ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第38話「オーシャンの勇魚(イサナ)」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス第10話「GUYSの誇り」レイゴ考察ソフトバージョン

ウルトラマンメビウス・ボガールモンス怪獣画像
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フェニックスネスト・ディレクションルームに警告音が鳴り響く、 テッペイがモニターを凝視しながら緊急報告する「レジストコード・アリゲラ、大気圏突入。」 コノミが補足する「予測降下地点、房総半島沖20km。」

サコミズが号令する「GUYS・・・sally go!」 一同は立ち上がり声を揃える「GIG!」

大気圏外から豪速で突入し、炎に包まれながら降下して来た一見、鳥のように見える怪獣は、 凄まじいスピードを維持し炎を吹き 飛ばした。 顔の両側面に立てた鋭利な翼を拡げ、一 声鳴いて更に降下し続ける。

頭部から翼のオレンジ色のボディラインは三角形を成し、二基のジェット噴射口 を持ち合わせた新鋭攻撃機のように敏捷な動きで、空中を自在に滑空し、厚い雲 間に飛び込んで行った。

大空を高速で舞うよに踊るアリゲラ。モニター上アリゲラの位置を示す赤い点は、 半島右岸に小さな丸がいくつか走り、北上し ながら更に徐々に大きくなり、円は複数点在をはじめ、その円は、そのまま海が真っ赤になるようにいっきに広がった。

テッペイが驚愕の声を上げる「予測降下地点変更、鹿島灘から洋上一帯。」 急行するガンウィンガーに機上のリュウは当惑する。「どういうことだ?」

テッペイはモニターに映る。オレンジ色の縁取りにブルーグレーの引き締まったボディ、 鋭利なクチバシをもつアリゲラに 目を走らせながら「アリゲラは戦闘機以上の飛行能力を持ってます。 どこに下りるか、わからないんです!」

アリゲラは海面上をトビウオのように軽く海を弾くようにバウンドしながら、しかしスピードを緩めるこ となくスケターが滑走するかのように水面を移動して行く。

海にいた魚船がアルゲラの風圧に大きく傾く。「あっ!」魚師は、船にしがみつきながら叫び声を上げた「なんだありゃ?」 サコミズが新たな指示を加える「テッペイ、衛星画像」

その時水面には、白いしぶきを上げながら猛スピードで 移動を続ける黒っぽい物体が映し出された。「これは・・・・別の飛行体が向かっています。」

リュウは当惑が隠しきれない「どっちから来てるんだ?」・・正面にアルゲラが。 ミライは叫ぶ「リュウさん!」

間一髪アルゲラに砲撃をかませ、避けたガンウィンガーの上部スレスレでアリゲラとすれ違う。

リュウとミライは急いで振り向くが、アリゲラは急降下し、水面に片翼を軽く触 れながら直角に方向転換、更にエスの字を描いたかと思うと、ジェット噴射で速 度を上げる。

ジョージが叫ぶ「まずい。湾岸エリアに向かうぞ!」 マリナも悲痛な声を上げる「間に合わないわ!」 ミライの「僕が行きます!」の声に、 リュウは頷いた「頼むぞ、ミライ。」

「ハッ!」ガンウィンガーから黄金の光に包まれて飛び出してきたウルトラマンメビウス。

青く輝く海面すれすれに、エス字を描きながら飛行するアリゲラ を、メビウスは真っ直ぐな軌跡で追いかける。

視界に徐々に迫ってくる陸地の建造物。 ABE-SOHKO付近の倉庫群を、低空猛スピードでアリゲラがかすめる。

辺り一帯、土煙を上げながら揺れ、赤いクレーンが吹き飛んだ。 間もなく踵を返し、反対方向から同じルートを辿るアリゲラ。

アルゲラの風圧の衝撃に倉庫や鉄塔が爆破かのように形を無くした。 「うわぁぁぁぁ!」作業員たちがコンクリートの地面 を転がる。尻餅を付いたその上方から、建造物の破片が降り注ぐ!

メビウスは空中に留まりライトニングカウンターを繰り出すが、アリゲラはそれをたやすくかわし、 メビウスに向かって急行してくる。そしてトゲの生えた右翼でメビウスの 右肩を攻撃した。

「ウワァーー!」メビウスはバランスを崩し、空中で仰け反りる。 「ミライ!」リュウが叫ぶ。

その時、未確認飛行物体から放たれた2本の黄緑色のビームが、アリゲラの背面 に命中した。アリゲラは木の葉が舞い落ちるように、頭部から水中に突っ込んだ 。 ガンウィンガー、ガンローダーの二機は海上に滞空した。

紺碧の海中へ鳴き声を上げながら空気の泡をまき散らし、真っ暗な海底に沈んで いくアリゲラの2つの青い光が、やがて見えなくなった。

そこへジェット音を響かせてやって来たのは、ダークグレーのボディに尖った鼻 先が黄色、前部から両翼の付け根にマリンブルーのカラーリングの戦闘機。

マリナが目視する「シーウインガー?」 リュウは一人ごとのように「GUYSオーシャン・・・」と声を上げた。

海底を進むブルーウェイル乗組員から 「こちらGUYSオーシャン ブルーウェイル。アリゲラは日本海溝に逃げ込んだ模様。」報告がはいる。 コノミが「GIG。」と返答する。

テッペイの「やはりアリゲラも例の時空波に引かれて、地球に襲来したのかも。」 という発言にトリヤマとマルは「ほーぅ・・・」となるほどと感心する。

デレクションルームのドアがすべるように開き、一人の男が入ってくる。 どうやらさきほどの戦闘機シーウィンガーに機上していた男のようだ。

男は、「お久しぶりです、サコミズさん。」とサコミズに笑顔で、歩み寄った。握手を交わす二人に、 リュウは「あれ?隊長の・・・知り合い?」と後ろから入室して聞く。

サコミズが「彼は・・・」答えようとしたとき、男がサコミズの耳元で何事かを耳打ちした。 「彼はGUYSオーシャンの勇魚君だ。」サコミズは軽くその男に同意するように頷くと、 にっこり微笑んで男をそう紹介した。

勇魚は「ごめ〜〜〜ん、」といきなり腰を引くと 「いやぁ、先に連絡出来りゃ良かったんだけどさ、」とリュウの目先まで近づき 「俺らも奴がどのへんに下りて来んのか、全然わかんなかったんでねー、しかもなんか、あいつすげー飛び方すんじゃん。」 とあらぬ方向を指差し、視線を泳がし 「びっくりだよねーあはははは・・・・ほう、はははは・・・」と笑い飛ばし、リュウの尻を叩いた。

メンバーは呆然とし、マリナは「軽い・・・」と唖然と吐いた。 遅れてミライが「すいません、遅くなりました。」隊員服の前をはだけた、右肩に白い包帯が見える姿を見せた。 リュウは「ミライ、大丈夫か?」と気遣う。 ミライは笑いかける「たいしたことありません。」

勇魚はじっとミライの怪我のあたりを確認しながら、「その肩の怪我、さっきの戦闘で?」 と覗き込むように笑いかける。ミライは「あ・・はい。さっきはありがとうございました。」とぺこりと頭を下げた。

ジョージが察知すると「あ・・・オホン・・・ウン・・・」と咳払いをしてみせる。 リュウは「ったく、なんで正面から突っ込むんだよ」とミライに突っ込む。

マリナも「そうよ、ああいう攻撃は危険よ」と真顔で強くうなづく。 リュウは勢い続ける「下手すりゃ、もう一発頭に喰らって、海にぴゅーんと落ちちまう・・・」 一同必死の、咳払い。ジョージは二人を交互にのぞきこみ手を拳にしてゴホゴホ、テッペイは口をラッパの形にすると 大きく噴き出すように、ゴポゴポ、コノミは首を傾げながらひたすらゴホゴホ。 マリナは「はっ!」と叫び声を小さく上げて自分の口を塞ぐ。

リュウも気づき「ほぉ!」目を見開いて黙る。 勇魚はにやりと笑うと「ねぇ、なんか隠してる?」 マリナは「全然!」そしてリュウと「ねぇ」と揃えて体を傾けて合わせて見せると、ぱっとそれぞれの席に散った。 ミライも「いや・・・何も・・・」と勇魚の視線を避けるように、慌てて自分の席のイスを引いた。

トリヤマは威勢良く「とにかく、アリゲラは太平洋海溝にいる。あそこはGUYSオーシャンのテリトリーだな?」 と聞く、マルが「その通り!」と相槌を打つと。

トリヤマは意気揚々と 「そこで、私からの提案だ。GUYSオーシャンの巨大潜水艦からその海溝めがけて、 メガトン級の魚雷をバカスカ打ち込み、海溝内でアリゲラを一気に殲滅する!」

テッペイは顔をしかめると、 「海溝にバカスカ魚雷を打ち込んだりしたら、大きな地殻変動を誘発して、 それこそメガトン級の災害を引き起こす事になりますけど・・・」 トリヤマは「えっ・・・」と意気消沈。

サコミズが「とりあえず、海溝からおびき出して叩くしかないわけで・・・」 トリヤマはしろもどろと「そ・・・それでは・・・」 サコミズが続ける「今回は、GUYSオーシャンと共同戦線を張るのが、最善かと」 勇魚はかるーく「ってことで、よろしく〜」手を突き出し、中指と薬指を折って残りの指を立たせた、キメのポーズで名乗りを上げた。

ガイズのメンバーは廊下に出ると、周りを伺ったのち、 テッペイが口火を切った 「いいですか?勇魚さんがいる間、ミライくんがメビウスだとバレない様に、みなさん、 言動にはくれぐれも気をつけてください。」 マリナは顔をしかめながら「トリピーとマルさんだけだったら、問題無かったんだけどなぁ」 ジョージも頷く「おおよそのことには、気がつかないタイプだからなぁ・・・」 コノミが「あの勇魚っていう人、なんか妙にカンが鋭い気がします。」と告げる。

デレクションルームから退出しながら、 トリヤマは小首をかしげた「勇魚・・・どっかで聞いたような気が・・・気のせいか?」 マルは「気のせいでしょ」といともたやすく頷く。 トリヤマは「そっか・・・そうだな。・・・すっきり」と胸から手を下ろしてみせて、嬉しそうだ。

アライソは格納されたガンウィンガーの上に乗っている二人の整備士に声をかける 「イジェクションギア、もっぺん確認しとけ!整備班、パイロットの命を預かってるって事、忘れるなよ。」 整備班は「はーい」と返事を返す。

アライソの整備室は、中央にデスクが数台置かれ、すぐ横にはヤカンの乗ったストーブが置かれていた。 部屋の壁側には、書類やパーツが納められているであろう、クリアボックス型収 納庫やスチールロッカーが並べられ、壁には様々な注意書のようなメモが貼って ある。 そんな中、馴れたように足元の七輪で、団扇をあおぎながら何かを焼いている勇魚は声をかけた

「相変わらず、さすがだなぁ、とっつあんの整備は。」番茶を注ぐアライソに声をかける勇魚 「後で俺のシーウインガーも見といてね。あの話、考えといてくれた?」 「潜水艦なんぞに行くつもりはねぇ。俺にはここで、面倒見なきゃならねぇ飛行機たちがいるんでねぇ。第一、おめえんとこには、ちゃんとした整備士がいるじゃねぇか。」 「あんたの腕は、一流だよ。俺も船の中に、相談相手がいると、嬉しかったりして・・・」

アライソは「相談だと?!」勇魚を振り向いた「お前は、大事なことは、人に相談したことなんかねーじゃねぇか!」 勇魚は立ち上がる「あれ?あのこと、まだ怒ってる。」コノミがそっと物陰から二人の様子を見ていた。

海底を進むブルーウェイル、乗組員から通信が入る「海溝の入り口に接近します。」 サコミズが問う「ブルーウェイルから、アリゲラのデータが来たのか?」 テッペイは「アリゲラはコウモリやイルカのように、超音波で世界を認識しているようです。 しかもこの翼が非常に強靭で、潜水性の海鳥のように、空中と海中どちらでも自在に活動出来ます。」と説明する。 サコミズは「空と海、両方であの動きが出来るのか?」考え込む。

アライソは、書類にペンを走らせながら 「ワイズクルージング機能だかなんだかしらねぇが、勇魚のやつ、全く無茶しやがる。」

ブルーウェイル乗組員から次の連絡が入った「アリゲラが発するパルスをキャッチ。 アリゲラは海溝の第3深部に向かって進航(進行)しています。」 アリゲラは、海溝を歩きながら鳴き声をたて、肩の部分の丸い緑色の部分は、点滅を繰り返す。

ミライは何かを感じって立ち止まり振り返った「呼んでる・・・」 リュウが怪訝そうに聞く「何が?」 ミライは「アリゲラが僕を呼んでる」きっぱりと告げた。

ミライはデレクションルームに走りこむとテッペイに「アリゲラがメビウスを呼んでいます」 と告げる。テッペイは慌てて勇魚を指差す。 勇魚は、読んでいたコナカのマーチと後ろに宣伝のある雑誌をたたんで立ち上がった「何で、そう思うの?」

リュウは戸惑う「いやっ・・・その・・・単なるこいつのカンなんですけど・・・」 うしろでミライが曖昧な薄笑いを浮かべる。

勇魚は「気が合うねぇ・・・俺もあのパルスは、メビウスを呼んでんだと思うねぇ。 さっきの戦闘、湾岸に向かってたアリゲラは、メビウスが現れた途端に、引き返して来た。 どうやら奴は、メビウスと一戦交えたいみたいだな。」 勇魚はしゃべりながら、棚に向かいコーヒーカップをとりだす。 「今度は海溝の底の底で。」

ジョージが厳しい表情を向けた「そんなところで闘えば、どでかい災害が!」 勇魚は「だから奴を、房総半島の埋立地に呼んで叩きましょう」とにやりと笑う。 マリナが「どうやって?」聞く。すかさず、 勇魚が手でテッペイに指し示す。

「はい」テッペイは顔の横でにこっと手を上げると、《アリゲラ》 と札をつけたバートンを取り出し、説明を始めた。

「アリゲラは視覚の代わりに超音波で世界を認識しています。で、 その超音波を歪めて増幅させるソナーボックスを、ブルーウェイルから海溝に落として、いぶりだします。」

コノミはブルーウェイルに見立てた、メタリックブルーのハンディクリーナーを用意。 テッペイはそのハンディークリーナーから、ソナーボックス代わりの白い箱を《アリゲラ》バートンに近づける。 そしてバートンをブルブルと震わせるように動かした。

「で、海溝から這い出てきたところを、洋上に着水したシーウインガーから、 アリゲラが必ず喰いつく音を出す。」と説明するシーウインガーの代わりは、 食がんとおぼしきものであり、そのパイロットは勇魚である。

「必ず喰いつく音?」マリナが問うと、テッペイが「メビウスのフローノイズです。」と答える。 するとジョージが納得したように「なるほど・・・奴はメビウスが空を飛んでいると思って、洋上に出て来る。」 勇魚とテッペイはうなづき、後を続けて勇魚が説明する。

「後はシーウインガーで、奴を房総半島沖の埋め立てエリアまで引きつけて・・・」 イサナは手に持ったガンウインガーを、元の場所に戻ったコノミのところまで動かすと、 テッペイも《アリゲラ》バートンをガンウインガーの後を追わせ、

「待機したガンローダーで撃墜。地上戦で一気に叩くと・・・」食玩のガンローダーのパイロットがコノミだ。 コノミはガンローダーを追ってきた《アリゲラ》バートンを攻撃、《アリゲラ》バートンは仰向きに倒れた。 とどめを刺すように、勇魚はガンウインガーを《アリゲラ》バートンにぶつけ、ミニチュアを使った作戦説明を終えた。

リュウが「でも、シーウインガー一機じゃ、危険過ぎるんじゃぁ・・・」と問題点を指摘する。 テッペイは笑顔を向ける「大丈夫、ガンウインガーがバックアップにつきます。」 勇魚は「乗るのは、君と君ね。」リュウとジョージを指差した。

ミライが訴える「僕を乗せてください!」 「君はダメ。怪我をしてる。」 「こんなの平気です!」 「あんま、無理言うと、」勇魚は、机をたたくと「僕一人で行っちゃうよ。」とミライを見た。

リュウが「心配すんな。シーウインガーは俺達がきっちりバックアップする。ミライ、お前はガンローダーで待ってろ。」 とミライを促すが、ミライは傷ついた右肩を押さえて「僕がアリゲラの攻撃を受けたりしなければ・・・」 とつぶやいた。

勇魚が「ん?」と顔を上げた。 一同は「あ〜〜〜〜」と叫ぶと、コノミは頭を抱え、 テッペイが慌てて「さ・・作戦は、ブルーウェイルの準備が整うのを待って、一時間後にしましょう。」と解散を促す。 マリナは取ってつけたように「よし!頑張るぞ〜〜」と声を上げるとそれに答えて「オー」とみんなで揃えて拳を 振り上げ、マリナはミライの背を押す。 「はい!撤収ーーー」とリュウも必死だ。

コノミはアライソの元を訪れた 「あの・・・アライソさんは勇魚さんを昔からご存知なんですか?あ・・・ごめんなさい、 」コノミは頭を下げると「あの・・・お二人のお話してるのを・・・」 アライソはイスに腰を下ろすと、話し始めた、 「そう・・・・勇魚がちょうど、今のコノミちゃんくらいの頃だ。あいつ、ここで整備士見習いをしてたんだ。」 そい言い終わると立ち上がって番茶を注ぐ。コノミが「え・・・?」と聞く。

「そこそこ腕も良くて、ちょいと目ぇかけてたんだが、あいつ・・・黙って試験を受けて、」 ドンとヤカンをストーブに音を立てて 置き、 「勝手にGUYSオーシャンに行っちまった。」

あの時、壁からはずされ、アライソの机の上に置かれた勇魚のネームプレート、 捨てようとして振り上げたネームプレートその裏に刻まれた文字。 『ごめんな とっつあん』

アライソは息をはくように「若い時にゃ、何でも出来るような気がする。それが若さってもんだ。けど、 あれもこれも全部はできねぇ。いずれは自分の一生をかけて悔いのないもの、自分で見つけ出さなきゃならねぇ。 思っているほど、人生は長くはねぇんだ。」 「アライソさん、本当は勇魚さんのこと、ちっとも怒ってないんだ。」コノミは微笑んだ。 「勇魚にゃ、整備士の仕事より、今の仕事の方がたぶん天職だったんだ。」

勇魚は一人遠くを見つめていた。その背後で、 リュウたちはノートパソコンを広げ、頭をつき合わせて、作戦を練っていた。

「だーっと行ってさ・・・」というリュウの声に勇魚が振り向くと、ジョージがミライに 「奴は飛行能力がすごい!」と見解を述べている。

「これ、ようはここを狙うのが一番重要なの。」というマリナの案にほかの3人が頭を寄せてノートパソコンを覗き込むが、 「やっぱ、上だろ。」とジョージ。ミライは「いやぁ、それならここを狙えないですよ。」と否定的だ。

その様子は、整備班で働いていた頃の勇魚とだぶって見えた。 「おい、いいか?85YのST、ここでOKだろ?」という勇魚の提案に、みんなが手を打ち合って歓声を上げる。

勇魚はふっと笑うと、ミライたちに近づいてきた。 マリナの右背後からマリナのノートパソコンを指差して勇魚は言った。 「低空でスタンバイして、奴の接近と同時に垂直上昇。正面から奴の両翼を狙う。」

ジョージは関心したように「そっか!」マリナも「すごーーい!」、ミライも「それです。」 と賛同する。あらためて「なるほど。」と納得したジョージの言葉に、 リュウは「それで行こっか」と策を決めた。

勇魚は、4人の顔を一人ひとり見ながら、 「一期一会だ。出会いは一度っきりだ。だから今、側にいる仲間を精一杯大事にしな。」と語った。 それぞれは無言で勇魚に顔を上げた。

そのときアラーム音が響き渡った。 「水入りの時間です。」とミライがみんなを促す。 勇魚は「じゃぁ、ヨロシク〜〜」と4人を指差し、先に出動へと向かって行った。 マリナは呆れたように「やっぱ、軽い・・・」とつぶやくと、みんなと共に勇魚の後を追った。

深海の予定ポイントにGUYSオーシャンの潜水艦が到着した。 「ソナーボックス、投下。」 楕円形のソナーボックスが、静かに海底に落ちて行く。 狙い通り、ゆっくり前進を続けるアリゲラの傍らに差し掛かった時、ボックスか ら発光と共にパルス信号が発せられた。

「アリゲラが海溝から出ます!」テッペイが険しい顔つきで言った。 「フローノイズ、オン!」アリゲラ真上の海面に浮かぶシーウィンガー内で、勇 魚がスイッチを入れる。

急浮上してくるアリゲラを示す黄色いポイントが、シーウィンガー目指し近づい て来る。 「来るぞ!」上空で滞空するガンウィンガーのリュウとジョージ。 ミライは地上で待機するガンローダーのマリナの後部座席で、成り行きを見守っ ていた。

「何してんだ?早く発進しねえとヤツが来るぞ!」リュウが急かすが、勇魚は黙 ったまま近付いて来る敵をモニターで仰視する。 間もなくそれは、危険を示す赤く早い点滅に変わった!

勇魚はキッと鋭い眼光で、ロックを解除し操縦桿を素早く引き上げた。

シーウィンガーの腹が空中に浮かび上がると同時に、60度くらいの勾配で飛び出 して行った。すかさずその後を、海上へ出たアリゲラが追いかける。

アリゲラの胸の2つのパルス孔から電磁気光線を発せられる。 執拗な攻撃だが、シーウィンガーはひらりとバク転し、上空から真っ逆さまに海 面へ突進する。

海中でも空中同様のスピードを維持し、アリゲラの攻撃をかわして行く機体。 海面から顔を出した機体は、右翼のみ水面に浸けたまま、水しぶきを上げアクロ バティック飛行を披露する。

「やっぱ、とっつあんがいじると調子いいぜぇ!」 勇魚は緊張の中で笑った。 水平飛行に入ると間もなく、3基のミサイルを発射し、アリゲラに命中させる。

「こっちも行くぞ!」リュウが気合いを入れたガンウィンガーが、アリゲラの上 空からビームを命中させ、アリゲラは僅かに肢体を揺らした。

ガンウィンガーも、下方を飛ぶアリゲラの腹の下をくぐり抜け、再度上 空に位置を取る際、シーウィンガーもこれに追従した。

アリゲラもすかさず反撃を仕掛け、2機の戦闘機との息を呑む空中戦が繰り広げ られる。

2機は陸に向かいながら、二方向に別れた。 追いかけて来るアリゲラを迎え撃つべく、すっくとアリゲラの前に立ち塞がるマ リナの操縦するガンローダー。

「バリアブルパルサー!」怯むことなく発射された幾筋かのビームはアリゲラの 腹に命中し、アリゲラは仰け反り、頭から埋め立て地へ落下した。 「やった!」笑顔のマリナの後ろから身を乗り出す、同じく笑顔のミライ。

ところが! アリゲラは直後に2本足で立ち上がった。 そして翼をブンと勢いよく拡げると、胸の2つのパルス孔から激しい電磁波が発 せられた!アリゲラの両肩付近が一面、オレンジ色に発火したかのような様を呈 した。

3機とも、操作パネル部がスパークした。 「キャア!」「クッソ!操縦不能だ!」マリナ、リュウが叫ぶが、すかさず号令 がとんで来た。 「落ち着け!各機マニュアルモードに切り替えろ!」勇魚が皆に冷静を呼びかけ る。

わななくアリゲラの後方で身構えるシーウィンガー。 「サコミズさん!」「メテオール解禁!」 「バーミッション・トゥ・シフト。マニューバ!」勇魚がレッドボタンを押すと 、パネルがスライドし、中からメテオール用のレバー等が現れた。 シーウィンガーのイナーシャルウィングが開き、黄金色に輝く。

「スペシューム・トライデント!」 二基の銃口から発射されたビームは、それぞれ三本の槍の様相で、アリゲラの背 中を撃ち抜く。 衝撃で、前に突っ伏し倒れるアリゲラ。

その尻尾の先から、すかさずビームが発せられた! マニューバパワーで執拗な攻撃を避けるシーウィンガー。 が、ついにメテオール制限時間が切れた。 「クッ!」悔しがる勇魚。

アリゲラの容赦ないビームが炸裂する。 勇魚の後方へ回り込んだビームが命中する!? 

その瞬間、ビームを切り裂くように弾く影。

間一髪、 「セヤッ!」メビウスのメビュームナイトブレードがそれを阻んだ。

爆発の逆光の中、無傷のシーウィンガーが通り過ぎたあと、メビウスの背中が見 えた。 空中でバク転をし、右手右足を地面に付き、メビュームナイトブレードを左腕に かざすメビウス。

その背後をシーウィンガーが通り過ぎ、勇魚はメビウスを見上げた。 ブレードをしまい、凛とした立ち姿のメビウスを、勇魚はコックピットごしに 再度見上げる。 「カッケぇぇ!」小首を振り惚れ惚れする勇魚。

メビウスと対峙するアリゲラは、両翼を拡げジェット噴射を起こし、ゆっくりと 真上に上昇し始めた。

急ぎ駆け寄ったメビウスは、その尻尾をガシッと掴んで抱え込み、引き戻し、そ してアリゲラを地面に叩き付けた。

間髪入れず、尻尾を持ち上げ、方向を変えてまた叩き付ける。 仰向けに倒れたアリゲラの胸部をチョップすると、両翼で挟みつける反撃に出た 。

両腕を挟み込んで阻止したメビウスを左足で蹴って弾き飛ばした。 起きあがった両者は再び対峙し、組み合った。

送り込んでアリゲラを一旦倒したメビウスが、相手をむんずと掴み立たせ、左下 方から噴射口の根元へ渾身のパンチ!大きな爆破が起きた。 怒ったアリゲラは胸のパルス孔から電磁気光線を放つ。

連続バク転でかわしたメビウスは、態勢を立て直した。 アリゲラはメビウスに向かって水平飛行で猛スピードで突進して来た。

メビウスはアリゲラを見据えた、そして左腕を構えた。風力発電の巨大プロペラの動きが 、ゆったりした回転に感じるほど、メビウスは更に相手を仰視し微動だしない。

眼前に迫ったアリゲラ。メビウスは右足を一歩開き、地面に踏ん張り、左腕から 出したメビュームナイトブレードを正面に縦に構える。

メビウスはそのまま微動だにせず、突入してきたアリゲラはその身体もろともブレード によって真っ二つに切り裂いた。アルゲラを切り裂いた閃光の中央にメビウスの顔が、凛と残された。

メビウスの後方で二つの大きな爆発が起きた。 プロペラは爆風を受け、素早く回転している。

「強えーーー!」リュウ、ジョージが揃って声を発した。

「やったね!」とマリナ 、「やったーー!」ディレクションルームでコノミが飛び跳ね、テッペイは「よ し!よし!」アリゲラの名を貼ったバードンフィギュアを掴み満足げに頷く。「 すごーーい!」コノミが飛び上がった。 サコミズは笑顔で仲間を見つめ、機上の勇魚は安堵の溜息を漏らし頷いた。

「よっしゃー!」「がんばれー!」 戦い終えたディレクションルームに歓声が上がる。 リュウと勇魚は腕相撲に挑んでいた。

両者ゆずらずの大声援の中、勇魚が勝利を収めた。 「やったー!」「イェイ、イェーイ!」トリヤマ、マルも居合わせ、興奮の坩堝 。

そこへ青い服に着帽の男が入って来た。 「お迎えに上がりました。勇魚隊長!」 「隊長?」「たいちょお!?」「えぇーーっ?」驚くガイズクルー。

トリヤマは「あ〜〜〜そうだった。」と大口を押さえた。 サコミズ「勇魚くんは、先月付けで任命されたGUYSオーシャンの新隊長だ。 君たちに気を使わせないよう、黙っててくれと頼まれてね・・・」 勇魚は下がっていた隊員服のジッパーを首元まで上げ、「GUYS JAPANクルーに敬礼!」と号令し、 勇魚と青い服の男は横に整列しクルーに敬礼した。

勇魚は「世話になった。」 とリュウに手を差し出した、リュウは隊員服のジッパーを首まで上げ「こちらこそ。」と微笑む。 その手に「共に闘った記念に。」白い小箱が手渡された。

廊下に出た勇魚はふと足を止めた。アライソに通り過ぎたまま 「あんたがここに居たいって気持ち、わかる気がするよ。あんたの飛行機たちは、飛び切りまっすぐな心を持ってる。」 と声をかけた。アライソは「聞いたような事を抜かすな」と答えた。

「身体に気ぃつけろよ。年なんだから。」魚勇は振り向かずそういった。 アライソは勇魚の背に声をかけた「勇魚!しっかりやれよ。」 勇魚は「・・・ああ。とっつあんもな。」やはり振り返らず、そのまま帰路についた。

小箱の中にはギフトラッピング用の茶色のインシュレーションが敷かれ、その上には水兵の人 形が入っていた。 水兵人形はクルクルと巻かれた旗を持っていて、その旗をリュウは広げた 。

『聞こえてるぜ コックピットの会話に気をつけな』 「ん?聞こえてるぜ、コックピットの会話に気をつけな」

覗き込むガイズのメンバー。 マリナがこわごわ、顔を上げる「え・・・でも何もヤバイ事は言ってないはず・・・」 リュウは思い出した「おお!!」 『僕が行きます!』 『頼むぞ、ミライ。』

ミライは顔をこわばらせて、ゆっくりと立ち上がった「まさか、勇魚さん始めから、感づいていたんじゃ・・・」 リュウは叫んだ「やられたーーーーー!」そのまま後ろにひっくり返った。

GUYSオーシャンクルーは帰路についた機上で、勇魚に声をかけた 「隊長、GUYS JAPANにメビウスがいるんじゃないかって言ってたじゃないですか。あれ、どうでした?」 勇魚は答えた「あれは冗談だ。本気にしてたのか?」 「えーーーー!!隊長って何考えてんだか、ほんと、読めないです。」 「読まれるようじゃ、隊長は務まらないんだよ。」 勇魚は『またな、GUYS JAPAN』『またな、メビウス』と心でつぶやいた。

管理人のここが考察ポイント

一期一会とてもよい言葉だ。新メカのお披露目を引っさげて登場したガイズオーシャンの勇魚。

新メカの必要性とその魅力が 戦闘の中に効果的に 披露され、かつガイズジャパーン以外の組織の活躍も披露するという、

ガイズという組織としての横の広がりを展開させてみせ、ガイズの総合力が大きく、強いものであることと、 今回のエピソードによって、よいいっそう共に戦う者同士、横の友情の絆が結ばれたことを示した1作であった。

人は何かの目に見えない縁によって出会う、それを生かすも殺すも本人次第である。 若いときには、これから先にもっと素晴らしい縁にたくさん出会えると思いがちである。

結果、一つ一つの出会いを大切にしないこともあるかもしれない。 実際には、自分が素晴らしいと思える人に出会うということすら、小さな奇跡なのである。

これは、道を別れてから気づくことかもしれない。縁を切って、切られて、学ぶことかもしれない。 これからたくさんの人たちと出会っていくであるう若者たちへ、たくさんのメッセージが込められていた。

出会いを大切に、誠心誠意、真剣に向かえと、そして、 その若さを武器に、臆することなく、仮に道を分けた相手であったとしても、 敬意を払うことを怠ることなく、出会えたことの感謝の念を忘れなければ、 再会のチャンスはまたいつか巡ってくるかもしれない。

多種多様な世界観をもつ人にふれ、切磋琢磨し、 その中で自分なりの大切なものを発見して欲しい。 そんな願いを感じた。

また、本来の突っ込みどころ、ともいえるコックピット内の会話は、ちゃんと視聴者以外にも聞こえており、 トリヤマとマルに限っては、 大抵のことは気づかない人たちであるという設定も綺麗に無理なく説明してみせた。

こういった一般的な疑問なども、細かく 説明していくところは、繊細でキメ細やかな太田 愛さんらしい。

それにつけても驚いたのは今回のアルゲラの動きと、ウルトラマンメビウスの戦法への演出である。 久々に目が離せない怪獣との一騎打ち、間の取り方といい、動と静のメリハリ、 光と共に的を一刀断ちに真っ二つに粉砕した瞬間のカタルシス。

「つぇぇぇ」と「かっけぇぇえ」にその言葉が集約されていた。 こんなにもメビウスはかっこよくて、強いのである。

メビウスがメビウスとして生かされており、 怪獣は怪獣らしく、そして何かをともに成し遂げていく達成感から、尊敬と情が芽生えるということを 戦闘を通してここまで、美しく表現してみせた1作であった。

ウルトラマンメビウス 第38話「オーシャンの勇魚(イサナ)」  

宇宙有翼怪獣 アリゲラ 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザ マ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田 弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / トリヤマ補佐 官 石井愃一 / マル補佐官秘書 まいど 豊 / ミサキ ユキ 石川紗彩 / 勇魚  村上幸平 / 金原泰成 / 永井博章 / 堀口たかよし / アライソ 綿引勝彦

《スーツアクター》山本 諭 / 岩田栄慶 / 丸山貢治 《シリーズ構成》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《脚本》太田 愛 《監督 ・特技監督》アベ ユーイチ  《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新一 《企画》岡崎剛之 / 江藤直行 /

中村理一郎 《プロデューサー》岩佐芳弘 / 渋谷浩康 / 山西太平 《制作プロ デューサー》小山信行 《アソシエイトプロデューサー》小掛慎太郎 《ライン プロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》倉持武弘 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也  《録音》楠本龍巳 《操演》上田健一 《助監督》石川 整 《装飾》大藤邦康  《衣装》宮崎みずほ 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》熊 木白仁 《編集》前嶌健治 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊一  《VE》高田秀雄 《スクリプター》森永恭子 《キャスティング》小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉  《操演》根岸 泉《殺陣》岡野弘之 《助監督》日暮大幹 《スクリプター》森永 恭子 《スチール》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン 》丸山 浩 《キャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクタ ーメンテナンス》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》池田 遼 《CGIモーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバ イザー》早川哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》大坪隆 仁 / 上田和彦 / 澤田元春 / 小嶋律史 / 森 裕二 / 小杉淑美 / 川口智久 《CGI マネージャー》小田達哉 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェク トアニメーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト 》高田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD 担当》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《 製作デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川 勝一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤッ プ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照 明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラ プロ / スリーエススタジオ / 富士通 乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジ ン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセ ンター / IMAGICA / クレッセント / AdobeSystems / ボーンデジタル / D.A.S.T /

スタジオ・バックホーン / パンチライン / RECARO / 岡村製作所 / ナナオ / フ ジコーワ工業 / 前田製作所 / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / KENNETH COLE / Zoff

《撮影協力》味の素スタジアム 《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 /円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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