ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第44話「エースの願い」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス 第44話「エースの願い」レイゴ考察ソフトバージョン

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サコミズの緊迫した声が響いていた「全エンジン、出力低下!」 続いて、マリナの張り詰めた声が「・・・稼働停止!」と伝える。 テッペイが叫ぶ「解析不能なフィールドが、リアクターの稼働に干渉!」

船内にガイズクルーの悲鳴が響く、フェニックスネストはその船体を傾かせ、火花を散らせ、 腹から突っ込むと、バウンドしながら、 月面を激しく滑っていた。

リュウは混乱する意識の中で叫んだ「ミライーー!」

ミライは「はっ」と意識を取り戻した「・・・ここは・・・?」見回すあたりは、一面砂漠のような砂地であった。 ミライは起きあがると、すぐ側に横になって倒れているアヤを揺すった「アヤさん、大丈夫ですか?アヤさん。」

アヤは「ミライくん。私たち、どうなったの?」と立ち上がる。 すこしはなれた位置に倒れていたヒルカワが、這いずるように立ち上がると「おい・・・ここ、どこだよ。」とわめいた。

ミライは、腹を押さえながら「わかりません。とにかく、このあたりを調べてみましょう。」と促す。 ヒルカワは、砂地につばを吐きかけ「くっそー、どうなってんだ!」と歩きはじめた。

黒い柱時計が、半分砂地に埋まった状態で止まった針は8時13分をさしていた。

ヒルカワはすこし先を歩きながら「ダメだ。携帯も繋がらねぇ。あ゛ーー!」と携帯をあきらめて、大声を出しながら歩く。 ミライが先の戦闘の負傷から、腹を押さえて、思わず倒れこむ

アヤが「ミライくん、大丈夫?」といたわると、 ミライは顔を上げて「はい。」とそれでも返事を返すが、そんな二人に ヒルカワは「グズグズすんな。置いて行くぞ!」と吐き捨てるように振り返った。

アヤは「わかってる。」と言い返したものの「嫌な奴・・・」と口にした。 その時ヒルカワの「うわぁぁー!!なんだ、こりゃぁ。」という悲鳴が上がった。

ミライは「街が・・・」とアヤと二人で、高台から下を見下ろしてつぶやいた。 3人が見たものは、東京タワーに似た鉄塔がひんまがり、高層ビル群は、崩れ落ち、 コンクリートの墓場のような廃墟であった。

ビルであったと思われる建物の壁は崩れ落ち、中に埋め込まれていた鉄骨をむき出しに転がっている。 少し離れたところにある巨大な煙突でさえ、やや傾いているように見える。

辛うじて建っている壁には、何か大きな力が加えられたかのような穴が開き、 引きちぎられた鉄のパイプや、捻じ曲げられた柱が無残な姿で放置されていた。

アヤは驚きを隠せない「これ、どういう事?」 ヒルカワは絶望したかのように、「あーー!終わりだーー!」とあらぬ方向に走り出し倒れこむ「もう、終わりだぁー!」と ひざまずいた。

ミライは「どうしたんです?ヒルカワさん。」とヒルカワの嘆きぶりに驚く。 ヒルカワは「まだわからないのか?この国は、 怪獣や宇宙人にぶち壊されたんだ。いや、日本だけじゃないさ。俺たちが気絶してる間に、 世界中が滅んじまったのかもしれない。」と叫び返した。

ミライは「待ってください。こんな事ありえない。」と否定する。 とヒルカワは、いきなりミライのむねぐらを掴むとミライの顔面を殴りつけた。 アヤが叫ぶ「何するの?」

しかしヒルカワは「こいつらのせいだ!GUYSがだらしねぇから、地球が滅ぶんだよ!全部きさまらの責任だ!」とミライを 蹴り上げる。

アヤは「やめて!ミライくんはさっきの戦いでボロボロなの!」とヒルカワに掴みかかる。 しかしヒルカワは「うっせー!訳わかんないこと言ってんじゃねぇ。」とアヤを突き飛ばし、 「この役立たずが!」となおも数回蹴り、ミライにつばを吐きかけた。

ミライは唇の左端から血を滲ませた唇を噛み締めると 、じっとヒルカワを睨みすえ、吐きかけれらたつばを手の甲で拭い、立ち上がった。

「な・・・なんだよ。GUYSが一般市民に手上げんのか?えっ!」ヒルカワは立ち上がったミライにひるむ。 しかしミライは、「ぼくはあなたと争うつもりはありません。」といった。

ヒルカワは「だったら、なんだよ。その目はー!」とまたしてもミライに近づくヒルカワの前に 強く睨むアヤが「やめなさい!」と立ちはだかった。

ヒルカワはちっと舌打ちをして、ポケットに手を突っ込むと、ふてぶてしく、歩き出した。 ミライは「どこ行くんですか?!一人で行くのは危険です!」とヒルカワを押しとどめようとするが、 ヒルカワは「うっせー!お前らといっしょなら、助かる保障でもあんのか?!」と吐き捨てた。

ミライは「待つんだ!」とヒルカワに声をかけるが痛みに思わず蹲った。 アヤは「ミライくん、しっかり!」と蹲るミライの肩に触れる。

ヒルカワは「怪我人は足手まといだ。俺は一人でも生き残ってやる。」とまたしても憎々しく言う。 忽然と、黒い服に身を包んだ男が「人間とは身勝手な生き物だ。」と黒い風船を持って現れた。

ミライはその男の姿に「ヤプール!」と叫ぶ。 しかしヒルカワは、 「おう、あんた。どっから来た?黙ってないで教えてくれよ 。どっか安全な場所あんのか?あるなら俺も一緒に連れてってくれよ。」 と無防備にヤプールに近づいてった。

ヤプールは「はっ!」と短く声を発すると、手のひらを広げて、怪光線に放ちヒルカワは、それにはじき飛ばされた。 ヒルカワは「うわぁぁぁ!!」と悲鳴をあげて地面に転がった。

ヤプールは「こんな下等な人間どもを、お前は守って来たのだ。ウルトラマンメビウス!」と淡々と語ると また、手をヒルカワに向けた。

どこかで、何者かの瞳が何かに向けて、鋭く見開かれていた。 ミライは「やめろ!ヤプール!」とヒルカワへの次の攻撃に、叫んだ。

リュウは「どうだ、テッペイ。」とテッペイを覗き込む その時マリナの耳にはある音が届いていた。

テッペイは報告する「エンジン停止の原因は、石柱の影響の間違いありません。」 サコミズが問う「何か、対策は?」 テッペイは「ガンスピーダーなら飛ばせます。バイオニックモーターは、フィールドの干渉を受けずに済んだようです。」 と報告する。

リュウが「なら、攻撃できる。」というと、 ジョージも「よーし、行こうぜ、アミーゴ。」と同意し、 リュウも「おう!」と返答する。

しかしテッペイは「待ってください!ガンスピーダーの兵装で、石柱の破壊は不可能です。」 と慎重だ、リュウが「じゃぁ、どうすりゃいいんだ。」といったとき、 マリナが「出来るわ!今、誰かの声が教えてくれた。石柱を破壊出来るって。」とクルーを振り返った。 サコミズが問う「声・・・?」

満月を仰視し一人の男が立っていた。スタンドカラーのジャケットスーツ。 カラーには、TACのマークのバッジがつけられ、首元には白いス カーフを巻いている。 その指には銀色に輝くリングがはめられていた。

ヒルカワの首には、 風船の紐が絡められ、宙に浮いた状態で足をバタつかせ、うめいた「ああっ・・・苦しい・・・」 ヤプールは不敵に「ハハハハ・・・・」と声を立てて笑い続ける。

ミライは「やめろ!その人を放せ!」と叫ぶが、ヤプールの手から放たれる攻撃に「うわっ・・・」と吹き飛ばされる。 アヤが「ミライくん!」と駆け寄る。

ヤプール「呆れた奴だ。あんな酷い仕打ちをうけ、まだ人間のために戦うのか?」と問う。 ミライは立ち上がり「僕は人間が好きだ。守ってみせる!」 と告げる。ヤプールは「ほぉ・・・」と薄ら笑うと 腕を高く差し上げて指をパチリと鳴した。 ヒルカワは急落下してきた。

ヤプールは「おい、お前。命が惜しいか?」 と地面に落ちたヒルカワに聞く、ヤプールから少しでも、逃げるようにジワリと後退し、ヒィヒィと 呼吸を乱しながら何度も縦に頭を振るヒルカワ。

「だったらチャンスをやろう。 この銃であの男を撃て!そうしたらお前の命だけは助けてやろう。」と手に持っていた銃をしゃがみこんで、 ヒルカワに差し出した。

ヒルカワは「ほ・・・ほんとですか?」とヤプールを下から見上げる。 ヤプールは「約束しよう。ハハハハハ・・・・」と不敵に笑った。

ヒルカワは「悪く思うな。」とミライたちに銃を向けて立ち上がった。 アヤが「撃つなら私から撃って!どうしたの?早く撃ちなさいよ。」 とミライの前に立ちはだかった、ミライは「やめるんだ、アヤさん。」と庇う。

二人のやりとりに、ヒルカワは「てめえら、そんなに死にたいのかー!」とわめく。 アヤは「人間のプライド捨てて生き残るより、よっぽどましよ!」と毅然として返す。

ヒルカワは「ふざけんなー!」と叫び銃を発砲した。ミライは∞の形のディフェンスサークルをアヤの前で広げた。 「な・・・なんだ、今の?えっ?」混乱したヒルカワは続けざまに銃を4連射した。

ミライのディフェンスサークル は、弾丸が粉砕して弾け飛ぶ音を立てながら、ヒルカワの撃った弾をすべて防いだ。

「あ゛ーー!!」ヒルカワは混乱を極め、ヤプールの方を振り向いた。 ヤプールはまたしても「はっ!」と短く声をかけ、手からの攻撃で、ヒルカワを吹っ飛ばした。

飛ばされ、もんどりうって転がるヒルカワに ミライは「ヒルカワさん!」と駆け寄る。

ヒルカワはミライから逃げるように腰を落としたままジリジリと瓦礫の上を後ずさりすると 「触るな!化け物!」と恐怖に顔をゆがめながら喘ぐように叫んだ。

ミライは「化け物・・・?僕が?」あまりの言葉に次の言葉を失い呆然とした。 ヤプールは「ハハハハ....それが人間の本性だ。そんな奴を、 まだ守ろうと言うのか?ハハハハ・・・意地を張るな。素直に言えばいい。 人間に失望したと・・・。」と高らかに笑った。 アヤはあまりのことに、ミライを見る。

「どうだ、我々ヤプールと手を組まんか?人間を守る義務など、お前には無いのだ。」

テッペイが進み出た「つまり、誰かの声が、干渉フィールドの放射ポイントを教えてくれた、そういう事ですよね?」 マリナが頷く「ギリギリまで石柱に接近して撃てば、干渉フィールドを止められるって。」 リュウが「幻聴じゃないよな?」と確認する。 マリナは「違うわ。はっきり感じたの。声の主は、私たちの味方よ。」ときっぱり告げた。

ヤプールはミライに迫る「さぁ、答えてもらおうか。我々と手を組むと。ハハハハ・・・・」 うつむいていたミライは「断る!」と毅然として顔を上げた。ヤプールの顔が豹変した。

「僕は闘う!大切な人たちを守ってみせる!」 アヤは「ミライくん!」と嬉しそうに声を上げた。

ヤプールは怒りに打ち震えながら「それが答えか?ならばゲームは終わりだ。ここで死ぬがいい。」 男ゆっくりと言葉を吐き、その目が妖しく赤く光る。

すると、黒服の男は笑い声を響かせながら、赤茶色の体色、 頭部に放射状に拡がる3本角、口に鋭い牙、突起物に覆われた身体を持つ巨大ヤプールに変身した。 それを見たミライはメビウスに変身した。ヤプールはまだ嘲り笑っている。

ヒルカワは、よろよろと体を引きずりながら「奴がメビウス?」とメビウスを見上げた。

ヤプールは「ハハハハ・・・・メビウス、まだ気付かない。貴様は罠に嵌まったんだ。 GUYSと分断されたお前は、いつも通りには戦えん!ハハハハ・・・」

と高らかに宣告すると、ゆっくりと近づいて来たヤプールは、左足でキックを仕掛けてきたメビウスの胸を叩いた。 続いてすかさず左の掌をメビウスに向けたヤプール。 メビウスの動きが一瞬封じられた。

ヤプールは念動力で押したり引いたりぐるりと回したり、メビウスの身体を自在に操る。 操り人形のようにヤプールの意のままに、弾き飛ばされたり地面を転がったりさせられるメビウス。 胸ぐらを掴まれ、思いきり右の鍵手で火花が散るほど胸部を強打された。 瓦礫に身体を投げ出し、もんどりを打つメビウス。

ヒルカワはプロック塀に身を潜めながら「なんだ、やられっぱなしじゃねぇか。」と毒づいた。 アヤは「さっき言ったでしょ!彼の身体はとっくに限界なの!」とヒルカワに言い返し、 「でも・・・・戦ってる。」とメビウスを見つめた。

月面では、フェニックスネスト上部左エリア側面のハッチが開いた。 ゆっくりとアームの動く発射台にセットアップされているのは、マルチコアポッド。 先端の黄色いガンスピーダー2にジョージとマリナ、同じく右エリアのハッチから出てきた先端の赤いガンスピーダー1にはリュウが搭乗している。 3人はそれぞれ、ヘルメットのシールドを降ろし、発射に備える。 2基が同時に勢いよく発進した。

その時、石柱上部から青白い光が稲光の如く発射され、月面に照射された。 するとその地面が割れ、中から生物が出現!

耳が長く大きく、しっぽが長い。白いボディに赤い目の巨大なうさぎ系の固体。 マリナは表情を強ばらせると、 「あれは?」と聞く。

テッペイが叫んだ「ルナチクス・・・かつて月の文明を滅ぼした超獣だ!」

ヤプールは「ハハハハ・・・・メビウス、お前の強さの秘密は、人間との絆だ。 だがそれが最大の弱点でもある。お前はGUYSのサポート無しでは、まともに戦えない、無力なウルトラマンなんだよ。 貴様には何も守れん!悔しがれ!絶望しろ!ワハハハ・・・・」とメビウスに毒を吐きかける。

ヤプールの緑と赤の瞳、赤く点滅する口元を目にすると、 呪術を掛けられたかのように脳裏にゥワンゥワン響いて来る。

ヤプールは、鎌状の鋭い右手から光線を発射した。 ギューン ギューン・・・ 4連射された光線はメビウスの胸や背中に命中し、踊るようにくるりと舞う身体の表面で白煙をあげて炸裂した。 「うっ、あっ・・・うぅ・・・」メビウスは耐えきれず膝を突き、地面に倒れ込んだ。

アヤはたまらず「ミライくん・・・・」と飛び出した。 ヒルカワは「おい!行くなよ。俺まで見つかるだろ!」とへっぴり腰で言う、そこにヤプールの火の玉が炸裂する。 ヒルカワは命からがら、また物影に身を落とす。

アヤは、 廃墟の中、ヤプールの光線が襲いかかるのに怯みもせず、 メビウスに向かい語りかけながら1歩1歩踏みしめるように、確かな足取りで近づいていく。 アヤの近くで爆発音と共に炎が立つ。

「ミライくんーー!君は前に一度私の命を救ってくれた。君は私のナイトなんだよ。 だから今度も救ってくれなくちゃダメなんだから!ウルトラマンは絶対に負けない、白馬の騎士なんだから!」

ヤプールは「黙れ!人間!」と吼えるとアヤに向けて光線を放った。 きゃぁぁ!!」アヤは爆風に吹き飛ばされ、倒れた。

月面では、ルナチクスが巨体を揺らしながら大きく2回ジャンプして、白いガスを吐く。 ガンスピーダー2基はそれをかわした。

リュウが「石柱の用心棒ってわけか・・・・」というと、 ジョージが「だったら抜き去るだけだ!敵のゴールまで突っ走るぞ!」と伝える。 マリナが頷く「頼んだわよ、アミーゴ。」

ルナチクスの吐くマグマ火炎が突然襲って来たが、ジョージは右へ左へ機体を転がしながらそれを避けた。 その隙にリュウがルナチクスへ向けてビームを撃つ。 正面から果敢に突っ込んでいく1号のビームは、一定以上の成果を上げている。

リュウが叫ぶ「お前の相手は俺だ!」 その時、北斗はみんなの闘いを感じて、胸を掴み「みんな・・・最後まで諦めるな。」と祈った。 ヤプールは「ヌハハハ・・・・お前の負けだ!一人では何も守れない、無力なウルトラマンよ。ワハハハ・・・・」と呪いの 呪文のように笑う

メビウスは瓦礫の上で腹這いになり、その手は何かを掴もうとするかのように地面に這わせていた。 目と鼻の先で横たわるアヤに向けて差し伸ばされたメビウスの左手が、虚空を掴み力なくダラリと落ちた。 その腕が力なく地面にバウンドする。 アヤはメビウスの様子の変化に慌てて上体を起こしかけたが・・・

ついに顔を地面に突っ伏し、動きを止めたメビウス。 瞳に宿った光が静かに消えた・・・・・

アヤの声が「ミライくん・・・・ミライくんーーー!!」とミライの意識に絶叫した。 ミライは人間の姿で仰向けになり、闇の中、幾筋かの光線が交差するどこかへ向かってゆっくり墜ちていった。 ミライは思った『ヤプールの言う通り、一人きりの僕には、何も守れない。アヤさんの命も・・・』

しかしその時北斗の声が『お前は一人じゃないぞ、メビウス。』とミライに響いた。 ミライは驚いた『えっ!・・・・エース兄さん!』 北斗は『たとえ離れていても、お前には感じられはずだ。勝利を信じて戦っている、 仲間達の姿が。かつて俺も、大切な仲間と別れた。』と語った。

二人の間の空間が明るくなり、そこには若き日の北斗星司と南夕子の笑顔で肩を組んだ姿が、セピア色に映しだされていた。 『共に苦しみ、笑い、戦った人と。彼女は自分の使命を終えたとき、同胞たちが待つ場所へと、帰って行った。』

ミライは頷いた『知っています。その人は月の人間だったんですね。』 北斗は『俺が一人っきりになった。だが俺は戦えた。離れ離れになっても、彼女の意思が俺の中に居たからだ。』 隊員服でヘルメット着用の南夕子の微笑む顔がそこにあった。

『俺たちは変わらず一緒にたたかっている、そう実感出来たからだ。』 ミライは繰り返した。『離れていても、一緒に・・・?』

ミライが声に出すと辺りが暗くなった。 ミライはそっと目を閉じた。 戦闘中のリュウ、ジョージ、マリナの勇ましい姿をはっきりとイメージ出来た。 ハッとして目を見開く。

北斗は力込めた『立て、メビウス。仲間達の想いと共に、ヤプールを倒せ!』 ミライの胸の中央に赤い光が宿り、身体全身がオレンジ色に染まった。 「うわーーーーーーーっ!!」身体の芯から湧き上がる力が、ミライの胸に炎を呼び、身体全体が白く発光した!

倒れたメビウスの、色を失った瞳に、オレンジ色の光が灯る。 「ムーーーン、フッ!」そして間もなく、メビウスは力強く起ちあがった。

ヤプールは「なにぃ!?」と驚愕する。 メビウスは叫んだ「ヤプール!僕は一人なんかじゃない。心はいつも仲間達と繋がっているんだ!」

炎と瓦礫の中で顔のすすけたままのアヤにも力が湧いてきて、声にならない喜びに溢れた笑顔でその場に起きあがった。 メビウスは右の拳をヤプールに突き出した。 その直後、左腕のメビュームブレスが光り、炎に包まれ、GUYSの仲間たちとの熱い友情のしるし、 バーニングブレイブへと変身した。 アヤはメビウスを見つめる。

メビウスの反撃はヤプールへのキックから。面食らったままのヤプールを更に蹴り、パンチの集中10連打、そして渾身の左!

リュウたちも闘っていた「こいつは俺に任せろ!」 ジョージは「頼むそ、リュウ!マリナ、どこを狙うんだ!?」とマリナ聞く。 マリナは声の主に意識を集中して問う『教えて!どこを攻撃すればいいの?』 北斗の声が答える『いいか?石柱の右側面に、赤く明滅する突起物がある。そこが干渉フィールドの放射中枢だ。』 マリナが叫ぶ「ジョージ!石柱の右側面に回りこんで!」 ジョージは頷く「GIG!」

教えられたその場所に、赤く点滅する突起物があった。 「あれだ!」マリナは、ガンスピーダーの赤い光線、フォノンメーザーで攻撃した。 大きな白い火花が散り、突起物はえぐり取られ、間もなく赤い発光体の残光さえも跡形もなく消滅した。

コノミは「やったー」と叫び飛び上がる。 テッペイが報告する「干渉フィールド停止!システム回復しました!」 サコミズが号令をかける「リアクター出動!」

その時、北斗も自らの心に語りかけていた「夕子、行くぞ!」 北斗は叫ぶと、胸の前で右腕を前にクロスして、今度は両腕を大きくゆっくり外から内に回し、 そして左右の中指のエースリングを合わせた。 光が満ちて、北斗はウルトラマンエースに変身した!

ルナチクスのマグマ火炎を光線が弾いた直後、その眼前に白い光が現れた。 ルナチクスに左の体側を見せたしゃがんだスタイルで登場したウルトラマンエース。

「あれは!」マリナの表情が輝く。 「ウルトラマンエースだぁ!」テッペイ怪獣博士が満面の笑みになる。

ファイティングスタイルをとった後、地面を二度斜めに転がり、ルナチクスの足元へ移動した。 虚を突かれたルナチクスは、エースのキックやパンチをまともに喰らう。

ルナチクスの首を締め上げ地面に倒すと、ルナチクスがマグマガスを噴射してきた。 避けたエースにルナチクスのパンチの反撃があったものの、エースはすぐさま態勢を整えた。 しゃがんだエースの背後からのし掛かる形のルナチクス。その右腕を取り投げ技を決める。

すると、ルナチクスの目が赤く点滅し、目玉をミサイルのように左右交互に発射してきた。 目玉ミサイルは月の表面で赤い閃光を起こし破裂する。

その連射をエースは身軽に側転などで避ける。 「エース、危ない!」マリナがガンスピーダーから援護射撃をした。

「フェニックス、フェノエノン!」サコミズがキリリと引き締まった表情で赤いボタンを押す。 フェニックスネスト中央の砲台から発射された強力なフェノエノン砲が、石柱の中央部に命中し、 石柱全体が赤い発光体と化した。その周囲にも熱い空気の層が発生し、赤い陽炎の模様を呈した。

態勢を立て直したエースは、ルナチクスのマグマ火炎を右に左に身体をねじってかわす。 そして決め技はメタリウム光線。右腕を立て、左腕を横に構えたL字型から発射された虹色の光線が、 ルナチクスの腹部に照射される。

ルナチクスの右で石柱が赤く発熱し、ルナチクスが青く発光する。 石柱の赤い爆発に連動されるように、ルナチクスの身体が青い光に弾け、間もなく3度の赤い大爆発を起こし、月に散った。

リュウは叫んだ「よっしゃーー」 ジョージも頷く「よし!」 マリナは喜ぶ「やったー」 テッペイも歓喜に沸く「やったーよーし、よし!」とコノミとタッチを交わす。

その時メビウスは、ヤプールの肩をはたいて投げ飛ばした。地面に転がるヤプール。 点滅の始まったカラータイマー。

メビウスバーニングブレイブが両手を前に合わせると、胸のエンブレムから炎が起ち、 それをファイアボールにして撃ち出すメビュームバースト! 「ウワーーーーーーッ!!」 全身を炎に包まれるヤプール。 炎が消え去り、息も絶え絶えになったヤプールだが最期までしぶとく食い下がった。

ヤプールは言う「何故だ?貴様が俺に勝てるはずは・・・! 俺が倒れても、偉大なる皇帝に仕えた四天王は、まだ3人残っている。」 メビウスが「偉大なる・・・皇帝・・・」と口にする。 ヤプールは「エへへへ・・・・破滅の未来で待っているぞ!」と怨念を込めて告げると「おお!!わぁぁぁ!!」

と咆哮しヤプールの胸が数度爆発し、白煙が立ち上った。 絶句し、前のめりに倒れたヤプールの身体は、異次元の出入り口で見られる黒とカラフルな色の揺らぎに包まれ、 そして最期に大きな爆発を起こし燃え尽きた。 メビウスは金色に発光して、戦いを終えた。

グローサムが異空間で、「ヤプールは倒れた。次は俺の出番だ!」と勢い込むが メフィラス星人が伝える「既にデスレムが向かった。」 グローサムは「なんだと!」とメフィラス星人ともに、地球を見つめた。

ミライは「アヤさん!しっかり!」とアヤを揺する。 アヤは「ちゃんと、見てたよ。君の活躍。」とミライににっこり微笑む。

ヒルカワは「ここは・・・・ここはどこだ!?」と意識を取り戻すと、 ミライが「帰って来れたんです。元の世界に。」と微笑む。

ヒルカワは「助かったのか?え・・・生きてる・・・生きてる・・・生きてるぞー!」 と自分の体を触り確かめて叫ぶ。

ミライが「良かったですね、ヒルカワさん。」とにこやかに語るが、 ヒルカワの顔つきは決して好意的なものではなかった。 「俺は見たぞ。お前の正体を。」そいういと立ち上がり、射るように視線をミライに投げかけた。 ミライは当惑する「え・・・・」 ヒルカワは「黙ってるつもりはないからな。」口の端をひん曲げて、吐き捨てるように言った。

その時、エースの意識がミライに呼びかけてきた『ミライ・・・・ 優しさを失わないでくれ。弱いものをいたわり、 互いに助け合い、どこの国の人とも友達になろうとする気持を失わないでくれ。たとえその気持が、 何百回うらぎられようと。それが私の、』エースは、北斗の姿に変わると『変わらぬ願いだ。』と。

ふと背後から優しい声が聞こえた「星司さん・・・」 北斗は驚いたように振り返った「夕子・・・」

白いハイネックロングドレス。 パフスリーブで肘から手首にかけてはシェイプされ腕にフィットしている。 金のペンダントとロングイヤリングを身につけている南夕子が静かに立っていた。

夕子は微笑んだ「本当にお久しぶり。」 北斗は「ああ・・・」と静かに頷いた。二人は満天の星が輝く天の川の前に立っていた。

夕子は「もし私が月の人間じゃなくて、ずーっと地球にいられたら、 星司さんと一緒に、こんな風に年を重ねていたのかもしれない。」輝くような夕子の笑顔に、 北斗はまた静かに「そうだな・・・」と微笑んだ。

夕子は「でも、後悔はしていません。さっき星司さんが言ってくれたように、 私も星司さんをずっと近くに感じていたから。」 北斗は頷いた「夕子・・・」光、輝く、夕子と北斗はそっと中央に寄ると互いの手のひらをタッチさせた。 瞬間、34年前に時は遡り、 エースに変身する音と光が溢れた。

アヤがミライに微笑む「また君に助けられたね。」 ミライはすこし照れながら「僕はあなたのナイトですから。」と言う。

アヤは「ありがと。」とミライの頬に軽く唇を触れた。ミライは頬に受けた感触に狼狽して頬に手を振れ、激しく動揺する。

その時メモリィデスプレィがその様子をあたかも見ていたように鳴った。 ミライは慌てて応答する「こちら、ミライ。」 リュウがにんまりと笑う「よっ、ミライ。今から全員、地球に帰還する。」ガイズクルーの笑顔が揃っていた。 ミライは嬉しそうに「GIG!」と答えるのだった。

          

管理人のここが考察ポイント

今回のポイントは、離れていても心は繋がっている、それは時空をも超えてということだろう。

ウルトラマンエース(A)の南夕子こと星さんが、35年の歳月を刻んでのち、その姿を南夕子として現し、 北斗星司とともに地球にいられたら、こんな風に年を重ねていたであろう と天の川で二人は織姫と彦星のごとく再会した。

一人の女優としてそして、南夕子としてのイメージを損なうことなく、 星さんは変わらず天女のように美しかった。女性の年齢を感じさせずここまで美しく、その「時」を 表現させて魅せた演出にまず拍手である。

約34年半ぶりくらいに、星光子さんは登場となるわけであり、 若かりしころの夕子の映像と対比させる今回の星さんの役どころは、ある意味女優として勇気あるチャレンジ であったのではないだろうか、

ある年齢に到達しなければ分からないこと、気づかないこともある。そして、 その年齢まで、生きいなければ、伝えられない想いも人として、あるのではないだろうか、

女優が年を刻むということへのお気持ちまでは想像がつかないが、星さんが、女優として、1人の女性としても、 生きてこられた人生時間をさらりと、ファンの前に立たれた決意に、ウルトラマンエースという作品が、星さんの中で、 自分の人生時間をともに刻んだ大切な思い出と、誇りと思われているという風に受け取り、大変感激した。

ウルトラマンシリーズが、歴代のウルトラ俳優、女優さんたちにとても愛されていたのだと実感できるのが、 このウルトラマンメビウスという作品だ。

人は絶望やピンチに立ったときにこそ真価が発揮される。世界の破滅の予感から普段の素行もさることながら、 醜いともいえる人間の本性を晒してしまったヒルカワ。

咽もと過ぎれば熱さ忘れるで、命が助かれば今度は感謝どころか、金儲けの心配。なかなか忙しい人間である。 元々地球を守る防衛チームに所属を希望するような、志が高く、誠意ある人間に囲まれていたミライには、 このよなタイプには強い免疫もなく、ミライの心にひびが入りそうになった。 ヒルカワのようなタイプの人間がいないミライの周りは、 温室だったとも言える。

パワーの源であるガイズとの分断と免疫のないタイプをぶつけることにより、 いそっそうミライを孤立無援にする作戦というわけだ。 ミライは人間が好きだから、人を守るといった、ならば嫌いになれば守ることを止めるのかという話になるわけである。

この「好きだから」というような理由は一見理由にならないように見えて、 人の行動の最も基本的動悸になる。何故なら、人は好きな人に笑いかけ、好きな人のために動き、 好きな人のために(自分が好きも含めて)生きるているからだ。

今回のヤプールの心理作戦からミライを救うべく、ミライの心のバランスを支えたのは、ウルトラマンエースとアヤであった。 ウルトラマンエースは当初、北斗と南という異性の合体で闘っていたが、 南は自分の使命を終えたとき、同胞たちが待つ月へと、帰って行った。

しかし、離れていてもずっと心は、側にいたという そして「優しさを忘れないでくれ」とずっと北斗は地球の任務から離れていた時も、 願い続けていた。

過ごした時間は短くてもアヤが寄せたミライへの白馬の王子への期待。 それらは、ミライの壊れそうになった心を繋ぎ、時空を超えて目に見えないものを力に変換させることを 可能にした。

月と地球、ガイズとメビウスは別々に離れていても、お互いの意思を繋ぐことによって、勝利を収めた。 それはエースが、月と地球とに別れて、南と離れていても長き戦いの間、心をずっと通わせていたという告白とともにである。

こういった、それぞれの環境を独立させたフィールドで包みながらも、平行させ、連動させて見せるという手法は、 ネクサスのNプロジェクト(Nプロジェクトとはウルトラマンネクサスという作品の総称)で先に展開していたが、 これを30分間の尺でやってのけたわけである。

だとすると、ヤプールと対で卑劣な人間兵器とも言える、ヒルカワの存在は、これからの決戦の1つのキーワードになるかもしれない。

大勢の人が理解できて、共感できるように分かりやすく丁寧に描いて、大切なことを伝える。 それは時間の長さではないのかもしれない。 大切なことはたった一言でも伝わる。

北斗と南という二人の再会を、実に34年の時を刻んで、引き合わせそして、 現在のメビウスとガイズ、アヤとミライの絆、そしてまだ見ぬ未来へ、「ウルトラマンメビウス」が新たな形の 「絆・ネクサス」を表現してみせたといえた。

ウルトラマンメビウス 第44話「エースの願い」  

異次元超人 巨大ヤプール / 満月超獣 ルナチクス 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザマ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / ヤプール 清水紘治 / ジングウジ アヤ いとう あいこ / ヒルカワ 加藤厚成 / 北斗星司 高峰圭二 / 南夕子 星光子

《声の出演》玄田哲章 / 加藤精三 / 江川史生

《スーツアクター》和田三四郎 / 丸山貢治 / 岩崎晋弥 / 横尾和則 / 福田大助 / 寺井大介

《シリーズ構成》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《脚本》長谷川圭一 《特技監督》菊地雄一 《監督》小原直樹 

《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新一 《企画》岡崎剛之 / 江藤直行 / 中村理一郎 

《プロデューサー》岩佐芳弘 / 渋谷浩康 / 山西太平 《制作プロデューサー》小山信行 《アソシエイトプロデューサー》小掛慎太郎 《ラインプロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》高橋義仁 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也 《録音》楠本龍巳 《操演》上田健一 《助監督》黒木浩介 《装飾》大藤邦康 《衣装》宮崎みずほ 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》熊本白仁 《編集》前嶌健治 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊一 《VE》高田秀雄 《スクリプター》森永恭子 《キャスティング》小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉 《操演》根岸 泉《殺陣》岡野弘之 《助監督》伊藤良一 《スクリプター》湯澤ゆき 《スチール》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン》丸山 浩 《キャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクターメンテナンス》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》池田遼 《CGIモーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバイザー》早川哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》大坪隆仁 / 上田和彦 / 澤田元春 / 小嶋律史 / 森 裕二 / 高松玲子 / 川口智久 《CGI マネージャー》小田達哉 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェクトアニメーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト》高田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD 担当》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《製作デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川勝一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤップ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / インスパイア / 日本照明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラプロ / スリーエススタジオ / 富士通 乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセンター / IMAGICA / クレッセント / Adobe Systems / ボーンデジタル / D.A.S.T / スタジオ・バックホーン / パンチライン / ワンダリウム / RECARO / 岡村製作所 / ナナオ / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / KENNETH COLE / Zoff

《撮影協力》高萩市 / AP&PP高萩事務所 / 東京タワー 《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 / 円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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