかし、機能は正常である。だが、そのまま3機とも墜落(不時着)させられてしまう。3人は、地上戦で対抗する。

 ミライは、メビウス(スーツアクター:和田三四郎)に変身、毎度の決めポーズ (アルティメットソリッドで出た分)にし、ジャシュラインに立ち向かう。 ジャシュラインは「飛んで火に入る夏の虫」*12とはしゃいでいる。

メビウスに、一番上の顔の意思で、腕の飾りがブーメラン状になり、メビウスに放つが、 メビウスは間一髪跳ね返す。だが、メビウスが光線を放つと、それを、さっきガンフェニックスを止めたの と同じ要領で止めて、跳ね返してしまう。

さらに、肩が光り、ゴールジャシュラーという怪光線がメビウスに放たれる。 メビウスのカラータイマーが点滅を始め、さらに加速する*7。そして、メビウスは、金の像にされてしまった!* 8 メビウスに勝ち、コレクションを増やしたと、ジャシュラインは大はしゃぎである。

これを見てGUYSのメンバーは絶句、ジョージは、ミライを元に戻せと、メテオールショットを放つが、 これを跳ね返され、3人は気絶する。

 その頃、コウキの父は、コウキを探しに、仕事を放り出し、家に駆けつけていた。しかし、 いないので、ウルトラの父降臨祭へ向かう。

 メビウスが負けた!絶句するGUYSのメンバー、ミサキ・ユキ(石川紗彩)もである。その頃、 コウキは避難の渦にあり、そこで、父親と再会していた。父親が来てくれたことに、コウキは感激する。 負傷したコウキを、父親は背負って避難する。 こういう時は、歳も忘れるものである。

コウキは、このピンチに、ウルトラの父がきっと来てくれると言う。お父さんも、 自分は本物のウルトラの父を見たと言い、コウキは、その話は何度も聞いたと、会話が、親子で成立している。

 メビウスを倒してご満悦のジャシュラインであるが、だが、良く見たら、カラータイマーは金色になっていないのだ*9。 これじゃ、失敗とばかり、ブーメランを持ち出して、カラータイマーをぶっ壊そうとする。まるで、 ガチャポンで目当ての商品が出ずに、機械に八つ当たりしているようなものである(?)。

ブーメランで、カラータイマーを潰そうとするが、なかなか潰れない。ブーメランを振り回す時に、 周りの地面も揺れる。イライラしたジャシュライン、何回も振り下ろして、やっとヒビが入った。 で、とどめだ、と思ったら、ブーメランに光線である。

 人々は信じた、そして、それが現実になった。本物の、光の光臨である。 ウルトラの父(声:西岡徳馬)登場、コウキは、父親は歓声を上げ、テッペイはびっくりして、絶句しつつ感激する*10。

 ウルトラの父を見て、ジャシュライン、これを倒せば名前が上がると意気込むが、 ウルトラの父は、メビウスでの特製マントを投げられて、ジャシュライン、 それに絡められオソマツ!その隙に、ウルトラの父はメビウスのカラータイマーにエネルギーを与えて蘇らせる。 蘇ったメビウス、バーニングブレイブになり(挿入歌がBGMとし雄雄しく流れる!)、ジャシュラインにリベンジである。

格闘戦で圧倒し、キックでやっつける。と、ジャシュライン、卑怯にも、地球の地殻に刺激を与えて、 地球ごと破壊してやると言い、体をスピンさせて地中に潜ろうとする*11が、 メビウスは、バーニングショットを放ち、見事、ジャシュラインを仕留めた!

 メビウスは、ウルトラの父に、大隊長に来てもらわないといけないことをしたと、詫びるが、 ウルトラの父は、敗北ではないと言う。コウキや、その父親たちの歓声を浴びて、メビウスは感慨深そうであった。

ウルトラの父は、ウルトラマンとして戦うということは、決して彼らの思いを裏切らないこと、 彼らの希望であり続けること、 カラータイマーが金にならなかったのは、お前が屈していない証拠であり、今後も、 この若い戦士の活躍を楽しみにしていると、マントを羽織り、そして去っていった。 メビウスは、コウキとともに、ウルトラの父を見送った。

マニア的な突っ込み

2年続けて、年末最後の話をルポすることになりました。気合いを入れてやります。

*1:この、ウルトラの父レストランのチラシ、写真でなく、イラストですが、 内山まもるのタッチで描かれたイラストをわざわざ使うのがミソ、スタッフの、 内山まもるコミックへの敬意を感じました。

*2:ウルトラの父のゲスト出演は、初登場、ヒッポリト星人に倒された兄弟の救出と、 タロウ末期を除くと、年末、クリスマスに集中しています。

エース:復活・ウルトラの父(12月22日)、
タロウ:ウルトラの父子餅つき大作戦(12月28日)、
80:大空に響けウルトラの父の声(12月24日)、

その他、レオでもババルウ星人後編に出ており、それは1月3日の放映ですが、 レオは1週遅れで始まったため、時期的には実質、クリスマス期になります。 つまり、昭和のウルトラでは、父がクリスマス期に全て出ているのです。 そのため、メビウスでも、同じことになったのでしょう。

*3:メビウスで買い物となると、必ずミライですね。しかし、地球にカルチャーショックのある(豆…(笑)) 彼に毎回大丈夫かと、思います(笑)。

*4:スフィンクスと言うと、僕はその顔からジャイアントロボを思い出しますが、 エース「ピラミッドは超獣の巣だ」では、その名もスフィンクスという超獣が出ています。

 このジャシュラインも、連勝街道驀進中と言っていますが、これを聞くと、ガッツ星人、 「我々は、いかなる戦いにも負けたことはない」と言うのを思い出しますが、 しかし、このガッツ星人、桑田次郎さんのコミック版では、 セブンが復活したらトンズラしているのです!要するに、負けそうになったら逃げるわけで(!)、 負けたことのないと自分で言う相手とは、毎回そんなものなのです(笑)。

*5:平成では、こういう主題歌のスローアレンジ曲が、重要場面に良く流れます。 ティガでそのパターンが確立し、ダイナでも引き継がれ、その後、マックスでもありました。

*6:こういう、倒した相手を集めるのが趣味、という敵は、円谷には珍しく、東映の、戦隊ものに時々出てくる奴です。  倒した敵を集めるのが趣味という悪党、マイナーなもので、破裏拳ポリマー(タツノコプロ製作のアニメ)に出てきた、冷凍魔コーリー(相手を凍らせてコレクションする悪党、これ、本当にこんな名前です!)が忘れられません。

*7:カラータイマーの鳴る音が加速するのは、ウルトラマンのシリーズ初期にありましたが、これは大ピンチの証であり、平成では、ティガがガタノゾーアに破れるシーンに使われました。細かい手です。

*8:このシーン、多くの方が、ヒッポリト星人にウルトラ5兄弟が敗れるシーンを思い出されたと思います。この手の場面は、セブンがプラチク星人に、プラスチックで固められるのが初めて(この時は自力で脱出)、レオのアトラー星人が、相手を蝋人形に変える怪光線を放つ、などがあります。平成では、ダイナがレイキュバスに氷漬けにされるシーンも、そのバリエーションです。しかし、一番はやはりヒッポリト星人で、ウルトラ5兄弟がブロンズ像にされるシーンは、最近食玩で出ましたが、未見の方はビデオでぜひご覧下さい。

*9:相手を金にしても、カラータイマーのみは不変、これは、カラータイマーの持つ意味を、最初から考察したメビウスのポイントです。いや、本当に、細かいところまで神経が通っています。

*10:この模様だと、テッペイは当然、ウルトラの父の、姿は直接見ていないのですね。彼は、「怪獣博士」と呼ばれ、言わば、視聴者と重なる役をやっていますが、もし本当に、ウルトラマンを目の当たりに見たらどんな反応を示すか、というポイントが光っています。

*11:こういうスピンで有名なのは、以前も紹介しました、コンバトラーVです。ちなみに、同じ方法で地底へ潜るのを、エースがルナチクスとの戦いでやっていますが、エースは地底へ潜る能力はなかったのに…と後に物議を醸しました。

*12:しかし、宇宙人なのに、日本のことわざを良く知っていますね(笑)。昔、バルタン6代目が、お釈迦様でもご存じないと言って、バルタン星にお釈迦様はいたのかと突っ込みましたが(笑)。

総括的な考察

(1) ウルトラの父について

 ウルトラの父は、エース27話「奇跡!ウルトラの父」で、 ヒッポリト星人に倒されたウルトラ5兄弟を助けるために初登場、このデザインは、一般公募であり、 そのため、登場するエース27話は予告編もなく、報道管制が敷かれたそうです。 そのため、角のあるウルトラの父の登場、大変なインパクトでした。

 他にも、ウルトラの母、アストラがデザインを一般公募しています(余談ながら、 デザインの一般公募、第1号はセブンでの怪獣デザイン募集でしたが、 この時は、怪獣のデザインのネタが尽きたので、子供に助けてもらっていると、批判もあったそうです。 もちろん、デザイン公募は子供たちへの感謝の一環です。)。

 ウルトラの父は、宇宙警備隊大隊長として、内山まもる「ザ・ウルトラマン」他で活躍しており、 テレビでの活躍は意外と少なく、今回のような助太刀は珍しい例です。 また、マントを羽織るのもメビウスが初めてであり、これが実にかっこいいです。

(2) 他のウルトラマンの客演について

 レオの出た34話でもそうですが、メビウスでは、タロウ、レオと、 過去に単独でゲスト出演のないウルトラマンを選んで、上手く客演させています。

 もともと、「ウルトラ兄弟」と言うと、第2次シリーズでたくさん出したために、やや飽きられた模様もあり、 これは、私としては、あまりに頻繁に出るので、希少価値がなくなって、陳腐化した、と見ていました。 それで、平成では、メビウス以外のシリーズは、過去の作品と縁を切って、設定を続けていたのです。

また、過去のウルトラマンの助太刀も、映画「ティガ&ダイナ」での、ティガのゲスト出演で、ゲスト出演して、 新鮮にウルトラマンの共演を見せました。それ以前の、ティガ「ウルトラの星」でも同様です。

 今回は、ウルトラの父クラスの助太刀を要する展開にしていて、出てくる理由をしっかりとさせて、 歓迎され、かつかっこいい出方でした。こういう、先輩・上司ヒーローの助太刀を新鮮にするために、 時間が要った模様です。今回のウルトラの父は、過去を含めて、一番かっこよかったと思います。

(3) カラータイマーの設定について

 しかし、メビウスも、一方的にやられるのではなく、カラータイマーは変化なしで、 相手に抵抗していたという設定も驚き、そして新鮮でした。 この手の敵にウルトラマンがやられるのは、一方的にやられておしまい、という展開が多かったので、 今回は助太刀してもらう方にも花を持たせるやり方は、見事でした。感服ものです。

(4) 親子2代での鑑賞

 今回は、コウキ少年と父親の交流が主眼であり、しかし、ウルトラマンを巡って、 親子2代で実際に見ているという設定も初めてです。 ウルトラマンも平成に入り、2世代ヒーローとなって久しいですが、メビウス&ウルトラ兄弟で、 過去のウルトラマンOB、隊員が実際に出るのでそれを目当てに親が子供を連れて、 あの大ヒットにつながりました。 この作品、ある意味、世代を超えたウルトラマンの、成果を集大成したものと言えるかも知れません。

 また、ミライが子供と接して、その心を解いて行くのも、映画版と同じで、 こういう点にも、ウルトラマンを40年間応援してきたファンへの、製作者からの感謝が見られます。 というところで、今回はここまで、来年もよろしくお願いいたします。

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