ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス第48話 最終三部作 I「皇帝の君臨」マニア考察】

ウルトラマンメビウス第48話「最終三部作1 皇帝の降臨」【ハード編マニア考察】

【メビウスライター 帰りマン&ティガ命】

シリーズ構成:赤星政尚、設定考証:谷崎あきら、脚本:長谷川圭一、監督:アベユーイチ、特技監督:原口智生

太陽の黒点に異常な動きが見られた。その異変を感じているかのように、サコミズ隊長(田中実) の表情が険しくなる。GUYSの指令室では、ミライ(五十嵐隼士)、ジョージ(渡辺大輔)、 リュウ(仁科克基)、マリナ(斉川あい)、テッペイ(内野謙太)、コノミ(平田弥里) らが雑誌の記事について話をしていた。

そこには、メビウスの正体がミライであることが書かれていた。執筆者はヒルカワ(加藤厚成) であった。ヒルカワを批判するメンバーの中で、リュウは平然としていた。

そこへ長期の視察研修から戻ってきたトリヤマ補佐官(石井愃一)とマル補佐官秘書(まいど豊) の二人が指令室に入ってきた。マリナは雑誌を閉じる。突然、警報が鳴り響く。サコミズ隊長とミサキ総監代行 (石川紗彩)が指令室に入った。13体のインペライザーが地球の主要国の首都に降り立つ。

「余は皇帝、この宇宙に君臨するもの。」という声が響く。皇帝(声:内海賢二)は 「地球人に余の意思を伝える。ウルトラマンメビウスを追放せよ。奴は人間に化け、ある場所に潜伏している。」 と告げ、さらに皇帝はメビウスを差し出せ、と迫る。東京でインペライザーが起動し、街を破壊し始める。

GUYSが出動し、メビウスが現われる。メビウスはバーニングブレイブへとタイプチェンジし、 回転しながらのキックでインペライザーを破壊する。しかしながら、すぐに空間転移で別の2体が出現する。 メビウスは苦戦し、カラータイマーが赤に変わる。 メテオールが解禁となり、ガンフェニックスの体当たりでインペライザーは爆発する。 さらにメビウスはウルトラダイナマイトでもう1体を破壊する。

しかしながら、さらに別のインペライザーが出現し、メビウスは力尽きて消失する。 皇帝は「メビウスを地球より追放せよ。要求を呑むなら、あらゆる脅威から余が地球を守ると約束しよう。 タイムリミットは3時間・・」と迫る。

テレビでは、ヒルカワがメビウスの正体がミライであることをバラしていた。

国家安全保障局のシキ(斎藤洋介)ら3人がミライの引渡しを求めてやってきた。 リュウはミライがメビウスであることを認め、トリヤマはそれを聞いて倒れそうになる。 「地球は我々人類自らの手で守り抜かなければならない・・」とシキはかつての防衛隊の隊長の言葉を述べ、 宇宙人であるウルトラマンに地球防衛の一翼を任せることに疑問を感じなかったのか、 と問いただす。リュウは、ミライは仲間だと答える。

シキはメビウスの引き渡しを要求する。ミライは病室で手当てを受けており、 脈拍360、血圧400、体温は90度近くもあり、動ける状態ではなかった。 無理やりミライを連れて行こうとするシキに、 トリヤマは「私は知っている、日比野ミライという青年を。彼は不器用だが、 誰より一生懸命・・誰よりも優しく、誠実だ。」と言って立ちはだかる。 そして「彼は私のかけがえのない部下だ。」と言う。 サコミズ隊長とミサキ総監代行も現われ、トリヤマ補佐官が言ったことはGUYSジャパンの意思であることを伝える。

シキは「お久しぶりですね、サコミズ総監。」と言い、サコミズ隊長が総監であることが明かされる。 GUYSのメンバーたちは皆、驚く。サコミズ総監は「一緒にいたかったからだ。 私もウルトラマンと一緒に戦いたかった。君たちと共に・・それだけだ。」 と身分を隠して前線で戦ってきた理由を告げる。 シキはサコミズに政府としてミライの引き渡しとサコミズの辞任を要求した。 サコミズは総監として最後の仕事をさせて欲しい、と言う。

その頃、太陽に近づいていたウルトラマンヒカリ(声:難波圭一)は、 異常な様子の太陽の黒点にただならぬものを感じていた。

サコミズは、総監の服を着て、会見の会場に向かった。 サコミズの脳裏にタケナカ最高総議長から預かったカード基板のことがよぎった。

サコミズは、メビウスがGUYSの一員であることを告げ、 宇宙で遠く離れて地球を守ってくれているウルトラマンのこと(42話回想シーン)を話し、 「地球は我々人類自らの手で守り抜かなければならない・・」 というかつてのウルトラ警備隊のキリヤマ隊長の言葉を述べ、この言葉は、彼らの力だけに頼ることなく、 自分たちも共に戦うべきだ、と伝えていると話す。 そして「今こそ勇気を持ってください。侵略者の威しに屈することなく、人間としての意思を示してください・・」 と話す。病室でミライもそれを聞いていた。

街では、迷っている人々に、一人の子供が「ウルトラマンは負けないもん。そうだよね、ママ。」と言う。 母親(五藤圭子)も「そうよ、ウルトラマンは負けない。」と言う。 子供たちや親たちから、電話・FAX・ネットなどを通じてメビウスを応援するメッセージが送られる。 どんなことがあってもメビウス、すなわちミライを引き渡したりはしない・・それが、人間が出した答だった。

タイムリミットになり、世界各地でインペライザーが動き出す。ミライはメビウスに変身し、 インペライザーに立ち向かう。メテオールが解禁され、ガンフェニックスがインペライザーに向かっていくが、 上空から降ってきた火炎弾がガンフェニックスを襲う。「余はエンペラ星人。」 という皇帝の声が響く。再び火炎弾がガンフェニックスに命中し、ガンフェニックスは墜落する。 メビウスもインペライザーの攻撃を受け、倒れる。そしてインペライザーは回転しながら光弾を乱射し、街中に被害が出る。

皇帝の笑い声が響く。そして皇帝であるエンペラ星人の黒い影が太陽の中に浮かび上がる。

過去のウルトラ作品とのリンクポイント

1.エンペラ星人とウルトラの星の因縁(27話、30話レポの続き)

今回、皇帝の正体がエンペラ星人であることが明かされました。実はメビウス27話と30話で私自身が担当したレポで、 核心に触れそうだったため、わざと書かなかった内容があります。 タロウ25話でウルトラの国の歴史について、ゾフィーが語る場面がありました。 3万年前、ウルトラの国が怪獣軍団を率いるエンペラ星人によって侵略されました。 この戦いでウルトラの父は大活躍しますが、傷ついて倒れ、その時にウルトラの母に出会います。 そして宇宙警備隊(タロウ25話では「ウルトラ警備隊」と語られる)が設立されます。

メビウス27話で、ウルトラの父が3万年前の古傷の痛みを気にするシーンがありましたが、 その古傷はまさにこの時のものだと思われます。そしてこの時の戦いは、 伝説のウルトラ大戦争(ウルティメイトウォーズ)と呼ばれています。

2.エンペラ星人の過去

タロウ25話では、エンペラ星人は漫画絵(内山まもる氏が描いたもの)でただの黒い影しか表現されておらず、 その真の姿は未知のままでした。メビウス公式HPでは、 「エンペラ星人は、はるか昔、ウルトラの星同様、母星の太陽を、光を失う危機に遭遇、 ただ一人生き残ったという過去を持ち、その逆境の過程で怨念を力に変え、闇への耐性と強大な力を得た。

やがて宇宙の誰よりも光を憎むようになった彼は、暗黒宇宙の覇道を歩むため、 自らを暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人と名乗り、恐怖支配により怪獣・宇宙人軍団を配下に加え、 暗黒宇宙の覇者として数多くの太陽系を滅ぼしてきた。その過程でエンペラ星人は、M78星雲、光の国の存在を知る。」と記述されています。これを読むと、エンペラ星人はかつてのツルギ(ウルトラマンヒカリ)同様、相当重いものを背負っているようです。

補足:エンペラ星人の声を演じたのは、内海賢二さん。超大ベテランの声優で、ものすごくたくさんのキャラを演じてきました。その中でも特に則巻千兵衛(Dr.スランプ アラレちゃん)やラオウ(北斗の拳)が有名です。

3.大衆に正体が明かされたウルトラマン

30話レポでも紹介しましたが、これまでウルトラマンの正体が明かされたことは数多くありますが、そのほとんどは防衛チーム内か、親しい人たちに限られていて、今回のメビウスのように大衆全体に明かされたのは唯一ガイアの例が過去にあるだけです。そのガイアですが、アグルと共に最終話前の50話で天使の姿のゾグに破れ、人間の姿に戻るところをTVで放映されてしまい、その後、我夢はマスコミに追われたりします。

4.脈拍360、血圧400、体温90度近く

インペライザーとの戦いで倒れたミライは、脈拍360、血圧400、体温は90度近くという状態になり、人間の姿を維持することも難しい状態になりましたが、この数字はちょうどセブン(ダン)が最終話前の48話で体に異常を感じた時と全く同じ数値です。

5.キリヤマ隊長の言葉

かつてウルトラ警備隊(セブンの時の防衛チーム)のキリヤマ隊長が、セブン最終話で「地球は我々人類自らの手で守り抜かなければならない。」という言葉を残し、今回サコミズ総監がそれを引用しました。これについては17話マニアレポでT2−Oさんが書かれているので、説明は省略しますが、歴代防衛チームのメンバーたちはウルトラ戦士たちが去っていく時、地球は自分たちで守っていくという決意を新たにしています。

6.ウルトラマンは負けない

「ウルトラマンは負けないもん。」この子供の言葉ですが、歴代ウルトラマンとそれを支える防衛チームも皆、勝利を信じて戦ってきました。劇場版ティガ&ダイナでは、クイーンモネラに捕えられて力尽きたダイナを前に旧ガッツのイルマ隊長が出撃しますが、「ウルトラマンは負けたりはしない。」と最後まで勝利を信じます。帰りマン19話では、透明怪獣サータンに苦戦し弱音を吐く郷に坂田兄が「レーサーがレース中考えているのは勝利の1字だけだ。」と郷を諭します。「ウルトラマンは負けない」・・どんな状況においても決してあきらめないというウルトラシリーズ全体に流れているテーマがこの言葉に凝縮されています。

7.五藤圭子さん

その子供の母親役で登場した五藤圭子さんですが、ネクサスのナイトレーダーの平木詩織隊員その人です。

ウルトラマンマニア考察

1.ミライへの思い

GUYSのメンバーたちの強い絆、そしてミライへの思い・・今回、体を張っていいところを見せてくれたのがトリピーことトリヤマ補佐官でした。トリヤマ補佐官は今までミライがメビウスであることに全く気づかなかったのですが、メビウスを引き渡せという国家安全保障局に対して、彼は「私は知っている、日比野ミライという青年を。彼は不器用だが、誰より一生懸命・・誰よりも優しく、誠実だ。」とミライの人柄について語った後で、「彼は私のかけがえのない部下だ。」と言い、ミライの正体がメビウスであろうがなかろうが、ミライを一人の人間として守ろうとしました。このトリヤマ補佐官の行動、非常に勇気がいるものでしたが、GUYSジャパン全体の思いを象徴していました。

2.正体を隠そうとしなかったリュウ

リュウは雑誌にメビウスの正体が暴露されても動じず、さらに国家安全保障局に対してもミライがメビウスであることを隠そうとしませんでした。このリュウの態度にはやや驚きましたが、どうやらリュウは、ウルトラマンがこれまで一生懸命に地球のために戦ってきたのだから、人間がウルトラマンのことを嫌ったり、ウルトラマンを裏切るようなことはしないと確信していたようです。その意味では、リュウは人間の心を信頼しているといえるでしょう。今回のリュウの態度にリュウの成長が感じられました。

3.一般大衆のウルトラマンへの思い

一方、一般大衆はどうだったのでしょうか。誰でも自分の命は大事です。インペライザー軍団の圧倒的な力を前に、一般大衆の心が揺れ動くのはわかる気がします。45話で人質にとられたGUYSを非難した大衆・・もし本当にそういう心理状態になるとすると(そう考えるのも怖いのですが・・)、今回も「ウルトラマンを差し出せ」というマインドになっていたかもしれません。子供たちをはじめとした、あふれるようなウルトラマンを応援する数々のメッセージ・・皆のウルトラマンへの思いは感動的でした。

4.総監の正体とウルトラマンと共に戦うことの意義

ついに総監の正体が明かされましたが、予想通りサコミズ隊長でした。正体を隠して前線で戦った理由について 「一緒にいたかったからだ。私もウルトラマンと一緒に戦いたかった。君たちと共に・・それだけだ。」と語っていましたが、42話で明かされたゾフィーとの遭遇のエピソードと重なります。

そのサコミズ総監は会見で、過去にウルトラマンが地球を守ってくれたことに触れましたが、このシーン、ティガ25話「悪魔の審判」の回を思い出しました。キリエル人との戦いで倒れたティガを見て、イルマ隊長はTVの回線に割り込み、「ウルトラマンティガは私たちを守ってきてくれました。」と言い、ティガに光をと人々に語りかけますが、そのシーンが頭の中に浮かんできました。 サコミズ総監が会見で、ウルトラマンと共に戦うことの意義を話しましたが、実はGUYSのメンバーたちはだいぶ前からウルトラマンと共に戦うことの意義を考えていました。第3話でマリナが「GUYSの仕事を続けるってことは、ウルトラマンと一緒に闘うこと!」と言い、そしてコノミが「それって恩返しになりません?過去に地球を守ってくれたウルトラマンへの。」と続けます。サコミズ総監は、早くからGUYSのメンバーたちと同じ思いを共有していたことになります。

5.ヒルカワという存在

それにしても、ヒルカワ・・44話でメビウスに命を助けてもらいながら、正体をばらしたりして、今回もまるでウルトラマンを追い出したいような行動を取っています。自分さえ良ければ・・という典型で、人間の嫌な面を見せています。このヒルカワが改心することがあるのでしょうか・・。

6.最後に

ついに最終3話が幕を開けてしまいました。今回は本当に様々な「思い」が出ていました。エンペラ星人からすると、あてがはずれたようですが、圧倒的な力の前に激しい戦いになりそうです。ミライは、そしてGUYSのメンバーたちは、この危機を乗り切れるでしょうか。最後までしっかりと見守りたいと思います。

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