ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス第50話 最終三部作 V「心からの言葉」マニア考察】

ウルトラマンメビウス第50話 最終三部作 V「心からの言葉」マニア考察ハードバージョン

監督:佐野 智樹、特技監督:原口 智生、脚本:赤星 政尚

ウルトラマニアライター T2-0

「よくも大切な人を!」リュウ(仁科克基)の乗るガンクルセイダーをエンペラ星人(声:内海賢二)に粉砕され、ミライ(五十嵐隼士)は絶叫する!と、そこにリュウの声が響き、ウルトラマンヒカリが降臨した。リュウは死んではいなかった。リュウはウルトラマンヒカリと融合したのだ! ウルトラマンヒカリの力を得て、エンペラ星人に挑むリュウ。しかしエンペラ星人の圧倒的な力の前に、ヒカリは追い詰められていく。ヒカリを助けるべく、ミライはメビウスに変身した! ヒカリと共にエンペラ星人に立ち向うメビウス。だが、エンペラ星人の放った光線を受け、メビウスの肉体は消滅してしまった!!そして限界を迎えたヒカリもまた、その姿を消してしまった…。勝ち誇るエンペラ星人!

トリヤマ(石井愃一)の命を受け、ミライ、リュウの救出に向かうテッペイ(内野謙太)、ジョージ(渡辺大輔)、マリナ(斉川あい)、コノミ(平田弥里)。 だが発見されたのはリュウのみであり、そこにミライの姿はなかった。 「また、何も守れなかった」つぶやくリュウ。そして隊員たちも、絶望に沈もうとしていた…。 そこに、何者かの声が聞こえてきた。それはウルトラ兄弟からのメッセージであった。北斗星司(高峰圭二)が、郷秀樹(団時朗)が、モロボシ・ダン(森次晃嗣)が、そしてハヤタ(黒部進)が、GUYSの隊員たちに語りかけてきたのだ。 「君たちになら聞こえるはずだ。勝利を信じ、共に戦ってきた仲間の声が」 「地球の未来は今、君たちに託されている」 「君たち人間がいたから、我々はどんな強敵とも戦ってこれた」 「救ってくれ、弟を。君たちが培ってきたものがあれば、必ずや地球は守りぬける」

ウルトラ兄弟の呼びかけに、GUYSの隊員たちは再び立ち上がった。 その時、リュウの右腕にナイトブレスが浮かび上がった。そして何処からかミライが五人に語りかけてきた。「力を貸してください。僕たちの最後の戦いのために」>リュウのナイトブレスが光を放つ!その手に重ねられるテッペイ、ジョージ、マリナ、コノミの手。彼らの傍らには、眩い光に包まれたミライの姿もあった。 サコミズ(田中実)が出撃命令を下した。「GUYS,SALLY GO!!」 「GIG!メビウース!!」六人の拳が突き上げられ、新たな姿を得たメビウスが出現した!! エンペラ星人に向かい合うメビウス!最後の戦いが遂に始まった!!

一方、宇宙空間には、ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック、エース、タロウ、レオ、アストラ、80の姿があった。彼らは、エンペラ星人により光を奪われた太陽を蘇らせようとしていたのだ。暗黒の星と化した太陽に向けて放たれるウルトラ戦士の光線!それを受け、太陽は徐々に光を取り戻していく!

そして地球では、サコミズの手によりファイナルメテオールが起動されていた。 その名は「スペシウム・リダブライザー」、それは、スペシウムエネルギーを増幅する巨大な装置であった。スペシウム・リダブライザーに向けてメビュームナイトシュートを放つメビウス!増幅されたメビュームナイトシュートがエンペラ星人を撃つ!!

その戦いのさなか、何者かがサコミズに語りかけていた。「サコミズ、共に行こう。今こそ君の力が必要だ」。その声に応え、光の中に踏み込むサコミズ。そして、フェニックスネストから光の戦士が出現した!それはゾフィーであった!!

メビウスの側に降り立ったゾフィー。その腕から、M87光線が放たれた! メビュームナイトシュートが、M87光線が、エンペラ星人に浴びせられる! そしてメビウスは、自らを火球と化し、エンペラ星人に体当たりした!! エンペラ星人は悟っていた。自分が負けたのはウルトラマンにではなく、人間の持つ希望、ウルトラマンと人間の絆に敗れたのだということを。 「余が、光になっていく…」、そうつぶやいたエンペラ星人は、光の粒子になり飛散するのだった。 こうして、戦いは終った。太陽は再び光を取り戻し、地球にも平穏が戻るのだった。

GUYSの隊員たち、そしてトリヤマ、マル(まいど豊)、ミサキ(石川紗彩)は、ゾフィーとヒカリに別れを告げていた。リュウは言った。「大丈夫、地球は俺たちの手で守っていける」その言葉を受け、地球を去るゾフィーとヒカリ。

そして、遂にウルトラ兄弟の仲間入りを果たしたミライにも、仲間たちとの別れが迫っていた。最後の戦いを終えたミライの使命、それは光の国で、後進のウルトラマンたちに地球での経験を伝えることであった。目に涙を浮かべ、ミライはGUYSの仲間たちに言った。「さようなら!いままでありがとうございました!!」 ミライはメビウスに変身し、光の国へ向け旅立った。 「ミライ、ありがとう!」そう叫ぶリュウに続き、隊員たちも感謝の言葉を送り、飛び去るミライを見送るのだった。

マニア考察

「本当にいいものを見せてもらった!」それが、僕の最終三部作への感想です。 ウルトラマンメビウス第50話「心からの言葉」は、ウルトラマンメビウスというシリーズを最高の形で締めくくってくれました。人間とウルトラマンが真に仲間となり、兄弟となったこのエピソードは、光の国の歴史に新たな一ページを加えるものでした。

ウルトラシリーズの最終回は、いつも少しもの悲しい・・。それはシリーズの最終回が、 ウルトラマンとの別れを伴うためでしょう。しかし「メビウス」の最終回の爽やかさは独特のものがあります。 それはミライとの別れが、何より「希望」に彩られたものであったためのはずです。

絶望的な状況、絶体絶命の状態の中で、それに抗う人間たち。そして、その中で最後の戦いに挑み、そして勝利するウルトラマン…。本当にウルトラシリーズの最終回らしい最終回でした。 しかし、メビウスの最終回で特筆すべきなのは、その最後の戦いに「人間」が関与している度合いが極めて高いこと、そして、ウルトラマンとの別れが悲壮なものではなかったことでしょう。

「ウルトラマンメビウス」という作品は、これまでも繰り返し、ミライと隊員たちとの信頼を描いてきました。そしてその一方で強調される、メビウスの弱さ…。それは、ルーキーであるウルトラマン「メビウス」と、素人の寄せ集め集団である「GUYS」の成長を並行して描くための手法だったはずです。そして、彼らの成長を描く過程で見られた「シリーズの中盤でウルトラマンの正体が隊員たちに知られてしまう」という驚くべき展開、そしてシリーズ内で見られた様々な絆。「GUYSとミライ(メビウス)との絆」「人と人の間の絆」「ウルトラ兄弟やウルトラマンヒカリとメビウスの間の絆」…。それらの全てが、この最終回に集約されていました。

メビウスというシリーズでは、本当に各キャラクターが生き生きと描写されていましたが、特にこの最終三部作ではトリヤマ補佐官とマル補佐官秘書が男をあげました。「私は誰一人犠牲者を出さんと言った!すぐに救助!!」と、ミライとリュウの救助を隊員たちに命ずるトリヤマ。それに続き、「ここは、我々の思い出の場所でもあるんだ!」と、出動を促すマル。その描写は嬉しかったです。

この最終回で僕が最も感動させられたのは、GUYSの隊員たちとミライがメビウスに変身するシーンでした。そして、おそらくは皆さんも同様に感じられていることと思います。 我々は、彼らが友情を築いていく様をずっと見てきました。そして、これまでの描写や「メビウス」というシリーズのテーマを象徴したのがこの場面だったと言えるでしょう。正に、彼らの信頼や絆が一つになった出色の名場面です!サコミズの「GUYS!SALLY GO!!」の指令に応え、拳を突き上げる六人の姿には、涙がとまりませんでした。

サコミズの語ったメテオールの真の目的も感慨深いものでした。「メテオールは、我々人間がウルトラマンの心に応えるためにあった!そう、この日のためにあったのだ!!」。この言葉は、人間とウルトラマンの絆を紡ぐために尽力してきたで来たサコミズが語ったからこそ説得力が増しています。彼は、それを成すためGUYSを設立し、エンペラ星人の侵攻を前に人々に呼びかけました。そして、そんなサコミズがゾフィーとなり、メビウスと共に旧敵を討つという展開…。この巧みさにも唸らされました。

これまでにも書いていることですが、「ウルトラマンメビウス」というシリーズからは、ウルトラマンに対する愛情とウルトラシリーズの歴史に対するスタッフの敬意が随所に感じられました。それは「子どもたちが将来に渡って愛してくれるウルトラを創ろう」という気概、そして、我々のような「かつての子どもたち」に対する思いやりのようなものとして作品中に表現されていました。 こんな素晴らしい作品に出会えたこと、そして、ウルトラの伝説に加わった新たな一章を一年間に渡ってリアルタイムで目撃できたことは本当に幸せなことでした。

ミライが地球に来て最初に覚えた言葉、「ありがとう」が、最終回でミライとGUYSの仲間たちの「心からの言葉」になるという構成、それも素晴らしいものだったと感じています。 そしてミライは、歴代ウルトラマンの中でも最も幸せな形で地球を去りました。本当に「メビウス」というシリーズらしい、最高の最終回だったと感じています。

この最終回を見て思うことはいろいろありますが、とりあえず今はテッペイがミライに贈った言葉を借りて…。「君と出会えて、本当に良かった!」と、出会えた人にそう言ってもらえる人間になれるよう、僕も頑張りたい。心からそう思っています。それは、簡単そうで難しいことですけどね。「忘れかけてた夢をもう一度」、これは最終回でも流れた挿入歌「ウルトラの奇跡」のワンフレーズです。「メビウス」は、僕のような擦れた特撮ファンにそんな気持ちを思い出させてくれました。

今、改めて「ウルトラマンメビウス」という作品に関わられた全てのスタッフ・キャストの方々、そして、このサイトで関わることのできた全ての方々にお礼を述べたいと思います。 本当にありがとうございました。

管理人レポートページ(1) ⇔マニアレポートページ(2)

メビウスベルトTOP▲