ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス 第46話「不死身のグローザム」マニア考察】

ウルトラマンメビウス 第46話「不死身のグローザム」ハードバージョン

メビウスマニアライター 棺桶のジョー

赤星政尚(シリーズ構成)、谷崎あきら(設定考証) 脚本/川上英幸 監督・特技監督/村石宏實 冷凍星人 グローサム*1登場

 四天王のうち二人が倒れた。だが、グローザム(声:江川央生)は、 俺がメビウスを倒し、本当の強さを見せてやると意気込んでいる。メフィラス(声:加藤精三)は、 敵はメビウスだけでない、用心した方が良いと、例によりバカていねいな言い方で忠告するが、 グローザムはもう勝ったつもりである。

 そして、フェニックス・ネスト、デスレムは倒したものの、 人質に取られたGUYSのメンバーは、男性はテッペイ(内野謙太) を除き重症だ。サコミズ隊長(田中実)は大怪我であり、ジョージ(渡辺大輔)、 リュウ(仁科克基)も戦える状態ではない。 残ったミライ(五十嵐隼人)、コノミ(平田弥里)、マリナ(斉川あい)らで戦うしかないとなった*2。

 ところが、そんな折に、グローザムは、怪人体にコートを羽織った等身大の姿で高倉市のダム*3に現われて、 一気に水を凍らせてしまう。その異変は、GUYS基地にも伝わり、ミライと、テッペイが出動する。 しかし、テッペイの様子がおかしい、ひどく寒がっている。 そんな二人の前に、グローザムが現われる。ミライは銃を放つも、 弾丸?光線?は凍らされてしまう*4。この星全てを凍らせるのもたやすいと威張る。

そして、ミライに、メビウス、戦えと挑発して巨大化する。テッペイは、大変な熱であるが、ミライに、 これは罠だ、変身してはいけないと忠告するも、ミライは敵に背を向けるわけには行かない、 意を決して変身し、メビウス(スーツアクター・和田三四郎)になる。 まずキックを放ち、格闘戦では何とか互角なものの、次第に追い詰められる。

メビウスは、必殺のメビュームシュートを放ち、グローザムの体に風穴を開ける。見ていたマリナ、 コノミはこれで勝ったと喜ぶが、グローザムは笑って、ビクともしない、 開いた穴、あっという間に復元である*5。そして冷凍攻撃をかける。 ならばと、テッペイはファイヤーウィンダムを送り、攻撃させるが、最大出力でも敵わない、 1分経ってアウトである。

メビウス、コノミの声援でバーニングブレイブになり、メビュームバーストを放つが、 これすら冷凍怪人のグローザムにはビクともしない、メビウスはカラータイマーが点滅、 そして、グローザムはメビウスをぶちのめし、最後に剣を突き立てて、そのまま一気に凍らせてしまうのである。

コノミは悲鳴を上げる*6。凍り、剣を立てられてダムに磔にされたメビウス、グローザムは勝ち誇り、 メビウスは倒した、やがて皇帝が降り立つ、と宣言した。ミライに叫ぶコノミ、 返事をしてと言っても、答えはない・・・

 宇宙で、メフィラスを前に、グローザムはルーキー、メビウスは話しにならない、 残りの兄弟たちも同じように片付けてやるともうウハウハである。 スーパールーキーから場外ホームランを放って、興奮してヒーローインタビューに応じるスラッガーのようである。 メフィラスは、人間に気をつけろと、またバカていねいに言うのだが、 ウハウハのグローザムは、凍らせてやると聞く耳を持たない。

 そんな折、馬を駆り走る風来坊がいた。ウルトラセブン=モロボシ・ダン(森次晃嗣)である*7。 メビウス=ミライの死に落胆したコノミの前に現われて、あきらめてはいけないと語る (BGMは劇場版アレンジの、セブンのテーマ)。

ウルトラマンは、強敵に敗れることもあるが、人間の、仲間の力により救われたと、自分の、 ガッツ星人とのバトルを思い出して語る*8。ウルトラマンも、人間も、仲間がいる限りどんな強敵にも勝てると言う。 さらに、コノミに、目を瞑ってみるように言うと、コノミに、ミライの、「僕は生きています」という声が聞こえた*9。 ダンは、メビウスを助ける方法が必ずある、あきらめてはいけないとコノミに語る。

 GUYS基地では、ミサキ・ユキ(石川紗彩)がメビウス救出作戦を立てていた。 メテオール・マグネリューム・メディカライザー、かつて、ガッツ星人の手に落ちたセブンをウルトラ警備隊が救った、 マグネリューム・エネルギーを、メテオールカートリッジにより放射して、 メビウスを再生させるものである。

だが、相手は不死身のグローザム、 そのまま戦っても勝てない、とマリナが心配するが、コノミは、仲間がいる限り勝てると言う。 そして、フジサワ・アケミ博士(石橋けい)が現れた。グローザムを倒す装備を作り、 7時間で完成すると言う。その点は考えてあると言うのだ。 さらに、フジサワは不思議ちゃんこと、ミライの正体も感づいていた。 ウルトラマンも、人間もともに戦ってナンボだ、という。

ダンは、メビウスに、待つのだ、必ず助かる、人間だろうと、宇宙人だろうと、 君を仲間として認めてくれた仲間たちが…それを乗り越えた時、さらに大きくなれると言う。 フジサワは、ガンウィンガーでエネルギーを与える作戦を、人形で示す*10。

しかし、フジサワの作戦にはこの作戦にはパイロットが二人要る、だが、 男性陣は全滅…フジサワは、道理で作戦室が広く感じられると言うのだが、 ともかく、ガンウィンガーはマリナに操縦させるとして、ガンローダーは、どうする、 となり、リュウ、ジョージ、テッペイの男性陣が、休んでいられない、俺たちがやると出てくる。

ところが、フジサワは、意気込みは買うけど、三人とも戦える体ではないと言う*11。コノミは、 ミライを助けたいと、ガンローダーに乗ると言う。サコミズ隊長は、男は全員病室に戻れと命じる。 かくして、作戦名、プライド・オブ・ガールズの発動である。 ガンフェニックスは、アライソ班長に整備してもらっている。

マリナがガンウィンガーに乗り出撃、コノミは、手が震えているが、ミライに教わった、勇気の出るおまじない、 メガネをセブンの変身のようにジュワ、とやると、リムエレキングが現われて、手の震えが止まった。 そして、コノミも出撃する。

 ダムに磔にされたメビウス、メテオール発令で、マリナはマニューバモードにガンウィンガーをして、 マグネリューム・エネルギーをメビウスに与えようとする。 が、そこに冷気!グローサムの妨害である。あと20秒しかない!と、 ダンはテンガロンハット*12を脱ぎ捨て、ウルトラ・アイを装着して、 セブンに変身!グローサムを押さえ、その隙に、マリナはエネルギーをメビウスのカラータイマーに注ぎ、 メビウスを復活させた。後は、コノミの番だ!

 メビウスはセブンとタッグを組んで、グローザムに挑む。そして、 セブン必殺のアイスラッガーがグローザムを真っ二つにした…と思ったら、すぐに復元だ。

こいつを倒すことは出来ない、ならばと、セブンのエメリウム光線(額に指を当てる形、通称A型*13)と、 メビュームシュートのダブル光線だ!グローザムは粉々になった。だが、それでも、グローザムは再生できると笑う。 メビウスはカラータイマーが鳴り、セブンもビームランプが点滅している*14。

しかし、そこでコノミは、メテオールによる熱線をグローザムに浴びせた!これこそ、 フジサワ博士の開発した新兵器である、冷凍怪人のグローザムの弱点は当然熱、熱線でバラバラにされた後の、 質量の小さくなった細かい破片状態なら、メテオールの熱線にはさしものグローザムも耐えられない、 お前には地獄の熱風とフジサワは言った。 この熱線で、グローザムは滅んだ!ウルトラ兄弟と、GUYSのタッグマッチの勝利である!傷ついた隊員も、喜んだ*15。

 ダンは、ミライに、仲間たちのことを大切にしろ、自分のように、 仲間につらい思いをさせるなと語り*16、馬で去っていった(BGM:セブン主題歌アレンジ、最終回風のアレンジ)。 そして、コノミは、ふたたび「ジュワ」のおまじないをして、ミライたちと合流した。

マニア的突っ込み

ウルトラセブン登場で燃えております、セブンワールドに皆さんもどうぞ。

*1:このグローザム、ウルトラの星人と言うより、最近の平成ライダーの怪人 (アンノウン、オルフェノク、ワームなど)を思わせるデザインです。 あるいは、ガンダムのモビルスーツ的で、ウルトラ怪獣のデザインもいろいろになりました。

*2:ウルトラで、防衛隊の隊員が負傷する話はたくさんありますが(例:帰マンのベムスターの話では全員負傷、コスモス、カオスウルトラマン・カラミティでも全員負傷)、次の回まで怪我が尾を引く例は珍しいものです。もちろん、現実には怪我が治るには時間がかかるわけで、普通の人間も1週間で全快、と行かないリアルさが魅力です。

*3:このダム、ネクサスで基地のあった所みたいですね。

*4:この描写、光の矢が凍らされるのにはビックリ!CG技術も、ここまで来たら脱帽ものです。

*5:冷凍怪人は、こうやって熱でやられても、再生するのもあります。特撮ではすぐに思いつきませんが、ロボットアニメの悪役に多かったですね。もちろん、昭和には困難なことで、CGの賜物です。

*6:これを見て思い出したのが、帰マン37話、ウルトラマンがナックル星人に叩きつけられて、丘隊員が目を背けるシーン、あれはヒーロー史上に残るエゲツナサでした。また、剣を立てられての磔、キリストの受難ですが、最近(でもないか)の、エヴァンゲリオンのリリスを思わせる描写です。

*7:ダンが馬を駆るシーンは、魔の山へ飛べ、のラスト、生き返って、キリヤマたちのところへ生還するシーンが思い出されます。馬が似合うのは、やはりダンですね。

*8:これは、セブン暗殺計画、映画にも出たガッツ星人の計略にかかり、エネルギーを失い磔にされたものの、仲間たちがエネルギーを合成して助けられたことを示します。平成では、ウルトラマンを人間が助けるシーンがたくさんありますが、昭和では意外と少ないのです(詳細後述)。

*9:これも、セブン暗殺計画で、セブンがウルトラ警備隊に、マグネリューム・エネルギー合成方法を教えたことへのオマージュです。最近では、ダイナが「移動要塞浮上せず」でレイキュバスに氷付けにされたシーンも思い出されます。

*10:この人形は735円ソフビで、ガンウィンガーは昨年暮れに出た食玩と思います。この食玩、ガンウィンガーのみ売り切れで、GETするのに苦労しました(脱線してすみません)。

*11:これもヒーローものでは珍しい展開で、大怪我をしても無理して出撃して勝つというのが王道なのに、今回は女性陣のため、男性隊員全滅、確かにリアルですけど…

*12:テンガロンハット(水が10ガロン入る帽子と、トリビアで言っていました)は宮内洋さんがよく使っていました。ズバットでのスタイルは伝説的です。こういうものを脱ぎ捨てての変身はかっこいい。

*13:セブンのエメリウム光線は、額に指を当てるA型と、胸に腕を当てるB型(どちらも通称)があり、ウルトラ兄弟勢ぞろいの時はA型がよく使われました。しかし、セブンのエメリウム光線は、厳密には10ほどパターンがあり、指を片方のみ当てるもの(ブラコ星人の円盤とのバトル)、腕を組んで放つ(ウィンダムとのバトル)、光弾状(第4惑星の悪夢)など、たくさんのパターンがあると、昔セブンのファンジンで読みました。なお、セブンのダブル光線は初めてではないかと思われます。

*14:セブンのビームランプはカラータイマーの代用とよく言われますが、点滅のパターンは2つあります。音を立てない点滅で、ナースとのバトルで初めて登場し、この他、恐竜戦車、プラチク星人、ダリーとのバトルで出たもので、危機の警告です。もうひとつは音を立てての点滅、零下140度の対決、ペテロとの月面での超低温、ガッツ星人とのバトルで、この、音を立てての点滅だと、活動不可能であり、光線など、必殺技が使えなくなります。今回は音なしの点滅です。

*15:ウルトラマンと防衛隊のタッグマッチはいろいろありましたが、過去は大抵防衛隊が突破口を開いて、ウルトラマンが止めを刺すのに対して、今回は2段攻撃で、GUYSが止めを刺すのが痛快!このパターンは初めてです。

*16:このセリフは、ダンがアンヌと悲しい別れをしたことや、MAC全滅で部下を死なせたことがあると思われます。重みがありましたね。

総括的な考察

(1) ウルトラマンが負けた場合の救出方法

 今回は、メビウスが磔にされ、それをどう助けるかで、セブンがいて、それに救出させずに、 人間にあえて助けさせたことがポイントです。実は、昭和では、ウルトラマンのピンチを人間が救った例が、 特に第2次シリーズではありません。

 セブンでは、ガッツ星人に倒されたセブンをウルトラ警備隊が救出しました。しかし、 これと連なる帰マン、ナックル星人&ブラックキングの話で、ウルトラ兄弟による救出が出て、 以降これが定着、ウルトラマンがやられても人間は無力、という状態が続きました。

これは、第2次シリーズにファンの批判が集まる理由でした。実際、帰マン37、38話には、 「ウルトラマンをMATに救出させるべきだった」、 「あれなら、ウルトラ兄弟がいたらMATはいらないということではないか」など、帰マンのファン (当時は数少ない第2次シリーズのファン)ですら批判的でした。これが、 ウルトラ兄弟という設定が嫌われる一端でもあり、その後、昭和では、かろうじて、 80最終回で、戦えない80に替わり人間が怪獣を倒すシーンがあったくらいです。

 それが、平成になると一変、ティガの最終回、破れたティガを人間が助けようとして失敗、 子供たちに助けられる展開は、賛否両論を呼びました。そのためか、その後の平成ウルトラでは、 全て人間によるウルトラマン救出がありました。

ダイナ:レイキュバスに氷付けにされたダイナを、ヒビキ隊長がレイキュバスの熱線を誘導して氷を溶かして救出する、

ガイア:最終回、ゾグに敗れたガイア、アグルに、 地球怪獣のエネルギーを集めて、ウルトラマンに光を取り戻させ、復活させた、

コスモス:エネルギーを失ったコスモスにエネルギーを与えるシーンが映画1作目とテレビシリーズにあり、映画3作目は敗れたコスモスを人間が復活させる、

ネクサス:「英雄」にて、ウルティメット・バニッシャーでエネルギーを与えて、ネクサスに力を与えた、

マックス:最終回、ギャラクシーに光エネルギーを集めて、敗れたマックスを復活させた、

 第2次シリーズ、ウルトラマンが破れても、兄弟、父、キングらが助けてくれるので、この展開の安易さがファンの批判を受けました。それに対して、平成では、逆に他のウルトラマンによる救出が珍しいものになりましたが、今回は、人間が主体となりつつ、ウルトラマンも適度に助太刀する、面白い救出方法です。

(2) 女性のみによる作戦

 今回は、前回のダメージで男性陣全滅、女性のみの作戦でした。3月3日に放映、ひな祭りということもありますが、これもシリーズ初めての展開です。昭和では、女性隊員は戦力として2の次的な位置づけでしたが、平成では、ティガで隊長&エースパイロットが女性になり、女性も強くなりました。

 なお、メビウスでは、ガンフェニックスがダメージを受けて飛べないなどの現実的な展開があり、今回は、負傷した隊員の戦闘不能が描かれました。この点、かなりリアルなもので、戦闘機も、隊員もスペアが無限にあるわけではない、という点がユニークです。

(3) セブンに付いて

 今回のセブンの着ぐるみ、背中の電池ケースがありませんでした。昭和のセブンは、電飾のために電池が背中に付けられていて、その点を再現するかで、リアルフィギュアかの見分けでしたが、今は発光ダイオードで電飾できて、電池も小さくて済み、電池ケースがなくなった模様です。また、昭和セブンのスーツは、襟元が赤いものと、銀色のものがあり、今回は銀色のものでした。また、平成のウルトラスーツは、手袋を露出させず、袖に隠す方法を取っている(ティガに出た初代マンも)のに、セブンはオリジナル通りに手袋と、凝っています。

 また、セブンは、レオで、シルバーブルーメの攻撃で死んだとの説があります。これは説ではなく、当時の少年サンデーのレオに関する記事で、セブンは死んだと書いてありました。しかし、これは、第2次シリーズ末期の、もうウルトラは終わってしまうという(つまり、新作など考えられない状態で)出た設定で、その後、平成になり、ブームが10年以上も続く中で、メビウスでは、ウルトラの母に救出されたという設定に変わりました。こういう設定の建て直しは、問題ないと思います。  と言うことで、今回はここまで。最後までがんばります!

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