ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス第5話「逆転のシュート」ウルトラマニア考察】

ウルトラマンメビウス第5話「逆転のシュート」【ハード編マニアライター考察】

【メビウスライター T-20】

宇宙空間…、謎の女(小山萌子)に召喚され地球を目指す一体のディノゾール。 しか し、それは一条の光線により粉砕された!それを放った者、それは謎の青い巨人 であ った。

CREW GUYS基地では、トリヤマ補佐官(石井愃一)がご満悦であった。CREW GUYS に対 する世間の評価が高まっており、マスコミの論調も好意的であったのだ。しかし 、自 分の前歴について書かれた記事を読み上げられたジョージ(渡辺大輔)は、不機 嫌に なり作戦室を出て行ってしまう 。

サッカー選手だった頃のジョージは、その卓越した技量ゆえにチーム内で孤立し てい たのだ。グランドで一人、ボールを操るジョージ。そんなジョージにミライ(五 十嵐 隼士)は言った。「僕がキーパーを務めるから、流星シュートを見せて欲しい」 と。 しかしジョージはそれを拒んだ。

その頃、霧吹山に怪獣サドラが出現。GUYSが出撃した。しかし霧吹山は濃霧に包 まれ ており、その上、ガンフェニックスのレーダーにも異常が発生してしまった。リ ュウ (仁科克基)は至近距離からの攻撃を提案。しかしジョージは、遠距離からビー ムで サドラを狙った。が!ビームは命中寸前のところで見えない障壁に阻まれた!愕 然と するジョージ!

一方、リュウとミライは機体の不調のため地上に降りていた。そこでミライは謎 の女 と交戦。そしてリュウは、行方不明のセリザワとおぼしき人物を目撃する…。

基地への帰投後、リュウはジョージの行動をスタンドプレイだと激しく非難した 。「 ここにも俺の居場所はないようだな!」、そう叫び、ロッカールームで荷物をま とめ るジョージにマリナ(斉川あい)が話しかけた。先の週刊誌を手にするマリナ。

その 記事は、サッカー選手時代のジョージを「協調性のない選手だった」と批判して いた のだ。マリナはジョージに言った。「昔、ある雑誌のインタビューで、ジョージ は『 子供の頃はウルトラマンみたいになりたかった』って答えてた」…。そこにミラ イが 現れ、ジョージに勝負を申し出た。「もし僕が流星シュートを止めることができ たら 、GUYSに残ってください」と。

勝負は3回、1回でもシュートを止められたらミ ライ の勝ちだ。2回のシュートをゴールに叩き込むジョージ!しかし3回目、ジョー ジの シュートはゴールを大きく外れてしまった!そんなジョージにミライは詫びた。 「自 分が無理強いしたばかりに古傷に障ったのではないか」と。その言葉に、ジョー ジは GUYSに戻ることを決意するのだった。

その夜、サドラが市街地に出現!GUYSが再び出撃した。街を包む濃霧…、その霧 はサ ドラが発生させていたのだ!そして、リュウの放ったビームも見えない障壁に阻 まれ てしまう! 懸命にサドラに攻撃を加えるジョージ!突如、ジョージの背後にサドラが出現! ジョ ージの危機を救うべく、ミライはウルトラマンメビウスに変身した!しかし、神 出鬼 没のサドラにメビウスは苦戦する。サコミズ隊長(田中実)はメテオールを発動 。そ してジョージの支援を受けたウルトラマンは、メビュームシュートでサドラを粉 砕す るのだった。

戦いは終わった…、そう思われたその時!サドラが再び現れた!サドラは一体で はな かったのだ!点滅するメビウスのカラータイマー!新たに出現した二体のサドラ を前 に、メビウスは絶体絶命であった。と、その時、天空から放たれた光線がサドラ を粉 砕した!そこに光臨した者、それは、あの青い巨人だった…。 そして、その姿を目にした謎の女は呻くように言うのだった。「ツルギ…」

ウルトラマンマニア考察

今回のエピソードは、ジョージとCREW GUYSのメンバーの描写をメインに、ミステリアスな新キャラの登場を絡めた、 見所の多い一本となりました。

卓越した技量を持つがゆえに孤立してしまうジョージ。 一匹狼である自分に納得しているように振舞いながらも、ジョージは自分の居場所を探し続けていたはずです。 彼の気持ちを思うとき、「ここにも俺の居場所はなかったようだな!」とのセリフには、重いものが感じられます。

「俺は優れた能力を持っている」「しかし、他人が求めているのは、俺の『技量』のみだ」 ジョージは、そう思い続けていたのでしょう。サドラを長距離射撃で仕留めようとしたのも、 自分の優れた技量を示すことで自分の存在を認めさせたかった…。それ故の行動だったはずです。

そんなジョージを、一人の人間として受け止めようとしたのがミライでした。 ジョージをGUYSに留まらせるために勝負を挑んだミライ。そしてミライは、シュートを外したジョージの身体を心配し、自分のせいだとして詫びる…。 その瞬間、ジョージは知ったのでしょう。ミライが求めてくれているのは、自分の技量ではなく、 一個の人間としての自分なのだと。 だからこそ、ジョージはGUYSに戻った。僕はそう思っていますし、皆さんもそう思われていることと思います。

この展開を違和感なく見せるのが、これまでのキャラ描写です。これまでに見られた、 ピュアなミライの性格描写、そして、斜に構えたようでいて、実は熱い男・ジョージ。ここまでのキャラ描写の積み重ねが、一歩間違えば外してしまいそうなこの展開に説得力を持たせています。 つうかホント、ミライ、いい奴すぎ。僕もミライと友達になりたいです。

一方の、今回のメインの敵キャラ、サドラ。 こちらは「帰ってきたウルトラマン」に登場した時の属性を継承しつつ、「伸縮可能な腕」「霧を発生させて姿を隠す」という、新たな能力を披露してくれました。 これらの能力は旧サドラには見られなかったものですが、旧サドラとの整合性も考慮された巧い設定追加だったと思います。 「帰マンに登場したサドラは、これらの能力を発揮しないまま倒されたのかな? 」みたいなね。 バードンの毒袋もそうですが、このような巧い新設定の付与は今後も見られそうです。 ツインテールも「海の怪獣」との設定が付与されるようですよね。こちらも、旧作と巧く連動した設定を期待したいです。

そうそう、今回驚いたのは複数のサドラが登場したことです。これって、その怪獣を「種族」として認識させる意味でも有効ですよね。 さらに、今回のエピソードにおいてはサドラの神出鬼没ぶりの種明かしとして効果的だったと思います。 これには感心させられました。

さて、今回のサドラは、人間を捕食したと思しき描写がなされています。これには賛否両論あるでしょうが、 僕は許容範囲内だと思っています。 マリナのセリフで示唆された「嫌な音…、獲物を食べてるみたいな…」は、抑制の効いた表現でよかったと思います。 これについては「付記」に少し記しておきますね。

あと、気になる存在は「謎の女」と、ツルギと呼ばれた謎の巨人です。 いずれも、今後の展開に深く関わっていく存在になるはずです。 今回、特に気になるのが「ツルギ」ですが、もしかしてウルトラマンアグル的役回り? いやいや、きっと、アグルとは一味違う役どころのはず…。 そう、「メビウス」なだけに、一捻りした役どころが用意されてるはずですよね。こちらも期待大です。

今回のエピソードを見終わって、改めてサブタイトルを見る時、そこにいろんな意味が感じられます。 「シュート」は、ジョージの流星シュートと、ジョージがサドラに放ったビームの二つの意味があるのでしょうし、「逆転の」は、ジョージの攻撃がきっかけとなったサドラ戦の「逆転」。そして、ジョージのシュートを受け止めようとしたミライが、ジョージの心を動かしたという意味の「逆転」。 これらの意味が交錯して描かれた今回のエピソード、僕は素直「いいなぁ」と思いました。

ミライがジョージに言った言葉「逃げません!僕は」には、「君も逃げるな!」という気持ちが込められていたはずです。 そして、この言葉は、ミライが受け止めようとしたのがジョージのシュートではなく、ジョージの心だったからこそ発せられたのだ。僕は、そう思っています。 今回はあまりの面白さに、解説というより単なる感想文になってしまいましたよぉ(^^;)。ごめんなさい。

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メビウスベルト

ウルトラマンシリーズ(その他特撮)とのここが注目のポイント

「人間を捕食する怪獣」と、その表現は過去にも数回試みられています。僕が今思い出せるものとして…、
@まずは「サンダ対ガイラ」(1966年・東宝)から  一個の細胞から、20メートルの巨人にまで成長した二体のクローン生物…、その激突を描いたこの作品では、その一体「ガイラ」を恐怖の存在として描いています。 映画の序盤近く、羽田空港を襲ったガイラは、その巨大な手で空港ビルの窓を突き破り女性をわしづかみにします。 そして、その手を自分に引き寄せ、口をくちゃくちゃと動かすガイラ…。次の場面では空港の床に残された花束の、散った赤い花びらが映されます…。 こうして文章で書くと非常に陰惨なシーンに感じられるのですが、実際に見てみると、この花束の場面が衝撃を和らげる効果を発揮しているように感じられます。 本編監督の本多猪四郎氏と特技監督の円谷英二氏の抜群のコンビネーションが生んだ名シーンです。

Aそして「ガメラ対ギャオス」(1967年・大映)のギャオス初登場シーン。
山中で突然の地震に見舞われた新聞記者。彼が岩肌にもたれ息を切らせていると、スッと宙に持ち上げられてしまう。 そして男の絶叫の後、血走った眼の怪獣(ギャオス)が、その口をモグモグと動かしている。 これが、ガメラの最大のライバル、ギャオスの初登場シーンです。

B時代は流れ、「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995年・大映)から
夜の街を走る列車、車内にはヘッドホンでポータブルカセットを聴く若者や、居眠りする人たち…。その列車をギャオスが襲った! 車両の一両を足で掴み、宙に舞うギャオス!そして、公園に舞い降りたギャオスは列車に嘴を突っ込んだ。モグモグと口を動かすギャオス。次の場面では、主を失い、回り続けるポータブルカセットが映し出されます…。

これらの作品を見ていくと、捕食の場面を直接には見せず、観客の想像に委ねる表現が多く見られます。 今回のサドラの描写も、これらの先例に近いものを感じました。そして、これらは製作者側の「表現の抑制」というよりは、観客の想像に委ねるという「演出」だと、僕は思っています。 上記の3本は、いずれも傑作ですし、作品としても優れたものを持っています。機会があったら見てみてください。  

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