ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス第49話「絶望の暗雲」マニア考察】

ウルトラマンメビウス第49話「絶望の暗雲」ハードバージョン

宇宙大皇帝エンペラ星人登場

メビウスマニアライター 棺桶のジョー

脚本・シリーズ構成 赤星政尚 監督 佐野智樹 特技監督 原口智生

エンペラ星人の尖兵、インペライザー軍団の襲来、その、エンペラ星人の攻撃で、 ガンフェニックスストライカーも撃墜された。第2話で登場以来、一度も撃墜されていない*1、 まさに奇跡の機体も、エンペラ星人の餌食になった。

 ミライ(五十嵐隼人)=メビウス(スーツアクター 和田三四郎)は次々襲い来るインペライザーに、 死に物狂いで闘う。人々=メビウスを信じてくれた人たちの声援で、メビウスはバーニングブレイブになり、 インペライザーに、メビュームダイナマイトを放った。 これで倒したものの、禁断の必殺技を使い、メビウスは消えた。

リュウ(仁科克基)に抱えられるミライは、戦うと言うものの、限界をはるかに超えている。 ジョージ(渡辺大輔)、マリナ(斉川あい)もミライを抱えるが、ミライは倒れる。そこへ集まる人々、 メビウスの人形を持った少年が、母親に、「あのお兄ちゃんがメビウスなの」と聞いて、 母親は「そう」と答えると、少年はミライの元へ来て「ありがとう」と言った*2。 しかし、ミライは重症である。フェニックス・ネストの病院へ収容された。

 GUYSスペーシーが、太陽黒点の異常を感知していた。ミサキ・ユキ(石川紗彩)はサコミズ隊長 (田中実)に報告する。このままでは、太陽が燃え尽きてしまう!

 さらに、インペライザーが、フェニックス・ネストの周辺3km以内に集結してきた。 一気に空間転移で攻めてこないのは、まさに、真綿で首を絞めるようなやり方*3だと、ジョージは吐き捨てる。 トリヤマ補佐官(石井愃一)はサコミズに「総監」と言うのだが、サコミズは「隊長で良い」と返す。 避難命令を出して、誰一人被害者を出しませんと、トリヤマは胸を張った。そして、大避難である*4。

 ガンフェニックスを失ったフェニックス・ネストは、シルバーシャークGで迎撃することにした。また、 非常時に、飛行して行けるように用意もしている。ところが、そこへインペライザーの1体が現われ、 左手をドリルにして攻撃*5、GUYSは2基のシルバーシャークGで迎撃するが、 インペライザーを倒すものの、ドリルの攻撃でシルバーシャークG一基が破壊される。

さらに新たなインペライザーの攻撃、フェニックス・ネストは総攻撃を受けて、壊滅状態になり*6、 飛行は不能になり、リムエレキングも消えて、粒子加速器も破壊され、ミクラスも使えなくなる。 絶望するコノミ(平田弥里)。ミライは、無理して作戦室に来る。「ここは、思い出の場所だ」 と…そんな絶体絶命の危機で、インペライザーの攻撃が基地を襲う、 もう終わりか!と思ったら、インペライザー、何物かに破壊された。

…ザムシャーである。かつて、ヒカリ、メビウスと対決したザムシャー、ミライに、「お前を斬るためだ」 と言いつつ、加勢である。ザムシャーの剣が、インペライザーを真っ二つにして*7倒した。 さらに、破片も空中に吸い込まれ、破壊されていく。そんな時、ミライのそばに、カコ(高宗歩未)があらわれる。

「私は、ミライの妹よ」と語る。さらに、ファントン星人もやってきた。「ボク キミ トモダチ」 と宇宙語で言って、テッペイ(内野謙太)と抱き合う。彼らの手により、インペライザーは倒された*8。

サコミズは、「見ているかエンペラ星人、これが、私たちが築いてきた絆だ」と誇る*9。だが、 その時、風雲急を告げ、空が真っ黒になり、巨大な、黒い物体が降臨、建物が破壊される。 宇宙の皇帝、エンペラ星人、そのものがついに現われた!エンペラ星人(声:内海賢二)は、 自分に逆らった地球人を破壊する、太陽は崩壊する、自分が降り立ったからには、地球に未来はないと言い放つ。

太陽の黒点が増殖し、地球は暗雲に包まれる*10。ザムシャーはエンペラ星人に斬りかかるが、念力で、 まるで赤子の手をひねるように吹き飛ばされる。カコも念力で攻撃するが、簡単に撥ね退けられる。 3万年前、ウルトラの父と対決して、伝説の戦いで封印されたエンペラ星人*11、ウルトラマン、 光のものに凄まじい恨みを抱き、ウルトラ一族の拠点、地球を破壊するつもりである。

立ち向かうザムシャーに、「光のものではないお前がなぜ刃向かう」とエンペラ星人は放つ、 ミライも、自分が生まれる前の、伝説の戦いに出てきた最強の敵に、戦慄する。 それでも、自分が戦うと、無理に変身しようとするが、メビウムブレスが消えてしまい、 変身不能になる*12。そして、さらに続く攻撃、だが、間一髪、ウルトラマンヒカリが現われて、 攻撃を、身を挺して防いだ。

リュウや、ミサキ・ユキは「セリザワ隊長」と放つ。ウルトラマンヒカリと、 ザムシャーはともに剣を立ててエンペラ星人に突進するが、手で簡単に防がれてしまう。 エンペラ星人の攻撃で、作戦室が外から丸見えになり、そこへまた攻撃、これで万事休すか…と思ったら、 ザムシャーが、身を挺して守ったのである。

「守るということは、こういうことなのか」…ウルトラマンヒカリに、かつて、守るものがあるからメビウスは強い、 と言われた意味を理解しつつ、ザムシャーは光となって消えた。その残骸を手にするミライ、そして、 リュウは、最後の手段として、旧GUYSの戦闘機で出撃する*13。

基地には、なぜかマットアロー1号型の戦闘機があるものの、破壊されていく。リュウは、 「セリザワ隊長、この機体を覚えているか」と言い、戦う。 ウルトラマンヒカリは、攻撃で鎧が破壊される。 ナイトシュートを放つも、エンペラ星人には全く効かない。

最後の手段として、ザムシャーの残した剣を持ち、居合い切りの要領でエンペラ星人に斬りかかる。 わずかに、わき腹に傷を与えたものの*14、ウルトラマンヒカリは、リュウとメビウスに後を託し、 消えていった…さらに、リュウが攻撃をすると、エンペラ星人の一撃で撃墜されてしまう…ミライは絶叫した。

マニア的な突っ込み

今回も日本のヒーロー史上前例のない大バトルであり、気合いを入れてやります。

*1:ガンフェニックスの墜落は衝撃的でした。傷つくことはあっても、撃墜例はない、まさにウルトラでは前例のない奇跡の戦闘機です。冗談で、TACやZATの隊員には乗せられないと言っていたのに…今回の強敵を見せ付ける演出でした。

*2:この、ヒーローの正体を知っても、人々が感謝するシーンは素晴らしいです。ヒーローものでは、ヒーローの正体と言うテーマは一種、禁断であり、帰マン31話、エース最終回でいずれも市川森一脚本により、ヒーローを窮地に追い込む展開は忘れられません。平成では、ガイア50話で変身が解けてしまう演出がありましたが、今回は人々がウルトラマンに感謝する(ガイアでは追い回された)のは、メビウス世界では、ウルトラマンが地球で何十年も活躍した実績そのものでしょう。他に、スパイダーマン2で、市民を守るため戦ったヒーローの仮面が外れてしまっても、助けられた人々は、正体を言わないという感動的なシーンがあります。

*3:こういうのを見ていると、エンペラ星人のやり方が分かります。一気にやるのではなく、今までの恨みを晴らすべく悪の限りを尽くす、こういう悪役は凄まじいです。

*4:これも、怪獣が現われて、人々が避難するシーンを見たら、やはり、神戸の人間として、震災のことを思い出し、それでかなリアルです。今も、北陸が大きな地震で大変なことになりました。怪獣は現実にはいませんが、地震という怪物は、日本にいるのです。

*5:インペライザー、前回も手に持つ武器を変えた機体がありましたが、こういう描写は、往年のロボットアニメ的であり、ドリルの描写もリアルです。

 また、この話、街、ビルの破壊を、CGではなく、実際にミニチュアでやり、私は見ていて、これぞ円谷特撮、と思いました。CGも最近は素晴らしいものの、今回のように、エンペラ星人という、伝説の最強の悪を描写するには、やはりSFXではなく、日本の「特技」です。

*6:特捜チームの基地が破壊されるのは、最終回と相場が決まっていて、科特隊(ゼットンの攻撃)、MAT(バット星人の工作)とありますが、この基地内部の破壊では、ファイヤーマン最終回、侵略者の攻撃で、特捜チームSAFの基地が侵略者の兵器により、完膚なきまでに破壊されるシーンを思い出しました。基地の破壊が、絶望を見せる描写になっています。

*7:敵を縦に真っ二つ…平成ではご法度の描写ですが、こういうロボットなら、このレベルは許される模様です。アニメでは、ロボットもの、ガンダムの平成分では、こういうロボット真っ二つがありました。しかし、剣でこうやるのは、アナログ特撮の真骨頂です。

*8:かつてのライバルが味方になる展開は、キン肉マンによく見られたものですが、キン肉マンのルーツも、ウルトラマンにあります。しかし、ウルトラでは、かつての敵が味方になるのは、ガイア最終回での、地球怪獣の抵抗、コスモス最終回での、保護されていた怪獣の助太刀などがあるものの、こういう、知的な相手が味方をしてくれるのは珍しいものです。

*9:その通り、武力ではなく、人間力、絆こそ本当の力というのがウルトラのテーマです。エンペラ星人の、一方的な暴力と対照的です。

*10:地球が暗黒に包まれるのは、平成ウルトラのクライマックスの定番となりました。このルーツは、タロウ24,25話で、ムルロアの煙で地球が闇に閉ざされる分です。これを、ウルトラベルで救うのですが、エンペラ星人の話が、この時にゾフィーの口から語られます。エンペラ星人出現の今、何か、因縁を感じます。

*11:この、ウルトラの父とエンペラ星人の戦いは、タロウ25話にイラストで描かれています。HPにある「ウルティメット・ウェーズ」ですが、これが実際に映像になったのはもちろん初めてです。

(脱線)ウルティメット・ウォーズ、ネクサスのウルティメット・バニッシャーと出てくるのは、 英語でultimateであり、発音は「アルティメット」が正確です。究極と言う意味で、 仮面ライダークウガの最終形態、アルティメットフォームもこのultimateです。 このように、英語で「u」の母音の発音は「う」ではなく「あ」(「a」のあとは異なる発音です)です。

 よく、ザ・ウルトラマンはジ・ウルトラマンの間違いでは、と言われますが、 イギリスではジにしないとダメな模様ですが、アメリカではザでOKです。しかし、 これも性格にはジ・アルトラマンの発音が正解です。

 なお、英語圏の人には、日本語の「う」の発音がしにくく、 そのため、セーラームーンがアメリカで放映された時、主人公がうさぎでは発音しにくいので、 別の名前に変えられています。

 ただ、私の出会った外国人の人の多くは、ultramanを「アルトラマン」ではなく、 ちゃんと「ウルトラマン」と発音していました。ウルトラマンは、日本の風物詩的なものです。

*12:変身アイテムの崩壊は、レオ第1話での、セブンのウルトラアイ焼失が有名ですが、こうして、消えてなくなるのは驚きました。これこそ、究極のピンチです。

*13:これはマイティジャックのコンクルーダーに似たもので、さらに、基地にはマットアロー1号と思しき機体が多数並べられていました。過去の作品への、さりげないオマージュがこんな時にもあるのには、スタッフのサービス精神に脱帽です。

*14:ウルトラマンヒカリの斬り方は、セブン最終回前篇での、アイスラッガーを手刀にしての斬り方を思わせます。もう、必死の、特攻ものであり、悲壮感が漂うもの、しかし、これでもかすり傷しか負わせられないエンペラ星人、恐ろしい相手です。

総括的な考察

(1) エンペラ星人の圧倒的な強さ

 今回、伝説のエンペラ星人が本当に出ました。タロウ25話でイラストのみの伝説的な存在、その後タロウに出たテンペラー星人と混同されていたこともありましたが、この凄まじさ!一般の怪獣並みの大きさで、すべての支配者たる存在感、強さの描写、全てが究極であり、この回で、メビウスとの戦いが描かれなかったのも、次回の展開を考えると妥当です。  スーツも、平成最強怪獣に相応しい威圧感で、ものすごい相手、僕は、怪獣を見て、久々に震えました。また、その脅威を示すのに、ミニチュアセツトを多用して、破壊の存在感を見せていました。ゴジラから続く、日本の特技の頂点です。

(2) 最終回の絶望的な展開

 最終回、強大な敵により地球が滅ぼされる、という危機感は、セブンの最終回にあったものの、その後昭和ではあまりなく、しかし平成では、ティガ・ダイナ・ガイアの三部作を筆頭に、地球の存亡をかけたバトルが展開されます。この大規模な敵とのバトルは、大河ドラマ的なものであり、今回のメビウスでも、3話かけてラストを盛り上げるのが圧倒的です。  かつて敵対した相手の助太刀と言う展開、それでも追いつかない最強の悪、こういう展開は日本の、特撮ヒーローではここまで大規模なものは珍しいです。  最終回、気合いを入れて見ましょう!

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