ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第39話「無敵のママ」マニア考察】

ウルトラマンメビウス 第39話「無敵のママ」マニア考察ハードバージョン

【メビウスライター 帰りマン&ティガ命】

シリーズ構成:赤星政尚、設定考証:谷崎あきら、脚本:朱川湊人、監督・特技監督:小中和哉

日ノ出家・・6人の子供たちとその父親がまだ寝ている中、母親のサユリ(美保純)は朝食の準備をしていた。 サユリは時間になるとフライパンをたたいて子供たちと夫(遠山俊也)を起こし、 それぞれが朝食を済ませて学校や職場へと出かけると、洗濯物を干した。 そして時間がくると自分自身の職場へと向かった。

GUYSの基地・・その食堂でサユリは働いていた。体が細いミライ(五十嵐隼士)には超大盛りのご飯を、 そしてトマトが苦手なテッペイ(内野謙太)には山盛りのトマトを盛り付ける。リュウ(仁科克基)、 ジョージ(渡辺大輔)、マリナ(斉川あい)、コノミ(平田弥里) も含めて6人が食事する姿をサユリは嬉しそうに見つめる。

帰り道、サユリが横断歩道に止まっていると、少年が飛び出して車に轢かれそうになる。 サユリは飛び出してその少年を救おうとするが、少年を突き飛ばした後で、自分が車にはねられてしまう。

夫の平太郎と6人の子供たちが病院に駆けつけるが、手術した医師が手術室から出てきてサユリの死を伝える。 少年の方は助かったことを伝える医師に、夫は泣きながら「そうですか、子供だけでも助かって良かったです。」 と言い、子供たちも「当たり前だよ、父ちゃん。母ちゃんはGUYSなんだぜ。」 「隊員さんたちのエネルギー補充係だったんだから・・」と言う。父親と子供たちは泣きながら抱き合う。

病室では、死んだサユリの心に話しかける者がいた。サーペント星人であった。 サーペント星人はサユリの行動に感動したと言い、再び生きるために自分と同化することを提案する。 (サーペント星人の方もそのままの姿では地球に長くとどまれない。) また子供たちと暮らせることを望んだサユリは、同化に同意する。 サーペント星人は倒れるようにして、サユリと同化する。

目覚めたサユリが、花束を持って入ってきた看護婦にあいさつすると、看護婦は悲鳴を上げ、花束を放り出す。 職場に復帰したサユリ・・GUYSの6人はそんなサユリの姿を見て喜ぶが、 サユリが作った食事には塩気がなく、味が感じられなかった。

トリヤマ補佐官(石井愃一)は「やっぱり塩気がないと食欲がヘルシー。」とだじゃれを言い、 マル補佐官秘書(まいど豊)があきれる。

サユリが家に帰ると、家族の者が一斉にクラッカーを鳴らし、サユリの退院を祝う。 みんなからのプレゼントとして、サユリに手作りのメダルが渡される。 そのメダルには、サユリの似顔絵と「おかえりなさい、かあちゃん」という字が書かれていた。

夜、サユリ(に憑依したサーペント星人)は外に出ると「計画は順調です。突撃部隊の派遣を願います。」 と空に向かってメッセージを送る。すると、空からカプセルのようなものが落ちてきて、サユリはそれを手に取る。

翌日、GUYSの食堂では、サユリが数人の職員たちから「こんなの食べられないよ。」と苦情を受けていた。 ロッカールームで不思議がるサユリ・・家族の写真が貼られているロッカーの中には夜中に落ちてきたカプセルがあったが、 サユリには理解できない。

すると、サユリを呼ぶ声がし、鏡の中の自分(サーペント星人)が話しかけてきた。 サーペント星人は、自分の正体を明かし、「偉大なる計画の達成のためにGUYSは邪魔だ。 我々の手で壊滅する。」とサユリに告げ、強引にサユリの意識を乗っ取る。

サユリに憑依したサーペント星人は、動力室へ行き、カプセルからの電撃で当直員を倒し、 さらにコントロールパネルを破壊しようとする。

指令室では、異常を察したサコミズ隊長(田中実)らがモニター画面を見ると、 そこにはコントロールパネルを破壊しようとしているサユリの姿が・・。

サユリに憑依したサーペント星人が持つカプセルのようなものが棒状に伸び、 それを床に置くとそこから光が昇り、光の中から別のサーペント星人が現われた。 GUYSのメンバーたちが駆けつけ、次々とサーペント星人が現われるのを目にする。 テッペイは棒が空間転移装置であることを見抜き、ジョージがそれを破壊する。

サユリの姿のサーペント星人がGUYSのメンバーたちに近づき、自分たちがM9球状星雲から来たこと、 サユリの体を借りていることを告げる。その者はサユリが持っていたメダルを落とし、 サユリの姿からサーペント星人の姿へと変身する。サーペント星人たちは基地のメインシステムを破壊しようとする。

メインシステムが破壊されればサーペント星人たちも無事ではすまないのだが、 「我が身はここで滅びようとも、大いなる目的の礎になれるのなら・・」と全く気にしない。

突然、サユリに憑依していたサーペント星人は苦しみだす。 サユリの意志が逆にサーペント星人を乗っ取ろうとしていた。サユリは6人の子供たちの名前を叫びながら、 「母ちゃんは絶対に負けない。」と叫び、落ちていたメダルを手に取る。 サーペント星人の頭が割れ、サユリの顔が出てくる。

メダルを首にかけたサユリは格闘戦で圧倒的な強さを見せ、 GUYSのメンバーたちもサーペント星人たちを撃つ。追い詰められた生き残りのサーペント星人たちは、 溶けて合体・巨大化し、外から基地を破壊しようとする。

ミライはメビウスに変身し、サコミズ隊長・テッペイ・コノミ・サユリはミサキ総監代行(石川紗彩) らがいる指令室に入る。メビウスはメビュームソードを出し、 サーペント星人に切りかかるが、頑丈な鎧の前に全く刃が立たない。

指令室でサユリが「あいつらの弱点は塩です。」と言うと、テッペイがナメクジのような生き物だ、 と説明する。テッペイからの指示で、リュウ、ジョージ、 マリナが乗る戦闘機から塩を含んだ金属火災用の消火弾が放たれる。 サーペント星人の体組成が変化し、弱くなったところをメビウスがメビュームソードでサーペント星人を破壊する。

戦いの後、サユリはパワーアップしていた。超スピードで洗濯物を干すと、 子供の忘れ物を届けるために超スピードで走り抜ける。 それをあ然とした表情で見送るトレーニング中のGUYSのメンバーたち・・。

遅刻しそうな子供が車に轢かれそうになるが、サユリは片手で車を止めて持ち上げ、 子供は救われた。「みんなも車には気をつけるんだよ。」と言い残し、サユリはシュワッと叫び、飛び立っていった。

過去のウルトラ作品とのリンクポイント

1.オープニングとエンディング(帰りマン)

今回、オープニングとエンディングで、まさに帰りマン1話と最終話を連想させるシーンがありました。
(1)同化・命の共有(帰りマン1話)
帰りマン1話において、東京湾でタッコングとザザーンの2匹の怪獣が戦っていましたが、 勝ったタッコングが暴れ続け、鳩を逃がそうとしてビルの屋上に登った少年と、 残された犬を助けようとした郷秀樹は、崩れたビルの下敷きになって命を落とします。 (郷がかばったため、少年と犬は助かります。)この時の郷の行動に感動したウルトラマンは、 郷に命を預け、一体化します。

この時のウルトラマンの言葉、倒れるように合体するシーン、生き返った姿を見て花束を持った 看護婦が悲鳴を上げるシーン、まさに今回と同じです。

(2)車に気をつける(帰りマン最終話)
メビウスでも、もう何回も出てきたウルトラ5つの誓いの一つに、 「道を歩く時には車に気をつけること」というのがあります。 ラストシーンでウルトラ5つの誓いの中の1フレーズを入れる・・どこまで意識したのか、 わかりませんが、サユリの言葉は重なっています。

2.憑依または同化してきた相手との戦い
ウルトラに限らず、こうした特撮ものやアニメでは憑依・同化するパターンが多く見られます。 その中で、意識を乗っ取られた方が必死になって抵抗した例も見られます。ウルトラの場合でいくつか例をあげてみます。

(1)リガトロンとの戦い(ティガ4話)

なぞの宇宙生命体が宇宙船ジュピター3号と3人の乗組員を吸収・同化し、 リガトロンという機械怪獣になって地球上で暴れますが、ジュピター3号のコンピューターに家族の写真が送信され、 リガトロンの中に吸収された3人の意志が目覚めて必死になって抵抗し、 リガトロンのエネルギーを奪い、ティガが勝利を収めます。

(2)イルドとの戦い(ティガ41話)

シンジョウ隊員の親友である城崎飛行士と乾飛行士は、宇宙空間でイルドと呼ばれる生命体に襲われ、 徐々にイルド化していきます。城崎飛行士の方はイルドになりつつも、 自らシンジョウに「一発で仕留めろよ・・・」とテレパシーを送ります。乾飛行士の方も必死になって戦います。

(3)ゼットン星人との戦い(マックス14話)

ゼットン星人に憑依された夏美ですが、カイトの「俺が守ります」という言葉が心に残り、 キングジョーの操縦席から離れ、最後は自分を操っていたゼットン星人を自ら倒します。

(4)ヤプールとの戦い(メビウス24話)

リュウは24話でヤプールに憑依され、ミライの命を狙うことになりましたが、 クライマックスのシーンで、操られながらもミライに「俺の心の炎を、撃ち抜け!」と伝え、 危機を回避するきっかけを作りました。

*憑依・同化の場合は、乗っ取られた方が何もできないことが多いのですが、上にあげた例のように人間が強い意志を見せて抵抗したこともあります。また、このように抵抗できるのは、家族への思い・友情・ほのかな恋心などが支えとなっていることが多いです。今回のサユリも例外ではありませんでした。

3.塩に弱い怪獣(ナメゴン・ウルトラQ3話)
塩に弱いナメクジのような怪獣というと、やはりウルトラQのナメゴンでしょう。 無人火星探査用ロケットに積み込まれた金の玉から出現しますが、塩水によって溶解します。

ウルトラマンマニア考察

1.日ノ出家の人々の思い
日ノ出家には子供が6人もいて、今の少子化の時代には非常に珍しい家族構成となっていて、何だか、昔にタイムスリップしたような感じでした。サユリが最初に交通事故で命を落とした時、決して誰かを恨むわけでもなく、「子供だけでも助かって良かった・・」という夫、そして「当たり前だよ、父ちゃん。母ちゃんはGUYSなんだぜ。」「隊員さんたちのエネルギー補充係だったんだから・・」と言う子供たち・・こうした会話の中に、家族の人たちの優しい心、母親に対する誇りがよく出ています。このシーン、個人的には見ていて相当辛かったのですが、その反面、ものすごい温かさを感じました。

そして、サユリが退院した時の手作りのメダル・・そのメダルには、サユリの似顔絵と「おかえりなさい、かあちゃん」という字が書かれていましたが、家自体は決して裕福なようには見えない中で、お金では買うことができない本当に心のこもった宝物、そして心の豊かさを見せてもらったようです。

2.GUYSメンバーたちに対するサユリの思い
子供たちが母親、そして母親の仕事に対して誇りを持っていたように、サユリ自身も自分の仕事に誇りを持って頑張っていたように思えます。超大盛りのご飯、山盛りのトマトには愛情が感じられる・・だからこそ、GUYSのメンバーたち(特にテッペイ)もあれこれ言いながらも、喜んで食事する気になるのでしょう。憑依されて味がなくなった時も、トリヤマ補佐官の言葉からはサユリに対する信頼が感じられました。サユリは子供たちだけでなく、GUYSにとってもお母さん的な存在なのでしょう。

3.負けない心と家族の絆
今回は、「負けない心」と「家族の絆」がテーマだったと思いますが、本当に強い心・負けない心は大切な人たちがいて、 さらに大きく発揮されるのだと思います。

サユリの家族への思い・・ロッカーの中の家族の写真が全てを表しています。家族からもらったメダルを首にかけた時、 まさにサユリは「無敵のママ」となりました。 今回、主役となったサユリ役の美保純さんですが、 アイドル時代からはじまって芸歴は非常に豊富ですが、今回の役にぴったりのいい演技でした。

4.サーペント星人
さて、今回敵となったサーペント星人たちですが、見た目は西洋風の甲冑型であり、同タイプとしては、セブン27話のボーグ星人(隊員を操って基地を破壊しようとした手口もやや似ていますが・・)、レオ36話のアトランタ星人、ガイア3話のアパテー、ガイア16話のアルギュロス、ビデオ版セブン2002年のガルト星人、マックス19話のギルファス、といったものがあげられます。

このサーペント星人ですが、「感動した」とか言いながらサユリに近づいて憑依し、GUYS基地の中に入りこもうとするのは、卑劣と言えるでしょう。また、自分が犠牲になっても目的を達成しようとする姿勢は、まるで自爆テロを思わせるかのような恐ろしいものがあります。

5.M9星雲、そしてM78星雲について
サーペント星人の出身元であるM9星雲は、へびつかい座の球状星団として実在します。ところで、以前このサイトでも話題となりましたが、ウルトラマンたちの故郷であるM78星雲は設定では300万光年離れています。ところが、我々がM78星雲と読んでいる天体は、1600光年の距離しか離れていないため、私自身は、我々がM78星雲と呼んでいる天体と、ウルトラマンたちがM78星雲と呼んでいる天体は、偶然同じ名前でありながら、全く別に存在していると解釈しています。

6.最後に
最後はコメディという展開でしたが、今回の話には心温まるものがありました。親子の関係をテーマとしたものとしては、14話「ひとつの道」、37話「父の背中」もありますが、人間ドラマの良さがメビウスの特徴であり、魅力と言えるでしょう。

管理人レポートページ(1) ⇔マニアレポートページ(2)

メビウスベルトTOP▲