ウルトラマンメビウスのファンサイト・メビウスベルト【ウルトラマンメビウス第50話 最終三部作 V「心からの言葉」レイゴ考察】

ウルトラマンメビウス第50話 最終三部作 V「心からの言葉」レイゴ考察ソフトバージョン

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星斬丸でエンペラ星人に斬りかかって行ったウルトラマンヒカリの姿が透明になり、そしてその姿を消していく。 ガンクルセイザーに機上するリュウが叫ぶ「セリザワ隊長!」

しかし、ヒカリは、リュウに背を向けたまま、星斬丸を掴んだ腕のナイトブレスもろとも静かに消滅してしまった。 「クソーーーーーーーーッ!!」 雄叫びを上げながら、ガンクルセイダーでエンペラ星人に突っ込んで行くリュウ。 だが、エンペラ星人の左手から出る波動で一瞬にして爆発炎上!

機体もろとも木っ端微塵になり、金属片があたりに散った。 「リュウさーーーーーーん!!」フェニックスネストでミライは声の限り叫んだ。

太陽の表面で爆発を繰り返していたはずの太陽が、 徐々にその活動を休止していき、不穏に黒く塗り固められて行く。 やがて最後の光が消え、それはどす黒い死の恒星となってしまった!

攻撃で大きな穴が空き空洞となったフェニックスネストで体を震わせるミライ。 「よくも大切な人を!」 その時、ミライの左側で光が瞬いた。『ミライ、俺なら生きてるぜ。』 「え!?」テレパシーで響いてくるリュウの声に一瞬戸惑うミライ。

エンペラ星人が何か気配を感じ、マントをひるがえし後方を振り返った。 すると、分厚く黒く垂れ込めた雲の中を一瞬光が走り抜けたかと思うと、雲間から光のカーテンが差し込み始めた。 エンペラ星人はあまりの眩しさに右手をかざした。 溢れて来る光は間もなく、ウルトラマンヒカリの姿になった。

「ウルトラマンヒカリ!?」フェニックスネストで思わずマリナが叫んだ。 「リュウさん!」ミライは笑顔で言った。

『そう簡単に死んでたまるか。セリザワ隊長に頼まれたんだ…』ヒカリの姿でリュウは静かにミライに語りかける。 「お前のこと、地球のことを!」 ヒカリの右腕のナイトブレスから光の剣、ナイトビームブレードが伸びた。

言うや否やヒカリはブレードを前に掲げエンペラ星人に掛かって行った。 しかし、エンペラ星人が左手を掲げると赤く発光し、ヒカリの接近を拒んだ。

リュウの性格そのままにブレードをがむしゃらに振り回すヒカリ。 だがその剣先は空を斬るばかりで、エンペラ星人が左手をグイと前に突き出すと、 ヒカリは強いパワーで押し出され後退を余儀なくされる。

突進しようとする意志とは無関係にズルズル後ずさりする。脚を踏ん張るヒカリだが、なかなか停止できない。

「ミライくん無茶よ!」それを見たミライが 飛び出しそうになる肩を、マリナとジョージの二人に両脇から押さえられた。

「今のお前はもう・・・!」「だけどこのままじゃあ・・・」 ふりほどこうとするミライを必死で押さえようとするジョージとマリナ。

やっと後退の停まったヒカリだが、カラータイマーは点滅し始めていた。 ヒカリは再度エンペラ星人に向かおうとしたが、エンペラ星人の左手からの念動波がそれを阻止した。 ヒカリを狙い大きな爆発が2度起こった。 「ウヮーーーーッ!!」

と、ジョージとマリナに腕を捕まれたままのミライの全身が輝き、赤く発光すると 間もなく白い光に包まれて行った。

ミライの目は殺気立つほどまでに凛としていた。 ヒカリの足元が更に爆発し、黒煙が立ちこめる。

一瞬の静寂。オレンジ色に輝くメビウスの∞=無限大。 ヒョォーと白煙がたなびき風が流れた。 「ムゥ?」エンペラ星人は新たな気配に振り返った。そこには、 倒れそうなヒカリの左肩を自らの肩で支えるメビウスの姿があった。メビウスを見つめるヒカリ。

「変身する力なんて、もう残ってないはずなのに。」フェニックスネストの暗がりで、 カコが戸惑いながらそう言った。

ヒカリはメビウスとお互いの目で確認し合い頷きながら、互いに自らの力で真っ直ぐに立った。 「ミライが言っていた。最後まで諦めず、不可能を可能にする・・。」 サコミズがポツリと語り出したその言葉を、テッペイ、マリナ、コノミたちは無言で聞いていた。 「それがウルトラマンだって。」

メビウスとヒカリは、オレンジ色のメビュームシュート(右手を立て地面に水平の腕を相手側)、 青いナイトシュート( 水平の手を自分側)を同時に撃った。《併せてメビュームナイトシュート》 2本のビームは途中軽くぶつかり爆発し、その先で紐を捻るように絡まり合いながらエンペラ星人に跳んで行った。

ところがエンペラ星人がマントごしに右腕で自身を庇うように覆い、 左回りに一回転すると、ビームはマントを沿うように流れ、その内マントに吸収された。

次にエンペラ星人はマントごしの両手を高々と拡げる。 するとパワーダウンしたメビュームナイトシュートの紫の残骸がそこから放たれて行った。 メビウスとヒカりは身構える。

「まだ刃向かう力があるとはな。戯れに仕向けた四天王を退けただけのことはある。」 「しかし、もう終わりだ!」冷ややかにエンペラ星人は掲げた右手は、暗雲からこぼれる青い稲妻を集めている。 それが赤黒い球体に形を成した時、それはメビウスに向かって放たれた。

メビウスを襲って来た赤黒く毒々しいビームは、 メビウスの胸をジリジリ照射され続ける。 「テヤッ!」苦痛に声を洩らし耐えるメビウス。 GUYSクルーたち一同に緊張が走る。

メビウスのもとへ駆け寄るヒカリには、シャリシャリと左腕の3連の輪を鳴らしながら構えた左腕から念動波が注がれ、 ヒカリの胸元で爆発し、白煙が立ち込める。 「ウワッ!」バランスを崩し膝を付くヒカリ。

この間、メビウスは容赦なく浴びせられる赤黒いビームに身悶えていた。 地獄の業火と表現出来るような凄まじい炎。天にかざしたメビウスの左腕が伸ばされる。 「ウゥッ・・・」呻くメビウスの全身は赤黒い炎に包まれた。

短く叫んでメビウスは、 左膝を付けた中腰で両腕を前後上下に拡げた姿勢のまま炎の中で黒い影となった。 メビウスの影は黒い破片となり浮遊し始め、そしてそのまま後方に跡形もなく吹き飛んだ。

「!?」むき出しになったディレクションルームに待機する面々は、 声もなく、目の前で展開された光景に、数歩前に走り寄る。

「わかっただろう。ウルトラの一族は決して余には勝てんと言うことを。」 淡々と語るエンペラ星人に、ヒカリは拳をギュッと握りしめた。 そのカラータイマーは赤い点滅のスピードが増していた。

「カラータイマーが!」ミサキが憂慮した。 「て・・・てめぇミライに何しやがっ・・・た。」ヒカリは、左腕を突き出したものの、 間もなく力なく透明になりながら前のめり横向きに倒れて行った。ヒカリの姿はその場からかき消えた。

トリヤマが顔面を紅潮させて「わたしは、誰一人犠牲者を出さぬといった!すぐに救助!!」 と怒鳴るとジョージとマリナはきびすを返して 走り出した。

ミサキが「あなたたちも!」と促す。しかし テッペイが一瞬躊躇する「でも・・・ボクらがここを離れたら・・・」 そこにマルが「大丈夫!ここは私たちの思い出の場所でもあるんだ!」 負傷した額に、手をあてていたのを振りきり、宣言した。

エンペラ星人は「悔しかろう、ウルトラの父。かけがえのない星、貴様らがそう呼ぶこの星の未来も、今潰えた!」 と高らかに宣言する。

マリナとジョージはリュウの肩を支えてくる。 マリナはリュウに「リュウ、しっかり!!」と声をかける。

コノミが「みなさーん!」と駆けつけ。 テッペイは「ミライくんは?ミライくーーん!ミライくーーーん!!」と悲痛な表情で周囲に叫ぶ。 リュウは「また・・・何も守れなかった・・・」とぽつりとつぶやいた。

ジョージも「もう・・・ミライもいない。」と消沈した。 コノミも「終わりなんですね?」と息を吐くように言う。

マリナも「地球も・・・太陽も・・・」と目に涙をためて、真っ黒な太陽を見上げた。 その時マリなの耳に北斗の声が聞こえた「本当に、そう思うか?」 マリナは驚く「・・・この声・・・」

北斗は静かに語りかけた。それは エースとともにだ「君たちになら聞こえるはずだ。今は側にいなくとも、勝利を信じて共に戦って来た仲間の声が。」 マリナが問う「仲間・・・?」

次に郷(帰マン)がジョージに語りかけてくる「目を逸らしえはいけない。地球の未来は、今、君たちに託されているのだ。」 ジョージが問う「地球の未来が?」

そしてダン(セブン)がコノミに語りかけてくる「君たち人間がいたから、我々はどんな強敵とも、戦って来られた。 君たちなら、その事を教えられる。」 コノミが問う「私たちになら・・・?」

ハヤタ(マン)もテッペイに語りかける「そして救ってくれ、弟を。君たちが培ってきたものがあれば、必ずや地球は守りぬける!」 テッペイは頷く「はい、必ず!」サコミズにもその声は届いていた。 目を閉じてじっとそれを聞くサコミズ。そして目を再び開いて微笑んだ。

振り向きざま力をためてウルトラマンAがメタリウム光線を、 帰ってきたウルトラマンがスペシウム光線を。 そして、ウルトラセブンはエメリウム光線。 ウルトラマンはスペシウム光線。

それぞれの必殺光線を太陽に向けて放ち、どす黒い暗幕を焼いていく。 ジョージが膝をつき「リュウ、顔を上げろ!」と促した。 テッペイも振り向き「守り抜くんです。」という。 コノミは微笑む「ミライくんと一緒に!」 マリナがリュウの傍らにしゃがむと「聞こえるはずよ、ほら。」と笑う。

するとリュウの腕にナイトブレスが現れた。 ミライの声が伝わってきた。 『もう一度力を貸してください。僕たちの最後の戦いのために!』

リュウが笑顔で驚く「ミライ・・・ミライなのか?!」 金色に光輝く異空間中に立つ二人。

リュウは問う「お前、どうして?」 「ナイトブレスは、奇跡の力を持つ、 伝説の超人ウルトラマンキングから授かったものなんです。 それにヒカリが言ってました。来るべき戦いのとき、このナイトブレスが必要になると。」 リュウは微笑む「俺たちにはまだ、やれることがあるんだ・・・」深く頷くミライ。 「わかった。一緒に行くぜ!」

リュウは、ナイトブレスを見つめたまま立ち上がった。 マリナ、ジョージも次いで立ち上がり、テッペイ、マリナと半円形に弧を描いて並んだ。

「俺たち、五人も!!」リュウが力強く言った。それに合わせるように、 クルーたちは揃ってキッと、ある方向を見据える。 エンペラ星人も何かを感じたのかアゴを引き上げ天空をふと見上げた。

黒く変化した太陽の表面を、直立でジャック、 飛行姿でウルトラマンらが辛抱強くスペシウム光線の照射を続けていた。

照射により黒い太陽に割れ目を付ける。バーナーで焼き切るように、オレンジ色に輝く太陽の本来の姿が、 1本のラインとしてジグザグに姿を現して来た。

GUYSクルー5人は、雨上がりの夕刻に僅かな光が差す、濡れたアスファルトの路面を敵に向かって走っていた。 そして、立ち止まると、中央のリュウがまずマリナ、ジョージを見てお互い頷き合う。続いてテッペイ、 コノミと確認し合う。

リュウはすばやく、ナイトブレスからナイトブレードを引き抜き、直後しっかりと改めて差し込んだ。 明るい光が十字に煌めき青い残光を残して消え、本体が黄色とピンクに発光する。

リュウが差し出したナイトブレスの腕に、テッペイ、マリナ、コノミ、ジョージがGUYS装備の自らの右手を置いて行く。 最後に光に包まれた手が伸びてくるとそれは一番上に重ねられた。それはミライの手であった。

笑顔のミライにつられるように、全員笑顔でミライの顔を見つめた。 ミライの腕が光り輝き、メビウスブレスが戻って来た。

みんなの手の重なったミライの掌はやがて、発光をおび、ミライは一人一人を笑顔で見つめる。 テッペイ、マリナ、ジョージ、リュウ、そしてマリナ、みんなが眩い光になって行く。

6本の重なった手が∞の光を放ち出し、その無限大が幾重にも重なり大輪の花が開くように一層眩しく輝いた。 その光に照らされたディレクションルームでは、 サコミズが「ガイズサリーゴー」と大声で号令を掛ける。

光に包まれた6名のクルーたちが「GIG」と応答する。 そして、ひとりひとり全員が、ミライの変身ポーズを決める。 「変身!」みんなの片腕が天に掲げられた。

暗雲垂れ込める空を背景に、炎に包まれ現れたその姿はいつにも増して神々しく、 エンペラ星人は片手で目を覆う。 トリヤマ、カコらはじっと見守る。

暗雲を吹き飛ばすように空を爆発させるようにして出現したメビウスは、 バーニングブレイブとウルトラマンヒカリが融合したような造型のメビウスフェニックスブレイブである。

ファイヤーシンボルが頭部左右の目の上から額にかけて、胸のカラータイマーを囲むように、 また、腰部と腕にも配されている。

それぞれ赤、金色、そしてヒカリの蒼色が所々に混じっている。 銀色のボディに蒼色が首、胸のV字の周囲、腹の中央から脇腹、背中、太ももにかけて、そして上腕外部に配色されている。 メビウスフェニックスブレイブは、胸の前で一旦両手の拳を軽くぶつけて、その勇士を皆の前に示した。

「言ったはずだ、ウルトラマンは決して余には勝てん!」エンペラ星人は、不敵にそう叫ぶと、 すかさず右から赤黒いビームを撃って来る。

しかしそれは、微動だにしないメビウスの胸で弾けビームは、 途中数度赤黒く爆発しながらエンペラ星人に跳ね返ってきた!

「おぉっ!くっ・・・」右腕を損傷したエンペラ星人は僅かに後方によろけた。 メビウスは凛と立ってエンペラ星人を見据える。

「まだわからないのか、エンペラ星人!」「クッ…?」 「今の僕は、もう一人じゃない!」光の中に立つ隊服姿のミライの左手側にはリュウ、 マリナ、テッペイ、右手側にはジョージ、コノミ、ガイズクルーたちが、凛としてエンペラ星人を見据えた。

蒼暗い背景の中で、メビウスとエンペラ星人は向かい合って立っていた。 「光のものたちよ、なぜ闇を恐れない。全ては静寂に支配された、素晴らしい世界を!」

時は同じく、黒い太陽にビームを照射するウルトラ戦士はさらに加勢されていた。 レオの弟アストラの上に伸ばした両手の平に、レオが両手を重ねて放つウルトラダブルフラッシャー。 エースのメタリウム光線、セブンのワイドショットが並んで発射される。 黒い太陽のオレンジ色の筋は、随分細かく蟻の巣のように網羅されはじめていた。

サコミズは総監室の壁面に取り付けられたコントロールボックスに、4つの数字の暗証番号を打ち込んだ。 すると、壁面の窪んだ部分の中央から隠し扉が左右に開き、隠し金庫のようなものが姿を現した。

その中からサコミズは何かを取り出した。それはかつてタケナカ最高総議長から渡されたもので、 大きめの眼鏡ケースほどの大きさの、メタリックシルバーのケースに大切に収められていた。

ボールチェーンのついた、中央黒い部分にGUYSマークの入ったそのカードを、サコミズはそっと取り出した。 サコミズはしばしそれを見つめ、カードを壁のコントロールボックス下部へセットした。 青いランプが点灯し、カードを差したパーツは吸い込まれるように内部へ入る。

隣のレバー部を照らす青い照明が点灯した。 メビウスとエンペラ星人は、お互いにらみ合ったまま、動かない。

「ファイナルメテオール、解禁!」サコミズは銀色のレバーを握りしめ奥に押した。 シャキンとインサートされた音が鳴り蒼く発光する。

メビウスとエンペラ星人の立つ上空の厚い雲の上を、飛行音と共に一筋の光が移動して行くのが認められた。 エンペラ星人は身体をひねって、フッと斜め後ろの上空を見げた。

分厚い雲間を突き破るように、飛行体が降下して来た。先端の尖った細長いロケットのように見えるその物体は、 ゆっくり回転しながら降りて来る。円筒形ではなく多角形のようである。 メビウスはじっとその様子を見守る。

それは一定の高度まで降下すると、地面を向いた先端から一気に開きだした。 8本の黄色く尖った長い外輪と8本のグレーの短い内輪のプロペラが、二段構えの花弁が開くようにずれて16枚、 美しく拡がった。外の黄色の弁が鈍い光を放つ。

ミサキ、トリヤマ、マル、カコ、遅れてファントン星人がフェニックスネストから外に飛び出し、走って来た。 空中に留まった飛行体は、続いて正面から見て外輪が時計回りに回転を始めた。 「あれは?」マルが尋ねた。

「あれこそ、スペシウムエネルギーを増幅出来る、ファイナルメテオール。」ミサキが即答する。 「ファイナルメテオールですと?」トリヤマも確認するように質問した。

黙って頷いたミサキは説明を続ける。「メテオールはそもそも、我々・・・」そしてそれはサコミズの声と重なる。 「・・・我々人間が、ウルトラマンの心に応える為のもの。 そう、この日の為にあったものだ!」 サコミズは力強く、そして微笑みながら語った。

ファイナルメテオール=スペシウム・リダブライザーは、メビウスとエンペラ星人の中間、胸の高さほどに降りて来て、 ゆっくり回転しながら、正面をエンペラ星人に向け留まった。横から見ると、 45度くらいに拡がったプロペラの開き具合は、エンペラ星人に向けて照射される仕様と見受けられる。

「みんな、メビュームナイトシュートで、スペシウム・リタブライザーを撃て!」 サコミズは指示を叫んだ。

メビウスフェニックスブレイブは、胸の中央で両腕の拳を合わせた。 右腕のナイトブレス、右腕のメビウムブレスとを合わせた力が全てここに結集される。 凄まじい雷のような光がそこに蓄積された。

メビウスは左腕を斜め上、右腕を斜め下に拡げ、 その後腕を回転させて左腕を天に掲げナイトブレスに光を集める。 ∞が空を斬る際に左腕のメビウスブレスにも光が充填された。 そして横にした腕を相手側に置くメビウス型のシュート、メビュームナイトシュートを撃った。

メビウスの右手からオレンジと青白いビームが二層になって発射される。それはスペシウム・ リタブライザーの中央に空いた穴へ向け真っ直ぐに照射された。

オレンジ色に染まるプロペラから、増幅されたエネルギーが凄まじい威力を以てエンペラ星人に命中!! エンペラ星人の姿を覆い尽くして照射は続く。 「ムゥ・・・ウオォォォォ・・・」エンペラ星人はたまらず唸り声をあげ続ける。

その頃太陽では、タロウがストリウム光線を、80がサクシウム光線を太陽に向けて照射している。 太陽の黒い部分はもはやあと残り僅かとなっていた。

「エンペラ星人、地球を照らす太陽の光は消せはしない!」 ウルトラの星からウルトラの父がエンペラ星人に向かって語りかける。

「エエイッ…何故だ、ウルトラの父!?」壮絶な光線に包まれながらも、エンペラ星人は返答する。 「何故だ、のうのうと太陽に照らされている命を救おうとする! 闇こそが、永遠の世界になるのだ!」 エンペラ星人は言った。

「光があるからこそ、闇もある。闇があればこそ、また光もあるのだ。」

太陽に最後の照射が成されていた。もはやすっかり元の燃える太陽の姿を取り戻していた。 メビウスは、メビュームナイトシュートを撃ち続けた。 スペシウム・リダブライザーの向こうでは、オレンジ色の炎に包まれながらも、エンペラ星人がまだあがいている。 メビウスに一体化しているGUYSクルーのそれぞれの戦いの歴史が・・・。

「あたしたちは今日まで、勝利を信じて共に戦って来た!」 マリナが回想するのは、ガンフェニックスを撃墜され、波止場からトライガーショット を撃ったディノゾール戦、尻尾で機体をはたかれたグドン戦。

「ああ、地球の未来が今、俺たちに託されているんだ!」 ジョージは、クルーのはじめての出会いとも言えるコノミの勤めるみやま保育園のウサギを救おうと協力したことを思い出し。

メビウスはボガールモンスを投げ飛ばし、メビュームナイトブレードで切断されるケルビム。

「どんな強敵にも負けずに戦って来れた私たちなら・・・」 コノミは、リュウに憑依したヤプールを見破ったサコミズの名判断、 ミクラスの活躍を褒めるメビウス、フォーメーション・ヤマトを決めたサラマンドラ戦、 地位を明かさずGUYS作戦に協力してくれた勇魚(イサナ)。

「地球も必ず守り抜ける!」 テッペイが思い出すのは、GUYSタフブックでマケット怪獣の運用実験をした時のこと、 ミサキ女史の学友で優れた能力の持ち主、フジサワ・アサミ博士との出逢い。

「そう、俺たちに叶えられない夢なんてない!」 リュウはメカのメンテに愛情を注ぎ、クルーの命を守ってくれる‘とっつあん’アライソ整備長、 水空両用機シーウィンガーの活躍、メビウスとヒカリが最初に共闘したディノゾールリバース戦、 宇宙に帰って行くヒカリを見送るGUYSクルーたち。

そしていつも仲間を励ましてくれたミライの笑顔・・・。

リュウは確信していた 「たどり着けない未来もない!」 そこにはミライの笑顔があった。

サコミズは「信じるんだ、我々の力を!我々の未来を!」 と叫ぶ。ふと後ろから声が聞こえた。

「サコミズ、サコミズ!共に行こう。今こそ君の力が必要だ!」 サコミズはゆっくりと振り向くと、 頷きそして光と同化した。 ゾフィーが、光の中から飛び出してきた。

ゾフィーは、M78光線を、メビウスと共に放つ トリヤマたちは驚き ミサキは固唾を飲む。

サコミズは声をかける「みんな!もう一息だ!」 リュウが頷く「これが俺たちみんなの、最後の戦いだ!」 サコミズが頷く「今だ!みんな!!」

エンペラ星人は吼えた「余は!暗黒の皇帝。光の国の一族になどに、やぶれはせぬーーー!」 メビウスはメビュームナイトアタックでそのまま スペシウム・リダブライザーに自ら突っ込み、増幅されたメビウスは、真紅の炎の弾丸のようになり、 エンペラ星人の身体を貫いた。

エンペラ星人の身体の中から、キラキラ光るクリスタルの破片のようなものが、噴出すと空に無数に舞っている。 エンペラ星人「うう・・・何故だ・・・何故余がウルトラマンごときに・・・・! 余はウルトラマンに負けたのではない!そうか・・・・ 人間のちっぽけな希望という光に、ウルトラマンと人間の、絆に負けたのか・・・・ はぁ、余が・・・余が・・・光になってゆく・・・」

エンペラ星人の傷跡から、見開かれた目から、口から、光があふれ出していた。 エンペラ星人の身体が、光で満たされていた。 やがてエンペラ星人は、金色に輝く光の粒子となって、上昇し消滅した。

雲が引き、太陽が眩い光を取り戻した。 民衆が手をまぶしそうにかざしながら避難場所から出てくる。 民衆は歓喜に沸き、 ミサキが「太陽が・・・」と微笑む。

ミライは目を閉じて天を仰いだ 「聞こえていますか?ウルトラの父。僕自身にしか見つけられないこと、 大切なものは今、確かに僕の胸の中にあります。」

ファイトン星人とカコがそっと頷きあう。 リュウは居並ぶヒカリとゾフィーを見上げた。 「大丈夫。地球は俺たちの手で守っていける。」

ゾフィーとヒカリはともに頷くと、飛び去っていった。

サコミズは「これで君も、ウルトラ兄弟の仲間入りだね。」とミライの肩にそっとふれる。 ミライは、メモリィデスプレイをポケットから引き抜くと、サコミズに手渡した。

そしてミライはメンバーを振り向いた「最後の戦いが終わった今、僕には新しい使命が出来ました。 この星の人たちと共に得た大切なものを、光の国の新たなウルトラマンたちに、伝えていきます。」

ジョージは顔を一瞬歪めたがすぐに笑顔を作り「・・・いい顔してるぜ、アミーゴ!」 と笑いかける。 マリナは「しっかりやんなさいよ。」と泣きながら、激励する。 テッペイは「君と出会えて、本当に良かった。」と大声で言う。 コノミは「ずっと応援してるからね。」と飛び跳ねてみせる。

トリヤマたちもみんな頷く、腕を組んで考えていた リュウがふっと息を吐き出すと「....行けよ。」とうっすらと笑う。

ミライは大粒の涙をポロポロこぼしながら「さようなら・・・今まで・・・ありがとうございました!!」 というと、その体は、透き通るような光となってメビウスに変身した。

メビウスは、ガイズのメンバーを見下ろすと 「セィア」と掛け声をかけて飛んでいく。

リュウは数歩前に走り出すと「ミラーーーイ!ありがとーーー!!」 と絶叫した。

テッペイも「身体に気をつけてーーー」と手を振る。 コノミも「頑張ってねーー」 マリナも「ミライくんーーー元気でねーーーー」 ジョージも「ミライーー!ガンバレーーー!!」

ヒカリとゾフィーに追いつくように飛ぶメビウスたちはやがて瞬いて遠い星に消えていった。

ふいに リムがコノミの手の中に現れる。ちよっぴり慰められるコノミたち。

スペインリーグの白いジャージに青のポイントカラー、11番の背番号。流星シュート!ゴールを決め、 嬉しそうに両手グーのガッツポーズ、よーしと吠えるアクションのジョージ。

二輪ロードレースで優勝を決め、ビッグシャンパンボトルを振って優勝お決まりの表彰台。 DOCATIチーム、ユニフォームは赤×黒×白。キャップを空に飛ばし紙吹雪の祝福を受ける、 前髪を短く切った満面笑顔のマリナ。

白衣の下はワイシャツに濃い色のネクタイ。入院中の子どもの胸に聴診器をあてるテッペイ。 白いキャップを被った子どもに笑顔で話しかける優しい医者に。カルテを傍に立つ看護士さんに手渡す。

保育園で子どもを膝に乗せて遊んであげている水色エプロン姿のコノミ。アスレチックすべり台の子どもに 「気を付けてね」と見送ると、髪の長い女の子がコノミに近付いて来て、無邪気に笑いながらメガネを奪う。 「あ!またメガネ!」「アヤちゃん!」優しく笑顔で呼びかける。

ミライの去った空を見つめていたトリヤマとマルは感無量の表情。 ウッ!トリヤマがたまらず泣きそうになる口元を押さえる。

サコミズとミサキは2人並んでミライを見送り、チラリとお互いを見つめ合うと笑顔で再度で空を見上げる。

そのGUYSクルーたちから数歩前で見送ったリュウの元へ、みんなが寄って来た。左からテッペイ、 リムを抱いたコノミ、リュウ、マリナ、ジョージ。 後方にトリヤマ、マル、サコミズ、ミサキ。全員で揃って、ミライの去った空をいつまでも見上げていた。

みんなで寄せ書きした「俺たちの翼」。被弾の跡も生々しい。戦闘で破壊されたが、この破片は大切に額に飾ってある。 それをじっと見つめる男の背中・・・

「俺たちの翼」の下には、ガンフェニックストライカーの写真。 壁に「CREW GUYS」の大きなロゴの入った、この部屋の主、リュウが笑顔で振り向いた。

開け放したGUYSの隊服のジッパーを一気に上げる。襟元はかつてセリザワやサコミズが着用していた、 襟から胸部が白い隊長服。

リュウが出て行った部屋の、陽の光差し込むガラス棚には、1枚の写真。 ジョージ、ミライ、リュウ、テッペイを中段に、前にマリナ、コノミ、後方にミサキ、 トリヤマ、サコミズ、マルがかつてのディレクションルーム入り口を背景にした最高の笑顔の写真。

お互いを信頼し励まし合い、最後まで諦めない。 共に戦った大切な仲間たちの思い出がそこにはあった。

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メビウスベルト

管理人のここが考察ポイント

ついに最終回をむかえたウルトラマンメビウスである。番組当初に謳われたゾフィーの人間体の正体についてであるが、 これは一時的にサコミズに憑依したものということと解釈してよいだろうか。

人間とウルトラマンがともに共闘する一つの形態として、 ウルトラマンの中に魂を取り込むということかと思われる。

ところで、ゾフィーがサコミズに憑依したことは、少なからず意外であったことは白状しなければならない。 実は「バンヒロト」ではないかと密かに思っていたからだ。

これは「どんでん返し」という脚本の技法を採用した場合であるが、 先に登場人物を印象づけて、1度あたかも死亡したかのごとく姿を消させ、完全にその存在を忘れさせたあと、 最後の最後に登場させるということにより、 その意外性に「あっ」と驚かせたり、 生きていたんだと安堵させたり、 その先の未来を想像させ、広がりを持たせられるからである。

ヒロトの代わりをミライが務め、そしてミライの代わりをヒロトが継ぐ。 こういったループのような「絆」もありかなと思っていたからである。 いずれにしても、いかようにも考えられたことは大変有意義で楽しかった。

無論サコミズであったことに問題があるはずもない。サコミズのウルトラマンの気持ちに答えたいという強い 想いと、ウルトラマンが人間を想う気持ちが同化、融合した一つの答えであったのだろうから。           

5人のガイズ隊員と隊長のサコミズは、ウルトラマンとともに闘い、未来を信じて、託された未来のために、 大切なものを守り続けていたからだ、 「たどり着けない未来もない。」この言葉はとてもよい言葉だと感じる。過去は変えられないが未来は変えることができる。 自分が感じ、信じて思う方向に向かって努力する、そうすればきっと辿りつけるだろう。

また皇帝エンペラは最後に、自分の負けた相手の勝因に気づくあたり、さすがは皇帝と名乗るだけのことはある。

光があるから闇もある。 闇もあるから光もまたある。自分の敵は自分にないものを持っている、 闇、ライバルや敵は自分を成長させてくれる重要なアイテムでもある。

今回、エイプリルフールのm78nsnの日記にダークサギさん(笑)が、書かれていた本文がとてもよくこの闇、 ヒールの存在意義を表現されていたので、 ぜひ引用したい。

『子供は、ヒーローを見て育ち、ヒーローから様々なことを学びます。 しかし同時に、我々ヒールからも何かを学んでいるはずです。 それは決して、堂々とお子さんに対して、『私から学べ!』なんて言えるような、立派ものではないかもしれません。 しかし、時には反面教師として、時には強きものに対するアンチテーゼとして、 時には正義の理論を裏付ける必要悪として、我々の存在は少なからず意味があるのではないでしょうか。

私は、そんな子供たちにとって、常に愚かな存在でありたい。 私は、たとえ相手が途方も無く強い正義であろうと、何度となく挑み、その度に負け、 相手を変え挑み、また破れ、それでもまだ志を持っていたい。

たった一人でもいい。私を見てくれた子供が、『ザギってダサいよな。弱いよな。』と思ってくれたら、私は本望です。 何故なら、悪にいいことなんか、一つもないからです。 希望ある子供たちを、悪にはしたくない。私の姿を見て、私のような真似をすると、 正義によって裁かれることを知ってもらいたい。

常にそんな象徴であり続けるよう努力する。 それが、小さな悪なりに築き上げてきた、つまらない悪の作法です。 』

ヒールの志も実はヒーローの性根と同じであることが分かる。 どんな相手からも、そしてどんな環境からも学べることはたくさんある。 それは物事に接する自らの心構え一つである。

ダークサギの視点にたって書かれているこのコメントはとても純粋に心に届いた。 怪獣やそして星人たちにも、伝えたい想いがあるわけである。

それは地球は美しいということである。 宇宙から見た地球は、生命体の存在が疑問視される数々の星にくらべ、カコたちのようにすでに星を失ったものからみても たくさんの生物が、生きるのに適した恵まれた環境を渡されていた。

これがエンペラ星人のいう、「のうのうと太陽に照らされている命」であり、 そのありがたみも感じず環境破壊を繰り返す。傲慢な人間を何故ウルトラマンたちは救おうとするのか、 本当に守るに値する命なのか。

それに対して、ウルトラマンの出した答えは人間への無限の可能性への期待だった。

闇からの指摘がなければ、地球を守るという意識も、 託された未来のために自分たちがここにいるということも実感できないであろう。

何かを守る時には、ともに心を一つにして一致団結すること。ガイズのメンバーの手が重ねられていく、 このシーンは今までも再三あったが、 ついに最後に、それが重なることによって、新たな 「光の戦士」の姿となったことはとても感懐深い。

それは一人一人はちっぽけな人間だったとしても、互いに結ばれれば、大きな力に立ち向かう力と なれるということを示していた。

また、エンペラが人間やウルトラマンたちの希望の力で「余が光になっていく」といっていた「 光」となって昇天したことはエンペラ星人への救いだったのかもしれない。

たった一言の「ありがとう」ではじまったこのシーリーズ、そして「ありがとうございました。」で幕を下ろす。 何かしてもらって嬉しかったらそういうんだ。メビウスは地球にいられたことが、とても嬉しかったのだろう。

本当に人を信じて、愛するということは、周囲のすべてのものも、包み込むように海のように愛することだろう。 人間を、地球を愛してくれたウルトラマンの心に答えるためにも、今日から1歩を踏み出そう。 明日のガイズは君なのだから。

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メビウスベルト

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