ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第40話「ひとりの楽園」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス第10話「GUYSの誇り」レイゴ考察ソフトバージョン

ウルトラマンメビウス・ 宇宙植物怪人ソリチュラン画像
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蒼い閃光が瞬き、一つの光が、カーブを描きながら、モリマ山中に落下した。

落下地点とおぼしきところに空いた、大きな穴の奥深くが、異様な蒼い光を数回発光させると、 その中央部から白いツルのような 触手がぬるっと長く伸びてきた。

それは近くの大樹を掴み、ぐねぐねと巻きつき、締め上げ、 ずるずると何かを吸い取るように緑の大樹を枯れた色に変色させていった。

養分を得たのか、再度大きく四方に蒼い光を放散させると、 地中を爆発させるかのように、いくつもの触手が伸びてきた。

それは自らに絡むように、ぐねぐね巻きつき合体し、宇宙植物怪獣ソリチュラは巨大化した。

満月は蒼く照らしている。 ふわふわ、いくつもの白い花が咲いた。ソリチュランフラワーが一斉に咲いたのだ。

白い花は蕾から、ふくらみ、開きそして、首がもげるように地面に落ちた。 うねるような宇宙植物怪獣ソリチュラの踊りに合わせて舞う様に、地面に降り注ぐ無数の白い花。

そして下向きに落ちた花は、白いフードで頭からすっぽりと身を包んだような足首まである長いコート姿で、同じスタイルの、 複数の人間の固体を形どり、それはすくっと立ち上がった。

坂道の夜道を泣きながら歩く一人のスーツ姿の女性。 前方から白いフード付きコートを着た奇妙な男とすれ違った。

風の音が鳴り、不可思議な雰囲気を感じて、女性が男を振り向くと、そこには男の姿はない。 女性は小首をかしげて、前に視線を戻すと忽然と男が立っていた。

それは顔と思える部分は、サボテンの伸びたような首に頭に白い花のあるソリチュランであった。 逃げるまもなく、ガーと黄色い粒子を吐きかけられ、女性がのたうつ。

ソリチュランは「淋しいかい?」と女性に一声妙に優しく声をかけると、 ひゅるひゅると触手を伸ばして、女性の体を取り巻き。 巻きつき、そして覆いこんだ。

緑生い茂る公園の芝生広場で、少年の投げたオレンジ色のフリスビーを追いかけ る、女の子は小学生のペアだ。

「上手ねぇ〜」ヨチヨチ歩きの我が子を優しく抱き上げる、ジーパンにリュックを背負った若い母親。 笑顔で、バドミントンをする親子、家族、夫婦が過ごす穏やかな時間の過ぎる公園。

Gパン姿の私服のミライはそんな公園横の並木道をゆったりと歩く 「休みの日って、何をすればいいのかほんとにわかんないなぁ・・・」

前方から紙に包まれたメロンパンをかじりながら、歩いてくる親子ずれがやってくる。 母親がこどもに「美味しいねぇ。」と笑いかける。 子どもは大きなメロンパンをほおばりながら「うん!」と嬉しそうに頷く。

その様子にミライは思わず生唾を飲み込むようにすると、公園の一角に陣取っていた、 オレンジ屋根の『てづくり 焼きたて メロンパン』の屋台の列に そっと並ぶ。

パン屋さんは「じゃ、お二つでよろしいですか?」 「はい」と客とやりとりしながら手早く焼きたてのパンを包んでいく。

パン屋さんの「ありがとうございます。メロンパン二つですねー」並んだ列は縮んでいく。 その時、

同じ制服だろうが、制服の着こなし方にバラつきがある。一人は、白いシャツの上のボタンを外 し、ネクタイを緩く絞めたチェックのプリーツスカート、黒っぽいハイソックス 姿、シャツの上にベージュ。

もうひとりは紺色のカーディガンを羽織った長い髪 を降ろした3人と向かい合うように立つのは、ひとり雰囲気の違う女子高生。

左右の髪を梳いて後頭部でひとつにまとめ、紺色のエンブレム付きジャケットを きっちり着こなし、ネクタイもきちんと結んで、スカート丈も皆より少し長い裾の少女。

4人の女子高生は、そのまま列の後ろにやってくると「ここだよ、この頃評判のパン屋さんって。」 一人が「ねぇナオコ、ちょっと買って来てよ。」と薄笑いを浮かべた。

もう一人が「私たち、あっちのベンチで待ってるからさぁ。」と、にやにやと笑う。 ナオコが、下から見上げるように「いいよ、じゃぁお金。」と言うと 女子高生は「ごめーん、後で払うから出しといて。」と笑う。

そのやりとりに思わず振り向くミライ。 ナオコは戸惑う「こないだのカラオケ代だってまだ・・・」 「別に払わないなんていってないじゃん。細かいなぁ、ナオコは。」 「私たち友達でしょ?お金ぐらい貸しといてよ。」少女たちは堂々悪びれた様子もなく、言い放つ。

ミライがそこに割って入った「そういうのって、おかしいんじゃないかな?友達って、 物を買って来させたり、お金を借りたりするためのものじゃないと思うよ」

一瞬たじろいたものの、女子高生は顔をしかめ「何、この人ーー」 「関係ないのにね。」 「なんか、キモーイ!」 とまくし立て、 「この子がいいって言ってんだから、いいじゃん。」とナオコを顎でしゃくる。

ミライはナオコを覗き込む「君はそれでいいの?」 ナオコはちらりと他の少女を気にすると「関係ないのに・・・何言ってんの?この人。」 と返す。

「変質者じゃない?逃げよ〜〜きゃぁ、怖〜〜い!」 女子高校生は口々にはやし立てると走り去った。遅れて、みんなを追うようにしてナオコもついていく。

ミライは納得できず「あの子、友達と一緒なのに、なぜあんなに淋しそうなんだろう?」 とひとり言を漏らす。

パン屋さんがふと、「お兄ちゃんのいう事は正しいよ。きっとあの子もあんな友達といたって、 あんまり楽しいと思ってないんだろうな・・・・ でもあの子は、一人になるのが・・・嫌なんだよ。一人になるのが怖いんだよ。」 とミライに声をかけた。

ミライは怪訝そうに聞き返す。「一人になるのが・・・怖い?」 パン屋さんは頷く「怖いだろうー。人間はみんな一人になるのが怖い!」

ミライの周りは友達連れでまとわりつくように歩く数人の集団。 大きなスポーツバッグを抱え、肩を叩き「頑張れよ」とエールを送り、別の者は お互いの顔を笑顔で見て指差し楽しそうに会話を交わす。

また、公園付近を歩くスーツ姿の長髪の男は、携帯電話を耳に当てにこやかに頬 笑んでいる。 ブルーグレーのスーツの女性は、白い携帯電話で懸命にメールを打ち込んでいる 。 みんな誰かと一緒に見えた。

歩くミライにナオコはまたばったりと会ってしまった。すこしうつむき、 意を決したようにナオコはミライの側に歩み寄った。 「さっきはすいませんでした。」 そしてすり抜けるように足早に離れた。ミライは「あ・・・君!」とその後姿に声をかけたとき、 ミライは何かを感じとった。

地下道に走って駆けつけると。 女性が白いコートの男に襲い掛かられていた。「あ・・・・あぁ・・・いやぁーーーあっ!」 女性は悲鳴を上げてころぶ。

ミライが「やめろ!」と男に背後から、 飛び掛って押さえ込む。 ミライの「逃げてください!」 の言葉に女性は「はい!」かろうじて立ち上がると、走り出した。

ミライは「何者だ!?」男を引っつかむその正体を見ようとひん剥いた。 その顔はサボテンのような花ソリチュランだ。 その姿に驚きで一瞬ひるんだミライにソリチュランはガーッと黄色い粒子を吐きかける。 「カーーーーー」ミライは胸をつかみ、顔をしかめて苦しむ。

ソリチュランは自分を押さえ込んでいるミライを平手で突き飛ばした。

ミライは、壁にすがるととっさに逃げていくソリチュランに向けて、メビウスブレスに右手を添え、右手を前に突き出して 、ミライの姿でも使用可能の武器、 メビュームスラッシュを放った。

しかしメビュームスラッシュは攻撃威力が低いため、走るソリチュランの左足を直撃したが、 男はもんどりうって倒れるものの、すぐに 起き上がり、ソリチュランはいっきに逃げた。

ベッドの上で目を覚ましたミライ。 クルーガイズの表情が、それぞれ安堵にほころぶ。 ミライは「僕は・・・あっ・・・」起き上がろうとして顔をしかめる。 コノミが「まだ横になってた方がいいですよ。」とミライの肩を押して寝かしつける。

テッペイが「何か特定出来ないけど、君は神経を麻痺させてしまう物質を吸い込んだんだ。」と説明する。 リュウはミライを覗き込むように「誰にやられたんだ!?」と聞く。 ミライは「花です。顔に大きな花の咲いている人間です。」 と答えるがリュウは「ぷ・・・何だそれ?」と軽く鼻で笑う。

しかしマリナは「もしかして植物怪人?まさか・・・ほんとに居んの?」 と顔をしかめた。ジョージがすこし、ビビリ気味に「何だ?その植物怪人ってのは・・・」と尋ねる。

マリナは「あ・・・弟たちから聞いたんだけど、ま・・・いわゆる都市伝説みたいなもんよ。 この2、3週間あちこちで噂になってるらしいわ。」と説明する。

テッペイは頷くと「それなら僕も聞いたことがあります。まるで花がそのまま人間になったようなやつで、 見かけたらすぐに逃げないとさらわれるとかなんとか・・・」

コノミは「それって、あくまで都市伝説ですよね?」と聞く。 その時、 サコミズが入ってきた「一概にそうとも言えないみたいだよ。」ベットの側にしゃがんでいたメンバーも揃ってサコミズに向いて、立ち上がり、 上半身を起すミライ。

「ああ、いい。」とミライを気遣い「実はここ最近ハタノ市やフジタニ市で、行方不明者が急増しているらしいんだ。 大半は失踪として処理されてるんだが、その増え方が異常でね・・・」とサコミズはクルーに伝えた。

深夜ゴミ捨てに出てきたナオコ。 ジャージのポケットの携帯が鳴った「『もしもしママ?うん、ちゃんと帰ってるよ。 今日も遅いの?あ・・・そうなんだ。具合の悪い患者さんがいるんだね?私は大丈夫。 ちゃんとご飯食べてるから。うん、はぁ・・い。』「患者さんのためなら、しょうがないよね・・・」

電話を切ると、道をよろよろと足をひきずって歩く、白いコートのフードを被った男が視界に入った。 男はあきらかに足を庇うように、痛々しく歩く。

ナオコはその様子に思わず「あのぉ・・・」と声をかけた。男はびくりと立ち止まった。 男はちらりとナオコを振り返った、どうやら青年に見える。

「具合が悪いみたいですけど、大丈夫ですか?」と声をかける。 木にすがり、何度か倒れ、起き上がっている男の側に寄ると 「もしかして怪我してるんですか?ちょっと見せてください。」「・・・ひどい傷。」ナオコは息を呑む。

目線をそらしながら男は「すぐ治る。」とつぶやいた。

ナオコは「放っておいていい傷じゃないですよ。ちょっと待ってください。」 というと一目散に救急箱を取りに行った。

ナオコは手際よく男の足に包帯を巻いた。 「たぶんこれで大丈夫だと思うんですけど。」男は伏目がちに立ち上がると、 かすかにコクンと頷くようにして、無言のまま よろけながら足を引きずり去っていく「なるべく早く、お医者さんに診てもらった方がいいですよー。」 ナオコはその後姿に声をかけるのであった。

デレクションルームで、 テッペイがデータをモニターを示しながら説明をしていた。 「ミライくんの服に付着していた銀色の粉を解析したところ何らかの植物の花粉である事がわかりました。 こいつは明らかに宇宙から来たものです。 その根拠は、花粉に含まれるソリチュラ化合銀と呼ばれる物質、これは地球には存在しません。」

トリヤマは「ソリツァーッ?なんか舌噛みそうな名前だなぁ・・・」とマルを見る。 マルが「ソリチュラですよ、ソリチュラ」と訂正すると、 トリヤマは「やかましい!」とマルに一喝して、「つまりそいつらは宇宙から来た植物怪人という訳だな?」 とテッペイに聞く。

ジョージが「問題は、そいつらが人間の失踪にどう関係しているかってことだ。」 と聞くとリュウが腕を組んで「テッペイ、どうにかしてそいつら見つけ出す方法、ねーのか?」 とテッペイを見る。

テッペイはにやりと笑うと「ありますよ。ソリチュラ化合銀を分析した結果、 一定周波数の電波を跳ね返す性質があるのを突き止めました。その性質を利用して、やつらの居場所を探知出来ます。」 サコミズが「さすがテッペイだな。」と微笑む。 嬉しそうに頷くテッペイ。

テッペイの解析の結果「やつらの居場所はハタノ市モリヤマ山中!」 と報告にリュウは「よっしゃー!先手必勝といきますか。」 と机を叩いて立ち上がった。 サコミズは「GUYS sally go!」と号令し、 一同は「GIG!」と声を揃えた。

朝、仲間の後姿を見つけてナオコは追った。 女子高生たちは「最近何か買った?」 「最近?お財布買った。」 「え?どんなの?」 「可愛いからすぐ買っちゃったから、全然覚えてない。」 「えーー!」 「今月おこずかいピンチでさぁー」 「私もー」とくったくのない会話を続けていたが、

一人が「こんなんじゃ、放課後ドーナツ屋にも行けないよ。」と嘆くと 「心配いらないよ。ナオコに出さしちゃえばいいじゃん。」と笑った。

「えーそれって悪くない?」 「いいんだよ。お母さんがお医者さんだから、あの子結構おこずかいもらってんだから。」 「そーだよねーそれじゃなきゃ、あんなノリの悪い子と一緒にいる意味無いもんね。」 「友達でしょて言えば絶対お金出すんだから」 「だよねー」 「でしょー?」 女子高生3人は高笑いを続けた「あははは・・・」 きびすを返し走り出すナオコ。

公園の ベンチに座って涙を浮かべるナオコの元に、昨夜ナオコが傷の手当てをした白いコートの男がゆっくり近づいてきた。

「あなたは・・・もう傷はいいの?」 「治った。君、淋しいのか?」とフードをはずした線の細い、華奢な好ましい姿の青年は、 優しく目を細めてナオコに聞いた。

ナオコは「どうしたの、いきなり。」とうつむき戸惑う。 青年は「人間は淋しいと、目から水を出す。どうして淋しいんだ?」 とやはり優しくそっと聞く。

ナオコはその言葉にせきを切ったように「私は一人ぼっちなの。いつもいつも・・・一人ぼっちなの」 と訴えた。涙があとからあとから頬を伝わる。 ナオコをじっと見つめる青年。

ガンフェニックスが現場に到着する。 リュウがメモリーディスプレイで「おい、テッペイ。ほんとにここでいいのか?」 テッペイに通信をする。「はい、センサーの示している位置は、そこで間違いありません。」

ジョージはトライガーショットを握り締めて「上から見てもただの森だったけど。」 リュウも頷く「別に何も変わった様子はねーなぁ」 マリナは「でもなんだか、嫌な感じ・・・」と眉をひそめ。 ジョージも頷く「誰かに見られてるような気がするぜ。」

その時デレクションルームでは、 コノミが「テッペイさん。」と寄ってきた。 テッペイは「うん?」とコノミを見る。コノミはモニターを指差すと。 「ここにある小さい点は何でしょう?」と聞く。 テッペイは1点だけ離れて点滅する光に「あれ・・・何だろう?ゴーストかな?」と首を傾げる。

青年は「一緒においで。絶対に淋しくならないところへ連れて行ってあげる。」とささやいた。 「絶対に淋しくならないところ?」

「そこにはたくさんの友達がいる。その友達は家族みたいなものだ。 絶対に君を裏切ったりしないし、いつも一緒に居る。心配は要らない。そこは楽園なんだ。」青年は微笑み、 そしてまっすぐにナオコに手を差し出す。ナオコは「楽園・・・」とつぶやき青年の伸ばされた手を掴んだ。

鳥が静寂を破るように不気味に鳴いた。 ジョージは「一体どうなってんだ?!」と周囲を見回す。 ミライは「反応は確かにあるんです。」とやはり警戒する。

リュウが「手分けして探すぞ。油断すんじゃねーぞ」 と指示を出す。一同「GIG!!」と答え四方に別れた。

ミライが山道を歩くナオコと青年を見つけた「あの子は・・・?」 青年は歩きながら「人間は本当に不便な生き物だね。 ひとりひとりがバラバラの心を持っているから、 そんな淋しい思いをしなければならないんだ。でも君はもう二度と、 そんな淋しい思いなんてしない。」 とナオコに語る。

青年「さぁ、ついたよ。」 ナオコは戸惑った「ここが・・・楽園?」 周囲の木々よりひときわ太く、根元から二股に別れた木の根元に、植物のツタで 軽く胴体を縛られた人間たち。

10人近くいるだろうか。みな立ち姿だが、じっとして動かない。 ナオコはまず、左側の若い女性を見た。 木漏れ日に照らされ、視線を宙に漂わせ、口元にうっすら笑みを浮かべている。

赤い着衣の小学校生ほどの少女も、開いた目とかすかに頬笑んだ顔。 みな緑の太い触手で出来た帽子を被っているように見える。それは木の周囲に幾 重もの束になった触手が人間の頭部を捉え、それによって全員が繋がっているよ うだった。

木の幹に横たわるように、空を見上げる初老の男性、オレンジの着衣の若い女性 、スーツ姿の働き盛りのサラリーマンも目を開いているものの語ることなく、笑 って宙を見ている。

幼い少女は恍惚の表情とも取れるうつろな目に穏やかな表情を称え、老人はこの 世の極楽を見たような至福感すら感じさせる表情。 更に目を凝らして見ると、スーツの女性は日の光に照らされ、希望さえ宿ったよ うな瞳をしていた。

青年は「みんな幸せそうだろ?もう悩んだり、 淋しい思いをしなくてもいいんだからね。 何も怖がる事がないさ。」とナオコの肩に優しく手をおく、

人間はみんながバラバラの心を持っているから淋しいのさ。 だからみんなで一つの心を使えばいい。さぁ君も、仲間になろう!」とささやく

その時ミライが叫んだ「その子から離れろ!」しかしそのミライの体にしゅーと滑るように、まっすぐに触手が伸びてくると ミライの両手を縛り上げ、ミライが手に握っていたトライガーシヨットは手から飛び、ミライの胴の部分にも触手が強く 巻きついた。

両手をつたに縛られたミライに、 青年は「君がつけて来ているのは、とっくに気付いていたよ。」と笑った。

青年は木に背中をひたりと付ける。するとしゅるしゅると触手が伸びて木に青年は同化していった。白い花が顔の部分で 大きく花咲いた。

囚われてた人々が上体を起すと声を揃えた。 「さぁおいで。ここは楽園なんだよ。もう一人じゃなくなるんだ。みんなで一つの心を使うんだからね。」

ミライは叫んだ「早く逃げるんだ!捕まったら同化されてしまうぞ!」 ナオコは戸惑う「同化?」 「君の心が無くなってしまうんだ!」一斉に人々がナオコに向かっておいでおいでをする。 「淋しいと感じることさえ、出来なくなってしまうんだぞ!」 ミライの言葉にナオコは逃げ出す。その後姿に頷くミライ。

『逃げたところで、たいした意味は無い。いずれこの星のすべての生命は、私と同化する。やがて、私がこの星になる。』 土が爆発するように弾けると怪獣が出現した。

ナオコは森の中を逃げる途中で振り返った。 そこには巨大な植物の怪物が鳴き声をあげ、上半身をくねらせていた。 そのおぞましい姿を見て湧いてくる恐怖に顔をしかめ、懸命に木々の間を走り抜 ける。

ガンフェニックスが着陸ポイントから浮上し、怪獣を正面から見据えた。 リュウが「速攻で片付けるぞ。」と指示を出す。 「リュウさん、怪獣を攻撃しないでください!」ミライの緊迫した声が伝える。 「ミライ、今どこにいんだ?」 「怪獣の足元です。ほかにたくさんの人たちが捉われています!」 「何だと!?」

ソリチェランの、木の根が幾重にも巻き付いたボディの下方、緑の葉がツツジの ように生い茂るゾーンには無数の白い花が咲いている。 「わーーーーーっ!!」その、更に下の木の根っこ付近で両手両足を絡め取られ たミライは、大声で叫んだ。

左腕にメビウスブレスが浮き上がり、光と共に絡んだ触手を断ち切った。そして メビウス登場!

ソリチェラが手のような触手が、ムチのようにメビウスに襲いかかる。 大きくジャンプしてかわしたメビウスは、そのまま上から強烈なキックをソリチ ェラの鼻先あたりにおみまいした。白い花びらがあたりに散らばった。 着地してソリチェラに向かって行くメビウスだったが、相手はふり向きざまに神 経を麻痺させる花粉を大量に浴びせかけた。

「ヒャア!」視界を遮られ、黄色のガスのような花粉を払い除けようにも為す術 ないメビウス。

足元がふらついたところへソリチェランの触手に右足に巻き付き、足をすくわれ 転倒した! そのまま宙づりになり、身体の自由が利かなくなった。

「絶対に怪獣の足元を攻撃するな。」ガンフェニックス、ガンウィンガーコック ピットからリュウが、ガンローダーコックピットのジョージ、マリナにアドバイ スする。 「 ガンフェニックス、スプリット!」「G.I.G.!」分離した二基は直ちに攻撃に 出る。

「フォローするぜ!」ジョージはメビウスを吊り上げている触手を狙い、ビーム 攻撃。 火花と共に触手を断ち切り、頭から地面に落下するメビウスは、上手く両手をつ いて前転し、衝突のショックを緩めた。

直ぐさま体制を整えたメビウスは、メビュームナイトブレードを構え、走り抜け 様にソリチェランの胸の辺りを一刀両断! 頭を上げ両手を一振りしたソリチェランだったが、そのまま動きが停まった。

ブレードを収納し、前を見据えたままのメビウスの後方で、やや斜めにカットさ れたソリチェランの胴体が前に滑るようにずり落ち出した。

手の指のように並んだ短い触手が一度強張った動きを見せたが、触手の束を圧縮 して固めたような断面が見え、そのまま前のめりに落下した。 そこへメビウスは、メビュームシュートを撃つ。 青白い炎に包まれたソリチェランの上肢は、静かに燃え尽きていった。

リュウが声をかける「おい!大丈夫か?」 ミライがリュウに答えそして囚われていた人々に声をかける。 「みんな、ここです!しっかりしてください。」

ナオコは女性を揺する「起きて!大丈夫ですか?」 しかし女性は 「どうしてあのままにしておいてくれなかったの?」 とキッとしていった。

すると口々に男性が「あのままの方が幸せだったのに。」と嘆き 男性が「そうだ、余計な事しやがって!」と叫んだ。 別の男性は「あーーこれでまた、苦しまなきゃならないのか!」と苦しそうに言葉を吐き、 女性は「もう一人ぼっちは嫌なの!もう一人ぼっちは・・・」と泣き叫んだ。

しかしナオコが「そんなのダメです!」と毅然として放った「きっと人間って、 誰だって淋しいんだと思います。だからって、上手くは言えませんけど、 きっと淋しいことも悲しい事も、みんな大切なんです。」

みんな押し黙った。 こどもがナオコを見て微笑んだ。 ナオコは子どもに微笑み返しながら、絡んだつたをとり、頭を撫で、涙を拭った。 「私ももっと、いろんな人と話したい。いろんな人と知り合いたい。 いろんな人の事、わかってあげたい。だからもう泣かないんだ。」 と一生懸命口にした。

ミライは『そうか・・・淋しさを知っている人は、別の誰かの淋しさに気付いてあげられるんだ』 と心の中でつぶやく。

ナオコは「大丈夫?もうお家へ帰ろうね。」 強く、優しく微笑んでいた。

ミライは思った『君はきっと、強くなれるよ。』

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メビウスベルト

管理人のここが考察ポイント

朱川湊人氏の3作を拝見して、ある共通点を感じた。 朱川氏の作品は自己の鏡なのである。問いかけはあるが、答えがない。 答えは、自分で探すものであるということであろう。

受けての置かれている環境によって、作品はその捕らえ方が違う、 幼稚園児は幼稚園児としての知識や経験から、 大人は大人の置かれている現在の環境からその作品への感想が出る。

つまるところ、それは自分を見つめ直していることになる。 1つの題材に対して、自分の生き様を客観的に見る事ができたことにまず感謝である。

今回は、孤独や人の寂しさを養分のようにして成長する植物怪獣を人間の意志とメビウスの助けにより、 粉砕するというもの。

喜怒哀楽はセットである。 悲しいことがあるから楽しいことを素晴らしいと感じられる。

今回登場した女子高校生が、ナオコに孤独を与える相手として、登場するが、 ナオコを除く、この高校生3人は一見仲が良いように見える。 彼女たちは、ナオコを自分達とのりが違うなどの理由で、排他しようとする。 しかしそれは、この3人さえも実は結束が薄く、もろい関係であるとも言える。

自分たちの関係が不安定にならないように、その恐怖から異質と感じるものを排他することによって、 自分達は同一視できる仲間 という繋がり方をしているわけである。

本当にきちんとした信頼関係を基盤にした繋がりを持っていれば、仲間が増えれば楽しいわけで、 また違うタイプの仲間と触れ合える 機会となると感じる。自分達に自信がないことが、自分というカラーを強く出せるものに対する脅威を感じ、不安になる。

ならば、その見えない絆の代わりには蔦で人をつなぎ、 それぞれが、違う意識を持たないこと。つまり、完全に自分のものとして取り込んでしまうことで、 孤独感を拭い去ろうというのだ。精神的に一人というより、物理的な一人というやつである。 しかしそれでは、一人であることには何も変わりがない。

たくさんの人々の中で自分を受け入れられてくれる仲間がいること、それを探し出すことが、 巡り合いであり、それによって誰かと友情を育んだと感じられるのではないのだろうか。

演出部分では、「同化」という台詞が出てきたことから「異化効果」を狙ったのかと思えた。
異化効果とは、 日常見慣れたものを未知の異様なものに見せる効果。 ドラマの中の出来事を観客が距離をもって批判的に見られるようにするための方法のことである。

今回のドラマにおける登場人物の言動は、日常にすべて置き換えることができた。 心の隙をつく甘い言葉の勧誘、たかりや、いじめにとれる言動。大抵の人がこれらの態度には批判的に思うだろう。

しかし、ふと気づくと自分は本当にそんなことはしていないだろうか、決して人の足元を見ない、 弱いところにしわ寄せはしない。 誰れとも仲良く、寂しい思いを誰かにさせることなく、困った人がいたら手を差し伸べているのだろうか。 いずれも自問自答できたのではないだろうか

時にウルトラマンは自分を写す鏡となる。

ウルトラマンメビウス 第40話「ひとりの楽園」  

宇宙植物怪獣 ソリチュラ / 宇宙植物怪人 ソリチュラン 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザ マ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田 弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / トリヤマ補佐 官 石井愃一 / マル補佐官秘書 まいど 豊 / ナオコ 仲 里依紗 / 青年 田中 伸彦 / 梶浦愛子 / 小林美鈴 / 高橋実恵子 / 岡村洋一 / 小野日路美 / 足立建 夫 / 中田博之 / 上田晴美 / 有田ふみ香 / 深沢エミ / 福永綾子 / 石川怜奈 / 久慈崇義 / テアトルアカデミー / 早川プロダクション

《スーツアクター》山本 諭 / 末永博志

《シリーズ構成》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《脚本》朱川湊人 《監 督・特技監督》小中和哉 

《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新一 《企画》岡崎剛之 / 江藤直行 / 中村理一郎 《プロデューサー》岩佐芳弘 / 渋谷浩康 / 山西太平 《制作プロ デューサー》小山信行 《アソシエイトプロデューサー》小掛慎太郎 《ライン プロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》高橋義仁 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也  《録音》楠本龍巳 《操演》上田健一 《助監督》黒木浩介 《装飾》大藤邦康  《衣装》宮崎みずほ 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》 高橋誠喜 《編集》前嶌健治 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊 一 《VE》高田秀雄 《スクリプター》島貫育子 《キャスティング》小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉  《操演》根岸 泉《殺陣》岡野弘之 《助監督》伊藤良一 《スクリプター》島貫 育子 《スチール》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン 》丸山 浩 《キャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクタ ーメンテナンス》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》池田 遼 《CGIモーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバ イザー》早川哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》大坪隆 仁 / 上田和彦 / 澤田元春 / 小嶋律史 / 森 裕二 / 高松玲子 / 川口智久 《CGI マネージャー》小田達哉 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェク トアニメーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト 》高田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD 担当》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《 製作デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川 勝一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤッ プ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照 明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラ プロ / スリーエススタジオ / 富士通 乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジ ン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセ ンター / IMAGICA / クレッセント / AdobeSystems / ボーンデジタル / D.A.S.T /

スタジオ・バックホーン / パンチライン / ワンダリウム / RECARO / 岡村製作 所 / ナナオ / 日本光電 / 焼きたてメロンパン ハッピーハッピー / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / KENNETH COLE / Zoff

《撮影協力》冨士の園やまなしフィルムコミッション / 都立府中の森公園 / 横 浜市立みなと赤十字病院 / 横浜フィルムコミッション

《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 /円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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