ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第43話「脅威のメビウスキラー」マニア考察】

ウルトラマンメビウス 第43話「脅威のメビウスキラー」 ハードバージョン

ウルトラマンメビウス第43話「脅威のメビウスキラー」

メビウスライター 棺桶のジョー

脚本・シリーズ構成/赤星政尚、設定考証/谷崎あきら、監督/小原直樹*1、特技監督/菊池雄一

異次元超人 メビウスキラー、異次元超人 巨大ヤプール、宇宙同化獣 ガディバ登場、

暗黒空間に、悪の宇宙人が集結した。過去に地球侵略を企てたメフィラス星人(声、加藤精三*2)、 巨大ヤプール(声、弦田哲章*3)、 新顔のデスレム、グローザム、彼らは謎の「皇帝」に仕えている。

この4人、暗黒四天王である。この中から、ヤプールが真っ先に手を出した、 デスレム、グローザムも超獣に改造して自分の支配下にすると息巻き、出撃した。デスレム、グローザムは、 ヤプールが四天王の一人とは、と異議を唱えるが、 メフィラスは「皇帝の気まぐれは今にはじまったことではないですよ、お手並み拝見といきましょう」 とていねいな口調である。メフィラス、41年間、相変わらずのキャラクターだ*4。

 その頃、地球では、映画に出たジングウジ・アヤ(いとうあいこ)がフェニックス・ ネストを訪れていた*5。何と、彼女、タケナカ最高議長(佐原健二)の孫であり、祖父同様、 サコミズ隊長(田中実)を“さこっち”と呼ぶのである。 タケナカは失礼だとやめるように言うが、アヤの目的はミライ(五十嵐隼人)である。 ミライを誘ってテートに行くのである。 サコミズは許可した。タケナカは複雑である。だが、アヤには目的があった。

 ミライはアヤと遊園地にやってくる。弟、タカトは大きくなったらGUYSに入ると言う。 そこで、風船を配っているサンドイッチマン(と言ってわかりますか*6) がいるが、この男、ヤプールである!(清水紘冶*7) である!ヤプールは、ブラック指令みたいなスタイルで、ミライたちを監視している。

アヤは、ミライに、まず彼女はいるかと聞いて、いない…で、次にアヤは、好きな人はと訊くが、 ミライは、リュウ、ジョージ・・・と例によって天然ボケ!である。 で、アヤは、大切に思っている人は誰と突っ込み、 ミライは・・・アヤと答えて、アヤはよろしいと言う、ミライ、ポップコーンに興味を示す。

43話にしてまだ、地球の食べ物に慣れていなかった!宇宙人の新記録か?(?)*8。 アヤに買ってもらって、おいしそうに食べるのである。ところが、そんな光景を偶然見ていた男がいた、 28話でコノミを陥れようとした記者、ヒルカワ(加藤厚成)である。

 そんな時、フェニックス・ネストでは、宇宙怪獣たちを呼び寄せている時空波の発信源を捉えていた。 捉えられなかった時空波が分かったのである。ミサキ・ユキ(石川紗彩)は、日本最南端の沖ノ島近海と伝える。 サコミズは、タケナカに、フェニックス・ネストにある砲門で、メテオールの原理により、 フェニックス・フェノメノンによる、太陽内部と同じ原理で、1万ボルトの光線を装備して*9、 これで発信源を叩くと提案し、了承される。

作戦決行を1時間後としたとたん、時空波の発信源が移動を始める。緊急出撃である。 そして、大事だからと、ミライを呼ぼうとするが、連絡がつかない!何とも、罠を感じさせるものである。 リュウ(仁科克基)は、時空波の発信源を叩くチャンスを逃せないと語り、 ジョージ(渡辺大輔)は、ミライ=メビウス抜きでは危険だと言うが、 サコミズは、発信源を叩く絶好の機会と、出撃を決意する。 フェニックス・ネストはフライトモードになり、出撃だ!*10

 デートしていたミライは、アヤに対して、地球では、ありがとうと、 お礼の大切さ…と正体がばれそうな発言をしてしまう。 アヤはミライが不思議、他の誰かにないやさしさ、と語ろうとした時、広場のディスプレイが、 GUYSフェニックス・ネスト出撃の報を伝える。目的は不明と言う。 ビックリするミライは、本部と連絡を取ろうとするが、「エラー」 と出てしまう!そこに近寄る黒い影…はヤプールではなく、ヒルカワだった*11。

ミライに、GUYSの隊員がこんな一大事に、なぜ遊園地で遊んでいると、 ICレコーダーを突きつけるのだが、それをアヤが追い払おうとして、一悶着になる。 ヒルカワは、面白そうなネタを見つけたとして、原稿料、いつもの倍を、と電話して、不敵な笑いを浮かべる。

 すると、ヤプール、ミライをテレパシーで挑発し、持っていた風船を放つ、 と、それが天空を割り、超獣・エースキラー*12(この時点では、この名前でヤプールが呼んでいる) が異次元から出現、ヤプールはメビウスを地獄へ送れと命令し、街を破壊する。

ヒルカワは冗談じゃないとトンズラ、ミライは、アヤを安全な場所に避難させて、 自らはメビウス(スーツアクター、岩田栄慶、山本諭*13)変身する。だが、変身場面を、 アヤに見られてしまった!*14アヤは、やっぱりそうだったとつぶやく。

 かつて、ゴルゴダ星で、ウルトラ5兄弟を壊滅寸前に追い詰めたエースキラーが相手では、 さしものスーパールーキー、メビウスも苦戦する。格闘戦で、壮絶な立ち回りを見せる両者、 だが、その時、ヤプールは新たな風船を天空に放った。

それは、前回で、レッドキング、ゴモラに取り付いていた、宇宙同化獣・ガディバである。 それがエースキラーの、胸のカラータイマーのようなところに入ると胸が光り、エースキラーから、 メビウスキラーになった*15。光り、エースキラーから、メビウスキラーになった。

ヤプールは、ガディバをレッドキング、ゴモラに取り付かせて戦わせ、メビウスのデータを取ったのである。 かつての、ガッツ星人、ナックル星人の行った暗殺のためのデータ収拾とは異なるやり方だが、 これで、超獣はメビウスの能力を使える、メビウスは、自らを相手に戦わなければなくなった。

メビウスキラーはヤプールの命令でメビュームシュートを放ち、メビウスを圧倒、 メビュームブレードで斬りかかる、その様は圧倒的だ。 エースキラーがウルトラ兄弟の力を奪ったのと同じである。押されるメビウス、 そして、ウルトラ兄弟の援護はない。

ヤプールには、35年前、ゴルゴダ星で、ウルトラ5兄弟を壊滅寸前にまで追い詰めながら、 スペースQという逆端サヨナラホームランを喰らって失敗に終わった教訓は生きている模様である。 メビュームバーストすらメビウスキラーは使う*16。不敵に笑うヤプールである。

 一方、フェニックス・ネストは日本南端を目指して、時空波の発信源を叩くべく飛んでいた。 だが、テッペイ(内野謙太)が、発信源が移動し、こっちに向かってくると叫ぶ!間一髪、飛んでくる物体を交わした。 それこそ、時空波の発信源である。だが、時空波の発信源は、空を越えて、宇宙へ向かっている。 サコミズは、宇宙へ追撃すると決意し、タケナカは、GUYSスペーシーに許可を得て、了解した。

 メビウスキラーに押されるメビウス、何とか光弾で一矢を報いるが、劣勢に変わりはない。だが、 アヤがメビウス=ミライに、あなたの優しさに包まれた感じがした、 人間が好きだからウルトラマンは闘えると言った、あの時のやさしさが力であり、 立ち上がってと叫ぶと、メビウスは、最後の力を振り絞って立ち上がった*17(主題歌2番がかかる)。

そして、メビウスキラーに掴みかかると、最後の力を振り絞り圧倒し、最後は自らの体を白熱させ (ここで主題歌が途切れる)*18、メビウスキラーともども燃え上がり、 凄まじい気迫であり、そして爆発し、メビウスキラーを倒した。

師匠、タロウの最強技、ウルトラダイナマイトを、メビュームダイナマイトとして使ったのである*19。 が、ヤプールは笑う、これを使ったら、ダメージも相当なはずだと…事実、メビウスは自爆後、 自らを再生できたものの、カラータイマーは点滅し、消えてしまう。 エネルギーを使い果たした上に、大きな傷を負ったのである。

 フェニックス・ネストは、謎の物体を追い、月まで来ていた。そして、 その物体、謎の石柱を確認するが、その物体の放つ電磁波により、フェニックス・ ネストの全エンジンが止められてしまい、月に不時着を余儀なくされる。あの石柱の仕業だ!

 ミライは、変身を解き(人間に変身したと言うべきか?)、倒れていた。そこへ駆け寄るアヤ、 で、お邪魔虫のヒルカワも、ウルトラマンが怪獣を倒したのに、ミライは気絶かとはき捨てる。 だが、地面が突然次元の歪により割れ、ミライも、アヤも、 さらにサヒルカワもそこに飲み込まれてしまう!GUYS、メビウスともに、絶体絶命の危機である!*20

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メビウスベルト

マニア的突っ込み

日本の特撮ヒーロー史上、前例のない巨大なバトルになっているウルトラ・サーガ、今回も燃えてみました。

*1:小原監督、菊池特技監督はメビウス初登場、小原監督はネクサスの32話以来、 菊池監督はマックスの34話以来、久々の登板です。

*2:メフィラス星人の声はオリジナルの加藤精三さん、 特撮ではスペクトルマンの宇宙猿人ゴリ、仮面ライダーブラックRXのジャーク将軍など数々の悪役をやりました。 アニメでは何と言っても巨人の星の父親、星一徹役が有名、 あのちゃぶ台をひっくり返す場面はどなたもご覧になっているでしょう。 ちなみに、星一徹のちゃぶ台ひっくり返しは、全編を通して1回しかなかったそうです。

*3:ヤプールの声、弦田さんは映画版と同じ、この方、 アーノルド・シュワルツェネッガーの吹き替えで有名で、ターミネーターははまり役です。

*4:メフィラス星人は、ウルトラマンと対決しつつ、結局戦いをやめて消えたのですが、マニアの間では、 ゼットンに次ぐ強さとの評価もあります。

*5:映画版のキャラクターがテレビシリーズのクライマックスに出るのは、ダイナ50話でキサラギ博士 (今、いろいろお騒がせ女優の杉本彩さん!)以来、平成のウルトラ映画は、 全てテレビシリーズと同一地平にある設定です。

 なお、彼女の名前、ジングウジ、は、映画「海底軍艦」(63年、本多猪四郎監督、円谷英二特技監督) に出る、轟天号の艦長、神宮寺大佐(田崎潤)に由来すると思います。

*6:サンドイッチマンとは和製英語で、看板に挟まれて宣伝する人を差し、 それが高じて宣伝マン全体を指すようになりました。最近は何と言うのかな?

*7:清水紘冶さん、ウルトラではエース第4話のゲストが有名で、 最近では仮面ライダーアギトでの教授役で怪演技を見せてくれました。 悪役として有名で、必殺ファンには、新・必殺仕置人最終回の、悪の同心は凄まじい悪役で有名です。 また、この前再放送の終わった隠し目付け参上(76年)という、必殺的な番組では、最終回に悪役で、 何と天本英世さん、平田昭彦さんと3人ものビッグ悪役で登場、豪華でした。

*8:こういう、地球の文化にカルチャーショック、と言うのは、最後まであるというのも珍しいです。 でも、実際に外国に行ったら、こういうことは多いものです。

*9:これの語源はフェノメナ=現象、であり、おそらく、ウルトラマンたちの光線技と同等の威力を持つと思われます。光線の威力を1万ボルト、と表すのは、ウルトラでは珍しいです。過去には、スペシウム光線の威力、初代マンは3万5千度、帰マンは2万5千度という表現がありました。

*10:この変形シーンはCGを多用してのもの、しかし、本物のミニチュアを動かしているように見えるまで技術が進みました。

*11:このヒルカワ記者、さすが元ダークザギと言うか(?)、やることが悪辣です。こういう記者、少ないものの、悪意を持って書かれて、例えば、松田優作さんなど、ウソを書かれて、スキャンダルになり、一時謹慎させられた例もあります。ちなみに、インタビュー?でメモを取るのではなく、ICレコーダーを向けるのは今風です。

*12:エースキラーは、エース第14話「銀河に散った5つの星」に出た、エース屈指の悪役で、ゴルゴダ星に捕らわれたウルトラ4兄弟の力を奪って、エースと同等の能力を持つロボットを粉砕するものの、本物のエースとの戦いでは、スペースQという伝説的な超・必殺技で倒されます。ガチャポンHG22のレオ対ババルウ星人編でフィギュア化されています。超獣という設定の中、あえて超人とされています。

*13:今回はスーツアクター、合計7人出ていて、メビウス役は岩田さん、山本さんの2人の模様です。

*14:変身場面を見られる設定はウルトラでは珍しく、例えばレオのサタンモア編で、ゲンの変身を見てしまった友人は死んでいます。ウルトラ以外では、ミラーマンで変身を見られる(に等しい)シーンがありました。

*15:このガディバ、ヒーローの能力を調べると言う意味では、ガッツ星人の放ったアロン、ナックル星人の使った再生怪獣と同じ意味ですが、データを取って、別の怪獣に付くと、能力を発揮すると言う、何とも不敵な設定、そして、ヒーローと同じ力を持つ敵、と言う点では、近年ではマックスのイフがありますが、こういう、データの移し変えは珍しいものです。まるで、コンピューターにデータを入れるみたいな雰囲気です。

*16:これは驚き!ヒーローのデータを、強化技までコピーするのは、前代未聞です。ヤプール、悪質になった!

*17:この場面、メビウスの表情を見てください。仮面なのに、まるで人間のように表情がある、これこそ円谷特撮の本領で、様々な演出で仮面に表情を出す、それは半世紀前のゴジラからやっているのです。こういうのを見たら、ハリウッドのSFXには出来ない、特撮ではなく、円谷英二監督の好んだ言葉、「特技」の真骨頂です。メビウス映画版で、偽メビウスがCGで悪役らしい表情を作ったのと対照的です。

*18:こういう、ヒーローの定番バトルテーマを使いつつ、危機では突然切るのも、冬木透さんの選曲・演出をルーツとするもの、私はツボにはまって見事と思いました。

*19:先輩ヒーローの必殺技を伝授されるのは、80が6代目バルタンとのバトルで、八つ裂き光輪を使ったなどあったものの、このような危険な技の伝授はありません。ウルトラだけでなく、ヒーローものの極限です。

*20:ウルトラでは、ヒーローは倒しても特捜チームは無事、という例が多かったものの、ダイナ「移動要塞浮上せず」では両者やられました。今回もそれ以上で、これはエグイよ!

総括的な考察

(1) 具体的な悪役親玉の存在

 ウルトラでは、特定の悪役がいても、ヤプールみたいに抽象的で、 仮面ライダーのショッカー首領みたいな、悪の親玉がいるのは珍しく、 平成ではマックス以外特定の悪役がいるものの、こうして具体的な姿が出るのは珍しいものです。 これは東映ものとも異なり、まるでスターウォーズの悪役みたいな雰囲気であり、面白い試みです。  ちなみに、「皇帝」と大親玉を呼んでいて、これで正体はほぼ、ばれていますね!

(2) 超必殺技の伝授

 今回、メビウスはタロウのウルトラダイナマイトを使いました。この技はタロウ本編では1回しか使われていないもので、しかし、同様の技はファイヤーマンのファイヤーダッシュ、ジャンボーグ9のダイナマイトパワーと、円谷プロ10周年記念作品に出ています。ウルトラダイナマイトは、タロウ本編の時はそれほど危険な技と言う認識はなかったのですが、その後、マニアの考察で、自爆した後自分を再生する、極めて危険なものとの認識が出ました。メビウス30話での、タロウの使用はその解釈に基づいています。さらに今回、メビウスがダイナマイトを使用したものの、この手の超必殺技、超兵器は使った方も打撃を受ける(究極が宇宙戦艦ヤマトの波動砲)、SF・ヒーローものの定番の設定が使われています。やたらと、強い威力を持った兵器・必殺技は、それ自身自らの危機も招くと言う、日本のヒーローものの、戒めです。

(3) 卑怯な悪役

 今回のヤプールの作戦、卑劣そのものですが、実は、ウルトラ、特に第2次シリーズでは、ヒーロー史上でも屈指の卑怯な悪役がたくさんいます。帰マンを倒すため坂田兄妹を惨殺したナックル星人を筆頭に、ヤプールも卑怯な手をたくさん使ったし、最終回の卑劣さは伝説的、レオでも、マグマ星人、ババルウ星人、ブラック指令と卑怯さでは第一級の悪党が揃っています。卑怯、卑劣な悪役でも、スケールの大きいものが多く、メビウスではその伝統が頂点に達しています。

 さて、ウルトラ屈指の大悪党軍団にどう立ち向かうのか、楽しみになりました。

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