ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第45話「デスレムのたくらみ」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス 第45話「デスレムのたくらみ」レイゴ考察ソフトバージョン

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月での合戦を勝利したフェニックスネストは、地球に船体の矛先を向けていた。 フェニックスネスト内のモニターに映し出された ミサキが「タケナカ最高総議長は、ニューヨークに戻られました。ジングウジ博士も、神戸の方へ。」 と微笑みを浮かべながら報告をする。

サコミズもゆったりと「我々も地球に帰還します。」と報告した。 ミサキは「ヒビノくんもお待ちかねです。」と付け加えた。

「間もなく大気圏に突入します。」というテッペイの声にガイズクルーの笑顔を乗せて、フェニックスネストは 大気圏突入の深紅の火に包まれた。

テレビレポーターが高台で、フェニックスネストの帰還を中継するために待ちわびていた。 セスナが滑走する飛行場の芝生に腰を下ろし青く澄み渡る大空を見上げるミライ。

レポーターが「間もなく、月から帰還するフェニックスネストの姿が現れる予定です。 先日クルーGUYSは、未確認物体追跡のため緊急発進した、月面での任務を無事に終え・・・」とガイズの戦闘をねぎらい、 「あっ!見えました!フェニックスネストです!帰って来ました!フェニックスネストです!」 とフェニックスネストの勇士が上空の彼方に姿を現すと歓声をあげた。

ミライは「リュウさんたちだ。」と嬉しそうに口にし、 リュウもフェニックスネストの内部で「今、帰ったぜ、ミライ。」と口元をほころばせた。

突然空がぐにゃりとひん曲がり、不気味な赤いまるで液体のような何かが、フェニックスネストを後ろから 追いかけ、捕えた。そしてフェニックスネストは大爆発を起した。

「わっ」ミライは驚いて立ち上がった。

一人の男の運転するジープが、街頭テレビを取り巻いて立つ、人々の側に滑るように止まった。 ジープの男は、銀色の豊かな髪をなびかせ、口ひげとあごひげを蓄えたワイルドな面持ちで、 こげ茶色のサングラスと、同じくこげ茶色のライダースジャケットを身につけ、 街頭テレビを見上げると、サングラスを外した。その男は郷秀樹だった。

人々は同時に驚きの声を上げた。

アナウンサーは叫んだ 「フェニックスネストが!フェニックスネストが!爆発しました!信じられません。 どんな過酷な状況にも耐えうるはずのGUYSの船が・・・」 あとは言葉が続かない。

民衆の中にいた、深緑のキャップを後ろ前にかぶり、オフ白の作業用ジャケットには、 肩の部分にエメラルドグリーンのラインが施されている。茶色のスラックスと、 山吹色のシャツ、ダーク色のネクタイを締めた、男も「なんでこった・・・」と言葉少なく嘆いた。

アナウンサーはまくし立てる「帰還を待ち受けていた報道陣も、突然の出来事に騒然となっています。」

ミライは「うわああああーー!!」と叫び声を上げながら、隊員服の 胸についているガイズのエンブレムを掴んで全速力で走る。

基地からの報告がミライの耳に響く。 「敵の正体及び詳細は不明。なお、生存者を一名確認。くりかえす、生存者は一名。」

街頭テレビの アナウンサーは「フェニックスネストが空中爆破を起こした事件で、 フェニックスネストに搭乗していたGUYSクルーのうち、 奇跡的に生還したイカルガ・ジョージさんを除いて、隊長を含む5名が絶望的とみられています。」 とジョージの顔写真を公開しながら、民衆に告げた。

街頭テレビに足を止めていた女の子が「ママー、」と母親の顔を不安そうに覗き込む 「GUYSの人たち、本当に死んじゃったの?」母親は女の子を包み込むように 抱きしめた。

アナウンサーは告げる「搭乗していたクルーの名前は、次の通りです。隊長のサコミズ・・・」 レポーターが道行く人々にマイクを向ける 「すいませーん。犠牲になったGUYSクルーについて、一言お願いします。」

メガネをかけて黒いカバンを大事そうに抱えている男は 「GUYSクルーの命を奪った敵を、私は絶対に許せない!」とテレビカメラに向かって叫んだ。

若者は「きっとメビウスが、亡くなったGUYSクルーの敵を討ってくれるはずです!」とカメラに食らいつくように訴え。 「残念です。私は、あんな勇敢な若者たちのことは絶対忘れません。」白髪の初老の男性は言葉を詰まらせた。

若い女性も「私、ずっとGUYSの事、応援してたんです。それなのに・・・・」やはり言葉を詰まられた。 男の子は「メビウス!GUYSの分まで頑張って!」とカメラに向かってエールを送る。

ミライはその報道を見ながら「信じない・・・みんながもう、帰って来ないなんて・・・僕は絶対信じない。」 と深くうつむいた。 「私も信じてなんかないわ。」振り向くと、ミサキが立っていた。 「来なさい、ジョージくんの意識が戻ったそうよ。」

ジョージは病室のベットで、飛び起きた。包帯を胸に巻いた姿で、上体を半分ベットの上におこし、うつむく。 ジョージはあの瞬間を回想していた。

艦内のあちこちで、爆発が起こった。 船は海に浮かぶ木の葉のように大きく揺れる。 サコミズ隊長の背後でも大きな爆発があり、隊長は反動で机に突っ伏した。

物が落下して来る。 リュウは、何かが天井から落ちて来る気配を感じ、その真下にいたマリナに覆い かぶさった。

その直後、それはリュウの左肩を直撃した。 痛みに思わずのけぞるリュウ。

叫び声の上がる艦内。 ジョージの左側でも爆発が起こり、左脇腹を押さえてジョージは仰向きに倒れ込 んだ。

呻き声をあげてようやく起き上がったジョージが見たのは、奇妙な閃光。 そして紫色のガスのようなものに包まれたかと思うと、突如ジョージの身体は消 えた。

ミライがジョージの横に立った。「ジョージさん!」 ジョージはミライから視線をそらした「すまない、俺だけ戻って・・・」と言葉を濁した。

ミライは「何を言うんです、ジョージさん。みんな、生きてるんですよね?死んだなんて嘘ですよね?」と 必死にジョージに聞く。 ジョージは静かにうなずく。

「あー良かった。僕、絶対生きてるって信じてたんです。」しかしジョージの表情は固いままであった。 「どうしたんです?ジョージさん。何があったんです。 話してください!」ミライは目を大きく見開くと、ジョージを覗き込む。

ジョージは「俺は四天王の一人、デスレムからのメッセージを伝えるために、 一人だけ帰されたんだ。奴は、仲間の口からメビウスに伝えるようにと。」 といった。

その時、空に赤い光が四方に放散する。それは間もなく燃える炎の色で楕円を描き拡がった。 「なにあれ」民衆は声を上げる。 そして、民衆は叫び声を上げた「フェニックスネストを襲ったのと同じ光だ。」

首が長く、黒いからだから骨が浮き出たような形態、 片方の左手が扇子のようにいびつに広く、黄色い目が3つあるように見える面相のデスレムが直立不動状態で、降りてきた。

デスレムはビルの真上に降り、そのビルを木っ端微塵に粉砕した。 そして、その扇のような左腕を振り下ろすと、それに連動するように空の穴から火球が次から次へと、 街に振りそそぎ黒煙を上げる。 逃げ惑う人々で、街は混乱を極めた。

同時に扇の攻撃連動して、天空からも、湧きあがる赤黒い暗雲から火球が発射され、地上目掛けて襲って来た。 ビル街に落ちた火球の威力は凄まじく、一気に複数の建物を爆発させ、炎が辺り一面を呑み込んで行く。 デスレムは獣のような咆哮を上げると、街を壊しながら歩きだした。

ジョージはミライに伝える。 「奴の望みは、この地上でのメビウスの完全なる敗北。それが残りの仲間を帰す条件だと。」 ミキサが思わず目を見開いた立ち尽くすミライを見る。

アラーム音が基地内に響き渡り、 警告がアナウンスされる。 「綾瀬市に宇宙人が出現。総員戦闘配置。繰り返す、総員戦闘配置。」 ミライは、ジョージと頷きあうと外に飛び出した。

逃げまどう人々。数々のビルは粉々に跡形もなく吹き飛び、紅蓮の炎を立ち上らせ破壊される街。 ミライは逃げる人々に逆走して、走ってデスレムに近づき叫んだ 「やめろーデスレム。」

と同時にジョージの言葉がミライの脳裏に木霊する。 『奴の望みは、この地上でのメビウスの完全なる敗北。それが残りの仲間を帰す条件だと。』 ミライは一瞬躊躇するが、「メビウーーース!!」と変身を遂げた。

メビウスの登場の気配を察したデスレムが振り返る。 メビウスはデスレムに対峙すると、ファイティングポーズを取る。

メビウスの出現に 逃げていた民衆が立ちどまった。

民衆は「メビウスだ!」 と口々に叫ぶと、「メビウス!GUYSの仇を討ってくれ!」 「頼むぞーー!」と声援を送った。

メビウスは市民の声援に深くうなずくと、デスレムに向かって走り出そうとした。 その時、再びジョージの声が脳裏によみがえる。『メビウスの完全なる敗北。・・・』

デスレムは左手を振り、メビウスに次つぎ火球を浴びせかける。 メビウスは反撃する事も出来ず、横倒しに倒れこんだ。

メビウスはデスレムに『仲間を帰せ。』と訴えた。 しかしデスレムは『フフフ・・・お前が約束をまもったらな。』 と不敵に笑った。

逃げまどう人と逆走して郷がその目を凝らすと、上空の一箇所にガイズが囚われているのを見つける 『メビウス・・・』 郷は、メビウスにテレパシーで語りかける。

メビウスは気づく『ジャック兄さん。』 郷が促す『あれを見ろ。』

薄暗いフェニックスネストの艦内では、肩を負傷したリュウが、マリナに三角布あてがわれ、 サコミズは床の上で、横たわっていた。

デスレムはふてぶてしく言い放つ『ウルトラマンジャックもメビウスも、おとなしくしているんだな。 さもないと、あの球体が木っ端微塵になって、人間たちの上に降って来ることになる。ファハハハ・・・』

デスレムはメビウスに突進すると、正拳を一突き、メビウスのボディに叩き込んだ。 そして首を掴み、引きざまに投げ飛ばした。 もんどりうって地面に転がるメビウス。

デスレムの左手をようやく掴んだメビウスだったが、 蹴りを入れられ左手の強烈なパンチを喰らい、クルクル回転しながら吹っ飛んだ。

取り巻く群集を押しのけて、報道の腕章をつけた男が前にでて来ると男はメビウスを厳しい顔つきで下から見上げた。 民衆は口々に「何やってるんだ、メビウス!」 「そいつはGUYSの仇なんだぞー!」 「一緒に戦った仲間がやられて、悔しくないのかよー!」 と叫んだ。

メビウスは悔しげに、目の前の土を握りしめる。 カラータイマーが赤の点滅を始める。

ジョージがトライガーショットでデスレムに一矢報いるが、デスレムは痛くもないという風に、 パンパンと身体をはたくと、倒れているメビウスに左手の裏拳を叩き込む。

またもや吹っ飛ばされ、地面を転がるメビウスの背中にデスレムが足をかけた。 メビウスにさも嬉しそうに囁くと、最後にもう一度メビウスの背中を足蹴にすると、左手を体の前に振り降ろした。

デスレムは『とどめは次のお楽しみだ。え・・・フハハハハ・・・・』 と赤い陽炎のように高笑いを響かせて姿を消した。 飛び立つこともなく、その場にかき消えるメビウスに「メビウス・・・!!」落胆の色の隠せない民衆。

変身の解けたミライは、飛行場の フェンスを強く掴み悔しがった。

ジョージが「大丈夫か・・・」とGUYSトラーガーショットを握り締め駆け寄った。 ミライは悔しげに「僕が弱いなら、いくらでも努力する。強くなれるように。 でも・・・こんな、何も出来ないなんて・・・戦ってやられる方が、まだましだ!!」 と座り込んだまま、感情を吐き出した。

そこに民衆がどやどやとミライたちを見つけて寄ってきた。 「何、メビウスみたいにへたってんだ!」 「これじゃぁやられた仲間が浮かばれないよ!」 「あんたらの仲間が、5人も死んだんだぞ!」

カメラマンは無遠慮にバシャ、バシャと、ミライたちの 写真をとる。 ミライは「死んでなんかいない!」と食ってかかった。

ジョージが「よせ・・・」と制するが、ミライはその感情がもはや抑えきれず、 「僕の仲間は、死んでなんかいない!人質にされてるだけで、死んでなんかいない!」と叫んだ。

民衆は「え・・・」と一瞬ひるんだのち、 報道陣の男が「そうか、それでメビウスは、あんなやる気のない戦い方をしたんだな。 仲間が捕まってるから、メビウスもGUYSも、本気であいつを倒そうとしないんだ。」 と口火を切った。

民衆は「街の人間が、逃げ惑ってるっていうのに!」と吼えた。 なおも詰め寄るように「市民と仲間とどっちが大事なんだよ!」 と怒鳴りつけた。

ジョージが「ちょっと待ってください!」 と間に割って入るが、そのやりとりは写真の報道プレスに納った。 民衆に詰め寄られ、糾弾される2人は新聞の紙面にスクープされた。

新聞には大きく「市民より仲間が大切?」「GUYSへの非難高まる」 と報道されていた。

ネットハンガーにはパーツが掛けられ、カウンターの奥の小さなショーケ ースの中には雑多に商品が並んでいて、 店の外には中古のレトロなテレビ、BSアンテナ、冷蔵庫などが、ブロックの下駄 をはかせた板の上に置かれ、店の横には大八車まである、きくち電気商会では、

店員が新聞を広げながら「なんなんすかねー、GUYSって。市民そっちのけで、仲間守ってさー。ねー社長?」 とぶつくさと、のたまう、社長は掃除用に持っていたはたきで、店員の腹を叩くと 「油売ってるヒマあったら、おもて掃いとけ。」とあごをしゃくった。 店員は「はい!」と慌てて外に飛び出す。

社長は「ったく・・・」とため息まじりに言うと、 「勝手な事、書きやがって。」と新聞を一瞥する。 と 無線が入ってきた。社長は無線を取り、聞きはじめた。

報道陣はミサキのところにも押しかけていた「総監代行!お話をお願いします!」 ミサキを取り巻き、まとわりつき、「市民とクルーと、GUYSでは どちらが大切だと教えてるんですか?」とマイクを突きつける。 無言で歩き続けるミサキに報道陣はなおも執拗に、 「一言お願いします!」と突っ込む。

そして「市民を守るべきGUYSクルーが、生きて人質になってること自体、間違ってるという声も上がっていますが?」 という言葉に思わずミサキは相手の男を睨んだ。

男は「あ・・・おや?市民に反論する気ですか?」と強気で反論をする。 報道陣はガイズから侵入を制止されながらも「お願いします!一言お願いします!」とがなり立てていた。

ミライは「何故なんだ・・・クルーが絶望的だと報じられた時、あれほど悲しんでくれた人間たちが、 今ではクルーが生きていることを非難している。生きて人質になったことに腹を立てている。」というと両手の 拳を握り締めた。 「いったい僕たちは、なんのために戦って来たんだ!」薄暗い部屋で一人でミライは胸のエンブレムを握り締めのだった。

白いもやが立ちこめる漆黒の異空間で、謎の皇帝に仕える、 暗黒四天王はメビウスに破れたヤプールを除くメフェラス、グローザム、デスレムと円陣を作っていた。

メフィラスが愉快そうに笑う「ハハハ・・・面白くなってきましたね。」と顎に手をおくと グローサムは「フッ」と鼻で笑い「・・・それで、とどめはどう打つ?」とデスレムを見る。 デスレムは「フフフ・・・まぁ、見ていろ。」と余裕を見せる。

薄暗いフェニックスネストの艦内では、横たわる負傷した サコミズに コノミは「痛みますか?」と聞きながらサコミズの額の汗を拭く、 サコミズは荒々しい息の下で「いや・・・」という。

リュウは「くっそ・・・デスレムはいったい何のために、こんな事をするんだ?」痛む肩を押さえるて悔しがる。 サコミズの「奴は、メビウスと人間の絆を断ち切るつもりなんだ。」ということばに計器の修理をしていたテッペイが 振り返り、みな顔上げ、サコミズを見た。

「私たちのせいで戦えないメビウスを見せ付けて、人間とメビウスの間の信頼を叩き壊すつもりだ。」 テッペイはまた手を休めることなく、修理を再開した。

リュウは「俺は・・・」と言いかけて「いや・・・」と押し黙った。

マリナがふっと笑うと「帰れなくてもいい・・・そう言おうと思ったんでしょ?」というと立ち上がり 「熱血バカらしくないわねぇ。 仲間に気を使うなんて。たとえ一時でもGUYSのメンバーになると決めたあの時、それぐらいの覚悟はしてた。」 と微笑んだ。

すぐさまコノミが「私もですよ。」と微笑む。 テッペイも「僕も。」と答え、「僕等の気持をミライくんに伝えましょう。」 という、リュウは「そんな事、出来るのか?」と驚くが、 テッペイは「基地との回線は死んでいますが、あらゆる周波数帯の電波を発信すれば、 どこかで誰かが拾って基地に知らせてくれるかもしれない。」といい

「それが僕の最後の仕事です。」と毅然と見据えた。

飛行場で満天の夜空を見上げるミライとジョージは並んで芝生の上に腰を下ろしていた。

ジョージは「ミライ、知ってるか?俺の子どもの頃の夢。」とミライに話しかけた。 「ええ、いつかマリナさんから聞いたことがあります。ジョージさんの夢は、ウルトラマンになることだったと。」 ジョージは「ああ・・・俺の一番最初の夢は、お前になることだったんだ。」とじっとミライを見る。

「ウルトラマンになって、この地上で懸命に生きている人たちの、ささやかな幸せを守ることだった。 難しいんだな、」ジョージは語気を強めた「守るって事は。」そしてふっと息を抜き「ぶち壊すのは一瞬なのにな。」 と呟くように付け足した。

夜が明けてもまんじりともせずにいたミライは、新聞が破り捨てられ風に舞う広場で一人座っていた。 ジープが止まり、郷がヒタヒタとミライに近づいて来た。

郷の姿に気がついたミライは「兄さん、僕は怖いんだ。もし、仲間たちを助けられなければ、僕は自分自身と人間と、 両方を許せないかもしれない。僕は地球に来て、こんなに恐ろしいと思ったことはありません。」 と一気に告白した。

郷は「それでいいんだ、メビウス。人間を愛するには、人間を知らなければいけない。」というと、 サングラスをはずし、 「人間の強さも、弱さも、美しさも醜さも、その両方を知らなければ。お前はこの星を愛する事は出来ない。」 ミライは「兄さん・・・」と顔を上げた。

郷は「俺たち兄弟は、戦い続けて来た。この星が守るに値する星だと信じて。 この星の未来は今、お前と」サングラスでミライをさしながら「この星に生きる人間に託されている。」 といった。

そこにはいつもの平穏な生活があった。 人々が行き交う街並み。

大きな荷物を持ちバスに乗り込む人、年配の方達、小さな子どもを連れた家族連 れもいる。 街は賑わい、大勢の人々がそれぞれの生活を生きている。

若い男女が「あれ?あれは何だー?」 「えっ?」と空を見上げた。デスレムはまた直立不動のスタイルで降りてきた。

ミライは、メビウスに変身した。 デスレムはメビウスを嘲笑するかのように「フフフフ・・・」と笑い「見るがいい!」と指し示した。

液体のような しゃぼんのような球体の中にとらえられているフェニックスネストだ。

民衆は指差した「フェニックスネストだ!」 「何やってるんだ!人質なんかになりやがって!恥を知れ!」「そうだ!」「恥を知れ!」

民衆の口々の声に デスレムは「あれが、人間たちに疎まれているお前の仲間。お前は、何一つ救えない。 愚かで身勝手な人間を恨みながら、もろとも滅びるがいい!!」 と左手を振りかざした。

メビウスは、 横っ飛びにすっ飛ぶと、自らの体を楯に人間を守る。メビウスの腹で火の玉は炸裂した。

店員は危険を極めてきたため「社長!社長ー!」ときくち電気商会に飛び込んできた。 きくち社長は「おー!」とフロシキやらで包んだ荷物を持ってでてくる。

店員は叫んだ「社長!ここは危ないっす。早く逃げましょう!」 社長は「お前、先に逃げろ!」と荷物を店員に渡した。 店員は「いや、でも社長・・・」と気遣うが、 社長は「いいからいいから、早く!」と店員を行かせた。

その時無線の声が聞こえた「無線を・・・している方、応答願います。こちらフェニック・・・ストです。・・・ 出来る方は・・答・・・願い・・・」 きくち社長は慌てて応答した。「フェニック・・・サムシング。こちらのコール、JK1・・・」

稲妻のように落ちてくる火の玉が、町を真っ赤に染めて、次々爆発を起す。 報道局はデスレムの進撃に「急げ!急げ!」と避難に努めていた。 報道局内は、書類の入ったダンボールやファイルを抱えて避難に走る局員たちで騒然としていた。

その時、デスクは1本の電話を拾った「何ですって?フェニックスネストの電波を拾った?」 聞いていた局員たちは、色めきたって集まってきた。

きくち社長は「間違いない!クルーが呼びかけてるんだ。」と断言した。

デスクは振り返った「中継車、向かえるか?」 スタッフは一瞬「あっちは戦闘地域です。」と答えるが、 しかし「行きます!」と返した。

デスクは大声を上げた「頼む!みんな放送の準備だ!」 報道スタッフは「はい!」と一斉に返事を返した。

きくち社長は「こっちです!」と駆けつけた報道陣を誘導する。 「はい!」 きくち社長は無線を指差す「これです。」 「おい、カメラ、急げ!お願いします。」

メビウスの周りは火球の絶え間ない攻撃に火柱がたつ、そして それは、メビウスのボディに直撃。メビウスは吹き飛ばされた。 カメラは無線機の前で回り始めた。

リュウの声が無線を通して全国に中継された。 「立ち上がれ、メビウス!そして戦うんだ!俺たちにかまうな! メビウス、戦え!俺たちの事はいいから、一人でも守るんだ!」 リュウの言葉に頷くジョージ。

「GUYSクルーの心は一つだ。 俺たちの思いはお前に託す。メビウスどうか俺達のぶんも闘ってくれそして、街の人たちを守ってくれ!」

民衆は一瞬の静寂のあと、「あいつらがずっと俺たちを守ってくれていたんだ。」と顔を見合わせた。 「くっそー!」と男は自分の頬を殴ると「GUYSのクルーたちが!」何かに気づいた民衆は、自分たちの行いに言葉を吐いた。

女の子がメビウスに叫んだ「メビウス!GUYSの人たちを助けて!」 民衆は一斉に拳を振り上げ声を張り上げた「そうだよー!メビウス。」「GUYSを頼む!」「頼むぞー」

メビウスは民衆の声に、デスレムに飛び掛って、そのボディにメビウスパンチの連続殴打だ。

デスレムは左手を振りかざす。その瞬間、郷はウルトラマンジャックに変身した。 メビウスが『ジャック兄さん!』と呼びかける。

ウルトラマンジャックはデスレムの扇から連続で振り下ろし、放たれた球体への攻撃を右に左に高速で追いつき、そのすべてを ウルトラVバリヤーで粉砕した。

きくち電気商会の店員が「社長!社長!」と喜ぶ、メビウスと帰ってきたウルトラマンの戦闘をカメラに収める 報道陣の前に立ったきくち社長は満面笑みを浮かべると、 「ウルトラマンが・・・帰って来たー!!」と歓喜の声を上げるのだった。

ジャックは毅然として言い放った『メビウス、デスレムを倒せ!』

声援よ届けと、母親に高く抱きかかえられた女の子が、「頑張って!メビウス!」とエールを送る。 民衆は「行けー行けー頑張れー!」と大声援を送る。頷くメビウス。

メビウスは、全身から友情の炎を立ち上らせると、バーニングブレイブに変身した。

メビウスは、 デスレムに走りこむと、 満身のパワーを手に込めて、メビウスパンチを頭部に食らわす、 メビウスキックを増強させた回し蹴りが、デスレムにズバット決まる。

そして、つかんで空中に投げとばす、メビウスホッパーが炸裂。 次は全身のパワーを足に集中させ、 強力な前蹴りを打つメビウスキックだ。

デスレムは左手を振りかざす。 ジョージが叫ぶ「総監代行!」 ミサキが答える「メテオール解禁!」

ジョージは、GUYSトラーガーショットでキャプチャー・キューブを発射した。3本の矢のようにそれは 3つの曲線を描いて蒼く輝きながら、メテオール弾は、群集をバリアの中に守った。 群集はキラキラと蒼から、透明に輝くバリアに「おお」と感嘆の声を漏らす。

メビウスは、デスレムに向かい、必殺技メビュームシバーストを放った。 ウルトラマンジャックもスペシウム光線を放つ、デスレムを2大戦士の必殺技を食らい大爆破を起した。

女の子は「やったー」と喜び、 民衆もそれぞれ「やったー!」と笑顔がもれる。 ジャックは、フェニックスネストをそっと滑走路に置くとジュワといずこかへ飛び去っていった。

ミライはガイズの煤けた顔を見ると「みんな・・・!」と言葉を詰まらせた。

リュウは「今、帰ったぞ。」とミライに笑いかける。 マリナも「ただいまー」 コノミも「ただいま。」と笑顔だ。 そしてミサキは基地の中でその様子に微笑む。 サコミズがミライに「心配かけたな。」と言葉をかけるとミライは、 「いいえ、隊長」といったあとたまらず、涙がこぼれた。

リュウは「泣くなよ、みっともない。」と笑うが、 ミライはリュウの首に抱きついた。 リュウは負傷した肩の痛みに「痛っ・・・」とのけぞりながらミライを受け入れる。 きくち社長と店員もフェンス越しにそれを見て涙ぐむ。

郷は、遠くからその様子を眺めると、サングラスをかけ 「GUYSという家があり、仲間がいる。」といった。

ジョージが何かを感じてすばやく後方を振り返った。 テッペイが「どうしました?」と聞くが、 ジョージは「いや・・・なんでもない。」と否定した。

ミライは「本当に・・・本当に無事でよかったです。」 ともう一度嬉しそうに告げる。 サコミズは「さ、行こう・・・」とそれぞれの傷ついた体を庇いいたわりながら歩きだした。

郷を乗せたジープは走り去っていった。

管理人のここが考察ポイント

デスレムは勝利を有利にするために、ガイズクルーの身柄を拘束し、 そのために戦えないメビウスを民衆に見せ付けて、 人間とメビウスの間の信頼を叩き壊すつもりであったが、 反対に民衆がガイズの側についてしまったことで、敗北する。

自分の力だけで戦うのではなく、誰かの力を利用する。 自分が勝つために強くなろうと努力をするのではなく、相手が戦えないようにして、勝とうとする。

いずれも、自分が上昇するよりも、相手の足をぴっはり、相手を落とした方が、楽であるからである。 競争をしようとしたら相手の方が速そうだ、トレーニングをつんで、自分が速くなるのではなく、 足を出して転倒させてしまえ、 というような魂胆であるが、足を出したところ、相手が転ばず自分が転んでしまったという訳だ。

この計画の敗北の原因の多くは、計画がすでに相手に依存されているものであるため、 相手が自分の思惑通りに動かなかった場合の勝利はない。計算通りに動かないから人なのである。

「倒せデスレムを」とジャックが余分な手出しをせずに、メビウスをサポートするかのように存在したのも、敵を 倒すために支えはするが、自分の敵を倒すのは他でもない、自分自身であるということをメビウスに教えるためであったのだろう。

メビウスは僕が弱いなら、いくらでも強くなれるよう努力する。と語った。 努力をすれば必ず勝てるわけではないかもしれない。 しかし勝つやつは必ず努力をしていると言えるということでもある。 そして、相手が戦えないことから弱くなったとしても、自分が強くなったわけではないことを認識すべきである。

ガイズ隊員は、メビウスの足手まといになることを悟った時、死を覚悟した。 この決意は、決して未来を諦め、デスレムへの敗北を覚悟したわけではない。 『人間は負けるようには作られていない。人間は殺されるかもしれない。しかし、負けはしない。』 といったヘミングウェイの言葉が示す強い精神の表れである。

人間の強さも、弱さも、美しさも醜さも、その両方を知らなければ。この星を愛する事は出来ない。と郷はミライを示唆したが、 長所と短所は表裏一体である。

ガイズの死を悲しんだ同じ人間が、生きて人質になったのなら人の恥と思い。 民衆を先導してミライたちを断裁したマスコミが、もっとも危険現場に駆けつけ、ガイズの心を民衆に伝えるパイプにもなる。

それぞれが憎まれそして愛される存在なのである。

人は良いところばかりではない。その良いところも悪いところもひっくるめて、愛してくれるウルトラマン。 相手の悪いところも愛せなければ本当の愛ではないかもしれない。

本当に人々を愛してくれるウルトラマン。 だからこそ、人々はこんなにもウルトラマンの登場に期待し、ウルトラマンの活躍に胸踊り、ウルトラマンを忘れないのだろう。

帰ってきたウルトラマン企画書について

下記は、TBSの当時のプロデューサー橋本洋二氏に提出した「帰ってきたウルトラマンの企画書」の抜粋である。 (世田谷文学館展示) この作品でメインライターを務める上原正三氏は、主人公の郷 秀樹の人間的成長をテーマとして打ち出した。

帰ってきたウルトラマンは1971年4月2日から1972年3月31日(TBS系 毎週金曜日19時から19時30分まで放送されていた全51話) 当時はウルトラマンとの区別が特になく、放送終了後の実に12年後1984年「ウルトラマンジャック」という正式名が与えられた。 しかしファンは「帰りマン」「帰マン」「新マン」とこだわりの名で呼び、ジャックの名前の定着率は以外に低かった。

新番組企画書特撮怪獣シリーズ(注1)「帰ってきたウルトラマン」

東京放送 6 (注2)TABUCUI(注3)


(注1)補足タイトルがウルトラマンシリーズではなく、特撮怪獣シリーズであることに注目したい。 当時はウルトラマン、ウルトラセブンに続く3作目でありながら、 ウルトラマンシリーズ(ウルトラシリーズ)という意識がなく、 それを名乗ってもいない。

(注2)TBS(東京放送)の放送チャンネルが6チャンネルでるあることからこの【6】という数字が記載されている。

(注3)個人の私物であったため持ち主の名前がローマ字で記載されている。

「帰ってきたウルトラマン企画書」

「以下原文のまま」

『今から4年前、つまり1966年7月、TBSのブラウン官にカッコいいヒーローが誕生しました。

「ウルトラマン」それは、日本中のこどもたちを完全にシビレさせ視聴率は、平均36.8% 最高42.8%という文字通りウルトラ大ヒット番組だったのです。

(参考に、再放送でさえも6時台という浅い時間帯にもかかわらず、平均18%台の高い視聴率でした。)

さて、私たちはこのウルトラ大ヒットを飛ばした「ウルトラマン」 の勇姿をもう一度ブラウン管に登場させようと思うのです。 むろん、新しいシリーズとして制作します。


この注目すべき一文から推察すると、「帰ってきたウルトラマン」というのは「ウルトラマンが帰ってきた」という内容を そのまま番組タイトルとして使用したと言える。 こうして提出された帰ってきたウルトラマンは、以来たくさんのこどもたちを魅了した。

そして、40周年記念作品ウルトラマンメビウスにおいてはじめて、 「ウルトラマンジャック」と正式に本編で語られ、またウルトラマンが帰ってきたと同時に当時のプロットを 振り返って、本編で語られたという 注目すべき1作であったことは付け加えねばならないだろう。

ウルトラマンメビウス 第45話「デスレムのたくらみ」  

策謀宇宙人 デスレム 登場 

《キャスト》ヒビノ ミライ 五十嵐隼士 / アイハラ リュウ 仁科克基 / カザマ マリナ 斉川あい / イカルガ ジョージ 渡辺大輔 / アマガイ コノミ 平田弥里 / クゼ テッペイ 内野謙太 / サコミズ シンゴ 田中 実 / ミサキ・ユキ 石川沙彩 / きくち英一 / 瀧佳人 / 大竹周作 / 片山雅彦 / シンスケ / 八神徳幸 / 堀田智之 / 金井昌宏 / 佐田明 / 若林亮 / 大久保英一 / 内田文吾 / 尾上博美 / 八木優子 / 藤田愛美 / 早川プロダクション / 郷秀樹 団時朗 《声の出演》加藤精三 / 郷里大輔 / 江川史生 《スーツアクター》岩田栄慶 / 相馬絢也 / 寺井大介 / 福田大助 / 山本諭

《シリーズ構成》赤星政尚 《設定考証》谷崎あきら 《脚本》太田愛 《監督・特技監督》村石宏實 

《監修・製作》円谷一夫 《製作統括》大岡新一 《企画》岡崎剛之 / 江藤直行 / 中村理一郎  《プロデューサー》岩佐芳弘 / 渋谷浩康 / 山西太平 《制作プロデューサー》小山信行 《アソシエイトプロデューサー》小掛慎太郎 《ラインプロデューサー》中井光夫 《音楽プロデューサー》玉川 静 《音楽》佐橋俊彦

=本編スタッフ=

《撮影》倉持武弘 《照明》佐藤才輔 《美術》内田哲也 《録音》楠本龍巳 《操演》上田健一 《助監督》石川整 《装飾》大藤邦康 《衣装》宮崎みずほ 《メイク》今井志保 《車両》野口茂樹 《製作主任》高橋誠喜 《編集》矢船陽介 《VFX》田代定三 《デジタルエディター》柳生俊一 《VE》高田秀雄 《スクリプター》島貫育子 《キャスティング》小島文夫

=特技スタッフ=

《撮影》新井 毅 《照明》高野和男 《美術》佐々木朋哉 《操演》根岸 泉《殺陣》岡野弘之 《助監督》伊藤良一 《スクリプター》島貫育子 《スチール》橋本賢司 《制作主任》菊池英次 《キャラクターデザイン》丸山 浩 《キャラクターデザイン・イメージボード》酉澤安施 《キャラクターメンテナンス》宮川秀男 《タイトルデザイン》佐藤さい子 《仕上げ》鶴田幸伸 《CGIモーションディレクター》板野一郎 / 円谷CGI-ROOM 《CGIスーパーバイザー》早川哲司 《CGIディレクター》祖父江成則 《CGIデザイナー》澤田元春 / 上田和彦 / 小嶋律史 / 高松玲子 / 島田友春 / 小杉淑美 / 川口智久 《CGI マネージャー》小田達哉 《エフェクトコーディネート》小野寺 浩 《エフェクトアニメーター》増田英和 《デジタルマットアート》有働武史 《カラリスト》高田 淳 《音響効果》古谷友二 《編曲》池田地香子 《整音》松本能紀 《MD 担当》福井 顕 / 須賀久子 《催事宣伝》古池啓一 / 大野まゆみ / 菅野悦子 《製作デスク》石渡牧子 《番組宣伝》重松和世 / 橋本栄次 / 太田小由美 / 堀川勝一 / 武藤博昭

《協力》松下電器産業 / ドゥカティジャパン / クリエイティブ・オフィス ヤップ / 銀座サクラヤ / プログレッシブ / キャン・インターナショナル / 日本照明 / 東宝ビルト / 東宝コスチューム / 開米プロダクション / 亀甲船 / スワラプロ / スリーエススタジオ / 富士通 乾電池 / ヒルマモデルクラフト / ハルジン / グレイショコラ / 宗特機 / コダック / ムーンスター / 日本エフェクトセンター / IMAGICA / クレッセント / Adobe Systems / ボーンデジタル / D.A.S.T / スタジオ・バックホーン / パンチライン / ワンダリウム / RECARO / 岡村製作所 / ナナオ / Nikon / 日本光電 / レイト商会 / K2JAPAN / 富士グローブ / KENNETH COLE / Zoff / ジュジュピー 《撮影協力》ジャムコ / 横須賀市上下水道局 / 横須賀市西浄化センター / 横須賀ロケサービス / 横浜市みなと赤十字病院 / 横浜フィルムコミッション / 立川高島屋 / シネマシティ / 立川市 《制作協力》電通  《製作著作》中部日本放送 / 円谷プロダクション  《提供》BANDAI

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