ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第37話「父の背中」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス第10話「GUYSの誇り」レイゴ考察ソフトバージョン

ウルトラマンメビウス・宇宙三面魔像ジャシュライン怪獣画像
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マンションの1室、黄色いカーテンを閉め切った部屋で、こどもはテレビに向かってゲームをやっていた。

窓際に重ねられたBOXには、ゲームやオモチャ、偉人伝シリーズなどの本が入いっており、 、BOXの上には図工で作ったようなロボットが倒れている。そして地球儀や薬のビン、カスタネットなども置かれている。

もう一方の、カーテンが閉じられたままの窓際には、カラーボックスを利用した ような手作りのおもちゃ箱が置かれているが、一見雑然とした殺風景な部屋である。

こどもの操るサーキットゲームの車は、コースをはずれて左右にブレながら走行していた。誰かの気配がする。 こどもは、背を向けて振り向かない。テーブルの上にFATHER OF ULTRA のDVD、ウルトラの父のソフビが無造作に置かれ、 くしゃくしゃにされた紙が投げ出されていた。紙に手を伸ばし広げる父親。

それは、ウルトラの父降臨祭「ウルトラマンレストラン」のチラシだった。

「急な仕事なんだ。ほっんとにごめん。お金、置いといたから、これで何か買って・・・な。今度、今度必ず、行こうな。」 「お父さんの嘘つき!こないだだって、その前だって、いつも今度今度って。」こどもは振り返らずふてくされた。

「コウキ!」父親の強い声と同時にゲームの車はクラッシュした。 「そんな聞き分けのない子は、お父さん、もう知らないからな!」父親は音を立ててドアを閉めて出て行く。 コウキは誰もいない部屋で一人声を上げて泣いた「うわあ〜〜〜ん」

きょとんとした顔で「ウルトラの父、降臨祭?」ミライが聞く。 テッペイが「ウルトラの父は、冬のこの時期、何度か地球に現れて、奇跡的な力を示してるんです。」 ウルトラの父のデータ画像を披露しながら答える。 マリナも口元を引き締めて「そう、その偉業を讃えてお祝いする習慣が、怪獣頻出期に出来たのよね。」頷く。

コノミが嬉しそうに「ケーキを食べたり、プレゼントを交換したりしてたんですって。」 ジョージがおもむろに「今年は久しぶりにウルトラマンが現れた。」とミライの肩に優しく手をおく。 「ウルトラの父も降臨してくれるんじゃないかって、そりゃもう、大騒ぎって訳だ。」

しかしリュウは、「俺たちもパーティー・・・といきたいところだが」コーヒーを飲み干して「 残念ながらそれどころじゃない。時空波の発信源を・・・」リュウの言葉に割って入るように サコミズが「やろっか・・・」リュウがえ゛とサコミズを首を伸ばすように見る。サコミズは微笑む「パーティー」 一同は「えっ!?」と驚愕する。

「久しぶりに現れた当のウルトラマンがここにいるのに、何もしないのも寂しいじゃない。」サコミズはミライの側に歩み寄り、 ミライの肩に手をそっとおく。

リュウは「話せるぜ!隊長ー!」ものすごい勢いで、机を叩いて立ち上がった。 マリナは、はしゃぎながら「あんた、何一番喜んでるのよ。」リュウの肩を叩く。

ジョージはリュウに笑いかける「それどころじゃないんだろー?」 テッペイが不安そうに「でも、いつ怪獣が出ないとも限んないのに・・・」 サコミズは、笑顔を向ける「だから、会場はここ。いつでも出撃出来る体制を維持する事が条件だからね。」 一同は歓喜した「やったーーーー」

「じゃぁ、そうと決まれば買出しが必要ですよね。」 ミライはコノミの言葉に満面笑顔で「僕に任せてください!」と立ち上がった。

「FATHER OF ULTRA ウルトラの父降臨祭フェア」 のノボリや横断幕、赤や緑の色とりどりの旗がたなびくウルトラの父降臨祭会場を、 たくさんの買い物袋を下げて歩くミライ。

行き交う人々は、白地に青や赤で染め抜かれたウルトラの父のショッピングバッグにたくさんのプレゼントやケーキの 箱を抱えて、足取りも軽く、楽しそうに歩いている。

家族連れの、ウルトラの父のツノ付きキャップをかぶった少年が、 ミライを見つけて「GUYSのお兄さんだ・・・・」と声を上げる。 横で父親らしい男性がミライに頭を下げ 「どうも・・・いつもありがとうございます、ほんとに・・・」と言って過ぎていく。

黄色いテントでは福引をやっているのであろう。 「特等出ました!大当たりです!」と鐘を打ち鳴らしながら叫んでいる。

ある男の子は、ウルトラの父のツノのついたカチューシャをつけた店のお姉さんに、 母に買ってもらったのであろうか、ウルトラの父のツノのついたキャップをかぶせてもらうと、 嬉しそうに「ありがとう」と言っていた。

あちらこちらのブースでは 「降臨祭の記念にいかがですかー?」と元気なおねいさんの声がお客さんを呼び込んでいる。

違うブースでは、ウルトラの父の顔のバッジ、コインケース、 「FATHER OF ULTRA」と描かれたCDやDVD、ウルトラの父の顔の染められた白いTシャツ、 ホールのケーキや、切り分けられたケーキもたくさん売られている。 そんな感謝祭を見ながら、ミライは嬉しそうに歩いていた。

ミライは、ウルトラの星が瞬く透けるような青空を見上げた。『若き勇士よ、行くがいい。かけがえのない地球へ』 ミライの脳裏に黄金に輝き光溢れる空間で、ウルトラマンメビウスの前にウルトラアレイをかざした 宇宙警備隊大隊長、ウルトラの父の神々しい姿が回想される。

階段に座り、コウキはくしゃくしゃの紙を広げて見つめていた「お父さんの嘘つき・・・!」 ミライはふと視線を投げかけた「今・・・あの子。」

コウキの手からチラシが突風で飛んだ。 コウキは「あっ!」と声を上げて階段を駆け下りてきた。

飛ばされたチラシを拾ったのは、ミライだった。 「ウルトラマンレストラン・・・ウルトラの父、降臨祭フェア・・・」ミライがチラシの謳い文句を読み上げると 「えっ・・・」コウキはミライの手から無言でチラシをひったくり、また元いた階段を一気に駆け上がる。 「待って!」ミライはコウキを追いかけた。 追いつきコウキの肩に手をおく、

コウキは「放して!放してよ!」ミライの手を振りほどこうと体をゆさぶる。 ミライは腰をかがめ、コウキの体を自身に向けさせると目線を同じ高さにあわせて「聞かせてくれないか?」 と尋ねた。コウキは「何を?」と憮然として答える。

ミライは続けた「どうして泣いているのか。」 「泣いてなんかない。」 「関係あるんだよね?君がお父さんの事、嘘つきって言ってたことと。」 コウキは一瞬ハッとして、視線をはずしていたミライを見つめた。

「連れてってくれるって約束したんだ。楽しみにしてたのに。父さんは僕の事なんか、嫌いなんだ。」 階段に座るコウキの横に並んで腰を下ろしたミライは言った「本当にそう思うかい?」「え」コウキは顔を上げた。

「お父さんがコウキ君の事を嫌いだと思うかい」「お父さんはコウキくんが大好きに決まってる。 だから今日のことだって、約束してくれたんだ。 でもね、お父さんは大人だから、急なお仕事だってしなくちゃならない。きっと悲しかったはずだよ。」

『そんな聞き分けのない子は、お父さん、もう知らないからな!』 コウキは父親が出勤していった朝の姿を思い浮かべる。

アラーム音がし、ミライはメモリーデスプレィを開いた。 「怪獣が降下中だ。近いぞ。」サコミズの緊急連絡であった。 「えっ?」ミライは目を見開き驚く。

間もなく坂道の途中にあるコンビニの裏手に、ズシンと地響きを立て巨人の2本の 太い脚が降り立った。

「ルルルルルル・・・」 三面の顔の内、一番上の顔の付け根に大きな黄金の鷲の翼を持ち、南米辺りで栄 えた文明の民族衣装のような出で立ち。重厚な身体全体に呪術めいた文様、腰か ら朱色の特徴的な垂れが数枚。

「ジャシュライン!」ディレクションルームでリュウが立ち上がり、名を叫ぶ。 「エリダヌス座宇宙を荒らし回る大悪党です。倒した相手の死体を集めてると聞いたことがあ ります。」ミライが通信する。

「倒した相手の死体だ!?」「趣味悪っ!」ジョージは眉をひそめながら立ち上 がり、マリナは呆れたように吐き捨てる。 「じゃあ、例の時空波に引かれて、メビウスを倒しに?」ミサキが美しい顔をし かめると、サコミズは渋い表情で黙って肯き、立ち上がる。 「GUYS、Saiiy Go!」「G.I.G.」

上体を右に傾けたまま、ひたりとして動かないジャシュラインの足元の町中では、歩道に乗り上げガードレールに ぶつかり停まった車のドアが開いたまま、バイクが倒れたまま、人々は叫びなが ら慌てて避難している。

ウルトラの父降臨祭会場でも、レンガ敷きに荷物を散乱させながら、また大事そ うに箱を抱えた者たちが、叫びと怒号を飛び交わせながら怪獣から遠ざかろうと 走り続ける。

「早く避難するんだ!」ミライはコウキに声をかけ「うんっ!」一緒に階段を走り下りていた 。 「イテッ!」最後の段を踏み外したのか、コウキは倒れレンガ敷きに膝を付き、両肘 で身体を支える。 「コウキ君!」ミライがコウキの側に寄る。

「平気。立てるよ。」立ち上がろうとするが、コウキの左踵あたりに痛みが走り 顔をしかめる。 「捻挫してる。動かしちゃダメだ。」ミライは反対側の患部側へ回り込み、コウ キの左肩を支える。

ガンウィンガー、ガンローダー、ガンブースターが怪獣出現地点へ急行する。

ジャシュラインはやっと上体を起こした。 「宇宙ストリートファイトばく進中の俺様らに、歯向かう気でいる愚か者がいる ようジャジャ。」上の怒り顔が目を赤く点灯させ言葉を発した。

「僕ちんらの実力、思い知らせてやるデシュラ。」人を見下したような、一見 愉快な表情にも見えるニッと笑う黄色目の中央の顔が言った。

「ワシに任すでぇーい。」下のすまし顔が細い目を黄色にして言う。 発言する者の額の大きな丸い青いランプが点灯し、同時に目も点灯する。

「ふーぅ!」ジャシュラインの突き上げた左手から、何かが発せられた。 光線などではなく、一瞬時間が停まったような・・・。 ガクンと衝撃を受けたクルーたち。

「何これ?何で動かないの?」マリナが慌てる。 「けど、システムは全て生きてるぜ。」ジョージが計器を素早くチェックした。 「どうなってるんだ!?」リュウにも経験がない。

「雑魚は黙って見ておるがいい。」下のすまし顔が言い、手を払うような仕草を した。 「わっ!」「うあっ!」「きゃっ!」機体は一瞬浮き上がり、しかし三人無抵抗 のまま、斜めの軌跡を辿り三機とも同時にビルの向こう側へ墜落してしまった。 瓦礫が舞い、白煙が立ち上る。

ミライは思わず数歩前に進み出る。その背後でコウキは歯を食いしばり、立ち上 がろうと試みるが、また膝を付いた。ミライもコウキうを放っては置けない。 三機の外観は、アスファルトやコンクリートの瓦礫の中ではあるが、何とか保た れているようだった。白煙が漂っている。

ジャシュラインは工場のような建物をエイッと踏みつぶし、爆発が起き、炎があ がった。 「聞こえるか、ウルトラマンメビウス。俺様が相手をしてやる。とっとと出てく るのジャジャ!」

コウキに背中を向けて、おぶろうとするミライ。 「コウキ君、早く!」 しかしコウキはきっと唇を結び「僕なら大丈夫。」 とキッパリといった。

「えっ・・・・?」 ミライは驚いてコウキを振り向いた、コウキは「GUYSのお仕事がんばって!」 と気丈に微笑んだ。

そこに警察官が駆けつけてきた。 「大丈夫ですか?どうなさいました?」 ミライは「この子、足を捻挫してます。よろしくお願いします。」 警察官にコウキを託した 「お任せください。よし、ボク、早く!」警察官はコウキをすばやくおぶった。

コウキは警官の背で笑顔を見せた「気をつけてね。」 ミライは「心配ない。」とコウキの頭をなでると「あいつは必ず倒す。」毅然として言い放った。 コウキ「うん」と大きく頷いた。

「お願いします。」ミライの声に 警察官は「はい」とコウキを背負い走り出した。

その時、コウキの父親は怪獣出現に自宅に駆け戻ると、ドアを開けて叫んだ 「コウキー!コウキー!・・・コウキ!・・・・コウキーー!!」 コウキが部屋にいない。壁に貼られたウルトラの父感謝祭のポスターを見た父親は無言で家を飛び出す。

ジャユラインが左腕を伸ばすと、中程にある円盤状の飾りが光り、頭部と同じ石 の羽根が伸びてきた。 ジャシュラインはその部分を右手に掴んで投げた。

ブーメランのように飛ばし、ビルを二つ程破壊した武器は、弧を描きながらぐる りと一周し、左腕に戻る。 すると、その軌道に当たった建物は一斉に爆発し、土埃が舞う。

ミライは建物の影に身を潜めると「メビウース!」とメビウスブレスを掲げメビウスに変身した。 コウキは叫んだ「ウルトラマンメビウス!」

リュウはメンバーに号令をかける「俺たちも続くぞ!」 墜落した機体を降り、走って現場に向かうリュウたち。

「お前がウルトラマンメビウス…ジャジャか?」上の顔が両手の人差し指でメビ ウスを差し、その指で小さい輪を描く。 「飛んで火に入る夏の虫とは、お前のことでシュラ!」手をだらりと開き、小刻 みに跳びはねながら、今度は斜めから指を差す。

互いに走りこみ、メビウスはパンチやキックを繰り出すが、相手のガードは堅く 張り手で押し出される。 「ティヤー!」「トリャー!」ジャシュラインの肩に掴みかかるが、また押し出 され、横転でかわす。「ヒャヒャヒャ」ジャシュラインには余裕が感じられる。 重いパンチや石の斧のような顔横の飾りで攻撃してくるジャシュライン。

「どうだ!」メビウスをジリジリと後退させると、両手を軽く上に掲げ、アハハ と笑いながらその場で一周廻り、喜びの踊りをして最後にまた指差した。 「うりゃ!」「ほうら!」メビウスを思うままに翻弄し、勢い余って一回転させ 、バランスを崩したところを押し出して、転倒させる。

「メビウスーー!」逃げる警官の背中で、後ろをふり向きながらコウキが叫ぶ。 「ミライが手も足も出ないだと?」リュウたちは速度を上げ現場へ急ぐ。

「コウキー!・・・コウキ!」ウルトラの父降臨祭会場に着いた父親は、スーツ 姿のまま、右往左往する人々の間を我が子の姿を探し回る。

両手を互い違いに三段並んだ顔の前に置き、上下に数度動かし、いないいないば あの仕草。上の顔の目が赤く光った。「ほうら、次は俺様が相手してやる。」 「行くジャジャ!」石のブーメランを投げつけるが、メビウスはこれを上手く掴 み、遠心力を使い、ジャシュラインに投げ返す。

次にジャシュラインは、これを掴んだまま、石斧のように斬りつけて来た。 メビウスは一旦かわすものの、その剛力に踏みとどまるのに懸命だった。

「バスターブレッド!」リュウたちが援護に放った3本のトライガー・ロングショットから発射された黄色い 火球が、ジャシュラインの背後に命中した。

「雑魚が!」上の顔が毒々しい言葉を吐いた。 ジャシュラインがクルーたちを振り返った時、メビウスは体制を立て直す為、一 旦身を引いた。

「身の程知らずの真似をしたこと、後悔させてやるジャジャ!」 そう言ってブーメランを上に掲げた時、メビウスは技を使おうと、右腕に左手を かけた。 「お前はまだ見てるダニ!」下の顔が言った途端、ジャシュラインは手をかざす と、一瞬時間が止まる。

「タァーーッ!」メビウスの撃ったメビュームシュートは、ジャシュラインの前 に出来た二重の輪のバリアーに弾かれ、何とメビウスに返って来た。 大きく弾き飛ばされ、倒れたメビウス。 立ち上がったものの、カラータイマーが赤く点滅し始めた。

ジャシュラインが一旦、拳を中央で合わせ、腕を開くと、上から順に顔が一瞬浮 き上がり、黄金色の粒子が漂い始めた。 次に怒り顔の長兄が上、その下部左に次男兄、右に末弟の膨張した顔が横に並び 三角を描く。

すると全身が眩しい黄金色に輝き出し、エイッと両手を開くと、両 翼から黄金色の太い光線が、メビウスに向かい放たれ始めた。 光線を浴びるメビウスは両腕を軽く開いたまま、身動きが出来ない様子で上体を 僅かに揺らしながら苦しげに身悶えている。

「何が起きてるの!?」マリナは言い、地上の3人はただ唖然と見守るだけだった 。 カラータイマーの鼓動は速度を増していった。そして・・・停まった!

立ち姿のまま動かなくなったメビウスは輝き、間もなく全身が黄金色の像となっ た!わずかにタイマー部分が白く残っている。

避難途中の人々が、階段途中で足を止め、指差し、誰もが振りかえる。 黄金像となった、メビウスの前、斜め後ろ、そして右から捉えた頭部のショ ット・・・。

「 ミライくんが金に替えられてしまった!」 「そんなこと…出来るんですか!?」テッペイにコノミが質問するように驚愕の 声を上げる。

ミサキは当惑する。「でも・・・現にこうして・・・」 サコミズが呟く「ミライ・・・」 リュウは絶叫する「ミライーーーー!!」

ジャシュラインは嬉しそうにメビウスの周りを小躍りする 「ウルトラマンメビウスも俺様等のコレクション入り決定ジャジャ」 ジョージが叫び「ミライを元に戻しやがれー」 バスターブレッドをもう一度撃つが、しかしそれは、ジャシュライン3番目の顔の瞳が光り、 そのままの勢いでジョージたちに返ってきた。

とっさによけるメンバーだが、トライガーシヨットの爆発の威力に、メンバーは吹き飛ばされた。 サコミズが叫ぶ「マリナ!ジョージ!・・・リュウ!」 ジョージが「マリナ」 と昏倒したマリナを気遣うが、そのジョージも意識を 失う・・・そして果敢にもリュウが上体を一度起こし、狙いを定めたが、やはり大の字に倒れる。

ジャシュラインは「ジャジャジャー シュラシュラー インー」とメビウスの回りをぐるぐる回り、 スキップの形が崩れたような踊りを、歌いながら手足を広げたり、腰を落としたりと繰り広げる。

コウキを背負う警察官は「なんて事だ・・・・久々の降臨祭の日に・・・」嘆いき、しゃがみ込むとコウキを下ろした。 コウキは「降臨祭・・・」とあのチラシを広げて見る。

コウキの父親の声が降臨祭の会場に響き、人々の流れに逆走して「コウキー!コウキー!コウキーー!」コウキを探す。

その時ジャシュラインはメビウスのカラータイマーを指で突付いた。 「ジャジャ?金になってないジャジャ。」するといきなりメビウスを蹴倒した。 「何故、金に染まってない箇所があるんでイン?」

「まだ、生きているんでシュラか?」そしてメビウスを何度も力いっぱい踏みつけると 「そんな事はないジャジャー おりゃー ありゃー ジャジャー」 ジャシュラインは今度は、手にもつブーメランに使用した武器で執拗にメビウスのカラータイマーを打ち据える。 その度に衝撃で、地響きがおき、地面が大きく揺れる。

警察官の体も大きく振れ「踏ん張れ、しっかりー」と掛け声をかけるが 「あっ!危ない!」 大きな振動にコウキは投げ出された「うああ!」

次の瞬間、コウキの父親は横飛ぶと「コウキー!」子どもを自らの体を投げ出し下敷きにして、 キャッチした。 「お父さん!」 「コウキ、大丈夫か?」 「お父さんこそ、大丈夫?」 「なんともないさ。・・・探したぞー」コウキを抱きしめる父親。 「お仕事は?」「バカ!こんな時に仕事もへったくれもあるか!あ・・・怪我無かったか?」

「うん!・・・・痛っ・・・」 「捻挫したのか?はい、ホラ。」父親はコウキに背中を見せた。 コウキは嬉しそうに頷いた「うん!」 警察官が「こちらです。こちらです!」と誘導する。

コウキは父の背中で深夜、カップラーメンをすすり、こった肩でバソコンを叩き、 薄暗い部屋で、仕事を続ける父親のうしろ姿を思い出した。コウキは「ゴメンナサイ・・・」と謝った。 「ん?なんか言ったか?」 「ゴメンナサイ、我がまま言って、ゴメンナサイ」コウキは父親の首にしがみついた。 「コウキ・・・」

ジャシュライン「割れぬでジャジャ あーイラつくシュラ わしにやらせろイン  うるせー俺様に任せろジャジャー おりゃぁぁぁー」

父親とコウキの体は、大きく揺れる「ああ〜〜」それでも懸命に走る父親はふいに 「日頃は運動不足でも、こういう時は力が出るなぁ」とコウキに語りかける。 「ボクのお父さんだって来てくれたんだ。ウルトラの父だって、絶対来てくれる。」 「ウルトラの父?」

「そうだよね?お父さん。ウルトラの父が来て、メビウスを助けてくれるよね?」 「ああ、ウルトラの父は来てくれる。お父さんなぁ、子どもの頃、本物のウルトラの父を見たんだぞ」 「何回も聞いたよ!」 「そうだったな・・・ははは。行くぞ!」 コウキは元気に頷いた「うん。」

ジャシュラインは吼える「見ろジャジャ。 やーな音でひびが入ったでシュラ もう一息でなインか? がーはははは。これでとどめジャジャー」 ジャシュラインがブーメランを大きく振りかぶると、見守る人々の中に目を背け ずにはいなれない者も。 「メビウスーーーッ!」コウキが父の背中で叫んだ。

すると、不意に上空から力強い七色の太い光線が、その武器に降り注ぎ、みるみ る内に爆破して粉々になった。 「あぁっ?」ジャシュラインの意表を突いた攻撃がどこからか。

「ジャジャッ?」エメラルドグリーンに輝く透明な球体が三層重なったような物 体が、ゆっくりと空から舞い降り、空中に留まりながら、次第に姿を現し始めた 。

コウキの父親たちも眩さに目をしかめながら、目を凝らしてみる。 リュウも同様に見て、頭部左右の角らしきものを捉えた。 ジョージは胸に青いカラータイマーと、その両脇にかかる赤いマント、両手えを 腕組みするのが見えた。

組んだ腕はゆっくりと拡げられ、手をかざしたマリナは、たなびくマントの裾、 その両足が地面にゆったりと着地するのを見た。

ジャシュラインは指差し、身構えた。 「ああ?ジャジャん? は・・・お前は!」 エメラルドグリーンの光の中に、その全容がぼんやり浮かび上がる。 「ま・・・間違いない!」テッペイがつられるように立ち上がり、唇を振るわせ ながら言った。

マントをひるがえし腰に手を当てて、神々しく立ちはだかるその姿は コウキが叫んだ「ウルトラの父だ!」 人々は歓喜の声を上げた「やったーーー」 テッペイにいたっては、いきなり無言のバンザイポーズである。「うあははは!」

ジャシュラインはふでぶてしく「鴨がネギ背負って来よったジャジャー。 宇宙警備隊大隊長を倒したとなれば、ボクチンの名前も格段に売れるでシュラ。  お前もコレクションに加えてやるでイン。  行くぞシュラー うー」

ジャシュラインが、ウルトラの父に殴りかかってきた。 がウルトラの父はその腕をブロック、右手でジャシュラインを受け止め、 体を入れ替えるように受け流すと、ジャシュラインの攻撃をマントを翻して軽くかわした。

ジャシュラインがウルトラの父を掴もうと腕を振り上げたところで、甘くなった脇に蹴りを入れ、一旦距離を置いた。 そしてジャシュラインが前に出て来たところを、 右腕を掴み後に回ってその腕を押さえつけ、それを振り上げた反動で、背負い投げを決めた。

ウルトラの父はマントをジャシュラインの顔面に投げつけた、マントで目くらましを受け、そのマントに翻弄されて、 「なんじゃこれはなんじゃこれは」ジャシュラインが暴れている隙にウルトラの父は肩膝を付いて、 メビウスにエネルギーを与えた。

ウルトラの父から発せられたエネルギー光線で、 メビウスのカラータイマーのヒビは修復され、青い光が灯った。 メビウスのカラータイマーからは、光粒は舞い上がり、徐々にボディーの色が、金色から元に戻っていく。

ウルトラの父は言い放った「立つのだ、ウルトラマンメビウス」メビウスは凛として立ち上がった。 無限の力を腕に蓄え「うおぉぉ」と復活した。

コウキが叫んだ「メビウスが元に戻ったーーー!」 「やったーー」人々が口々に喜んでいる。 メビウスはウルトラの父の姿に驚いた「大隊長!」

挑んできたジャシュラインに対して、 ウルトラの父は、ウルトラアレイを掲げ、ジャシュラインの3つの顔の額の水色のランプを破壊した。 衝撃にのた打ち回るジャシュライン。 メビウスはすかさず、メビウスバーニングブレイブに変身した。

走りこみ、ジャシュラインのボディー攻撃を左腕でブロック、反対からの攻撃も右腕でブロック。 パンチもしゃがみこんでかわした後は、全てのパンチを跳ね返した。

メビウスがキックを入れた後、ジャシュラインが突っ込んでくるところを、ジャシュラインの左腕を取ってかわし、 後に回って抱え込み、バックドロップを決めた。 倒れているジャシュラインを掴み、振り向きざまに投げ飛ばし、メビウスキックをお見舞いする。 ゴロゴロと転がるジャシュライン。

ジャシュラインは悔しがった「こんなバカなことがある?・・・わけなイン こうなったら、 奥の手を使うでシュラ この星の地殻を刺激し、お前等ごと粉々にしてくれるジャジャー」 ジャシュラインはドリルのように高速回転をはじめたが、

メビウスはメビュームバーストをぶつけジャシュラインを破壊した。 ウルトラの父は頷いた。

ガイズクルーたちは口々に「よし!」「よっしゃー」と声を上げ。 コウキは「やったーやったーー」と歓喜する。 父親は、「同じだ・・・子どもの頃に見たのと」としみじみと言った。 ウルトラの父はマントをひるがえしてメビウスの前に立った。

メビウスは進み出て頭を垂れた「申し訳ありません。大隊長に来ていただかなければ、ジャシュラインには勝てませんでした。」 ウルトラの父はおもむろに伝えた「それでも、負けてはいない」 「え・・・」メビウスは顔を上げた。

「カラータイマーが金に染められなかったのは、君がジャシュラインに屈しなかった証だ。 君自身が諦めない限り、それは敗北ではない。」

手を振る人々の声援を浴びるメビウスとウルトラの父。それをじっと見るメビウス。 コウキも叫んでいた「ありがとうーー」 父親も目を細めていた「ありがとうーー」

「ウルトラマンとして闘うという事は、 決して彼等の想いを裏切らない事、 彼等の希望であり続けるということだ。そうすれば、君はもっと強くなれる。」拳を握り締めるウルトラの父。 「はい、ウルトラの父。」 ウルトラの父は「ん、楽しみにしている、その日を。」そうメビウスに告げると、 マントをひる返しメビウスに背を向けた。

エメラルドグリーンがやがで黄金の光となって、ウルトラの父は天空の彼方へ消えた。 メビウスはじっとウルトラの父の後ろ姿を見つめていた。

管理人のここが考察ポイント

ウルトラの父降臨と、人間の父性愛に触れる1作。

今回のポイントは「ウルトラの父」をどう降臨させるかにあった。 何故ならウルトラの父が降臨することを人々は、期待していたのだから、そしてそれを人々は希望していたのだから、 期待を裏切らず応え続けるのが、希望の星であるウルトラマンだからである。

そう、ウルトラの父が降臨したのは窮地に立った人々やメビウスを救うことと、地球人の期待に応えるためであり、 希望の星でいつづけるために人々やメビウスに大切なことを教えるためであった。

ここぞと人が期待した時に応えられる人間になれ、それが信頼に繋がり、そして認められることにもなる。

いつも、こどもとの約束を破っていたしとても、こどもの窮地に我が身を省みず飛び出す父親もそうであろう。 ここぞという時に大切なものを守るのだ。

普段はうだつが上がらなくても、さえないと言われるおとうさんであっても、 そんな父は誰よりもヒーローであり、ビッグである。

捨て身で守られた人間はまた捨て身で人を守れる人間になる。 これもバトンである。 期待に応えてくれればまた期待し、そしてまた、期待で返そうと繋がる。

父や母の背中におぶられたこどもは、またその背中に大切なものを背負っていけるだろう。 母の背中は背負われることが多いが、父の背中というのはあまりないかもしれない。

まさにここぞという時に見せた父の背中、そして、二人で見たウルトラマンメビウスとウルトラの父の絆。 戦いの場においては、信頼関係のないものに、背を向けることはない。 それは背後から襲われる危険性があるからである。

安心して背を向けられる関係をもつことができたこと、 背を向けられる相手がいること、そして向けた背にしがみついてくる者がいること これは男冥利に尽きるのではないだろうか

最近の侵略者に、相手を倒して名を上げたいとうそぶく者が多いが、安直に人の褌で相撲をとる輩が増えたものである。 自分自身が周囲から認められる存在であれば、誰かを倒して名をあげる必要もないわけで、 それでも戦いを挑むのが闘争本能なのかもしれないが、

誰かの力の証明として、巻き込まれるほうはまったくたまったものではないわけである。 人を頼りにしないことというウルトラ5つの誓いを宇宙人にもいいたくなるところである。

降臨したウルトラの父はこの上なくかっこよく、そして見た目はかっこはいいとはいいがたいが、 お父さんが夜を呈して働き、家族を守る姿も この上なくかっこいい。 本当のかっこよさとは一体なんであろうかと改めて考えさせられる1作であった。

ウルトラマンメビウス 第37話「父の背中」  

宇宙三面魔像 ジャシュライン 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザ マ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田 弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / トリヤマ補佐 官 石井愃一 / マル補佐官秘書 まいど 豊 / ミサキ ユキ 石川紗彩 / コウキ  小林 翼 / 樋口 靖 / 松澤仁晶 / 三木秀甫 / 井上 愛 / テアトルアカデミー / 早川プロダクション

ウルトラの父の声 西岡徳馬 《声の出演》松本 大 / 浅沼晋太郎 / はじ

《スーツアクター》和田三四郎 / 永田朋裕 / 福田大助

《シリーズ構成・設定考証・脚本》赤星政尚 / 谷崎あきら 《監督・特技監督》 アベ ユーイチ  《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新一 《企画》岡崎剛之 / 江藤直行 / 中村理一郎 《プロデューサー》岩佐芳弘 / 渋谷浩康 / 山西太平 《制作プロ デューサー》小山信行 《アソシエイトプロデューサー》小掛慎太郎 《ライン プロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》倉持武弘 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也  《録音》楠本龍巳 《操演》上田健一 《助監督》石川 整 《装飾》大藤邦康  《衣装》宮崎みずほ 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》熊 木白仁 《編集》前嶌健治 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊一  《VE》高田秀雄 《スクリプター》森永恭子 《キャスティング》小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉  《操演》根岸 泉《殺陣》岡野弘之 《助監督》日暮大幹 《スクリプター》森永 恭子 《スチール》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン 》丸山 浩 《キャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクタ ーメンテナンス》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》鶴田 幸伸 《CGIモーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパー バイザー》早川哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》大坪 隆仁 / 上田和彦 / 澤田元春 / 小嶋律史 / 森 裕二 / 小杉淑美 / 川口智久 《CGI マネージャー》小田達哉 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェク トアニメーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト 》高田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD 担当》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《 製作デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川 勝一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤッ プ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照 明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラ プロ / スリーエススタジオ / 富士通 乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジ ン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセ ンター / IMAGICA / クレッセント / AdobeSystems / ボーンデジタル / D.A.S.T /

スタジオ・バックホーン / パンチライン / RECARO / 岡村製作所 / ナナオ / フ ジ工業 / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / KENNETH COLE / Zoff

《撮影協力》小田急電鉄 / 小田急建設 《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 /円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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