ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第42話「旧友の来訪」マニア考察】

ウルトラマンメビウス 第42話「旧友の来訪」考察ハードバージョン

【メビウスライター 帰りマン&ティガ命】

シリーズ構成:赤星政尚、設定考証・脚本:谷崎あきら、監督:佐野智樹、特技監督:鈴木健二

ジョンスン島にゴモラが出現し、すぐに姿を消した。GUYSジャパンではテッペイ(内野謙太)が、 かつてウルトラマンも一度ゴモラをとり逃がし、ゴモラが大阪城を破壊したことを説明していた。 その時、コノミ(平田弥里)がGUYS総本部最高総議長専用機の到着を告げた。 突然の事態に、皆大あわてで指令室の片付けをする。

最高総議長が二人のボディガードを連れて指令室に入ってきた。トリヤマ補佐官(石井愃一)、 マル補佐官秘書(まいど豊)ら一同が緊張して最高総議長を迎える。 そこへ突然リムエレキングが現われ、最高総議長の頭を踏み台にジャンプし、 最高総議長の手の上に・・皆がひやひやする中、 最高総議長はリムエレキングをトリヤマ補佐官に手渡すと、 GUYSのメンバーたち一人一人に黙ったまま挨拶する。

ミライ(五十嵐隼士)の前で長く立ち止まった後、サコミズ隊長(田中実)の前に来ると、 「よお、サコっち。」と懐かしそうに言う。皆が驚く中、 「ようこそ、GUYSジャパンへ。タケナカ総議長。」とサコミズ隊長が応え、二人は握手を交わす。

タケナカ最高総議長(以下タケナカ)とサコミズ隊長(以下サコミズ)が会談している部屋の前で、 二人の関係を不思議がるGUYSのメンバーたち・・後ろからミサキ総監代行(石川紗彩)が咳払いをする。

応接室には、歴代防衛チームのマークや戦闘機の模型が飾られていた。タケナカは宇宙ビートルの模型を手に取る。

タケナカとサコミズの会話:二人は同じ年であり、 かつて科学特捜隊の1チームを任されていたサコミズは地球外任務を希望した。当時、 科学特捜隊の極東支部にはムラマツという優秀な指揮官やウルトラマン(初代マン)がいて、 自分の出る幕はないと考えたからだ。サコミズがタケナカよりもずっと若く見える理由は、 亜光速での飛行により、浦島効果でサコミズの時間が通常よりも引き伸ばされたためであった。

宇宙を股にかけた「キャプテン・サコミズ」が突然宇宙飛行士を廃業したのは、宇宙でのある出来事からだった。 亜光速試験船イザナミで冥王星軌道を越えようとしていた時、イザナミの近くで 宇宙ビートルに乗っていたサコミズは無数の円盤に取り囲まれた。 円盤からのビーム攻撃を受けようとした時、ゾフィーが現われ、M87光線で次々と円盤を破壊していった。

戦いが終わると、ゾフィー(声:田中秀幸)はサコミズの方を向き、 「人間よ、ついに自力でここまで来たのか。やがて君たちも我々と肩を並べ、星々の狭間を駆ける時が来るだろう。 それまでは、我々が君たちの世界の盾になろう。次に会う時が楽しみだ。」と告げ、 飛び去っていった。そして、それがサコミズの最後の地球外勤務となった。

サコミズは、「俺たちは守られていたんだ。俺たちの知らないうちに、 俺たちの知らない場所で、俺たちの知らない敵からな。俺は彼らの心に応えたい。」とタケナカに言う。

その頃、黒ずくめの男(清水綋冶)の手から黒ずんだ紫色のガス状の生命体 (宇宙同化獣ガディバ)が出てきて、地中に入り、レッドキングが地上に出てくると、 再び地上に上がり、レッドキングの体内に入り込んだ。レッドキングの目が赤く光る。

怪獣が出現しなくなった頃に戻ってきたサコミズが持ち帰った記録と証言がなければ、 GUYSは存在していなかった、とタケナカは言う。タケナカはサコミズに1枚のカード(基板)を渡す。

その意味を聞く間もなく、警報が鳴り響く。二人が指令室に戻ると、 多々良島に出現したレッドキングの映像が映し出されていた。GUYSが出動した。 レッドキングは岩を投げたり、尻尾で岩を飛ばしてGUYSの戦闘機を狙うが、クルーたちは巧みにかわし、 タケナカは経験の少ない彼らの操縦テクニックに感心する。

タケナカの指示で、岩を持ったレッドキングの手を攻撃すると、レッドキングは岩を足の上に落とし、 痛がる。しかし、次の瞬間、レッドキングは空を飛び、ジョージ(渡辺大輔)が乗る機体に襲いかかる。 ジョージのピンチにミライはメビウスに変身し、ジョージを危機から救う。

地上での格闘戦でメビウスは優位に立ち、レッドキングにメビュームを放つ。レッドキングは倒れるが、 そこからガディバが現われ、再びレッドキングと合体すると、レッドキングはゴモラの姿に変わる。指令室では、 驚くメンバーたちにタケナカは「おそらく同化した怪獣の生体情報を複製し、 再現することができる宇宙生物なのだろう」と説明する。

ゴモラの攻撃にメビウスは苦戦。カラータイマーが赤に・・サコミズは「メテオール解禁」と指令を出した。

スペシウム弾頭弾がゴモラに浴びせられ、ゴモラの尻尾が切れる。さらに竜巻でゴモラは地面に叩きつけられる。 切れたゴモラの尻尾がメビウスに襲いかかり、メビウスは倒れる。ジョージの攻撃で尻尾が破壊される。

リュウ(仁科克基)、ジョージ、マリナ(斉川あい)らの激励で、メビウスは立ち上がり、 バーニングブレイブへとタイプチェンジする。メビウスはゴモラを投げ飛ばし、 メビュームバーストを放ち、ゴモラを粉砕する。喜ぶGUYSのメンバーたち。

サコミズはタケナカに、「俺は彼らの心に応えたい。人知れず俺たちを守ってきてくれた彼らの心に。 ただ守られているだけじゃない。同じ場所に立って、同じ痛みを、苦しみを、同じ喜びを。 ここにいるクルーたちとなら、それができると信じている。だから俺はここに、この場所にいるんだ。」と語る。 タケナカは「来た甲斐があったよ。」と嬉しそうに言う。ミサキはそんな二人を温かく見守る。

黒ずくめの男はガディバを再び体内に取り込んだ。その正体はヤプールであった。 黒ずくめの男の姿のヤプールは、空間を割って姿を消した。

過去のウルトラ作品とのリンクポイント

1.タケナカ最高総議長そして佐原健二さん
佐原健二さんが演じたタケナカ最高総議長ですが、セブンの時のタケナカ参謀その人です。佐原さんは、他にもウルトラではウルトラQ(万城目淳)、帰ってきたウルトラマン(佐竹(佐川)参謀)、ウルトラマンレオ44話(鉱物研究所・中森所長)、ウルトラマン80(城野博士)、平成セブンシリーズ(タケナカ長官)、マックス29話(SF作家佐橋健児)などに出演されています。まさにウルトラの歴史を見てこられた方、と言ってよいでしょう。

2.科学特捜隊そして宇宙ビートル
サコミズ隊長が、かつて科学特捜隊の一員であったことが明かされましたが、科学特捜隊の制服を着て、しかもおなじみの宇宙ビートルに乗っていました。この宇宙ビートルは、ジェットビートルにハイドロジェネード・サブロケットエンジンを取り付けて宇宙飛行を可能にしたもので、初代マン16話(二代目バルタン星人登場の回)で初登場しました。その回のサブタイトルは「科特隊宇宙へ」で、バルタン星人に拿捕された金星ロケット救出のために使用されました。また、指揮官としてムラマツの名もあげられましたが、まさに初代マンの科学特捜隊日本支部(当時はそう呼ばれていた)のムラマツ・キャップその人です。

3.レッドキング
もう解説する必要がないくらい有名な怪獣です。初代マン8話でピグモンらと共に初登場しましたが、その時の舞台は多々良島で今回と全く同じです。その後、別個体が初代マン25話に登場します。アニメのザ☆ウルトラマンでは、27話で何と怪獣墓場から復活し、怪獣島に現われます。その後、80の46話、パワードの3話、12話で登場し、マックスでは5話、6話、36話に登場します。(マックス5・6話は舞台が怪獣島)このようにレッドキングは、バルタン星人やゼットン同様、登場回数が多い怪獣です。

補足1:メビウスではアニメのザ☆マンとのつながりは設定されていませんが、ザ☆マンの方では、このように過去の怪獣(他にバルタン星人、アーストロン、アボラス、バニラ、ゴーストロン)や怪獣墓場など、さりげなく世界観のつながりを思わせるような舞台設定がされています。

補足2:レッドキングには飛行能力はなく、空を飛んだのは今回が初めてです。

4.ゴモラ
レッドキング同様に有名な怪獣で、初代マン26・27話に登場しました。最初の舞台は今回と同じジョンスン島です。テッペイの解説通り、初代マンはゴモラの尻尾に打ちつけられ、一度とり逃がしてしまいます。そして、再び出現したゴモラは大阪城を破壊します。また、尻尾が切断されるという展開はマックスでも見られましたが、初代マンの時も同様で、科学特捜隊の攻撃で尻尾を失ったゴモラは急激に戦力ダウンし、初代マンのスペシウム光線で倒されました。その後、ゴモラは80の22話とマックス21話にも登場します。レッドキングもそうですが、メビウスにおいては、怪獣の出現ポイントも過去の作品を意識しています。

5.ゾフィー
劇場版やヒカリサーガも含めると、メビウスでも結構登場しています。今回見せたM87光線は、87万度の熱を持ち、ウルトラ兄弟最強の光線技と言われています。*それを上回る高温の武器としては、ゼットンの一兆度の火の玉があげられます。

6.黒ずくめの男
今回登場の黒ずくめの男・・黒ずくめの男といえば、レオで円盤生物を操っていたブラック指令を思い出す人が多いと思います。今回、番組の中で正体が明かされましたが、正体は劇場版メビウス&ウルトラ兄弟やメビウス24話で登場したヤプールでした。

ウルトラマンマニア考察

1.サコミズ隊長の秘密
今回、サコミズ隊長が実はタケナカ総議長と同じ年であり、光速に近い飛行により、浦島効果で時間が遅く過ぎていたことが判明しました。また、22話でバン・テツロウが電話で『お久しぶりです、キャプテン・サコミズ・・・』と話していた理由もはっきりしました。 それにしても、こんなに早い段階から亜光速飛行への挑戦が行われていたとは、驚きです。光速への挑戦としては、ダイナ(29話など)でアスカ父子が「プラズマ百式」で光速へ挑んだ話が心に残っていますが、今回の話はそれにつながるように思えます。

2.残された謎
メビウス公式ホームページで、「ゾフィーの人間体がこのシリーズで遂に明らかになる!?」と書かれていますが、ファンの間ではゾフィー=サコミズ隊長説が最有力でした。今回の話ではサコミズ隊長とゾフィーの遭遇が描かれていましたが、それ以上の話はなく、ゾフィーの人間体は謎のまま残りました。さらに、総監の正体についても謎のままです。最初に総監=サコミズ隊長の可能性を考えた時は、正直若すぎるとも思ったのですが、今回明かされたサコミズ隊長の経歴を考えると、総監であっても不思議はないと思いました。 これからきっと両方の謎が解かれると思いますが、楽しみは後に取っておいた方がいいのかもしれません。

3.ゾフィーに見るウルトラ戦士たちの思い
実は、ウルトラシリーズに大きな問題がありました。それは、ウルトラ戦士たちが去った後、怪獣や宇宙人たちが現われたらどうするのか、という点です。(何しろ、怪獣や宇宙人たちが何の脈絡もなく、頻繁に出てくるのがウルトラの世界観ですから・・)初代マン、セブン、80の最終話では、防衛隊の隊員たちが、地球の平和は自分たちで守り抜く、という決意を新たにしますが、実はウルトラ戦士たちが遠くで人知れず宇宙からの侵略者たちを撃退していた、という設定は、地球怪獣の問題は残るものの、「ウルトラ戦士たち不在の期間、どうしていたのか」という疑問に対する一つの答になります。

それにしても、なぜ遠く離れた地球の平和をここまで守ってくれるのか・・メビウス30話で、かつてウルトラの星の住民たちも地球人同様の姿であった、という説明がありましたが、かつての自分たちの姿に重ねていたとはいえ、それでも、なぜそこまで?という疑問は残ります。 今回のゾフィーの言葉の中で、「やがて君たちも我々と肩を並べ、星々の狭間を駆ける時が来るだろう。それまでは、我々が君たちの世界の盾になろう。」というのがありました。もしかしたら、ウルトラの星の住民たちは、地球人類の未来についてある程度は予知していて、「守って育てたい・・」と思う何かがあるのかもしれません。 (初代マンをはじめとし、地球に長くとどまった者には、地球への愛着の気持ちもあるでしょうが・・)

4.サコミズ隊長の思い
今回の主役はサコミズ隊長であり、彼の思いが今回のテーマと言えます。彼はこうしたウルトラ戦士たちの行動や思いを自分の目で見て、知ってしまいました。「俺は彼らの心に応えたい。人知れず俺たちを守ってきてくれた彼らの心に。ただ守られているだけじゃない。同じ場所に立って、同じ痛みを、苦しみを、同じ喜びを。ここにいるクルーたちとなら、それができると信じている。だから俺はここに、この場所にいるんだ。」と語るサコミズ隊長の思いは、「人類はこれまで幾度となくウルトラマンに救われて来た。それは、俺たち防衛チームが限界まで闘い抜いた時だけ、ウルトラマンが現れるんじゃないのか?俺たちがいるから、ウルトラマンは今までこの星を見捨てなかった。」というセリザワ前隊長の言葉(8話)とも相通じるものがあります。 そして、サコミズ隊長の言葉には、共に戦う部下たちに対する強い信頼と愛情も感じることができます。

5.怨念のヤプール
今回は、これから激しくなる戦いの前哨戦のようなものでした。メビウス26話で封じ込めたはずのヤプール・・あのままで済むはずはないと思った人も多いと思いますが、やはり出てきました。ヤプールはどうやって封印を破ったのでしょうか。そして背後に感じられる強大な敵・・まさに怒涛の展開が来ることが感じられます。

6.守る側と守られる側の思い
今回の話を観ていて、何だか親子の愛情に似ているな、と思いました。子供の方は意外と親の思いに気づかないことが多く、「子を持って知る親の心」という言葉は、その辺りをよく表しています。ウルトラの戦士たちは、実は見えないところで人類を支えていました。それは、まるで親が子を育てるかのようです。一方、守られている側としては、成長するにつれ、「肩を並べるようになりたい」という気持ちが強くなり、それが成長の原動力にもなります。親の気持ちに気づいた時、子供はさらに精神的に成長するのだと思います。 同時にまた、地球人類は遠い未来において、本当にウルトラ一族と肩を並べるほどに、精神的にも成長できるか、ということを考えさせられました。

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